ケロロ軍曹 転生して早々記憶喪失!? であります!   作:リボーン2期待ってます

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記憶喪失前エピソード:夏美編後半

今回はアニメよりも原作寄り。そっちの方が面白いと判断したので。


失う前の彼は④

(うぅ……どうしてこんな事に……)

 

 日向家地下、ケロロ小隊の地下秘密基地の牢屋の中でケロロ軍曹は泣いていた。先程ギロロ伍長の手で牢にぶち込まれたのだ。

 

「私は私なのに……!ボケガエルじゃないのに!!」

 

 そう、このケロロ軍曹はケロロ軍曹本人ではない。ケロロ軍曹と中身が入れ替わった日向夏美なのだ。

 

 帰宅後、家の玄関に何故か置いてあったガチャポンに興味を持ったのが運の尽き。『キケンまわすな!』と書いてあったガチャポンを回してしまい、その中身を取り出すと光に包まれて夏美は気を失った。

 

 目が覚めればケロロ軍曹の身体にその精神が入り込んでいた。夏美がケロロの身体に入っているという事は当然夏美の身体にはケロロの精神が入っていると見て間違いないだろう。

 

(ボケガエルが私の身体で何をするか……それにこんな身体も嫌!!!)

 

 真っ先に弟の冬樹に頼ろうとしたものの、ケロロが夏美のモノマネをしているとしか受け取られずに軽く流された。次にギロロに何とかして貰おうと頼み込んだが、ギロロはケロロがふざけているとしか思わず、ナイフを突きつけられて反省しろとこうして牢に閉じ込められた。俺の大事な部分とか言っていたがあれはどういう事なのだろうか。

 

 いや、今はそこを気にしてはいられない。あのボケガエルが夏美の身体を好き勝手に使い、何をやらかすか分かったものではないのだから。今後の夏美の人生に多大な悪影響を及ぼす可能性が物凄く高い。

 

「誰か助けてぇ〜〜!!!」

 

 ケロロの身体で泣き叫ぶ夏美。しかし悲しきかな。地下秘密基地の牢屋の中では誰にも届かなかった。

 

****

 

 一方、夏美と身体を入れ替えて乗っ取ったケロロ軍曹はと言うと、吉祥学園に来ていた。

 

「ここが学校……児童兵士養成機関でありますか。来るのは初めてではないが、こうして堂々と見られるのは初でありますな」

 

 理由は夏美が呼び出された女子サッカー部の助っ人。だが実際には夏美の姿を利用しての夏美の周辺人物と学校についての情報収集だ。そしてその中で夏美の弱点を探り、地球侵略の為の足掛かりとするつもりだ。

 

地球(ペコポン)侵略後、我がケロン軍の配下になるべく日々精進しておるという事か!ふははは!感心感心!」

 

 とはいえ、この作戦の本命の目的は他にあり、この学校での情報収集はあくまでついでなのだが。

 

「「あ」」

 

 夏美の身体でバッタリとサッカー部の練習着を着た四季と出会した。そういえば四季は男子サッカー部だったとケロロは思い出す。夏美の顔を見て、すぐに四季は眉を顰めた。

 そして夏美の中にいるケロロもこの作戦完了後、生き延びる為の保険として四季を利用する事を思い付いた。

 

(ゲロゲロリ!ここはヘタレな夏美殿に代わって吾輩が夏美殿と四季殿の距離を縮めてしまうであります!上手くいけばカップル成立!そうすれば夏美殿も文句は言えまい!!)

 

 夏美の弱点を探る為に学校に来たのに恋のサポートを企む。まぁある意味では後々の保身の為でもあるが、早速ケロロは夏美フェイスの笑顔全開で四季にボディタッチを仕掛ける。

 

「あら夜早くん、お疲れ様♡夜早くんもサッカーの練習いつも頑張っててカッコよかったわよ!」

 

「……」

 

 夏美の笑顔とは対照的に表情をしかめて四季は口を開く。

 

「あのさぁ」

 

 それは、ケロロにとって予想だにしない一言であった。

 

「君、日向じゃないでしょ」

 

 ケロロの精神が入った夏美の身体が硬直する。四季はその()()()()()で夏美の身体を乗っ取ったケロロをまっすぐ見る。

 

「な、何言ってるのー?私は正真正銘……」

 

「しらばっくれても無駄。君は日向じゃない。誰だ」

 

 完全に確信していた。だくだくと夏美の身体で冷や汗が大量に流れる。四季はそんな夏美ボディのケロロをジッと観察するとその中身が誰なのかすら言い当てる。

 

「………ケロロか。勝手に日向と身体を入れ替えでもしたのか」

 

(ゲロォーーッ!?なんで!?なんでこんな時ばっか鋭いの!?普段の鈍感マンは何処行ったでありますかぁー!?)

