GOD EATER~アラガミが嫁で悪いか?~   作:王・オブ・王

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第九話「松田グラハム、暁に死す」

 やあ美少女のみんな、松田グラハムだぞ! 今日の『なんでも鑑定GEB』はここ、贖罪の街からだ!

 なんだって? あぁ、もちろん美少女以外は帰れ。

 

 あれから数日だが、アリサは少し大人しくなった気がしないでもない。

 どうやらタツミから厳しいお説教をくらった。

 フッハハハハッ! その時一緒にいたが可愛かったよ、うん。

 

「さて、目標も撃破なわけだが…」

 

 つぶやいて、周囲を確認してみる。

 現在、俺は贖罪の街の教会の入口前に休憩中だ。

 さっさとシユウを処理したは良いが暇だったわけだな、今日はご馳走を用意できそうだな。

 今回のシユウだが強さがいつもの“倍”はあった。

 

「なに?」

 

「お前ら」

 

 ソーマとリンドウが鉢合わせ、ついでに言うと俺もだ。

 第一部隊、エリック以外の第一部隊のメンツ全員が揃ったわけだが……どうにもキナ臭い。

 アルフを連れてこなくてよかったという思いもあるが、俺の思考は高速でこの状況への答えを探す。

 だめだ、美少女しか想像できねぇ。

 

「あれ? リンドウさん、なんでここに!?」

 

「どうして同一区画に複数のチームが…どういうこと?」

 

 さっきゅんの言っていることもわかる。

 俺もそれに関しては疑問が浮かばざるをえない。

 

「考えるのはあとにしよう。さっさと仕事を終わらせて帰るぞ」

 

 そんなリンドウの言葉に、頷く面々。

 いつもよりも引き締まった表情と雰囲気なのは、この状況に緊張感がでてきたのだろう。

 わかる。わかるぞリンドウ。なにか大きな力が働いてこういう状況になっていることなんて簡単に予想できる。

 お前もそれがわかっているからこそ焦っているのだろう?

 

「俺たちとグラハムは中を確認、お前たちは外を警戒…いいな?」

 

 その指示と共に、リンドウを先頭にアリサ、その背後に俺と続く。

 こう背後から見ているとアリサは尻もまた良いな。こう、グワシッ! といきたくなる。

 うぅむ、ロシアンガールのなやましいボディであるな。

 教会の中に入ると、破壊されたステンドグラスからアラガミが姿を現す。

 なんだ……ヴァジュラと同型のようだが……。

 

「下がれ!! 後方支援を頼む!」

 

「オーライだ!」

 

 俺はすぐさま下がって神器を銃形態に変え、背後に下がる。

 ロシアンガールことアリサは、なんだ。ぶつぶつと何か……。

 

「アリサ、どうしたぁ!」

 

 リンドウの声が教会に響く。俺はアリサの肩を後ろから引っ張って背後にやる。

 すぐに銃口をヴァジュラもどきに向けて―――撃つ。

 引っ掻いたり噛んだり、どの弾を撃てば良いのかわからんが、とりあえず氷結弾を撃つことにしよう。

 何発も住を打つが、コイツはまったく倒せない。

 

「ママっ……パパッ……」

 

 後ろのブツブツ言ってるアリサはなんだ! 恐怖のあまり声が出ないとかか!?

 いいや、そんなチャチなものであるはずがない。コイツは新型アラガミ一体に恐れおののく少女じゃないのは確かだ。

 クソッ……。

 

「アジン・ドゥヴァ・トゥリー……」

 

 後ろでロシア語かなんかをつぶやいているアリサ。

 こんな状況下で一体なにを言っているッ! えぇい、硬い装甲だ!

 

「いやぁぁぁぁ! やめてぇぇぇぇっ!!」

 

「俺はなにもしてないぞ!」

 

 そう叫んで背後を見るが、アリサは叫びながら―――天井を、撃ちやがった!?

 ちきしょう! 悪いなリンドウ、一緒に心中なんざごめんだ!

