ケロロ軍曹 転生して早々記憶喪失!? であります! 作:リボーン2期待ってます
「バイト?」
「ドロロのお友達がですか?」
「そーなのよ。ボケガエル達ここんとこ家事手伝いサボってバイトばっかり。起きてる間に帰って来ない事も珍しくないわ」
昼休み、東谷さんが強引に押し切って屋上にて僕と日向と東谷さんの三人で昼食を食べる事になったのだけれど、その際の話題はケロロ小隊が日向家の家事当番よりもアルバイトを優先しているという愚痴だった。
「因みにどんなバイト?」
「んー…工事現場に交通整備とか、清掃関係もあるし他にも色々手を出してるみたい」
思った以上に幅広く沢山やってるようだ。
まぁケロロ達の金銭事情的にバイトで少しでも補填しなきゃいけないからね。弁護士のお陰で減額されたとはいえ、今尚百億以上の借金があるんだから。早いとこ差し押さえられている基地も取り戻さないといけないし。
でも地球のお金が宇宙の税金支払いに使えるのか?いやまぁ、使えるからバイトしてんだろうけど。そもそも地球人の身体にそのままあの頭が装着される変装でよく採用面接通ったな。
「バイトで百億返済かぁ……何百年かけるつもりなのやら」
「ま、借金で地球侵略ができないなら万々歳だけどね」
そんなやり方では借金を全額返済する前に僕達の寿命が来て人生が終わる方が早いだろう。地球侵略なんて夢のまた夢だ。てゆーかそんな悲惨な目に遭ってまでする事じゃないだろ。他の惑星の侵略なんて。ケロン人は何を考えているのやら。
まぁケロロはガンプラを作る時間すらないのはちょっと可哀想だけど。
「そういえばドロロも最近帰りが遅い事多いですね。毎日ちゃんと帰っては来るんですけど」
「小雪ちゃんに寂しい思いをさせないようにしてるのかもね」
ドロロの気遣い屋な所が伺えるね。ドロロは多分仕事の愚痴とかを東谷さんに言ったりはしないんだろうな。大人って感じだよね。他四人と違って。
「それ言ったら冬樹君もケロロが家を空けてて寂しかったりするのかもね」
「それよりも家事の当番サボってる点よ」
確かにそれも褒められたもんじゃないけども。
弁当を食べ終わってお茶で一息していると、日向は屋上から別校舎内が見えたらしく、ある人物を発見する。
「あれ、冬樹と桃華ちゃんだ」
日向と同じ所を見れば確かに冬樹君が水色の髪の女の子と話しながら廊下を歩いているのが見えた。
あの子が西澤桃華か。流石にアニメでも主要キャラだったし把握してる。冬樹君の事が好きなお嬢様だ。例に漏れず理由は知らないが。
アニメでは冬樹君とくっ付く為に億単位のお金を注ぎ込んで色んな作戦を立てて実行しては失敗に終わっていた。ぶっちゃけお金をかければ良いってもんじゃないと思う。そもそも毎回作戦内容が極端過ぎるんだよ。最初から結果を取りに行ってるのも失敗する要因だろうし。内容はよく覚えてないけど。
アニメ観てた時は参加してる機動隊っぽい人達も仕事とはいえそんな事に付き合わされて……なんて思ってたけど、実際参加すれば絶対楽しいよねアレ。執事の人も楽しんでる節あったと思う。
もしかしなくてもあの子ともなんか関わりあんのかなぁ。あるんだろうなぁ。今後の事を考えるだけで頭が痛いよ。
****
日向家の地下。ケロロの私室にて連日のバイトでクタクタになったケロロ達はちゃぶ台を囲んでそれぞれの稼いだバイト代を出し合い、返済に充てる為に勘定をしていた。
しかし、連日連夜働き詰めで碌に休んで趣味の一つもできないフラストレーションが溜まりに溜まっていた。
「これ以上ちまちまアルバイトなんてやってられるかぁーーー!!!こんな調子じゃ何年かかんだよ!?」
「掛け持ちしてシフト入れまくっても全然借金の返済には足りないですぅ」
「ぬぅ……軍からの給料やボーナスも大半を返済に充てがうように分けられても尚、足りん」
「クククー♪……もう無理」
「全員で今月稼いだ額も100万に届くかどうかです。てゆーか、借金地獄?」
てなわけでケロロ達小隊四名+モアは緊急会議を開いていた。お察しの通り一人忘られてます。今頃小隊の為にバイトして汗水流してます。
そんな五人目の献身も忘れてケロロ達はもっと手っ取り早く沢山稼げないかとその方法を考え始める。そう思って実行した結果があの恋愛リアリティーショー大作戦なのだが、果たして彼らに学習能力はあるのか。
「やはりもっと一気にガッポリ稼ぐ必要がある…!じゃなきゃずっとこのままだよ!」
