ケロロ軍曹 転生して早々記憶喪失!? であります! 作:リボーン2期待ってます
まぁ何期の何話とか基本無視してやりたい話をやるスタンスですが。折角のサザエさん時空ですし。
陽の光が差し込む教会。ウェディングベルが鳴り響くその場所にギロロは立っていた。そして目の前の光景に目を奪われ、見惚れていた。
「ギロロ……」
そこには真っ白なウェディングドレスに身を包む夏美がいた。ギロロが見惚れるのも当然だろう。
(夏美……!なんと美しい……!!これこそ俺の…俺の花よm…)
「私、幸せになるからね!」
「は?」
しかし自分に向けられた言葉は完全に夏美自身の幸せとギロロを分けた発言。呆気に取られるギロロを気にする事なく夏美は心からの笑顔で話を続ける。
「四季くんと一緒なら、絶対幸せになれるって信じてるの!」
「なあぁぁぁぁっ!?」
告げられたのは地球に来てからの恋敵の名前。夏美が告白するまでその想いに一切気付かず、あまつさえ別の男に好意を寄せているとすら勘違いしていたクソボケ。
その名前が告げられ、これまでの話の流れを踏まえると、夏美の花嫁衣装が誰の為の物か……その答えをギロロは必死に脳内で否定しようとする。
「お待たせ」
しかし背後からの呼び掛けがその現実逃避を否定する。振り向けば白タキシードに身を包む四季が立っていた。
(ま、まさかこれは……俺ではなく、四季との結婚式だと言うのか!?)
花嫁は夏美だという考えは当たっていた。しかし花婿は自分ではなく四季。思えば最初からギロロ自身はタキシードなど着てはいない。普段の全裸にベルトという地球人ならば変態丸出しの格好だ。
その事実に愕然とするギロロをスルーして四季は優しげな表情で夏美に手を差し伸べる。
「さ、行こうか。夏美ちゃん」
「うん!」
夏美は心からの笑顔で四季の手を取り、腕を組んで二人は歩き出す。当然、ギロロが黙ってこれを見過ごせる訳がない。何としても阻止しようと引き留めにかかる。
「絶対幸せにする」
「ううん、一緒に幸せになりましょ?」
「……うん。そうだね」
「ま、待ってくれ夏美!!」
こんな現実は受け入れられない。心の底から認められない。故にギロロは夏美を引き留めようとする。
だが夏美とギロロの間に境界線を敷くように降って来た鉄格子がギロロの行手を阻んだ。
「何ィ!?」
「ゲ〜ロゲロゲロ!!潔く諦めるであります!赤ダルマ!」
気付けば背後に立っていた気配に漸く気付く。声からしても、口調からしても下手人など決まっている。振り向けば予想通りの人物が仁王立ちしていた。
「ケ、ケロロか!?貴様何のつもりだ!?」
ケロロ軍曹。同じケロン軍の軍人であり、地球侵略の為の小隊の隊長。幼馴染ではあるが、上官でもある男だ。
「決まっていよう!これも
「回りくど過ぎるわ!!」
すると今度はまた背後から一本の小刀がギロロの首筋に添えられていた。これはドロロ兵長のものだ。
「ギロロ殿。本当に夏美殿を想うのであれば、夏美殿の幸せを優先するでござる」
「つーかナッチーがお前を選ぶ未来なんてあるわけねーです!落ちぶれ三等兵が!!」
「クククー♪特にコメントないんでパス」
気付けば既にケロロ小隊の四人がギロロを包囲していた。流石に機動兵のギロロと言えど四対一は分が悪過ぎる。タイマンでも戦闘力ではドロロには勝てない。何よりも軍人としてこれ以上隊長の方針に逆らうなど許されない。
そんな事を考えている間にも夏美は四季の花嫁としてそのまま歩いて行く。鉄格子を掴み、ギロロは必死に泣き叫んで呼び止める。
「嘘だ……!やめてくれ!嘘だと言ってくれ!!夏美ぃぃぃぃぃぃぃっ!!」
鉄格子に阻まれながらその短い手を伸ばすも届くはずがなく、大勢の地球人達に祝福されながら四季と夏美は誓いのキスを交わし、ギロロの目の前が真っ暗になった。
「……はっ!!」
目を開ければそこはいつもの野営テントの中。今のはギロロが眠っている間に見ていた夢だったのだ。ギロロからすれば悪夢としか言いようがないが。しかも四季と夏美がキスする寸前で目が覚めるのではなく、しっかりとキスした瞬間を目撃してから目が覚めたのだから最悪だ。
(夢……!いや、これは警告!!)
