GOD EATER~アラガミが嫁で悪いか?~   作:王・オブ・王

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第一話「異論はないな?」

 フェンリル極東支部にて、エレベーターが開くと同時にイケメンは現れる。

 そう俺は帰ってきた!

 

「恥ずかしながら帰ってまいりました!」

 

 大声で挨拶すると、同時に同僚たちが集まってくる。

 エントランスがざわざわと揺れ、俺のもとに集まる美少女とその他もろもろ。

 美少女以外はいらんが、寄ってくるもの拒まず……やっぱ男はくるな。

 

「よぉ、生きてたか」

 

 そんな声をかけてくるその他もろもろの一人。

 雨宮リンドウ。

 どうせ喋るなら美少女が良いが今の俺は気分が良いのだ。

 

「おぅ、リンドウも生きてたか」

 

 とりあえず片手をあげて挨拶する。

 25歳にもなって神器使いの珍しい男だ。

 まぁそう言う俺も23歳になったわけだが、気にするなと言っておこう。

 

「皆死体がみつかったのにお前だけみつからないからどうせ生きてるんだろうと思ってたよ」

 

 煙草を吸いながらリンドウはソファに座る。

 新米のカノンちゃんは涙目になっていた。美少女に心配されていると思うとテンションが上がるが隠しておこう。

 俺は頭が良い紳士だからな……。

 

「全員仕事に戻れ!」

 

 そんな中、その空気をぶっ壊して現れる老人。

 俺は明らかに気に入らないという顔をしてやった。

 この人相手に特に隠す気も無い。

 

「酷いなおやっさん」

 

 目の前に立つ老人、百田ゲンに文句を言う。

 元神器使いで今は相談役をしている人だ。

 最初期からの神器使いだそうだが、ぶっちゃけそんなことはどうでも良い。

 

「良いから、ツバキの嬢ちゃんが呼んでたぞ」

「……支部長?」

 

 今俺は露骨に嫌そうな顔をした自信がある。

 おそらくおやっさんにした顔の数倍嫌そうな顔だろう。

 その通り―――嫌だ。

 

「わかってんじゃねぇか、嫌そうだな」

「こき使われるしな」

 

 その言葉に、豪快に笑うおやっさん。

 これ以上関わると変に絡まれるので俺は急いでエレベーターに乗って役員区画に向かった。

 触らぬ神に祟りなしってやつだ。

 

 

 

 役員区画につくと、雨宮ツバキが立っていた。

 名前の通り雨宮リンドウの姉で、俺の愛人候補だ。

 

「ツバキさん、今宵も貴女は美しい!」

「まだ昼間だ」

 

 的確なツッコミである。

 俺の口説き文句に眉ひとつ動かさないあたり、俺に馴れきっている証拠だ。

 カノンちゃんあたりだと今だに顔を赤くしてくれることもあるので楽しいったらない。

 ふぅ、とため息をつくと彼女は背中を向ける。

 

「良く帰ってきた」

 

 俺に背中を向けたまま彼女の声が聞こえる。

 その言葉に、俺は確信した。

 フッと口元に笑みが浮かんでしまう。

 

「惚れたな」

「言っていろ」

 

 いつも通り軽くあしらわれると、ツバキさんが先の扉を指さす。

 その先には俺の嫌いなアイツがいる。

 どうも気に入らないが、仕事だから仕方がないのだ。

 

「失礼しま〜す!」

 

 あえてふざけながら入ってみる。

 部屋に入ると、大きな机に腕を乗せている男が一人。

 その態度だけでも気に入らんな。

 

「よく来た」

 

 男の名前はヨハネス・フォン・シックザール。

 この極東支部を統括している支部長である。

 ぶっちゃけ何考えてるかわからないから好きではないと、言っておこう。

 

「帰ってきてそうそうにすまない。あのスサノオは君でも倒せないとは」

「デカいならデカいって言ってください」

「ん?なんの話だ…」

 

 その言葉に俺はぷっつんしかけるが、我慢する。

 こんなところで降格なんて洒落にならないから、我慢。

 俺紳士。グラハムたんマジ紳士。

 

「スサノオですよ。大きすぎます」

「巨大なスサノオだと、聞いていないぞ?」

 

