ケロロ軍曹 転生して早々記憶喪失!? であります! 作:リボーン2期待ってます
やっぱ夏美とのエピソード書きたくなる。
「日向の誕生日?……明日だね」
明日、12月2日は日向の誕生日だ。日向と知り合って四年間、忘れた事などない。
なんでそんな話題になるのかと言うとケロロがいきなり持ち出して来たからだ。
「一応毎年僕なりに祝ってるけど、どうしたの改まって」
僕だって友達の誕生日を祝うくらいの事はする。友人への日頃の感謝を忘れる程薄情なつもりはない。
「我輩、夏美殿の誕生日パーティーを企画しているのであります!是非四季殿にも参加して頂きたく!」
「……何を企んでるの?お祝いのフリして侵略作戦なんてしたら流石に日向も傷付くよ?泣かせるのは絶対に許さないよ?」
「まず最初に疑われるの!?」
そりゃそうでしょ。自分の胸に手を当ててみなよ。君がこれまでやらかして来た事を考えれば自然と行き着く発想だよ。どうせ日向に恩を売って侵略の邪魔をしづらくしたいんだろう。それはそれ。これはこれってなるのがオチだろうね。
「にしても誕生日パーティーか。そう言えば日向のはやった事ないな。普通に個人的にプレゼント渡しておめでとうって言うだけで」
ネタバレしちゃえば今年僕が用意したプレゼントはアロマだ。主にケロロのせいでストレス多そうだからね。夏休みに623とシーズのファンだとは知ったけど、ここでシーズ関連のを使うのは違う気がするし。
「……うん!僕も参加させてよ。こうしてちゃんと日向の為にパーティーするのは初めてだし」
そして僕もケロロの企画する日向の誕生日パーティーに参加する事にした。やっぱり盛大に祝ってあげたいからね。
そんな感じで当日になってケロロ達の地下基地にいつものメンバーが集められた。ケロロ小隊に加えて僕、冬樹君、サブロー先輩、東谷さん、桃華ちゃんだ。何故かギロロはいないけど。
日向の誕生日パーティー準備の為、今日は全員学校サボりだ。日向に冬樹君欠席の連絡が行かないように手を回す方法もしっかり“答え”を出して実行してある。
ケロロの指揮の元、僕らは日向の誕生日パーティーの準備に取り掛かる。……こういう時、リーダーシップちゃんと発揮できるんだよねケロロって。普段の侵略の時はダメダメなのに。
「え?誕生日祝い嫌がるの?」
そして地下基地から日向家に移動する中、冬樹君に相談された。今回の話はケロロの独断でどんどん大きくなっているが、そもそも日向はこういう催しをあまり望んでいないのではないかと。
「はい。姉ちゃんはそういう子供っぽい事はもうしなくて良いって」
冬樹君に聞いた話では日向は中学に上がってからは家での自分の誕生日パーティーはもうやらない方針をお母さんや冬樹君に表明していたらしい。
……そんな所まで強がり発揮しなくても良いと思うんだけどなぁ。
****
みんなで夏美の誕生日パーティーの為の準備を進める。四季の担当は料理だ。四季は桃華が西澤グループのツテで仕入れた食材を次々と下拵えし、調理していく。じゃないとケロロ辺りが宇宙お好み焼きなんていうゲテモノを用意しかねないからだ。
台所を借りて四季はテキパキと次々と料理を完成させていく。夏美はさつまいもが好物だと聞いて、定番メニューもすぐ様完成させる。
「はい大学いも完成〜」
「料理の出来栄えはどうですか〜?」
「タママ、つまみ食いは駄目だよ」
料理のクロッシュに手を出そうとするタママを言葉で牽制していると、部屋の飾り付け担当である冬樹が浮かない顔で台所に桃華が手配したケーキを運んで来た。
「浮かない顔してるね冬樹君。さっきの件?」
「……はい。あんまり散らかすと後で姉ちゃん怒るかもしれないと思って」
「別に怒ったりしないでしょ。むしろ日向は喜ぶと思うけど。てかむしろこういうの大好きでしょ」
「え、でも……」
冬樹の懸念は杞憂だと言って、むしろ夏美は喜ぶとまで言ってのける四季。冬樹は昨年の夏美の発言を根拠に後片付けの面倒な事は夏美が望まないのではと思うが四季の考えは違った。
「日向は強がりだからね。長女なんだから、姉なんだから自分がしっかりしなきゃって気持ちが先走って、我慢しなくて良い所まで我慢しちゃうんだよ」
何でもないように、当たり前の事を語るように夏美の事を話す四季。そんな四季の様子に冬樹は呆気に取られた。