嫌な汗を拭いながらギロロは今の夢の意味を悟る。以前の事故によるキス以来、四季が夏美を意識し出したのはケロロの言う通り。つまり、このままだと四季と夏美がくっ付くのも時間の問題。あの悪夢が現実となる日は近いのかもしれない。
「何とかしなければ……!」
まずお前が原因の小隊の借金を何とかしろ。多くの人にそう言われるだろう。
****
数日後、ギロロは夏美達の通う吉祥学園に来ていた。当然、アンチバリアを発動した上で
先日の悪夢以来、連日の寝不足で小隊からも多少は心配されてしまっている。まぁタママは相変わらず当たりが強く、ドロロからは寝袋ではなく、ちゃんとした布団を使うようにとお勧めの布団まで紹介された。
その原因を解消すべく、ギロロは今日一日、四季を観察する事にしたのだ。夏美が気持ちが四季に向いている事など百も承知。ならばそれを何とかするにはまず
(大体、夏美はコイツのどこが良いと言うのだ!!)
窓から教室で授業を受ける四季を見て半ば愚痴るようにギロロは内心悪態を吐きながら観察する。途中真後ろの席の夏美に目を奪われるが、どうにか視線を修正する。
(コイツの長所と言えば精々
学業成績は夏美よりも上だとは聞いた。運動神経、身体能力も運動部所属のレギュラーに相応しく高いのはギロロも直接見て知っている。
(先入観だけで判断せず、相手の話をしっかり聞いた上で判断して……)
ギロロは以前、ケロロと身体を入れ替えられた夏美の話に聞く耳持たずに牢にぶち込んだ。
四季は基本ケロロが何かやらかしてもまずは話を聞く姿勢を取る。嘘や誤魔化しはすぐに見抜かれるが、情状酌量の余地があれば夏美に口添えして罰を軽くするように頼んでいた事もある。何ならギロロ自身、冤罪をかけられた所を助けて貰った事もある。
(誰であろうと見捨てる事なく手を差し伸べて助け出すくらいだ!!)
前に腰を痛めている老人を背負って段差のキツい歩道橋を渡っていたのを見た事がある。
ギロロは以前、ケロロが迷子になっても良い薬だと吐き捨てて、それでも仲間なのかと夏美に非難された。
四季は迷子になって泣いてる子供に目線を合わせつつ、話を聞き出し、面倒を見ながら周囲に向けて大きな声で親御さんを探して叫んでいた事もあれば、明らかにカタギではない者達がバックに付いているチンピラに絡まれて大きなトラブルに巻き込まれた先輩を必死になって助け出したとサブローから聞いた事がある。
(……夏美が重要視していそうな点で勝てる要素が一つもない)
思い返すだけで器の違いを再認識させられた。
ぶっちゃけて言えば嫌な所が全然見つからない。だから気に食わない。
(後は……まぁ、頭の回転の速さは評価に値するか)
ケロロ小隊としても地球防衛最終ラインの夏美を突破しても四季に手玉に取られて作戦失敗に追い込まれた事は何度もある。
(改めて考えれば、夏美とは別方面で
軍人の本分をかなぐり捨てて、恋路についての考察を優先している辺り、彼はもう駄目かもしれない。
夏美はケロロ小隊が地球侵略の為に来訪するよりも……年単位で前から四季に想いを寄せている事はギロロも知っている。詳しい事は知らないが、きっと夏美も四季に助けられ、その優しさに触れて惹かれたのだろう。
対して自分はどうだ?何処まで行ってもこの地球を脅かす侵略者。現地民である夏美達とは本来敵対する立場。それどこかそもそも別生物。異種族恋愛がイレギュラーな部類である事などギロロとて承知している。
(だからと言って夏美を渡すなどできるものか!!せめてあの女とくっ付けば良いものを……!!)
チャイムが鳴り、休み時間に入ると隣の席の小雪が満面の笑みで四季に話しかけている。小雪は四季と夏美両人に好意を寄せて二人とも手に入れようとしているのをギロロは知っている。二股などふざけるなとも思うが、それならば小雪と四季がくっ付いてしまえば何も問題はないのにと心底思う。
そんな事を考えながら観察を続けていると、何だか小雪と話す四季の笑顔に何処か陰りがあるように見えた。
(あいつ……あんなに苦しそうな笑い方をしていたか?)
