ケロロ軍曹 転生して早々記憶喪失!? であります! 作:リボーン2期待ってます
数日学校を休んでようやく本調子に戻った四季はそれから更に一週間後、休日に奥東京市でもそれなりに大きな図書館に来ていた。
(しかし凄いなこの能力……。あの漫画は前世でも読んでたから利便性を知っていたつもりだったけど、ただ知識として知っているのと実際に使えるのとじゃこの能力の理解度すら訳が違う)
四季は先日発動した事で自覚した能力を使い、全く解明されていない古代文字を試しにスラスラと読んでいた。能力を自分の意思で発動させる手順の答えを先日の分裂ギロロとの戦いの後、ぶっ倒れる前に出していたからこそ可能だった。
勿論前回のような事態にならない為に、まずは能力の発動を停止させる為の手順と、継続して能力を使用できる時間の答えを出し、能力使用後どの程度の休憩時間が必要なのかも答えを出した。
前回倒れた原因は四季自身、予想していたが、記憶喪失になる程のダメージを脳に負った状態でこの能力を限界を超えて使用していた為だと答えが出た。ならば倒れない範囲で使用する。それが四季の出した結論だ。
この能力の存在と詳細を知った以上、使わないなどという選択肢は無かった。
リスクを冒してでも使用するだけのメリットのある能力だからこそ、四季は細心の注意を払って使用する事にした。
数日かけて休憩を挟みながらいくつかの答えを出し、今日は実際の性能テストの為にこうして図書館で古代文字の解読をしているという訳だ。
(大昔の出来事にこんな真実が隠されていたのか。それにこの世界の地球はこんな厄ネタを抱えていたなんて……。宇宙人達が星の住人を丸ごと焼き払うような武力制圧を控えるどころかほぼ禁忌にしているのもこういった記録や対処法を失くしてしまわない為なのがよく分かる。実際そんなやり方愚策なんだよな。星が抱える厄ネタが止められるはずの原住民が滅んだ後に侵略者に牙を剥いて滅亡させた実例もいくつもあると答えが出た。……これギロロも知ってるはずだよな?なのに武力制圧ばっかやろうとするとかギロロって実はすっごい馬鹿なんじゃないか?)
一つの図書館にある資料だけで洒落にならないイタズラをするイースター島の邪霊、星のエネルギーを吸い尽くして孵化する宇宙生物の卵といったとんでもない厄ネタの存在にまで辿り着けてしまった。
(これならガチでナスカの地上絵は誰がどうやって描いたのかも解明できるな。いっそしてみるか?)
ここで能力の発動時間が切れて、答えは出なくなる。自分で止める前に持続できなくなった。瞳も渦巻き模様から普通の黒目に戻り、酷い疲労感に襲われる。この能力は脳への負担がかなりでかい。
椅子にもたれて、額に手を当てて全身の力を抜く。ゆっくり休憩する必要があるのだと感覚で分かる。
(この能力を上手く使えばケロロ達の侵略を防ぐだけじゃない。ケロン星含め、全ての侵略目的の宇宙人を地球から手を引かせて、二度と手出しさせない事もできるかもしれない……。後は厄ネタの排除と処理だな。一生の仕事になりそうだ……)
宇宙人に地球を侵略されるなんてまっぴらごめんだ。ケロロ達を進んで追い出したい訳ではないが、それでも侵略は許容できない、
それにイースター島の邪霊も厄介だが、地球に植え付けられた宇宙生物の卵も絶対に取り除く必要がある。
(凄い力を持つとその使い方についても色々と考えてしまう……か。正しくその通りだな)
この能力を持った漫画のキャラの考えをなぞる。
(大っぴらに使ってケロロとかにバレたら侵略に利用しようとして来るだろうし、記憶喪失になる前の僕はどう考えて使っていたんだろう……?)
