GOD EATER~アラガミが嫁で悪いか?~ 作:王・オブ・王
あれから一週間ほど経ったが、それにしても俺の体は些か調子が悪い。
さすがに打ち所がわるかったのか……えぇい、打ち所が悪ければこんなものか!
まぁとりあえず、現在は小さな任務からちゃくちゃくとこなしている。
体慣らしとかでツバキちゃんが俺に回してくれた任務だが、正直もっと激しい任務、つまりはマトちゃんたちがやっているような任務を回してくれた方が助かるというものだ。慣れるものも慣れん。
なぁんて思っていたある日、早朝から俺たち第一部隊はツバキちゃんから呼び出しを受けていた。
エントランスにて俺、マトちゃん、さっきゅん、ソーマ、小僧、エリックがツバキちゃんの前に並ぶ。
なんとなく雰囲気で察することぐらいできるさ、この後に何があるか……。
「本日の任務を『当該地域のアラガミ一掃』に変更する」
―――もうリンドウの捜索は不要と判断されたか……だがそれにしても早くはないか?
「なお検査中だったアリサは快方に向かいつつあるが、入院のため暫く前線を離れることになるだろう」
やはり少しばかりいつもとツバキちゃんの雰囲気が違う。
大体にして声音が違う。
「最後に、本日をもって神器―――及びその適合者であるリンドウは消息不明・除隊として扱われることになった……以上だ」
だがあまりにも早い。ふつうならば神器が見つかるまではほぼ延々と捜索が続くはずだ。
まぁスサノオみたいに神器を喰う奴なら話は別だが……。
だが今は目の前のことを解決しなきゃなんないな。
「そんなっ、まだ腕輪も神器も見つかってないんですよ!?」
「上層部の決定だ。それに腕輪のビーコン、生体信号ともに消失したことが確認された……未確認アラガミの活動が活性化している状況で、生きているかもわからない人間を探す余裕はない」
それだけ言ってツバキちゃんは踵を返す。
俺が忠告した『サクヤを止めろ』というのはさすがに言えなかったか……まぁ当然と言えば当然だろうな。
ツバキちゃんを追って俺もエレベーターへと入る。
扉が閉まる前にさっきゅんがマトちゃんに怒鳴っている姿を見て、ため息が思わず飛び出た。
当たってもしかたないだろうに……。
「大丈夫か?」
「お前に心配されるほど……では、ない」
下唇を思いっきりかみしめてる隣のツバキに俺は語りかける言葉など持ってはいない。
なんたってリンドウが死んだって俺はまったく悲しくもないからだ。だから生きていたところで喜ぶこともないだろう。
俺はリンドウなどどうでも良いのだから、この事件でどうでも良くないのは一つ。
この俺があの美しくもないアラガミに後れをとったこと……スサノオだけでも我慢の限界だというのにふざけるのも大概にしてもらいたいというものだ。
隣で泣いてるツバキの頭を軽く撫でながらも、思わず俺は唇をかみしめた。
俺はエレベーターを降りてから、俺は榊の研究室へと入る。
相変わらずの胡散臭い笑顔を浮かべながら端末をいじくってる変態を見てると吐き気すら催しそうになるが、今はそんなことはどうでもいい。
とりあえず当面の問題としては……俺の脇腹の黒い部分だ。
「うん、聞きたいのは君の体の異常だね? それがなんでそうなったのかは前に言った通りだけど、その状態に前例がないんだ」
「わかっているか、早く言ってくれれば助かるんだが?」
「グラハム君、知らないことを知るには時間が掛かるんだよ。君の腹部のオラクル細胞は知らないことさ」
つまり、まだわからないということか……。
実に困ったことだ。前回の戦闘から、気のせいか
とりあえずわからないのだから俺が口を出す範囲じゃない。調べてもらっている側なのだしな。
そんなことを考えていると、扉が開いてそこからマトちゃんが現れた。
「あっ、グラハムさんに聞きたいことがあったんですよ」
「俺がお目当てとは、うれしいな」
「あはは」
笑ってそれでおしまいだ。素直にマトちゃんはこういうセリフをお世辞だと思うふしがある。
まったく困った美少女だがそれでこそ俺だって攻略のしがいがあるというものだ。
まぁとりあえず、何が聞きたいのか?
「行方不明になったゴッドイーターは、こんな早く捜索が打ち切られるわけじゃないってほんとですか?」
「ああ、あきらかにおかしい。あまりにも短期すぎる……ゴッドイーターというのは神器より優先順位が低いというのはわかっているかな?」
「はい、それはなんとなく」
それがわかっているなら話は早い。
「だから人間の調査はひとまず置いておくにしろ調査隊は神器の捜索に躍起になる。だから神器も腕輪も人間もこんな短期間で捜索打ち切りというのはまずおかしい。だがそれが“上層部の命令”ならばなにもおかしいことなど感じてはいけないわけだ」
「……なるほど、そういうわけですか」
物分りが良い子で助かるな。
「ああ、だから君はリンドウのことを考えずに今目の前のことだけに集中しろ、集中すべきは周辺アラガミの一掃……だな?」
「はい、そうですね」
頷いてから、少しさみしそうに笑ってマトちゃんは部屋を出ていく。
まったく良い子だ。あまり一緒に居た期間も長くないというのにあそこまで他人を思ったりなど……。
それが仇にならなければ良いがな。
そんな時、マトちゃんと入れ替わるように部屋に入ってきたのはアルフだった。
相変わらず超かわいい人間形態だが、やはりどこかアルダノーヴァ・プロトタイプの本当の姿の面影がある。髪もさらさらで、童顔、これが俺の嫁だと思うとゾクゾクするね。
さて、そこはともかくとしてアルフがここに来たということは、お目当ては俺か?