以前とは何かが違う。そんな気がしてならなかった。
昼休み、普段は小雪がかなり強引に四季と夏美と一緒に昼食を食べたがるが、偶然にも提出物の事で職員室に小雪が呼び出された。
なので四季はクラスメイトの目を掻い潜って中庭で一人、緑茶を飲んで一服していた。
(……しんどい)
最近は学校で一人になれる時間がほとんどなかった。一人になる事自体前世からほとんど無かったが、それは一人になる時間がいらないという訳ではない。今この生活は四季自身が思っている以上にストレスが溜まるものだった。
学業面は問題ない。勉強は前世からできた。部活も問題ない。サッカーは前世から大好きだ。ラジオの仕事も問題ない。コツは掴んできた。人間関係も表面上は問題ない。コミュニケーションは得意な方だ。
だけど誰にも打ち明けられない秘密を抱えているというのは想像以上に辛いものがあった。
(ま、自分で決めた事なんだけどね)
今更撤回するつもりはない。誰にもバレないように振る舞いつつ、自分と周りに関する情報を集めるだけだ。
一人で落ち着いて休む事もできたし、そろそろ教室に戻ろうとすると前から幼児並に小さな生き物がピョコピョコと足音を立てて近付いて来た。
「おい」
「ギロロ……?」
目の前に現れたのは意外な人物。ギロロ伍長だ。……何やらやらかして今は三等兵扱いだったか。
しかしなんで態々ギロロが学校に来て四季に話しかけるのか。そんな疑問をちゃんと持つ前にギロロは口を開いた。
「な、悩みがあるのなら聞くぞ?」
「え、何急に……」
まさかギロロにそんな事を言われるとは欠片も思ってはいなかったので流石に四季も困惑する。記憶を失ってからギロロとは碌に交流はなかったし、アニメでの知識もガバガバな為、恋敵を気遣う一面があるとは微塵も思っていなかった。
「お、お前がそんな面をしていると、夏美も心配するだろう」
目を逸らしながらそんな返しをするギロロ。理由は彼らしいものだったが、表情を指摘された四季は背筋が凍る思いだった。何か一つでも怪しまれる事があってはならないと考えている身としては、悩みを明かす訳にもいかない。
「……前から思ってたけどさ、侵略者が侵略対象の星の人に惚れちゃうのってどうなの?そもそも別生物に発情するとか意味分かんないし」
「んなっ!?」
故に茶化す。ギロロの思考の誘導の仕方はガバガバ知識でもある程度分かる。夏美に関する事さえ言っておけば勝手にそっち方面に行ってくれる。
「日向の事になれば作戦を自分からぶち壊したりもするでしょ?君結構どっち付かずだよね。そんなんで軍人として大丈夫?」
「も、問題ない!
「嫌がる日向を無理矢理手篭めにすると」
「そ、そういう言い方はやめろ……」
「流れからしてそういう解釈になるよ?マジで」
無自覚にギロロのかなり痛い所を突いたが、地球侵略後にギロロが夏美を手に入れようとすれば四季の言うやり方に近くなる事は自覚しているようで、後ろめたそうにしている。
(てゆーか、普通の女の子がエイリアンと恋愛する絵面とか想像するだけで嫌だな……普通に見たくない)
カエルみたいな異形の宇宙人のケロン人と地球人が恋愛している様は正直受け付けないというのが本音だ。四季はそんなものを見て喜ぶ特殊な性癖など持ち合わせてはいない。冷静に考えればギロロの恋愛事情は異常性癖者のそれだ。せめてデフォルトで地球人そっくりの種族だったならまだ許容できたかもしれないが。
「で、悩みだったね。……そもそもさ、日向ってなんで僕の事が好きなんだろうか?そう思ってね」
(俺が聞きたいわ!夏美は本当にお前の何処にそんなに……!!)
割と本気で抱えている疑問をぶちまける。上手く誤魔化すなら嘘と真実を混ぜて話す事が有効なのだ。
「僕、日向はサブロー先輩の事が好きなんだと思ってたし。だから正直言って好かれる理由が全く分からないんだよね」
記憶喪失になる前からこの認識であった事は確認済みだからこその疑問。何かしらの理由でフラグを立てたのだろうが、そのフラグを立てた記憶喪失前すら夏美の気持ちに全く気付いていなかったようなのだから謎は深まるばかりだ。……自分がクソボケである事は一切考慮していない。
(いや……それを言うならそもそもお前はなんで夏美の好きな相手がサブローだと思ってたんだ……)
ギロロからすればこっちの方が当然の疑問だった。
しかしここで昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴り、四季は強引に話を打ち切って教室に戻って行ってしまった。
そんな四季の後ろ姿を見届けながら、ギロロは腕を組み、先程の会話の中にあった違和感を探す。夏美が自分に想いを寄せる理由を知りたいと言っていたが、アレはギロロの思考を誘導する為の建前だろう。
いくら何でもそんな理由で笑う顔にあんな陰りが出る訳がない事などギロロでも分かる。
「……はぐらかされたか。アイツ、何を抱えている?」
後に、ギロロはここで感じた違和感を究明しなかった事を失恋云々とは関係なく後悔する事になる。
ここで憎まれ役を引き受けてでも四季の悩みを無理矢理にでも吐かせて突き止めていれば、夏美にあれ程の悲しみと絶望感、そして涙を突き付ける結果にはならなかったのかもしれない。
ギロロ
100%当たる予知夢を見た。
四季
ギロロとは少し距離を置きたくなった。
ここから暫くはギャグやりたいかな。