 俺は無意識に目を細めた。

 シラを切っているようには見えない。

 本当にわかっていないようだった。

 

「通常のスサノオより、いや……ウロヴォロスよりもどでかいスサノオでしたよ?」

「なんだと!?」

 

 机を叩いて立ち上がる支部長。

 本当にわかっていないようだ。

 俺にきた任務は確かにスサノオの撃破だった。

 

「……終末捕食が」

「終末捕食ですか?」

 

 聞いてみると、支部長はビクッと驚く。

 少し新鮮で楽しい。

 だが支部長はすでにいつも通りの顔だ―――つまらん。

 

「なに、あんな都市伝説を信じているわけではない」

「ならばなぜ終末捕食の話を持ち出したのですか?」

 

 追い打ちをかけてやろう。

 こんな時ぐらいしか支部長には勝てないからな。

 笑みを浮かべている俺は相当嫌な奴だろうが、イケメンだから許される。

 

「……いずれ話す、今は伝えることがある」

 

 伝えることとはなんだろう。

 帰ってきたグラハムパーティーか何かだろうか?

 それをやるというなら少しだけ、ほんの少しぐらいは好きになってやろう。

 

「君は降格だ」

 

 嫌い。大嫌いだ。もぉ○ねば良いのに!

 とか思ったが我慢する。

 てか降格ならさっき殴っておけばよかったと———。

 

「松田グラハム中尉」

 

「……へい」

 

 不本意ながら返事をする。

 まことに不本意だ。

 

「貴君をこれより曹長へと降格する。階級を上げるためにより一層人類のため尽くしてくれ」

 

 なにが人類のため尽くしてくれだ。

 俺を降格させる前にやることはたくさんあるだろう。

 たかが“都市伝説”を信じるおっさんが———

 

「では、この後ペイラー・サカキの元に向かってくれ。一応身体検査をする」

 

 その話を聞いても俺はそこに立つ。

 支部長が俺をにらむ。

 おぉ、怖い怖い。

 そう言えば言うことがあるのは思い出した。

 

「なんだ?」

「俺の部屋、ここ直轄から外していい?」

「……降格してからいきなりため口か」

「うるせぇです。さっさと答えやがってください」

 

 不満そうな表情なのは俺と支部長二人ともだ。

 深いため息をつく支部長に俺は声を大にして言いたい。

 俺の方が溜息をつきたいと———。

 

「ペイラー・サカキに頼めば良いだろう。そういうことの変更は苦手でな」

 

 そう言うとシッシッと手を振る“ヨハネス”を見て、俺は踵を返した。

 部屋を出ると、目の前にはタバコをくわえた男が一人。

 よっ、と手を上げる(リンドウ)に俺は同じように手を上げる。

 

「どうだって?」

「降格だと」

 

 リンドウの方が年上だが、俺は決して敬語を使わない。決してだ。

 俺はだらしない年上に敬語を使うほどデキた人間じゃない———

 否、|神喰い(ゴッドイーター)は限りなく人間に近いアラガミか……

 

「酷いだろ?」

 

「エイジス島でなんかやったか?」

 

「知らぬ……そう言えばこれ」

 

 俺はデータチップをリンドウに渡す。

 戦闘後割れてなくて良かったと安心する。

 リンドウが笑ってそれを受け取ると、共にエレベーターに乗った。

 エレベーターの扉がしまる。

 

「で、エイジス島内部の情報なんてどうすんだ?」

「デートに使おうと思ってな」

「うらやましい話だ」

 

 なんとけしからんやつだろう。

 第一部隊のくせにエイジス島で秘密のデートとは———てかあそこになにがあるのだ?

 実はでっかい遊園地を作ってるなんてことは―――無いか……

 俺はエレベーターのボタンを押した。

 動き出すエレベーター。

 

「お前も、いざとなったら現実に目を向けてみろ」

「現実が美少女だったら目を向けてやる」

「そぉか、お前はそれで良いさ」

 

 その言葉と同時に、エレベーターの扉は開く。

 ラボラトリと呼ばれた場所で降りると、エレベーターのリンドウを見る。

 なんか今日は違う———と、思う。

 なにも言わずに俺はペイラー・サカキの部屋へと向かう。

 後ろのエレベーターは音を立てて閉じた。

 

「失礼しま~す」

 