「どうした?」
<お腹空いた>
少しばかり顔を赤らめてそのメモ帳を見せたアルフの頭を撫でる。
榊を見ると『食券は足りるのかい?』という顔だ。
だから俺は笑って言ってやる。
「俺のアルフはグルメでな」
「ん?」
わけがわからんか、そうだろうな。
俺はアルフを連れてとりあえず食事に向かうことにした。
もちろん食事の調達役は俺だ。体を慣らすためにも……な?
アナグラを出て向かった先は相も変わらず贖罪の街……アナグラから徒歩で一番近いのだから仕方がないだろう。
とりあえず俺はアルフと一緒に敵を探す。
一緒に並んでこうしているとデートみたいに思えるな、俺がこんな物騒なものを持っていなければ―――の話なんだが……。
肩に担いだ神器をそのままに、俺は遠くにクアドリガを見つけた。まだこちらに気づかず後姿を晒してるが、俺は神器を変形させてその銃口をしっかりと敵に向けた。
「下がっていろアルフ、お前に傷ついてもらいたくはない」
そう言うとアルフは素直にうなずいて建物の影に隠れる。
そのまま、俺はレーザーを放つ。
放たれたことに気づくこともなく、レーザーは音も立てずにクアドリガへと向かう。
「3、2、1!」
俺のカウントと同時にクアドリガへと放ったビームが拡散する。
一発一発が別の方向を向き、クアドリガの体を貫くが都合よくすべてが当たるわけがなく、数発外れるが十分だ。
クアドリガの厄介な背中についたミサイルポット二つを貫通したんだからな……!
俺は銃を変形させ走り出す。
咆哮と共に俺の方を向くクアドリガだが、遅すぎる。
俺はすぐにクアドリガに近づきその小さな顔に縦一閃。切り裂かれたことにより方向をあげ、その全面を開きほぼゼロ距離で俺にミサイルをぶち当てようとするクアドリガ。
良く考えたようだが―――。
「甘いな!」
地面に足をしっかりとついて俺は体験の刃を下に向け盾を展開させる。
刃は小さく、盾だけを巨大化。
放たれたミサイルが盾に着弾し、爆発するがそんな攻撃では俺の盾を突破することは不可能だ。
―――そしてこの構えは攻防一体! 名づけてッ!!
「パリングアッパー!」
ガードをし、隙無く次に斬り上げる! これぞパリングアッパー!
フッ―――相手にならんなクアドリガめっ、俺がゼロ距離ミサイル程度で仕留められると思ったかっ!
ミサイルを撃った直後の斬撃は開いたクアドリガの胸を切り裂く。
「小煩いな」
雄叫びを上げるクアドリガの装甲が閉まるが、俺はすでにチャージクラッシュを放つ体勢に入っている。
すでに遅い。俺は神器から伸びた黒い刃にてクアドリガの全面装甲を切り裂き中身を露出させた。
そしてすぐさまピストル型神器源さんカスタムを抜いてその傷口、つまりは中の装甲に何度も弾丸を撃ち込む、今じゃけん制用と言ってもロングバレルに弱点への連射はさすがに効いたのかうめき声をあげて前足を上げるがそれじゃ遅い。
「ハッ!」
地を蹴ってクアドリガの背中へと飛び乗ると、すぐに神器を変形させ銃形態へと変える。
片手に俺の神器、片手にピストルを持ち両方を連射した。どんどんとその背中の装甲が剥がれ、生身のクアドリガへと銃弾がぶつかっていくが、新型の方は
仕方がないので神器を変形させてその背中にバスターを―――突き立てる!