そして恐らく記憶を失う前の自身でも、この能力は使いこなせていなかった。四季の知る前世の知識での使い手達は元々が凄まじく優秀な頭脳を有していた。だからこそ、この能力を使いこなせていた。しかし四季にはそこまでの頭脳は無い。彼らよりもこの能力の使い手としては何段も劣るだろう。
ふと窓の外に視線を向ければパラパラと雨が降り出したのが確認できる。
(……やっぱり降り出した。ここ最近大雨多かったし、家出る前に出した答えの通り、天気予報外れたな)
しかし数日大雨でも今日は小雨なのは運が良かったと言えそうだ。
****
「誰か助けてェーーーーッ!!」
小雨の降る街中でケロロは泣きながら逃げていた。否、ケロロだけではない。タママ、ギロロ、クルル、ドロロ……ケロロ小隊五人が勢揃いで走って逃げていた。
何から逃げているのか……その答えは正に彼らの真後ろにあった。ミミズや蛇を彷彿とさせる巨大生物のようなものが何匹もケロロ小隊を追跡して迫って来ていた。
ケロン人最大天敵植物、ニョロロ。
湿気を好物とし、対象を飲み込み水分を吸い取るという生態を持つ植物。水分を他の生物より多分に含んでいるケロン人はニョロロにとって最適な餌なのだ。水分を吸われたケロン人はカピカピに干からびてしまい、数日は行動不能となってしまう。
特に地球の梅雨の時期は大気に多分に含まれた湿気を吸収する事でケロン人は活性化してしまい、その結果ニョロロが寄ってくる事になり、上記の結果になり易い。
ならば何故梅雨でもない今、こうしてケロロ達はニョロロに追われているのか。
今朝の事だ。朝起きれば日向家周りをニョロロが何匹も囲って漂っていた。
連日の大雨の中、外でバイトをしていたケロロ達は梅雨でもないのに潤ってしまっていたのだ。それがニョロロ達を呼び寄せる事となったのだ。
当然ケロロ達は怯えた。彼ら全員これまで何度もニョロロに吸われて干からびた経験はある。だからと言って平気な訳ではない。食べられる事も水分を搾り取られる事も耐え難い苦痛であり、その後行動不能になる程衰弱するのも辛いのだ。
そんな恐怖に怯える中、夏美はケロロ達にこう言ったのだ。
「外で逃げ回って」
それは死刑宣告に等しかった。
直せる設備がケロロ小隊にない今、ニョロロに攻め込まれて家を壊されては堪らないと全員夏美に外へ放り出されてしまったのだ。尚、モアはケロン人ではないからターゲットにならない故、別に追い出されてはいない。ニョロロの対処の為にアンゴル族の力を振るわれて街を壊されても困るのもある。
こうして、外に締め出されたケロロ小隊とニョロロの地獄の鬼ごっこが始まった。
自分達を呑み込んで身体の水分を搾り取ろうとするニョロロから必死になって逃げ回る。連日の大雨で湿気を多く吸収しているからこそ、ニョロロ達を呼び寄せる原因となったが、逆にそれ故に身体能力もある程度上がっていて、どうにか午前中から今に至るまで走って逃げ回れていた。
『『『ニョォロォォォーー!!!』』』
「うわあああっ!来たですぅーーー!!」
しかしいよいよ追い付かれる距離まで迫られ、ニョロロ達は大口を開けてケロロ小隊を呑み込みにかかる。
「どりゃあああっ!」
ケロロは夏美に締め出される前に何とか持ち出したタオルを近くの水溜りに浸けて別方向にぶん投げる。その水気に惹かれてニョロロ達がそちらに飛んで行く。その間にどうにか距離を取ろうと五人は全力で逃げ、近くの公園の山とトンネルが一体化した遊具の中に隠れた。
「ハァ、ハァ……クソッ、こんなみっともない隠れ方をするしかないとは……!!」
「こ、これは修行と言うには過酷過ぎるでござる……」
「クククー…やべぇ、息上がって死にそう……」
技術者であるクルルは勿論、機動歩兵であるギロロや暗殺兵のドロロですら息が上がっている。ニョロロに追われる恐怖と闘いながら走って逃げるのは相当にキツかったらしい。
隠れてニョロロ達をやり過ごしたは良いものの、湿気による水分を感知してケロン人の元に来るニョロロ達はすぐにケロロ達を見つけてしまうだろう。
「酷いよ!夏美殿鬼だよ!我輩達ケロン人にとって、ニョロロがどれだけ嫌な存在か知らないからこんな事できるんだ!」
「ナッチーは知ってる上でやってるですぅ〜!こんな事なら今日はモモッチの所にいるんだったですぅ〜!!」