 

 学校に来て速攻でバレた。夏美の顔で唖然とするケロロはもう誤魔化すのは無理だと悟った。

 

 心なしか四季の視線が厳しくなっており、怒気を発しているようにも見える。あの温厚な四季がだ。このままではヤバい。怒った冬樹に近い何かを軍人としての長年の勘で察したケロロは180度の半回転をする。

 

「せ……」

 

「せ?」

 

「戦略的撤退でありまぁぁぁぁすっ!!」

 

 夏美のハイスペックな運動性能を利用して全力疾走。同年代の中でもトップアスリートになり得るその脚力で素早く四季と距離を取った。

 

「あ、ちょ…夏美!どこ行くの!?助っ人は!?」

 

「それどころじゃないのであります!!」

 

(けど何の為に身体の入れ替えなんて……そうか。なら悪さする前に取っ捕まえるか)

 

 両目が渦巻き模様に変わり、夏美の身体で逃げるケロロ軍曹を捕縛する為の詰め将棋が始まった。

 

****

 

「な、なんて嫌な追い詰め方をするんでありますか……!」

 

「確実に嫌がるだろう女の子の身体を乗っ取って、好き勝手やろうとした君に言われたくない」

 

 一時的に動けなくなるツボを突き、手錠代わりにハンドタオルでソフトに腕を拘束した夏美の身体をおんぶして四季は中身のケロロに反論する。しかしケロロは夏美の身体で泣きながら逆ギレした。ケロロの抗議内容は捕まえるまでの手口だ。

 

「いくら何でも吾輩が男子禁制の場所に逃げ込もうとしたら警告もなく遠隔で吾輩のガンプラ爆破とかやる!?しかもリアルタイムで爆発の瞬間を空に投映して無視できないようにするとか鬼でありますか!?てゆーかなんでそんな事できんの!?クルルか!?クルルに権限貰ったでありますか!?」

 

「騙し討ちで日向の身体を奪った君が言う?あとクルルから聞いたけど君地球人換算したら40代のおっさんでしょ?それが中学校の女子更衣室入るとか倫理的にアウトなんだよ」

 

「それでも!ガンプラ爆破は酷いであります!いくらしたと思ってんの!?」

 

「それはそうだね。弁償代は払うよ」

 

「ゲロ……」

 

「日向のお母さんに」

 

「なんでママ殿!?」

 

 ガンプラ購入に必要なのが地球の金銭である以上、ケロロのガンプラはケロロの軍人としての給料ではなく日向家からのお小遣いで購入したものだ。ならばその出所である日向家の大黒柱である日向秋にこそ払うべきお金だと四季は判断した。ケロロに払う気は無い。

 

「てゆーか、金銭の問題だけじゃないんでありますよ!あのガンプラコレクションは吾輩の血と汗と涙と努力の結晶!それを警告もなく、交渉もせずに問答無用で一方的に爆破!?酷い!あんまりよ!アンタ鬼だよ!吾輩の心がどれだけ傷付いたか!」

 

「精神的苦痛を語るなら、それこそ君に身体を好き勝手されてる日向が最優先じゃない?……ねぇケロロ。僕としてもどうしても許容できない事はいくつかあるんだよ。前に日向に感染させたウィルスの件だってそうさ」

 

「ゲロ?」

 

 夏美にした事を棚上げするケロロに対し、プチン…と四季の中で何かがキレた。このカエルは少し夏美に甘え過ぎだ。普段夏美が厳しいなどと言うが、彼女の立場やこれまで受けた被害を考えれば信じられないくらいに優しくして貰っている事に気付いていない。

 

「肉体的だろうか精神的だろうが勝手な欲望で女の子傷付ける奴は畜生にも劣るカス野郎だ」

 

「え」

 

 ケロロは夏美の耳を疑った。まさか四季からそんな条件付きであれど誰かを罵るような言葉が出るとは夢にも思わなかったからだ。

 しかしそれは空耳などではないと理解させられた。夏美の身体越しにそこに宿るケロロを見る目が恐ろしく冷たい絶対零度の視線だったからだ。

 

