GOD EATER~アラガミが嫁で悪いか?~   作:王・オブ・王

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第七話「きっとビッチに違いない」

 さて、世界中のお嬢様方、ならびに野郎ども。ごきげんよう。

 今日は俺の目の前、正確に言えば俺たちの目の前に美少女が立っていた。

 目の前にはツバキちゃんともう一人の美少女。

 最高なことにエリックの予言通りの少女だった。

 

「紹介するぞ。今日から、お前たちの仲間になる新型の適合者だ」

 

 ソーマは相変わらず興味無さげだが俺は興味満々だ。

 エリックも復帰してなぜかこの面子の中に並んでいる。

 将来の「し」の字も見えない男が良くここまで来たものだと褒めてやりたい。

 ロシアンガールが話を始める。

 

「はじめまして、アリサ・イリニーチア・アミエーラと申します。本日一二〇〇付けで、ロシア支部から、こちらの支部に配属になりました。よろしくお願いします」

 

 ほほう、必要以上は喋らない任務主義な女の子か?ここには居ないタイプだな。

 マトちゃんが嬉しそうにしているのは女の子が増えたからか、それとも後輩ができたからか、どちらにしろ二人とも俺がいただくわけだがな!

 絶対にエリックなどには渡さん、死んでもだ!

 

「女の子ならいつでも大歓迎だよ!」

 

 このコウタめ。俺より先に話しかけるなぞ言語同断。最初は先輩からだろうがこのドアホめ。

 俺が一から縦社会というものを刻みこんでやろうか?

 とりあえずインパクトのある一言をお見舞いしてやろう。と思った矢先。

 

「よく、そんな浮ついた考えてここまで生きながらえてきましたね……」

 

 髪をファサっとやったよあの女。いまどきあんなの見たことないぜ。

 さすがロシアンガール。エリックも戦慄を覚えているようだった。

 マトちゃんは少し驚いているようだ。かくいう俺も驚いている。

 

 ―――高飛車キャラか。

 

「……へ?」

 

 間抜けな声を上げるコウタ。まったくそういう所でツメが甘いのだ。

 いつ何時もクールに対応しろ小僧め。

 ツバキちゃんがコウタを見る。

 

「彼女は実戦経験こそ少ないが、演習では抜群の成績を残している。追い抜かれぬよう精進するんだな」

 

 まぁコウタは追い抜かれるだろうな。大体新型の成績は尋常じゃないだろう。二通りの仕事があるしな。

 マトちゃんは俺が教えるから絶対上がりまくる。

 このロシアンガールのアリサちゃんも俺が教えるわけだ。クックック、俺の一人勝ちだな。

 

「……了解です」

 

 ふっ、気を落とすな、お前にも良いことあるってな。

 俺と同じようになぁっ!

 

「アリサは以降、リンドウについて行動するように、良いな?」

「了解しました」

 

 ……は?

 

「えっ、ちょっ」

 

 俺の疑問など知らぬと言う風に話を続けるツバキちゃん。

 

「リンドウ、資料などの引き継ぎをするので私と来るように」

「まったツバキちゃん!」

 

 ここでSTOP!

 

「新型先輩の俺の仕事じゃね? じゃね?」

「お前はだめだ。たまにマトを教えさせているだろう」

 

 そんな! 一人で満足できる俺だと思うか!?

 

「何年の付き合いなんだ!わかってるだろう!?」

「ああ、アリサみたいな娘を一緒にさせてみろ、エロいことするだろ?」

「うん」

 

 隠す必要性なんてどこにもない。

 俺は堂々とした紳士だからな、なにも包み隠さないのが当然の摂理だ。

 その瞬間、マトちゃんの笑みが凍り、アリサは豚。否、イベリコ豚を見るような眼で俺を見る。

 

 へっ、よせよ。興奮するだろ?

 

「その他のものは持ち場に戻るように以上だ」

 

 去っていくツバキちゃん。それを追うリンドウ。

 まったくひどい連中だ。

 溜息しか出ねぇや。

 

 コウタが話を始める。

 

「……ね、ねぇ君ロシアから来たの? あそこすげえ寒いんでしょ?」

 

 小僧め、やはり甘いな。そこは『俺が温めてやるよ』と服を脱ぐ勢いで言わんと女は惚れんぞ。

 まったく、バカはこれだから困る。

 そんなとこでマトちゃんが会話に混ざった。

 

「でも最近異常気象で温度が高くなってきたとか聞きました」

 

 マトちゃんがチラリとアリサを見るが、高飛車なアリサは髪を払うのみだ。

 エリックが俺の横について耳打ちをする。

 

「ボク無理です」

「そうか、俺はいくけどな」

「さすが師匠……」

 

 横で一人戦慄しているエリック。

 アリサを見ていると不思議な感覚に陥る。なんだこの感覚は、恋では無い。いつもしてるからわかる。

 俺のこの感覚、内から湧き上がる衝動。あの高飛車なアリサを見ていると芽生えるこの感情。

 M心でもない。なんだっ! 一体なんなんだ!