泣きながらケロロは地面を叩く。タママは今日に限ってケロロを訪ねて日向家に出向いてしまった事を嘆く。西澤邸にいれば西澤家の警備・迎撃システムによってそう簡単にはニョロロに吸われる事もなかっただろう。
差し押さえられているから地下侵略基地で籠城する事もできず、兵器も使えず、武器も限られている。こんな状態でどうやってニョロロから逃げ延びろと言うのか。そもそも地下基地が使えても基本的には最終的に飲み込まれて水分を吸い尽くされているのだから。
「こうなったらギロロ!ギロロが吸われるであります!ギロロのせいで基地に籠城する事もできないんでありますから!」
「んなっ!?流石にそれとこれとで結び付けて良い問題ではないだろう!第一、俺一人が吸われて囮になった所でお前達が吸われない保証になどならんぞ!」
ケロロはギロロに責任を求めて、囮を要求。だがそれは流石にギロロとて勘弁願いたかった。故に自分一人が先に吸われようと他四人の無事など確保できないと主張する。
誰が囮になって吸われるかなどという醜い争いが始まろうとした中、聞き慣れた声が外からトンネルの中に響いた。
「何してんの?」
「し、四季殿!?」
図書館から帰る途中だった四季がトンネルの中を覗き込んで、ケロロ達を発見。声をかけたのだ。図書館からの帰り途中スーパーに寄ったのか、夕飯の材料の他に生活用品など色々と持っていて傘を差しながらもかなりがさばっている。
「ど、どうしてここに……」
「こっちの台詞なんだけど。家に帰る途中で君らが全速力で走って公園に入るのが見えたから気になってさ」
どうやらニョロロからの逃走の一部始終を見て気になったらしい。息が上がっているケロロ達を見かねてスーパーで買ったミネラルウォーターのペットボトルを渡す。
順番にそれを飲むケロロ達が落ち着くのを待って、改めて問う。
「で、どうしたの君ら」
「ニョロロに追われてるんであります!」
「ニョロロ?」
「忘れたんですかぁ!?僕達ケロン人の天敵ですぅ!軍曹さんが水分吸われてカラカラになる所何回か見たでしょぉーーー!!?」
ケロロが泣きながら理由を簡潔に叫ぶ。そしてタママの言葉に一瞬心臓が跳ねたが、その指差す先を見て納得する。上空をゆらりと飛んで何かを探しているらしい謎生物が何匹かいる。それがニョロロだった。その探している対象がケロロ達だったのかと四季は悟る。
「ああ、さっきから空飛んでるアレね。……地下の基地に籠城もできないから日向に家から追い出されたってとこ?君達、今日向の家が壊されても直せないだろうしね」
ケロロ達が市街地を走って逃げている理由もすぐに察した。知能もあまり高くないのは見て分かる。あんなのが日向家の被害もお構いなしに窓を突き破って侵入してケロロ達を狙って暴れられるのは夏美も勘弁なのだろうと。今のケロロ達に家の修復ができないなら尚更だ。
「……ふぅん」
ニョロロをジッと見つめる瞳が渦巻き模様を浮かべる。ニョロロについての情報を“答え”として取得し、余った時間でケロロ達がこの場を凌ぐ為の“答え”を出す。
「……うん。逃げる時間を稼ぐ事はできそうだ」
「ゲロ?」
****
「四季殿ォ〜!ありがとう!ありがとうでありますぅ〜!!」
「シッキーは命の恩人ですぅ〜!!」
「大袈裟だなぁ。吸われても死ぬ訳じゃないんでしょ?」
10分後、ニョロロ達が空から見下ろしてケロロ達を探している圏内から脱出し、遠目からニョロロ達を眺める場所にまで逃げて来られたので、ケロロとタママは泣きながら四季の足にしがみついてお礼を言っていた。
「……助かった。礼を言う」
「クククー♪これでも感謝してるぜぇ〜」
「拙者としてもこれには流石に小雪殿を巻き込めない故、頼る事もできなかったので、四季殿には本当に感謝しているでござる」
ケロロとタママほど喚いてはいないが、四季の誘導に従ってニョロロの捜索圏内から出られた為、ギロロ、クルル、ドロロもまた四季には感謝していた。
ニョロロは水分や湿気でケロン人を感知して見つけ出すので、今のケロロ達よりも水気を帯びたものをいくつか用意して配置する事でニョロロ達の気を逸らし、能力で答えとして割り出した最も安全なルートでケロロ達を連れ出す事に成功したのだ。