「……夜早先輩、姉ちゃんの事良く見てるんですね」
「ははっ。そりゃそうだ。僕ほど人の心の機敏に鋭い人間はそうはいないよ?」
((え、どの口で言ってんのこの人……))
夏美の気持ちに微塵も気付かず、好意の矛先すら勘違いしているクソボケにだけはそんな事をほざく資格など無いと確信を持って言える冬樹とタママであった。
****
その日、日向夏美は孤独感を抱えていた。
朝食を用意しても冬樹もケロロ達も誰もリビングに来ない。冬樹の部屋の前には先に学校に行くと書き置きがあるのみ。
不満に思いながら登校すればクラスメイトである小雪と四季は揃って欠席。勿論他にも友達はいるがやはりあの二人は夏美にとって特別だった。その二人がこの日に揃って不在なのは少し心苦しいものがあった。
昼休みになっても、弟である冬樹を学校で見かける事はなく、その冬樹と良く一緒にいる桃華や、一学年上の四季の親友の一人、サブローも見かけない。
「……」
家では弟と朝から顔を合わさず、居候の宇宙人達も顔を見せない。学校では特に親しく思っている人達が揃って夏美の前に現れない。
今日は夏美の誕生日なのに。
仕事で忙しい母の負担を考えて中学に上がってからは自分の誕生日パーティーの類は自粛する事にした。本質的に寂しがりな夏美がそれでも平気だったのは、そんな事お構いなしに笑顔で祝ってくれる人がいるからだ。
その人は今日、一度も夏美の前に顔を出してはくれなかった。
「……」
放課後になって、普段通りに家の当番や諸々がある為帰宅しようとすると友人のさつきとやよいから、勉強会に誘われた。二人には今日が夏美の誕生日だとは伝えてはいなかった。故に特に祝われることも無い。別に催促する程図々しい訳でもない夏美は何も言わずに快諾した。
今日一日、本当に親しいと思っている人達とは誰も顔を合わせないから、帰っても一人ぼっちな気がしたからだ。
そんな訳で夏美が帰路に着いたのはすっかり日が暮れてからだった。普段の夕食の時間もとうに過ぎている。
「……すっかり遅くなっちゃった」
夜道を歩いて帰宅しながら呟く。急いで家に帰って鍵を開けても家の中は真っ暗だった。
「……」
家で冬樹が待ってると思っていたのに、誰もいないのか。そう思った瞬間、家の電気が点いて一気に明るくなった。
「夏美殿!」
『『お誕生日おめでとう!!』』
冬樹、四季、小雪、サブロー、桃華、そしてケロロ小隊がクラッカーを手に夏美の誕生日を祝う言葉を叫んだ。
突然の光景に夏美は暫く言葉を失って黙り込む。そひて俯いて震えながら口を開く。
「アンタ達……」
「ね、姉ちゃん!みんな姉ちゃんに喜んで欲しくて……だからこそ、散らかるからって怒らないで……」
やはりこういう事は嫌だったのかと不安に思い、冬樹は姉が激昂しないように言葉を選んで沈めようとする。しかし顔を上げた夏美の言葉は冬樹の予想に反するものだった。
「もう……こんなに喜ばせてどうするつもりよ!?」
嬉しそうに泣きながら笑っていた。
「え?怒ってないの?」
「どうして?」
「だって姉ちゃん、こういうの苦手なんじゃ……」
「何で?大好きよ?」
「……」
子供っぽい事は苦手だと言った自分の発言を完全に忘れている様子に冬樹は絶句した。
(夜早先輩の言った通りだった……。姉ちゃんの強がりな性格は知ってたはずなのに……)
四季の予想通り、姉だからしっかりしないといけないという考えから来る強がりだったのだ。本気でこういう催しが嫌いな訳ではなかったのだ。
(やっぱり夜早先輩は、ちゃんと姉ちゃんの事を見てくれてるんだな……)
本来なら家族である冬樹が先に気付いて把握しておくべき事。なのに四季の方が夏美を理解していた。自分が不甲斐なくても、四季が夏美に寄り添ってくれている事は妙に嬉しかった。
「びっくりして頂けたましたかな?夏美殿」
「びっくりさせ過ぎよ」
「よっしゃ!ビックリドッキリシークレットバースデー作戦、大成功であります!!」
「これそんな作戦名だったの?」
それから夏美の誕生日パーティーは恙なく進む。サブローが作詞したオリジナルのバースデーソングをみんなで歌い、改めて今日用意した豪華な食事に手を付ける。昼頃から夕方にかけて作ったものだが、クルルの開発した装置で出来立ての状態で保存してあったのだ。
「この大学いも美味し〜い!」