 

 俺は、得体のしれないこの感情に恐れを抱いた。

 

「とりあえず落ち着くか」

 

 アルフといちゃいちゃするかな、いや待ていちゃいちゃしすぎてすぐ冷める愛も恐いから落ち着くか?

 うむ、悩みどころだな。俺としてはいちゃつきまくりたいのだが、たまにはクアドリガのミサイルポッドでも刻みに行くか……そうだ!

 

「おいエリック、俺とライディングデュエルしようぜ」

「カードがありません」

「カードは拾った」

「バイクも」

「それはしょうがないな」

 

 そもそもライディングデュエルなんかやってられるか、ついつい衝動で言ってしまったぜ。

 そろそろ会話の中に混ざるとするか、俺という上司の下で働けることを光栄に思うのだなアリサ。

 ……ん? 俺としたことが美少女になんて上から目線。

 

「アリサさん、私たちの上司で新型の先輩でもある松田グラハム曹長です」

 

 マトちゃん直々の紹介だ。俺は軽く手を上げて爽やかさをアピール。

 

「ご紹介に預かった松田グラハム曹長だ。新型と言う意味では君の先輩になる。ロシア支部には2度ほど顔を出していたが君の先輩たちには“ずいぶん世話になった”な」

 

 ちなみにロシア支部は俺が二度と行きたくない支部の一つだ。

 実に堅苦しく、アウェイだった。まったくこの俺様と仲良くしようとしう奴がいない。

 女性の方々にそういう扱いを受けてもまったく構わない、だが男共は別だ。

 

 なんて物思いにふけっている場合ではないな。

 

「はい、聞いています。ゴッドイーターの中で特に浮ついた考えで、もっとも尊敬に値しない人物だと」

 

 そう言うと、アリサは去って行った。

 まったく、シャイだな。つい腹パンしたくなってしまう……ハッ!? 俺は今なにを!?

 美少女相手に腹パンだと?こんな感情を抱いたのは初めてだ。

 しかし、これは怒りではない。

 

 なんだ―――この感情は一体っ!?

 

 俺は戦慄した。

 

「まったく、無愛想な新型だね」

 

 髪をかき上げながら言うエリックはなんかむかつく。

 

「でもあれじゃ困るわね」

 

 さっきゅんもそう思っているようで、頷く。

 さすがだな、ダディって呼びたくなってくるぜ。

 

「グラハムさんのことあんな風に言うのは、少し……」

 

 おう、俺を思ってそんなことを言ってくれるマトちゃんは聖女だな。汚したくなるぜ。

 まだまったく触れていない。二人きりのミッションはあれきり無いしな。

 まったく進展が遅すぎるぜ。

 

「さて、行きましょうか? 今回は私、グラハム、マト……そしてエリックの四人よ」

 

 エリックも一緒とは復帰戦と言ったところだ。

 嬉しそうに髪をかき上げるエリック=上田。

 

「ボクの華麗なる伝説が始まる」

「行くぞ上田」

「あっ、グラハムさん!」

 

 俺が先頭で、その後を追うエリック。そしてさらに後ろから歩いてくるサクヤとマトちゃん。

 さて、この四人での戦い。前衛として俺とマトちゃんと言ったところか、まぁどうあっても俺は接近戦になるわけだ。

 マトちゃんのサポートは遠距離からサクヤがするだろうが、敵の前で何かあった時一番に動ける俺が必要だろう。

 エリックも復帰戦なわけだからサクヤの傍で撃っているのが一番。

 まぁ目立ちたがり屋なエリックのことだ。どうせやかましい音出しながらバシバシ撃ってアラガミを引き寄せる。

 だがそこで阻止するにしても前衛の俺が引きつけなければならない。

 

 まったく、無駄に俺の頭を使わせるな阿呆め。

 

 

 