「また、煩いんだよ! アルフはもっとおしとやかだぞ!」
まぁクアドリガがおしとやかでもなにもうれしくはないんだが……クアドリガが暴れるも背中にバスターを刺せばその柄を握ってる限り振り落とされることもない。
とりあえず俺は装甲が剥げた部分にピストル型神器を連射していく。
「クハハハハッ! この程度か、所詮は有象無象だな!」
クアドリガがしびれを切らしたのかミサイルポットを開き大量のミサイルを撃つ。
所詮は単細胞生物の塊、まともな判断はできんな。
俺がすぐにそこから飛び退くと、クアドリガの装甲の薄くなった背中へと自らのミサイルが降り注ぎ、それで戦いは終わりだ。
息絶えたクアドリガが地面へと落ちる。
「……アルフ!」
アルフを呼ぶと物陰から出てきてトコトコと俺の傍による。
こいつが今日の晩飯というわけだ。
アルフは俺に軽く抱きついて頬にキスをするとクアドリガの前で両手を合わせる。
ちなみに頬へのキスは感謝の印であり……恋人としては正しい。
「毎回行儀が良いな」
軽くアルフの頭を撫でてやると嬉しそうな笑顔を向けて俺に笑う。
すぐにアラガミの姿へと戻ると、アルフはクアドリガのやわらかい部分をとってパクパク食べていく。
とりあえず俺の目的としては、周囲を探索しよう。あのスサノオのパーツの一つでも持っていければこの脇腹を治すのに役立つかもしれんしな……。
その場を去って俺は前にスサノオを見かけた教会周辺を歩く、いや歩いている。
「ん、まだアラガミがいたか」
そこにはアラガミ、青いひらひらを見る限りサリエルだが、若干やりにくいんだよなぁ。
そんなことを思っているとサリエルはその青いひらひらを服のように翻して俺の方を向いた。
―――察知能力が高い!?
いや、それよりもよほど大変なことになっている。
そのそのサリエルは通常のサリエルとだいぶ異なっていた。その姿はまさしく妖艶と言って良い。
サリエルは本来人間離れした姿で服を着ているように見えるアラガミなのだが、その姿はまさしく人と言って良いだろう。
サリエルの人間部分が肌色なのだ。それでいてあの青い服なのだから俺の目に悪い。足は確かにサリエルのものなのだが、上半身は間違いなく人間のものと言って良い。
頭の上の目も無く、頭はただ紅い髪の女と言うに等しい。
この俺の心にビリビリと響くこの気持ち……まさしく、浮気心。男の性、嫁も居るのに……不倫は文化。
クソっアルフ以来だっ、アラガミにときめいたのはッ!
―――だがっ、俺は絶対に浮気なんてせんぞ!
「話は通じるか? できればそこらでデートなんていかがだ?」
まんまと敵アラガミの罠にはまり浮気をせざるをえなくなってしまった俺、なんて汚いアラガミだ。いや、美しいが……。
サリエルのような何かは、その表情に笑みを浮かべると共に青いふりふりのついた服を身に纏う腕を上げた。
同時に周囲から咆哮が響き渡り、例の漆黒のオウガテイルが現れる。
「どういう……ことだ……?」
俺も混乱せざるをえない。別種のアラガミが徒党を組んでいる?
いやそれはおかしい。だが今現在目の前で起こっているのが現実、見たものは信じ見ていないものは疑う。
だからこそ俺はとりあえず周囲のオウガテイルたちに目を向ける。
笑いながら、俺の前を去っていくサリエルもどき。
「待て―――ッ!?」
オウガテイルたちが一斉に針を放ってくる。
俺は後ろにステップしてその攻撃を避け、即座に神器を銃へと変えて一体に向けてレーザーを放つ。
それがオウガテイルを貫くが所詮ダメージは知れている。
だが一体を牽制できただけで十分、俺は一番近いオウガテイルに近づいてバスターを振るい一体を仕留めた。
そしてレーザーを食らっていたオウガテイルにピストルを何度も撃つ。雑魚相手には良いダメージをしているこいつでまた一体がダウン、そしてラストの一体が近づいてくるが、俺は再びパリングアッパーのために盾を構える。
バカみたいに突撃してきたオウガテイルの攻撃を防ぎ、直後に振り上げ―――仕留めた。
「フン……逃がしたか」
仕方あるまい……それにしても最近は新型が多すぎるというものだ。
背後から接近する気配に振り向くと、そこにいたのは―――アラガミ形態のアルフだった。
少し安心してため息をつくと、アルフは小首をかしげる。
「なんでもないさ……帰るぞ」
俺はそう言ってアルフの頭を撫でる。
相変わらずかわいらしく笑みを浮かべてから人間形態へと変身した。
アルフだって新型アラガミか。
すっかり俺の嫁というカテゴリに分類していたが仮にもアラガミなのだからアイツらと同じ……なわけがない。こんなに可愛いアルフがあのアラガミたちと同じわけがないだろう。
俺も歳を取ったな、それにしてもあのサリエルもどき……。
―――実に美しかった。
あとがき
いやはやお久しぶりと言った方がよろしいのであろう、作者でございまーす!
VITAも買って体験版もやって、あとは2を待つだけで……序盤まるごと体験版が延期になったのはまぁあれでござるが、そういえば新しいまどマギのゲームもGEのスタッフさんがいるとか(
ともかくあとがきコーナーを宣伝に使うのはいけないと思うでござるまする。
とりあえず今回はグラハム復帰と色々、さっそくアルフといちゃいちゃしましたがリンドウ行方不明の裏で始まったグラハムとサリエルもどき。
不倫は文化、まぁともかくこれからどうなるのかグラハム!
次回をお楽しみいただければまさに僥倖で候!
PS
感想お待ちしていますで候!