 四季はもう既にその能力で“答え”を出していた。ケロロが夏美の身体を使って何をする気だったのかの答えを。

 

 水着で隠す事すらせずに全裸で欲情したギロロと混浴してその様子をケロロの身体に入った夏美本人に見せ付けて、敢えて怒りを買って、そのまま制裁を下させる事で外部から見てケロロが夏美を倒したワンシーンを作り出し、それを写真に撮ってケロロの父親に送るというものだ。侵略者としての見栄を張る為だけに。

 

 夏美は裸の写真を撮られ、下手すれば本気で貞操すら危険に晒される行為だ。

 

「いい加減超えちゃいけないライン考えろよクソ下衆ガエル。今後の人生、ハーフタイムもなくニョロロに吸われ続ける生活を送りたいか?」

 

 手順の答えを出してあるので本当にできる事だったりする。

 

「ひゃ、ひゃい……」

 

 556相手にだってここまでなった事はない。マジギレなんてレベルじゃなかった。今回の夏美への暴挙で四季には完全に軽蔑されている事をガクブルでケロロは悟った。

 

 因みに女子中学生を同級生の男子がおんぶして運ぶ有様は変な噂の対象になりかねないので、夏美の額と四季の額それぞれに簡易的なアンチバリアの装置が付けられている。クルルに貰ったものだ。

 

 ケロロに怒った冬樹並のトラウマを植え付けて、日向家に到着した。まずは庭にいるギロロに事情を説明する。

 

「し、四季!?何故夏美を背負って……」

 

「コレ、ケロロだよ」

 

「は?」

 

 恋敵が惚れた女を背負って顔を出すという光景にキレそうになるが、下手に銃をぶっ放せば夏美も危険に晒すと理性がブレーキをかける。そこに受け入れ難い事実をぶっ込む。

 

「日向とケロロの心と身体が入れ替わったみたいでさ。と言ってもわざとやったようだけど。とりあえず悪さする前に捕まえて連れて来たんだ。ケロロの身体になってる日向がいるはずなんだけど、知らない?」

 

「入れ替わり……?ケロロの身体の夏美……?……のああああっ!?」

 

 先刻、ケロロが自分の中身は夏美だとしつこく訴えてきたのでキレたギロロはケロロを牢にぶち込んだ。が、この話を踏まえると夏美を名乗るケロロの話は事実だったのだと今更気付いた。

 

 あの時のケロロの涙は……夏美の涙だったのだと。

 

 そんな夏美を己は一蹴して牢にぶち込んだのだと。

 

 己は真実を訴えられても信じなかった。目の前のコイツは隠すよう立ち回られても真実に気付いた。

 

(俺は……夏美の事でコイツには勝てないとでも言うのか……!?)

 

 ギロロの中で何か大切な物が砕け散った瞬間だった。

 

 その頃、クルルはモニター越しに学校からここまでの一部始終を観ていた。四季が夏美が偽者であると見抜いたその瞬間もバッチリ確認していた。

 

(……目ぇ見る限り、あの時能力は一切発動してねぇんだが、素で日向夏美じゃねぇと気付いたってのか?あのクソボケが?)

 

 能力を使用したのはケロロが逃走してから、それを捕まえるまで。正体の看破には一切使われていない。周囲からクソボケと言われる程に鈍感な四季が夏美の事でここまで鋭い瞬間があるとは俄かに信じられなかった。

 

(……本命の目的は間違いなくバレてっし、今回ばかりは本気でキレてんな四季の奴。俺だけでもズラかるか)

 

 とりあえず今は保身の為に逃げる事にした。尚、後に結局夏美にしばかれる運命である。

 

****

 

「うぅ……ぐすっ……」

 

 地下秘密基地の牢で一通り泣き喚いたものの、ケロロボディの夏美は牢の隅で体育座りをしてまだ泣いていた。

 

 しかし、急に部屋の扉が起動した事に気付いた。

 

 牢の前の自動扉が音を立てて開くと入って来たのはケロロの精神が入った夏美の身体をおぶった四季だった。

 

「よ、夜早くん!?」

 

「や。災難だったね日向」

 

 しかもケロロの中にいるのが夏美だと既に理解している。ギロロから受け取ったという鍵を使って牢を開けると身動きが出来ない夏美ボディのケロロを今の夏美の目線に合わせる為に座らせる。

 

「聞きたい事は色々あるだろうけど、まずは身体。お互いに鼻押せば入れ替わりを戻せるってさ」

 