 俺とマトちゃんの二人が、贖罪の街を走る。

 大きな開けた場所の中心で歩いているヴァジュラ。

 まだ俺たちに気づいていないヴァジュラに、マトちゃんが自らのロングソード“冷却チェーンソー”を振り上げる。

 俺も同じく、クサナギを思い切り振りかぶる。

 

「はあぁぁぁっ!」

 

 叫び、跳ぶマトちゃんがヴァジュラの背中に乗ってそのタテガミにチェーンソーを振り下ろした。

 アラガミの堅い装甲により、火花がバチバチと散るが確実に削っている。

 今にも暴れだしそうなヴァジュラ。俺はクサナギを振るってヴァジュラの後ろ脚を切り裂く。

 体勢を崩したヴァジュラ相手に、物陰から姿を現すエリックとサクヤが一斉放火。

 

 俺もすぐさま神器を変形させてありったけの火炎弾をぶちこむ。

 

 チェーンソーの響く音と三つの銃撃。

 ヴァジュラもひとたまりもないだろうけれど、まだ死なない。

 最近は妙にアラガミが強い気がする。

 

「これでぇっ!」

 

 マトちゃんの声と共に、チェーンソーの音が止む。

 ヴァジュラの背中から飛びあがったマトちゃんが俺の隣に着地する。

 すでに虫の息なヴァジュラ。

 

「エリック上田!」

「えっ!?」

 

 エリックに撃つように指示したのだが、エリックは急いで周囲確認なんてバカなことをしている。

 まったく手柄をやろうというのにバカな奴だ。

 マトちゃんに眼で合図すると、マトちゃんが武器を変形させてスナイパー“ファルコン”を持つ。

 

「いきます!」

 

 声と共にレーザーが放たれる。それはヴァジュラを貫く。

 倒れたヴァジュラは動かない。

 終わったかと安心する面々。

 

「まったく、世話をかけるアラガミだ」

 

 俺はヴァジュラを蹴ってみる。死んでいるようだ。

 

「グラハムさん、止めを譲ってくれようとしたのは理解しましたけどね『上だ!』のせいで無駄に焦りました」

 

 まったく何を言っているのやら。エリックはバカだな。

 俺は神器を担ぐと周辺警戒のために歩く。

 三人からある程度離れてから……ふと。

 

「ぐっ……」

 

 俺の腹部の傷が疼く。何だっ……何だっ……!?

 先生ことペイラー・榊に作らせた背中の特製フックに神器をかけると、俺は空いた両手でピストル型神器を持ち走る。

 教会の方に何かあると、傷が知らせてくれた。

 内部でやかましい音が鳴り響いている。

 

「何事か!」

 

 俺は叫びながら教会内部へと入った。

 そこは血まみれで、壁にも地面にも血がべっとりだ。

 たく、血のバレンタインでもやらかしたか、ちきしょうめ! あぁ生臭いっ!

 

「ん?」

 

 あたりにはアラガミの死体。ヴァジュラだったりオウガテイルだったりシユウだったり。

 ここには誰も来なくて良かった思わされるな……で?

 

「何事だ?」

 

 教会の、開いた壁の向こうに黒い尻尾が見えた。

 一瞬で消えたそれだが見間違うはずもない。間違いなく俺の見解ならばあれはスサノオ。

 しかもあの巨大さで言えば俺の腹に傷をつけてくれた馬鹿野郎だ。

 

「チッ、逃がした……」

 

 今から追いつくのは無理だろうと、俺は教会を出る。

 それにしてもおかしい。ただのアラガミに攻撃されても怪我は治るはずだ。

 黒い何かが抉られた部分に現れるなど聞いたこともない。

 俺が世界初だとしても、それはなんだ? オラクル細胞、しかしそれであってもおかしい。

 なぜオラクル細胞というものがそこに寄生しているか……。

 

 左側から声がした。

 そちらを見た時はすでに遅いかった。飛びあがったオウガテイルが俺に襲い掛かる。

 オウガテイルに向かって手持ちのピストル型神器を撃ちこみまくるが、無駄だ。

 上から俺にのしかかったオウガテイル。

 

 ―――この野郎! 俺にのしかかっていいのは美少女だけだろうが!

 

 何度もピストル型拳銃での銃弾をあびせるが、その赤黒いオウガテイルには聞いていない。

 オウガテイル堕天種というわけでもない赤黒さ。

 

 一体どういう種類だ?