さつまいも好きという冬樹からの情報を元に作った大学いも。四季としてもかなり力を入れた一品の為、こんな笑顔を見れば思わず頬も緩む。
因みにこのパーティーでの料理は大半が四季が作ったものだ。態々言ったりはしないが。
そして各自で用意した誕生日プレゼントを順番に夏美に渡していく。ケロロは工具箱、冬樹はUMAフィギュアコレクション、タママはお菓子の詰め合わせ。クルルは自分で歌ったCDと趣味に走る者も多い。サブローは623のポエム集だった。同じ女子であるモアや桃華はリストバンドやスカーフといった女心が良く分かる品だ。小雪とドロロは二人で用意した御守りを渡していた。
そしていよいよ四季からのプレゼント。夏美も心なしかちょっとドキドキしていた。
「僕はコレ!アロマね。リラックスできてストレス解消になるよ」
「あはは……ストレス、ね」
嬉しいけれど苦笑いするしかない夏美。ストレスの原因であるケロロ達の事を考えればある意味当然だろう。
桃華がこの為に発注してくれたケーキを運び出し、蝋燭に火を点ける。勿論夏美の年齢に合わせて14本。それを童心に帰って一気に吹き消す。
みんなが盛り上がる中、パーティー会場である和室の扉が開く。
「間に合った…ようだな」
「ギロロ!?」
「いないと思ったら……何してんの。マジで」
満身創痍のギロロが大量に変な物を抱えて壁に寄りかかっていた。相も変わらず素直になれずに変な建前を付けて夏美の誕生日を祝おうとする。
「フ、フン…誕生日だと?下らん。な、なら丁度そこで拾った奴でもくれてやるか」
「これは……宇宙蓬莱の玉の枝、宇宙仏の御石の鉢、宇宙燕の子安貝に……」
ギロロが差し出した物をドロロが驚きながら説明する。妙にパチモン臭い品だが、それを手に入れるまでの苦労は何となく分かった。これまでの不在はこのプレゼント調達の為だった訳だ。
「凄いのは何となく分かるけど、何でも宇宙って付ければ良いとか思ってない?」
「取り敢えずまず安静にして欲しい感じなんだけど」
そもそも元ネタの無理難題を要求するかぐや姫自身が宇宙人ではないかと四季は思った。
そんな中、更に人が加わる。玄関から入って来た日向家の家主だ。
「パーティーもう終わっちゃった?」
「ママ!」
「もうちょっと早く帰れる予定だったんだけどね。誕生日おめでとう、夏美」
「……!ありがとう!ママ!」
普段仕事で忙しい母が自分の誕生日パーティーにギリギリでも間に合う時間に帰って来てくれた事に夏美は思わず目頭が熱くなり、思わず抱き着いてしまう。これも以前四季が指摘した通り、夏美はまだまだ親に甘えたい年頃なのだと冬樹は再認識する。
「……軍曹、ありがとね」
「ゲロ?」
「軍曹のお陰で姉ちゃんの事、少し分かった気がするよ」
「そうですか。それは何よりでありますな。それじゃ、我輩はこの辺で」
冬樹からのお礼の言葉を受け、そそくさとその場を去って行くケロロ。普段のケロロとは違う殊勝な態度に疑問を感じる中、それは起きた。
冬樹達がパーティーをしていた部屋の壁が反転してデカデカと文章が刻まれた物へと切り替わった。
『一週間後の12月9日はケロロ軍曹の誕生日なんだって!』
空気が死んだ。
ご丁寧にケロロの欲しい物リストなんてものまでしっかりと書いてある。
つまりこの夏美の誕生日パーティーの真の狙いはこの告知と、パーティーそのものへの便乗と催促だったのだ。
露骨にお返しを望むその姿勢に誰もが流石に何とも言えない顔をしている。
さて、こういうパーティーをした後には必ず後片付けというものがある。飾り付けを外し、出たゴミはちゃんと捨てる。料理をした後の器具や盛り付けた食器の類いは洗わなければならない。
「にしてもケロロ、自分の誕生日祝って欲しくて日向の誕生日パーティー企画したのかぁ」
「全く、最後の最後にそんな露骨にアピールされたら台無しよ!」
「ま、ケロロにもプレゼントくらい用意してあげるかな」
「良いのよ甘やかさなくて」
リビングのテーブルに座る夏美と話しながら四季は食器を洗っていた。最初はそこまでさせる訳にはいかないと夏美が洗おうとしたのだが、夏美は今日の主役である為、雑事はさせないと四季が割と強引に押し切って洗い物をしていた。
「それにしても夜早くんも小雪ちゃんも学校休んで私の誕生日パーティーの準備してたの?……て事は冬樹も」