 俺はさっさとアリサを押して瓦礫の落下地点から飛び退いた。

 

「あっぶねぇ、この馬鹿、なにをやらかしてる!」

 

 さすがに美少女といえど怒鳴るぞ、これで可愛い表情を見せてくれたらイイんだが……そんなことを言ってられる状況でもないようだな。

 唖然としながら、どこか遠くを見てぶつぶつと戯言を……壊れたか?

 さすがの騒音に駆けつけてきたさっきゅんとマトちゃんが、俺たちの前にある残骸を見て驚いている。

 

「あなた!! なにを…!!」

 

 責めるように怒鳴るさっきゅんだが、アリサは相変わらず心ここに在らず。

 そんなアリサに露骨に苛立ちを見せるさっきゅん。まったく、落ち着きが足りんぞ。

 あの程度のアラガミ一体ぐらいならリンドウは倒せるだろうに……。

 さっきゅんはすぐさま瓦礫に向けて銃を撃つが、崩れるはずがない。

 

「うあぁっ!」

 

 叫び声と共に、吹き飛んできたコウタと……先ほどのアラガミ。

 まったく、面倒な敵に違いない。

 さっきゅんと俺が同時に撃ち、マトちゃんが斬る。

 

「早くしろ、囲まれるぞ!」

 

 ソーマの叫び声に、外からいくつもの咆哮が聞こえた。

 囲まれている、か……なるほどな、これはリンドウといえど一筋縄ではいくまいな。

 入口までやってきていたアラガミは外のソーマの方へと向かった。

 

「命令だ! アリサを連れてアナグラへ戻れ!」

 

 瓦礫の向こうから聞こえるリンドウの声。

 ―――フッ、さすがリンドウだな。

 俺たちを逃がすためにそんな選択肢を取るとは……さて、それでは逃げるかとするか…。

 

「でも…」

 

「聞こえないのか! アリサを連れてとっととアナグラへ帰れ!」

 

 その一喝は本物のものだろう。

 

「サクヤ! 全員を統率! ソーマ、グラハム、退路を開け!!」

 

 この命令、従わないわけにはいかないだろうな……。

 

「マトちゃん頼む!」

 

「はい、リンドウさんは……」

 

「今は無理だ。さっさと撤退。さっきゅん、早く!」

 

 マトちゃんがアリサの元へと寄って、すぐ腰を下ろす。

 安産型のお尻が巫女服にキュッと……なんて言っている場合ではないな、うん。

 

「配給ビールとっといてくれよ」

 

「だめよ! 私も残って戦うわ!」

 

 冷静に見えるが、相当焦っているのだろうさっきゅんは……。

 

「サクヤ…これは命令だ! 全員必ず生きて帰れ!!」

 

「イヤあぁぁぁ!!」

 

 もう冷静さを保つことができなくなったのか……。

 コウタが腕を引きながら説得するが、錯乱しながら叫ぶのみのさっきゅん。

 さてさて、とっとと撤退するとしよう。

 

「俺が先導しよう。あとからついてこい」

 

 神器を剣に変形させてからソーマの方へと向かう。教会から出れば四体の先ほどのアラガミ。

 非常に厄介な犬共だな、このグズどもが! 女の顔しながら醜い容姿をしおってからに……ッ!

 さすがにコイツらをさばきながら全員を護衛することは……不可能か、これから逃げ切ることもさすがに難しい。

 

「どうするの! こんなの全部相手にしてたんじゃリンドウだって!」

 

 さっきゅんは相変わらずヒステリックに錯乱気味だ。

 

「しかたあるまい、リンドウだけにイイ思いはさせん。俺はコイツらを“喰ってから”追いつく」

 

 肩にバスターを背負ってから、そう言う。

 全員、ソーマすらも驚いた表情を見せるが……なんだ、そんなに意外だったか?

 マトちゃんが俺の肩を掴む。アリサを背負いながらとは、器用なものだ。

 さすが―――俺の嫁!