 

 まったくわからない中、俺はトリガーを引くが、無駄だ。

 口を開き、俺を食おうとするオウガテイル。

 俺がオウガテイルの下で無様に暴れたせいで服は乱れ服はだいぶめくれあがっている。

 

 まったくもって遺憾である。俺の服をめくっていいのは美少女だけだというのに! それはすなわちアルフ(など)だ!!

 

「こんな所でっ……死ぬわけにはいかん!」

 

 そう叫ぶが、現実は非常だ。オウガテイルは口を開いて俺を食おうとする。

 食おうとして―――オウガテイルは止まった。

 そのまま、俺から退くように横に倒れるオウガテイルに、俺はわけがわからなかった。

 周囲を見渡すが味方は居ない。

 オウガテイルの胴体には何かに貫かれたような傷。

 

「どういうことだ?」

 

 疑問に思いながらも服を整える。

 オウガテイルの下で暴れたせいで乱れた髪もしっかりと整えた。

 ピストル型神器をしまうと神器を担ぎなおす。

 なにはともあれ命拾いしたのは確かだ。まだまだ戦えということ……だろう。

 

「大丈夫ですか!?」

 

 駆けてくるマトちゃん。おっぱいが揺れている。

 さすが俺の最高のパイオツ。だがアルフかマトちゃんの二択だな。

 マトちゃんのもいずれ触って確かめるのだから確かめてからどちらが良いか決めよう。

 

「あぁ、心配かけたな……」

 

 俺は倒れているオウガテイルを蹴る。

 起き上がることは決してない。

 

「これ、オウガテイルなんですかね?」

 

 そんな疑問ももっともだ。俺自身もそう思っているしな……。

 ドス黒いオウガテイルの色合いや模様はスサノオを彷彿させる。

 とりあえずコアを食しておこう……後々のペイラー榊にこれは報告だな。

 

「まったく、わけがわからんな……」

 

 サクヤとエリックも合流すると、そのオウガテイルを興味深そうにみている。

 間もなくオウガテイルは姿を残さず消えた。

 アラガミというのは死体が残らない生き物だ。

 

 全員が揃ったのを確認して、俺は通信。

 

「ヒバリちゃん、ミッション終了。回収半を頼む」

『了解しました!』

 

 ここからは回収半を待って終わりだろう。

 しかし、今回ばかりは女の尻を追うだけでは終わりそうもないな。

 どうにもキナ臭いことばかりだ。あのミッションもそうだが、支部長のこともだ。

 おそらくペイラー榊にもアイツの思惑がある。

 もちろん俺もだが、一気に新人が二人も配備されたこの極東支部。

 

 まったく、厄介なものだ。

 

「さて、帰ったらアルフのおっぱいでも堪能するか」

 

「そういうことは心の中で言いなさい」

 

 俺の頭を軽く小突くサクヤ。

 すでにマトちゃんは居ないが……探索でもしているのだろうか?

 エリックも居ない。よもや一緒ということはあるまいな?

 

「エリックはそこらへんでタングステンとか拾ってると思うわ。彼女はあっちで敵探索」

 

 さすが、長年付き合ってるさけあって俺の思考がわかっているな。

 俺の好感度が上がったぞさっきゅん。

 とりあえず帰ってアルフのぱいおつを堪能。

 その後どうするか、叶うことならロシアンガールのも堪能してみたいな。

 

 あれはこう……下がから“グワシッ”と行きたいな。

 

 あのロシアンガールとのミッションも楽しみだ。

 アリサ・イリなんとかなんたら…優秀らしいから楽しみにしていよう。

 あぁ、わかったぞこの感覚。ロシアンガールに感じるこの気持ち……まさしくS心。

 

 あの娘は俺のS心をふんだんに刺激している!

 

「いつか調教してみせるぜアリサぁっ!!」

「心の中で言いなさい!」

 

 後頭部を、さっきゅんの砲身が強打した。

 俺のイケメンフェイスを攻撃しなかっただけ良しとしようではないか!

 帰ったらエレナと話して、カノンちゃんやジーナを口説いて、マトちゃんとアリサも行っとくか!

 まったく、モテる男はツライねぇ。

 

 俺は華麗に笑って、口笛を吹いた。

 

 

 




あとがき
待たせたな! 拙者更新速度に定評が無いものにて、御免!
新たな新境地を垣間見たグラハムはアリサとどう接していくのか……大体今までと変わらぬ予定でござる。
マトやアルフともこれからどうなっていくのかなどまだまだ先は長い!
おもに巨大なスサノオの件もまだまだ待っているでござるからな。

では、また次回!
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