 そう言って部屋に入る。

 そこにはひたすらに機械をいじる男。

 俺はコイツ、ペイラー・サカキを嫌いではない。

 

「あぁ、グラハム君、話は聞いてるよ」

 

 その話と同時に俺は服を脱ぐが、別にやましいことがしたいわけではない。

 こんな男とやましいことがしたい奴が居れば見てみたいものだ。

 とりあえずやましい意味を抜いて!俺は上半身を見せる。

 

「ほぉ」

 

 感嘆を上げるサカキ先生。俺の体に見惚れてでは無い。

 俺の右脇腹が原因だ。

 

「これは非常に、興味深いねぇ」

 

 サカキに“興味深い”と言われた右脇腹。

 そこは“真っ黒”に黒ずんでいた。

 その底の無い黒、理由は一つだけ思い当たる。

 

「超巨大なスサノオの攻撃を受けた個所です」

 

 その言葉に、頷くサカキ先生。

 超巨大なスサノオよりも俺の脇腹にご熱心なようだ。

 

「君はどう思う?」

 

 俺の見解では———。

 

「超巨大スサノオの神器と君の細胞との感応……かね?」

 

 考えたことを当てられた。

 どうやらペイラー・サカキは研究者ではなく超能力者(エスパー)のようだ。

 それかニュータイプな。

 

「それが正しいだろうね、あながち神器でも破壊したかい?」

 

 グレイトな答えを聞く限りやはりこのサカキ先生は超能力者で間違いない。

 俺の沈黙を肯定を受け取ったのだろう、サカキ先生はなにかを機械に入力していく。

 

「君には聞きたいことが山ほどある。たとえば神器が新型に変わったことなどだ」

「それは俺も聞きたい。少し扱いづらいというのは否定できないのでな」

 

 その言葉に頷くが、どうしようも無いのだろう。

 新型神器にランクアップしたのだから喜ぶところなのだろうが、些か面倒そうだ。

 整備士のリッカちゃんにも何を聞かれるかわかったものではない。

 いや、話す機会が増えたのでやっぱりよろこぼう。

 

「やったぁ!」

「うわっ! ビックリさせないでくれたまえ!」

 

 サカキ先生はご立腹だ。

 やはりいきなり喜ぶのはよろしくないらしい。

 まぁ、大体わかってはいたが———。

 

「とりあえずは、当分は“ソレ”を調べることとしよう」

 

 |星を見つめる人(スターゲイザー)には既に俺の腹にある“コレ”は興味深い研究対象になってしまったようだ。

 少なからず人体改造されて悪の組織と戦うのだけは避けたいものだな。

 そしてふと思い出した———。

 

「ところで、お願いが一つ」

 

 その言葉にキツネ目をわずかに開くペイラー・サカキ。

 こういう時の先生が侮れないのはわかっているので、単刀直入に言おう。

 

「俺の部屋を中央管理の管轄から外してほしいんだ」

 

 その言葉に目を細めてフッと笑みを浮かべる先生。

 言いたいことが理解できると言った顔だ。

 さすが超能力者だ。

 

「良いだろう、君もヨハネスに隠し事だね?」

「ご想像におまかせしよう。私は気が短い」

 

 極めて紳士的に答えると、俺は服を着て踵を返す。

 

「先生からヒバリちゃんに平原から街の間でのオウガテイル討伐任務を依頼して、リッカちゃんに俺の神器を出すと指令を頼む」

 

 的確に物事を考えて客観的に見て、効率の良い作戦を構成。

 その旨を先生に伝えると、いつもとは違う嬉しそうな笑顔でうなずいた。

 まったく“良い博士”である。

 

「何を成しに行くんだい?」

 

 俺は振り返ると、口元に笑みを浮かべて言ってやった。

 

「嫁を迎えに」

 

 人差し指と中指のみを立てた手を額に持っていき、軽く振る。

 そして俺は駆け出した。

 無論、俺の嫁の元に―――だ。

 

 

 

 




あとがき

異論はありますまい?
無論グラハムの嫁がアラガミであることにたいして、ということですぜ。
そしてさっそくお気に入りが増えているよう―――まさに僥倖。

また次は近いうちに更新させていただきます。
では、これにて―――次回もまたお会いしましょう。

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