「てゆーか、一攫千金?」
「でもどうするんですか?地下の基地の設備も使えず、資金もないからいきなり団子を売った時みたいな自分達での商売もできないです」
「我々の借金の原因は一度は大儲けした事にある。逆に言えばそこで上手くいった点のみを再度利用できればまた大儲けが可能……!」
同じ轍を踏むつもりはない。だがケロロ達が現実的に大儲けできるジャンルは決まっていた。
「やはり鍵となるのは恋愛!どの星の人間でも基本的には人生の一大イベントになる恋愛こそがこの苦しい借金生活を脱する為の鍵なのであります!」
「四季と日向夏美を今度こそくっ付けて、儲けようってのか?ク〜ックックック」
「な、何だと!?」
ケロロとクルルの発言が聞き捨てならないギロロは思わず立ち上がる。タママの視線が物凄く冷たいが、気にしてはいられない。最初から逆転なんてできっこないのに。
「いや我々にはそんなサブスクを運営できる設備はもうないであります。それにそこの赤ダルマさんにまーた邪魔されて炎上してまたもや借金増加なんて事になったら今度こそ洒落にならないでありますよ」
「ぐぬぅ……」
しかしギロロの危惧する事態はケロロ自ら取り下げる。リスクは徹底的に削らねばならない事を一応は学んでいたケロロはギロロをチクチク責めながらもその理由を語る。
「だから
「
「ギロロ君さぁ、それもう君の願望でしょ?四季殿と小雪殿くっ付けても金になんねーよ。つーか四季殿を夏美殿以外とくっ付けたら吾輩達が炎上するどころじゃ済まないっつーの!!下手すりゃ二人のカップリングのファンに宇宙の殺し屋差し向けられるレベルよ!?夏美殿を失恋させた罪を死を以って償えとか言われるよ!?この期に及んでそんな事言い出すとかホントビックリだよアンタ!!」
流石のケロロも個人的な理由で恋敵二人の排除を兼ねようとするギロロに半ギレした。
尚、仮に四季と小雪がくっ付いてもあの二人には危害は及ばない。ただただ徹底的にケロロ達が責任を追及されるのである。酷い話だ。
「じゃあ特定の相手からの支払いってどういう事ですか?」
「そう!注目すべきはそこだよタママ二等!」
話を戻し、方針について尋ねるタママをビシッと指差してホワイトボードを引っ張り出す。
「決して邪魔が入らない組み合わせ且つ、お礼による利益が見込める!狙うべきはそんな相手であります!」
そしてホワイトボードに貼られた二名の写真をまたもビシッと指差す。
「ズヴァリ!今回の
「ええ!?フッキーとモモッチですか!?」
「桃華殿はこれまでも冬樹殿との恋を成就させようと色々な策を練って挑戦したが失敗続き!ならばそこに付け入る隙はある!」
この二人の組み合わせというだけでケロロがどういう意図で冬樹と……否、桃華を
「それに夏美殿も桃華殿の事は陰ながら応援している身!つまり、桃華殿と冬樹殿をくっ付けるだけならば夏美殿からの妨害も入らない!正に完璧な作戦であります!」
今の説明に加えて他に二人のどちらかを狙う恋敵も見当たらない為、妨害される確率は非常に低い。そして何よりも桃華の実家は大金持ちなのだ。
「困ってる人を無理矢理助けてたんまりお礼を貰う!桃華殿からの謝礼ならかなりの額が見込めるであります!もしかしたら借金だって一括で完済できる可能性も……!!」
「えぇ〜…」
「んだよ〜。そんな露骨に嫌そうな顔すんなよ〜」
予想通り過ぎるケロロのチョイスの理由と星をも超えた友情を結んでいるはずの冬樹を売るような行為にタママはドン引きだったが、背に腹は変えられない故に駄目元でこの作戦で起死回生を図る事となった。
****
巨大なモニターにケロロのせいで倒れ込む夏美と四季の接吻の瞬間がドアップで映し出された。
ケロロは社会人が着るようなスーツ姿でこの映像の解説を始める。首から下は当然
「これが先日の日向家にて起きた夜早四季殿と日向夏美殿の恋の進展……所謂『事故チュー』というラブイベントであります」
真面目な顔をして彼は何を言っているのか。これは歴とした盗撮である。
因みにこの巨大モニタールームの端では大画面で四季と夏美のキスシーンを見せられたギロロが真っ白な抜け殻になって倒れている。
そしてこのスクリーンの前で顔を赤くしながら真剣にそれを観ている一人の人物がいた。
「な、夏美さん……遂に夜早先輩と……!」
西澤桃華。四季達と同じ吉祥学園に通う生徒。その実家は世界経済の51%を掌握する西澤グループであり、日向冬樹に好意を抱くお嬢様。