「ははっ。こういうのってついつい力入っちゃうんだよね。学校よりも優先しちゃうくらいには。冬樹君の事も怒らないであげて」
「こういうのをやってくれたのは嬉しいけど、学校サボってまで準備するのは複雑よ。普段の生活に支障が出ない範囲でやってよね」
「ごめんごめん」
皿洗いが終わってハンドタオルで手を拭くと、四季は部屋の隅に丁寧に置いてあったトートバッグの中からある物を取り出した。これを渡さねばちゃんと祝った事にはならないのだから。
「一番大事なのまだ渡してなかったね」
「一番大事なもの……?」
「はいっ」
上品な香りが鼻をくすぐる。それを見た瞬間、急激に顔に熱が宿るのを夏美は感じ取った。それは今日の誕生日パーティーを知らずとも、朝からずっと期待していたものだ。
目の前に出されたのは一束の花束だった。
「は、はははは花束っ……!」
「?…毎年あげてるじゃん」
赤面する夏美だが、誕生日プレゼントとは別に花束を渡すのは毎年恒例の今更な事な為、驚く理由が分からない。というか毎年キョドってるような気がする。
ともかく、夏美が四季から貰ったのはカーネーションがメインの花束だった。
夏美はそれを受け取ると暫くカーネーションに見惚れる。
「ありがとう夜早くん。嬉しい…!」
「そっか。なら良かった」
夏美は頬をほんのり赤く染めた笑顔でお礼を言い、四季はニッと笑う。夏美はその笑顔にドキドキ胸を高鳴らせる。
そしてその様子を廊下から余計な野次馬達がしっかり見ていた。
「ほぉ〜?案外洒落たモン渡すじゃねぇか。あのクソボケにしては」
「毎年渡してるけど、アレで口説いてないんだもんなぁ」
「毎年!?ほ、本当に夜早先輩は夏美さんに気がないんでしょうか……?(いやアレでその気が無いって無理があんだろあのクソボケ!?)」
「早くくっ付くですぅ…!」
「フガーッ!ンゴォーッ!!」
「邪魔は許さぬでござるよ」
クルルは感心し、冬樹は呆れ半分。桃華は本当に四季が夏美に恋愛感情が無いのかと疑問しかない。タママは焦ったくてて仕方ないようだ。
そして自分が渡したプレゼントは適当に放置されているのに、四季がプレゼントとは別枠で渡した花束はあからさまに嬉しそうにしている夏美を見て、ギロロはドロロに抑えられながら泣いた。
「わぁ!夏美さんにあげたお花も綺麗ですね〜!」
「あら?もしかして小雪ちゃんも貰ったの?」
「はい!カスミソウと胡蝶蘭が綺麗でした!」
秋と小雪は以前小雪が誕生日祝いで四季から貰った花束について話している。
サブローは少しだけ意味深な含み笑いをして、楽しそうに話す四季と夏美の様子を眺める。
「……ふぅん?」
四季達が帰った後、夏美は自室のテーブルに花瓶を置いた。
そして四季から貰ったカーネーションの花束を水を入れた花瓶に生けて眺める。花特有の上品な香りが鼻をくすぐる。ここまでが毎年の誕生日で恒例のルーティーンのようなものになっている。
小学五年生で出会ったその年から毎年誕生日を祝ってくれる四季はこうして毎年欠かさずに花束をくれる。そしてこの花瓶はまた更に別件で四季から貰ったものだ。
小六の誕生日に母である秋から聞いた事がある。一週間前後で枯れてしまう花に数千円もかける……それはブランド品などよりも実はずっと贅沢なプレゼントなのだと。
それ程のものをくれる事が四季との関係の近さを表している気がして思わず頬が緩んでしまう。
それだけではない。例えケロロの下心が発端となったものでもみんなが準備して誕生日パーティーを開いてくれた事自体物凄く嬉しかった。
「ふふっ♪」
それでもやっぱり、好きな人から貰った花束が一番嬉しかった。
前世から割とこんなん。割と毎月友達の誕生日祝いをしているので、中学入ってからはラジオDJの給料でその辺の予算も組んでる。
中でも特に親しい女の子には誕生日プレゼントとは別に花束をあげてる。今年からはその枠に小雪も加わる。
夏美
実は毎年女友達の他に四季から誕生日プレゼントと花束を貰ってた。が、花束を貰ってるのが自分だけとは知らない。パーティーで食べた物が四季の手料理だった事も知らない。
小雪
誕生日不明。学校に通ってる以上はでっち上げてはいるのだろうが。その辺のエピソードもいつか書きたい。
赤ダルマ
まぁこの小説で報われる訳ないよね。