「ほ、本当!?」

 

 入れ替わりの戻し方は能力を使って答えを出したのだが、聞かれた際にはクルルに吐かせたとでも言えば良いだろう。クルルは四季の能力の詳細を知っているから、上手く話を合わせてくれるはずだ。

 

 ツボ押しの効果で自由に動けない夏美ボディは四季が手を直接持って動かし、ケロロボディは夏美がそのまま鼻を押す。すると最初にガチャポンを回して中身を取り出した時と同じ光が出た。

 

 再び入れ替わった事でツボの効果も消え、夏美の身体は自由を取り戻す。同時に四季はケロロのツボを押して動けなくしてから縛り上げた。今回ばかりは四季としても擁護はできない。

 

 入れ替わりが戻った夏美は自分の両掌を見つめて全身をチェックする。本当に身体を取り戻せたのかの確認だろう。そしてその確認が済んで元の身体に戻れたと確信できたのか、うるうると両目を涙で滲ませて四季を見る。

 

「夜早くん…!ありがとーーー!!!」

 

「おわっ…」

 

 泣きながら四季に抱き着く夏美。後で赤面間違いなしだが、そこまで気にする余裕はない。それだけ身体を入れ替えられ、他の誰にも信じて貰えず、挙句に牢にぶち込まれた状況には堪えていたのだろう。

 そんな夏美の頭を四季はポンポンと優しく撫でて落ち着くまで待つ事にした。

 

(胸……当たってるんだけどなぁ)

 

 一通り泣いて落ち着き、ケロロをボコボコにしばき倒して宙吊りにした後、基地から家に戻った夏美は改めて顔を赤くして先程の事を照れながら礼を言う。ついでに聞いておきたい事もあったのだ。

 

「あ、ありがとう夜早くん……その、なんで私とボケガエルが入れ替わってるって気付いたの?」

 

 冬樹やギロロにどれだけ主張してもケロロの身体ではケロロの普段の行いのせいで全く取り合って貰えなかった。だが四季は夏美の身体で行動するケロロをすぐに偽者だと見抜いてここまで連行してくれたという。ならば気付いた理由を知りたくて当然だろう。

 

「なんでって……そりゃ、分かるでしょ」

 

 しかし四季としてはもう感覚的なものでしかない。後はまぁ、ケロロが自分のキャラをほとんど隠せてなかった事も大きいが、そもそも一目見た瞬間に能力など使わずとも別人だと確信していた。直感的なものだったが、四季からすれば分からない方がおかしいレベルで違ったのだ。

 

「まぁ、主犯はケロロだし……クルルはケロロよりかは軽めで勘弁してあげて」

 

「………」

 

 いつもそうだ。本当に夏美が困っている時は必ず助けてくれる。夏美自身が予想だにしない形で、状況で、夏美の救いになる結果を作り上げてくれる。

 

 初めて出会ったあの日も、本当に本気で恋に落ちたあの日だってそうだ。

 

『女の子一人によってたかって何してんだお前ら!』

 

『そいつを女扱いすると馬鹿見るぞ!そいつは女ジャイアン……デビルサマーだ!!』

 

『俺達がどんな目に遭ったか!』

 

『これは正義の復讐だ!!』

 

 自分が男子達にリンチされそうになったのは完全に自業自得だったのに、何なら直前に酷い八つ当たりみたいな事もしたのに、たった一人だけ夏美の味方をしてくれた。

 

『知るか!!女の子に手ェ上げて泣かす奴はカス野郎だ!!!』

 

 ずっと変わらない。誰かが困っていれば全力で助けようとする。

 

 ああもう、本当に……どうしようもないくらい、好きだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ユルシテクレ……ナツミ」

 

「ご、伍長!?どうしてそんな死にそうな顔してるの!?」




やっぱり最後にはギロロの脳を破壊してなんぼでしょ。

アニメの時系列が前後する事もあるのでこれは何話だとかはあまり気にしないで下さい。原作なら4巻でやる話ですし。
原作4巻じゃ今回のケロロの企みをガチで実行してるのがヤバい。

一応全体的な話をすればケロロ小隊24時と各劇場版は記憶喪失前にはやっていません。

四季
他にも後に夏美がケロロのせいで犬にされたり、男にされたりするエピソードがあったりするけど記憶があろうがなかろうが、能力無しで一発で気付く。

次回からまた本編です。
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