「……水やティッシュをほとんど使っちゃったな。買い直しか」
「それならば我輩がお小遣いで買って補填するであります!」
「いや別にそんなつもりで言った訳じゃないんだけど。取り敢えず君達が無事ならそれで良いよ」
「四季殿ォ〜!!夏美殿とは大違いであります!!」
「君、日向に怒られるよ?」
クルルは四季が能力を使ってニョロロから逃げる方法を割り出した事は既に気付いていた。しかし先日と違って倒れる様子はない。多少ぐったりはしているが。
(倒れない範囲で能力を使える時間や休憩感覚も“答え”として割り出していたか……。そーゆーとこは普通に頭回るよな)
ニョロロの捜索範囲から出られた事でしばらくはケロロ達も休めるだろう。ニョロロ達が諦めて撤退するまで逃げ続けなければならない中、休憩できるのは本当に有り難かった。
しかし四季はそこで終わりにするつもりは微塵もなかった。
「じゃみんなもう一働きだね」
「ゲロ?」
「もう一働きでござるか?」
「包囲網から脱出できても追われてる事には変わらないでしょ?水分で感知されるなら、その内気付かれてまた追われる。だったら根本から解決しないとね」
「し、四季殿ォ〜!!」
「何回泣くのさ君」
四季からすればここではいさようならとはならないのは当たり前の事だった。ケロロ達にとって割と本気で死活問題ならば一緒に対処する方法を考える程度には真剣に今回の事を捉えていた。
****
「さ、みんな準備するよ。急いで。ニョロロが集まって来る前に」
「サブロー殿まで協力してくれるとは、かたじけない」
更に20分後、先程とは別の公園にて四季が電話で呼び出したサブローを加えてケロロ達はニョロロを迎撃する為の仕掛けを準備していた。
四季がサブローを呼んだのは彼が今回の作戦の要だからだ。
「ま、四季君の頼みだし、クルルの為だからね」
スラスラと実体化ペンでスケッチブックに四季からオーダーされた物を描き込んで実体化させていく。ケロロ達は先にサブローが実体化させたゴム手袋を着けてサブローが実体化したある物を公園内に仕込んでいく。
(……僕のこの能力を知っている人物はサブロー先輩と、よりによってクルル……ちょっと警戒対象だけど、それは後で良いか)
自分の能力を知る人物についても先程四季は答えを出していた。図書館ではケロロ小隊に知られたくはないと考えたのに、既にクルルにだけは知られていた事に頭を抱えたくなったが、今はケロロ達を助ける事を優先する。
「わわっ!来たですぅ〜!」
周囲を警戒していたタママの声が聞こえて、その方向に目を向ければケロロ達の水分を感知したニョロロ達が何匹もこちらに真っ直ぐ飛んで来ていた。
「みんな、準備は良いね?」
「おう!」
「承知!」
「こうなったらやってやるであります!」
ニョロロ誘導の為、ケロロ達は一箇所に集まり、四季とサブローは離れる。ギロロは銃、ドロロは手裏剣を構えて別々のポイントを注視する。
そして一箇所に集まるケロロ小隊の前にニョロロ達も密集した瞬間、四季とサブローはそれぞれ実体化したナイフでロープを切り、ドロロの手裏剣とギロロの銃も別のロープを切断した。
次の瞬間、ロープの切った場所が変化して四つの小型のロケットとなり、上空へ飛んで行く。そして繋がっているロープで引っ張られた事でケロロ達の目の前の地面が盛り上がり、一枚の巨大かつ透明な布がニョロロ達を纏めて捉えて上空へ引っ張り上げる。
ロケット四つは合流して合体。そのまま大きなロケットとなり、更にパワーアップ。ニョロロ達を捉えた透明な布も端同士がくっ付いて袋へと姿を変える。
「やった!」
「いやまだだ!」
当然、ニョロロ達は暴れる。しかしそれも束の間。みるみるニョロロ達は元気を失い、萎んでいく。まるで自分達が呑み込んで水分を搾り取ってきたケロン人達のように。
「サブロー先輩に実体化して貰ったあの捕縛布は吸水力が凄いからね。ニョロロも自分達が吸われる側になったらひとたまりもないでしょ」
四季の説明に補足を加えると、これらの道具は全てサブローが実体化ペンで実体化したもの。ロープには切れたらその箇所から小型ロケットになるように性質を付加し、地面に用意しておいた捕縛布もまたニョロロですら抗えない強力な吸水性と捕らえたニョロロを逃さないように袋に変化する性質を付加して実体化したものだ。