 

「どうするんです。アルフさんは……」

 

「帰るさ、リンドウ(相棒)を連れてな」

 

 まったく、俺がなぜこんな台詞を……まぁコイツらを納得させるためなのだからしかたない。

 マトちゃんは俺がどうなるのにしろ、納得してくれたようだな。

 だが問題はもう一人、でっかい子供だ。

 

「待って、だったら私も!」

 

「えぇい時間がない、駄々をこねるな“サクヤ”!」

 

 俺の一喝と同時に、サクヤは黙る。涙目であるがそんなことを気にしていては涙以上に面倒なものを落とすことになる。

 ソーマに顔を向けて顎で指図するとそれを理解してか、冷静に頷いてサクヤを連れて撤退。

 教会前にて、俺の前方にいるのは四体のヴァジュラもどき。

 それにしても俺らしくカッコよく美少女に“イイとこを魅せる”ことができた。

 

「さて、ショータイムと行こうじゃないか!」

 

 二体のアラガミが一斉に襲いかかってくるが、俺はバックステップと同時にその攻撃を回避する。

 目の前の地面にその爪を突き刺す二体を視界におさめて、俺は横凪にバスターことクサナギを振るう。

 少し怯むが、さすがに最近のアラガミは硬いな!

 

「えぇい死に晒せ!」

 

 そう宣言したものの、敵は咆哮と共に氷の槍を撃ってきた。

 

「なんと!?」

 

 飛んで回避するものの、四体もいるこいつらの一体の攻撃を回避したのみ。

 残り三体の攻撃がある。

 俺へと跳んでくる一体が、俺へと突撃してきた。

 

「ガァっ!?」

 

 ―――コイツッ!

 肺の中の空気が吐き出され、呼吸困難に陥りながらも吹き飛ばされ地面を転がる。

 この程度の相手にやられるのは不本意極まりない、どころの話ではない!

 

「ッ……」

 

 意識が徐々に削り取られていき、そして―――最後に俺の視線の先はひたすらの漆黒に覆われる。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 ん……ここは、教会前に変わりない…か?

 起き上がり周囲を見渡してみるが、服がボロボロことに気づく。上に至っては着ていない。

 まったくもってハレンチなことである。

 そういう趣味は俺に無いというのに……。

 

「さて神器は」

 

 俺の横に寝かせられた神器。

 立ち上がって、俺は背を伸ばす。

 ボロボロの上着が落ちているのでそれだけでも羽織ることにしたが、随分ワイルドになってしまったものだ。

 

「むっ?」

 

 目の前に突如現れた、先ほどのヴァジュラもどきが俺にむかって腕を振り上げる。

 ―――神器を取るには、間に合わんな、ここまでか…。

 振り下ろされる腕だが、俺の体を傷つける事はない。

 

「ほう……さすが俺の嫁だな」

 

 目の前に現れるのは我が嫁―――アルフだ。

 アラガミの姿で、ヴァジュラもどきの腕を切断したアルフだが、そうだな……どうやったかと問われれば、切断した以外の表現方法は無い。

 振り上げられたヴァジュラもどきの右腕に対して、アルフ―――いや、アルダノーヴァ・プロトタイプの左手の手刀は本物の刃のようになり、ヴァジュラもどきの右腕を切り裂いたのだ。

 俺やリンドウでも苦戦するようなアラガミの腕を一撃―――やはり俺の嫁は最強ということか。

 

「可愛さも断トツだし」

 

 そうつぶやくと、目の前のアルフはわたわたしだす可愛い。

 

「さて、とりあえず…」

 

 周囲を見渡すと、あたりにはヴァジュラもどきの残骸が落ちている。

 すべてアルフがやったのだろうか? いや、アルフ以外にやるやつはいないか……。

 ふむ、リンドウはどうなったのだろうか……なぁんて考えてる暇はなさそうだ。

 

「ッ……」

 

 ―――体力の限界かッ……えぇいッ!

 目の前のアルフが人の姿に戻るが、俺はそんな健気な嫁のおっぱいをもんでやることもできずに、倒れる。

 起きたばかりでまたこれとは、先ほど寝ていなかったかのような感覚。

 虚しくも俺の思考は再び真っ暗闇に落された。

 

 

 

 




あとがき

死ぬなんてことはなかったんでござる。
でもちょっとシリアス! まぁこんなかんじで……。
毎度毎度更新が遅くて申し訳ない。しかし、ゴッドイーター2のチャージランスは期待大でござるなぁ。
それにカノンちゃんも出るとか!

では、次回もお楽しみにしていただければ僥倖!!
拙者これにてしつれいつかまつる。
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