四季の影響によるアニメとの変更点がほぼ無い為に扱いにも困り、過去編にも出せず連載14話である現在まで放置されていた悲しい子である。
あの会議から数日。ケロロ小隊(ドロロ除く)は西澤邸にて桃華の恋のアシストの為のプレゼンテーションをしていた。これはその一環である。
「そしてそれ以降、四季殿は明らかに以前よりも夏美殿を意識しているであります!」
次に映し出されるのは学校生活における変化。夏美と顔を合わせる度に顔を赤くする四季の様子である。ついでに夏美ももじもじしながら俯いている。ギロロは吐血した。
この様子を実際に映像で見て西澤家執事、ポール森山も感心した様子だ。
「確かに……これはあの朴念仁丸出しだったキス以前の彼からは考えられませんな」
真面目な顔して考察しているが、やっている事は本人達の預かり知らぬ所での公開処刑である。
ケロロは画面をまた二人のキスシーンに戻し、ビシッと指差す。
「今回の我々の提案はこれを桃華殿と冬樹殿で再現する事……!するとビックリ!冬樹殿もそれからは桃華殿を意識しまくり!これで冬樹殿から桃華殿への告白も秒読み!これが今回の吾輩達の提案するラブラブチュッチュ大作戦であります!」
「最初からカップル成立を狙うのではなく、その前段階として事故を装って桃華お嬢様と冬樹殿にキスを……成程」
「一見段階をすっ飛ばしちゃあいるが、その効果は四季と日向夏美で実証されてるぜぇ」
(これは以前四季殿が西澤家の作戦を見て実際に言っていた事…!桃華殿達は告白という結果を取りに行こうと急ぎ過ぎていたのであります……!)
ポールは今回ケロロ達が持ち込んだ作戦概要を改めて確認する。これを元に西澤グループによる桃華親衛隊と共に策を練り直せば十分実用性はある。
「お嬢様、ケロロ殿の提案するラブラブチュッチュ大作戦……試してみる価値はあるかと」
本当にこの老人は真面目な顔して何を言っているのだろうか。そして桃華もまた真剣な表情で頷く。
「事故を装って冬樹君とキス……そこからカップル成立へ……!」
時を同じくして説明を聞いていた桃華の裏人格もまた、今回の作戦にはかなり乗り気であった。
(チャンスだぜこれはよー!あのクソボケと夏美さんのキスを見て冬樹君だって何も思ってねえ訳がねえ!触発されて恋愛、それも自分がキスする事に興味を持ってるはず!そこにこの作戦を利用すりゃあ向こうから……!!)
最終的に冬樹の側から動いてくれる事を期待する辺り、積極的なのか受け身なのかよく分からないお嬢様である。
ケロロは胡散臭いニヤケ面で紙束を桃華に差し出す。
「既にその為のプランはいくつか練ってあるであります」
それを受け取った桃華は即座に裏人格が表に飛び出して来る。
「良くやったじゃねぇかお前ら。これで冬樹君のファーストキスはオレのもんだぁーーー!!」
「それでぇ〜成功の暁には〜…」
「勿論です!ケロロさん達の借金の返済は西澤グループの方で肩代わりして残りの額、全額お支払い致します!」
即座に人格が切り替わり、成功した場合の報酬を約束する。これで作戦が成功さえすればケロロ小隊は借金を全額返済し、地下秘密基地を取り戻せる目処が立った。
(ゲ〜ロゲロゲロ!読み通り!いや、それ以上であります!この作戦さえ上手く行けば全てを取り戻せる!!必ずや借金完済してみせるであります!!)
契約は成立。ポールは奥の部屋へとケロロ小隊を案内する。
「それではこちらの会議室へ。ケロロ殿達が持ち込んだ案を元に我々の予算と使用できる設備や施設と合わせ、具体的な作戦を立案致しましょう」
こうして、桃華の恋のアシストと同時にケロロ小隊の借金返済の為の空前絶後の冬樹・桃華ラブラブチュッチュ大作戦が始動した!後編に続く!
尚、先程から大スクリーンの画面は四季と夏美のキスシーンで停止している為、それをずっと映し出されていた事でギロロは吐血が止まらず死にかけているが、今更過ぎる光景の為、誰も気にしてはいなかった。
本当は一話に収めるつもりだったけど予想以上に長くなりそうだったので区切ります。
西澤桃華
四季と関わりが無いわけではないが、別にフラグを立てられてもないし、脳も焼かれていない。地味にこの子も夏美や小雪と同じパターンになる事を期待するような感想もあったが、この子は原作通り冬樹君ラブな方が良いので。まぁそれ故にアニメとの変化がほぼ無く扱いに困ってこれまで出せなかった。