「逆にニョロロから水分を奪う……我々には無かった発想だな……」
「つーか思い付いてもできねぇよ。半端にやったら、逆に俺達から余計に水分を奪おうと暴れかねねえ。実行するにゃリスクがあり過ぎるぜ……」
「それにあんなの製造したら僕達ケロン人だと間違って触れた時点でニョロロに吸われるのと大差ないですぅ」
水分を吸うはずが逆に吸い尽くされて乾燥し始めたニョロロは目に見えて弱っていく。あの捕縛布の袋を破って脱出もできないだろう。あとはこのまま袋に付属したサブローが実体化したロケットで宇宙空間まで引っ張って地球から追い出してしまうという寸法だ。
(やっぱ四季の能力とサブローにやった実体化ペンが揃えば大抵の事は何とかなるな……。まさかニョロロまでどうにかできちまうとは思わなかったが)
こうして、逆に水分を奪われてシワシワになったニョロロ達は抵抗できずにロケットでそのまま宇宙へと引っ張り出されて行った。
「まさか、ニョロロに狙われて誰も吸われずに済む日が来るとは……」
「いやっふぅー!ニョロロめ!いつもいつも我輩達から水分を奪えると思ったら大間違いなのであります!!」
「四季君、俺腹減っちゃったよ。協力したんだし、今日の晩飯作ってよ」
「ナポリタンで良い?」
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帰り道、四季とサブローと別れたケロロ小隊は堂々と住宅街の道を歩いていた。四季がニョロロを追い払ってくれたお陰で、襲われる心配もないからだ。
四季から夏美に連絡し、経緯を説明してくれたので日向家に帰る許可も得られた。
「いやー、四季殿のお陰で誰も吸われずに済んだでありますなぁ」
「これからはニョロロが襲って来たらまずシッキーを頼るのが一番ですぅ!今日みたいに助かる方法を考えてくれるですぅ!」
「四季殿を危険に巻き込むのは反対でござるが、拙者としてもこれからはこのような事態ならば四季殿の知恵を借りたいでござるな」
「……お前達、サブローを忘れるな」
「そうだよね!クルル曹長、次からはいつでも四季殿とサブロー殿と連絡取れるようにしといて!」
「あいよ」
そんな会話をして日向家に帰る最中、ケロロ達を巨大な影が覆った。ピタリと五人全員動きが止まった。
『ニョォ〜ロォ〜』
嫌な予感がして振り向き、見上げればニョロロが一匹、ケロロ達の真上を浮遊してケロロ達を見下ろしていた。
だくだくと嫌な汗が止まらない一同。
「あの……四季殿とサブロー殿でニョロロみんな追っ払ってくれたんじゃ……」
「まだ一匹残ってたみてぇだなぁ」
「なんでぇーーー!!?」
「見てみな。あのニョロロの上に引っかかるモンを」
クルルの指先にてニョロロの身体に引っかかっていたのはケロロが夏美に締め出される前に日向家から持ち出した一枚のタオルだった。
「え?」
「四季に会う前、アレを水溜りに浸けてぶん投げてニョロロ達の注意を逸らしたろ。つまりこのニョロロがそれを勝ち取って水分を吸ってたって訳だ。で、他のニョロロが俺らを探す中、一匹あぶれてたんだろ」
つまり四季の策で追い払えたニョロロに漏れがあったのはケロロが原因を作っていたからという訳だ。
「やっぱり貴様のせいではないかぁーー!!」
「しょーがないでしょーが!じゃないと四季殿に会う前に全員吸われてたよ!!それよりクルル曹長!四季殿に電話!ここから助かる方法考えて貰って!」
「いやもう無理だろコレ」
『ニョロォッ!!』
そんな会話をしていたケロロ達は次の瞬間には纏めて飲み込まれ、そのまま水分を搾られる。
「いやぁ〜!吸〜わ〜れ〜る〜!!」
ポンッ…と排出されたケロロ小隊は五人全員がペラッペラの紙のような状態で干からびていた。こうなっては数日は動けない。明日もバイトがあるのにこれではクビも待ったなしだろう。
「どぉして……こうなるの……?」
身体中の水分を抜き取られた今は、泣く事すらできなかった。
ケロロ小隊、脱水完了。
・四季の能力
継続的に使う時間の限界になる前に能力を停止させる形で休憩を挟みつつこまめに使えばある程度は大丈夫。だけどかなりシビア。一歩間違えればまたぶっ倒れる事に変わりはない。