ケロロ軍曹 転生して早々記憶喪失!? であります!   作:リボーン2期待ってます

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実は大雑把なケロロの時系列すらまだ決めてなかったり。アニメの話や原作の話が前後する可能性もあります。


恋愛リアリティーショー大作戦

 この日、吉祥学園に電撃ニュースが流れた。

 

 先日、夜早四季に告白した芋碁理恵が四季に振られたというものだ。

 

「B組行ってみたんだけど、芋碁さん真っ白になって抜け殻みたいになってたよ……」

 

「私達も失恋したらああなっちゃうのかな……?」

 

「失恋のショックってああなるのか……」

 

 彼女の場合は結構特殊ケースと思われるが、同じような事になりそうな人物に心当たりがあった師走さつきと霜月やよいは互いにその人物に関する相談を持ち掛ける。

 

「ね、ねぇさつき……夏美は大丈夫かな?」

 

「夏美も芋碁さんに負けず劣らず夜早君に想いを寄せていたからね……もしこの間の告白を断られたら、夏美もああなるかもしれないわね……」

 

「もし断られたらって……夜早君、告白されるまで夏美はサブロー先輩の事が好きだと思ってたんだし、それまで夏美の事、恋愛対象から完全に除外してたんじゃないかと思うんだけど……」

 

「………」

 

 やべぇ。振られる未来しか見えない。白い抜け殻になった夏美の姿を想像してそんな事態は避けたいと考える。

 これまで四季に想いを寄せていた夏美のいじらしさを知る二人としてはやはり成就させてあげたい。だが無理矢理付き合うように迫るのも違うとも理解している。

 

「だったら……手は一つ!」

 

 

 

 

「……えーと、日向の事で話って……?この間の告白の事ならこれから返事に行くつもりなんだけど」

 

 昼休み、直接四季を屋上に呼び出した。勿論夏美はここにはいない。

 

(ん?……夜早君、なんかやつれた?)

 

(そんなに悩んでたの?)

 

 芋碁を振ったのも悩みに悩み抜いての決断だったのだろうかと訝しむ。これは芋碁が好きなのにやむを得ず振ったとかではなく、他者の事情や気持ちを尊重して物事を考える傾向の強い四季が、相手を傷付けずに断る方法を真剣に模索したのかとさつき達は考えた。

 

「一応聞いとくけど、夏美の告白の返事、OKしたりって……」

 

「……今まで日向の事をそういう風に見た事はなかったし、告られたからって何となくOKなんて言っても日向に失礼だと思うんだ。だから……」

 

 これだけでさつきとやよいは察した。真摯に向き合ってくれてはいるが、このままでは夏美は振られると。故に友の幸せを願って起死回生の策に出る。

 

「夜早君の言い分は分かったわ!でも、それは夜早君の中に『夏美はサブロー先輩が好き』っていう前提があったからでしょ?」

 

「それは……」

 

「でもその前提は間違っていたんだし、今後接する中、夏美をちゃんと女の子として意識する機会は絶対あると思うの!!」

 

 さつきとやよいが考えた起死回生の策。それは四季に夏美を女の子として意識させる為のチャンスを生み出す事。

 

「1回だけ!お試しで良いの!夏美とデートしてあげて!」

 

「いやでもお試しって……それやっぱり日向に失礼じゃ……」

 

「好きな人に他の人が好きだと思われ続けて、挙句にアピールするチャンスもなく振られる……なんて不憫なの」

 

「せめて思い出の一つくらい……」

 

 明らかな嘘泣きで泣き落としにかかる。嘘泣きの演技である事は四季にもすぐに分かったが、顔から嫌な汗が流れる。

 

「……っ」

 

 記憶があろうがあるまいが、事前のアニメ知識だけで夏美の恋愛事情を決め付けていた事は事実なので、彼女の気持ちに気付かなかった事に関しては自分に非があると思ってはいた。

 ならば確かに夏美側にも何かしらの機会は欲しいという二人の主張も間違いではないのかもしれないとも思い始めた。

 

 何より今朝、交際を断った芋碁の有様を四季も先程目撃したので、何も思わない訳ではないのだ。夏美に関してはサブロー関連の誤解もあった事も重なって更に悲惨な事になる可能性も充分あるので、1回のデートくらいは応じるべきなのかもしれないと四季は嫌な汗を流しながら思案する。

 

 尚、さつきとやよいは完全に四季の良心と罪悪感に付け込んでおり、決して褒められたやり方ではない。

 

「わか……りました」

 

「「しゃあっ!」」

 

 既に冷静な判断ができなくなっていた四季は渋々デートを了承するのだった。

 

 

 

(私達にできるのはここまでね……頑張って夏美。……骨は拾ってあげる)

 

 でもやっぱり最終的に振られる未来しか見えなかった。

 

****

 

 休日、夏美は朝から三時間もかけて精一杯のお洒落をして、乙女の勝負服を着込み、デートに臨もうとしていた。

 

「おや夏美殿。いよいよでありますか?」

 

「ボケガエル……」

 

 玄関にて家の掃除を行なっていたケロロが夏美の見送りに来た。

 

「いや〜、今まで散々ヘタレて連絡先交換もできなかった夏美殿が、こうしてデートにまで漕ぎ着けるとは……吾輩ちょっと感動したでありますよ」

 

 半分ディスってんのかと文句を言われそうなコメントだが夏美は怒ったりはしない。ケロロなりに緊張を解そうとしている事は何となく理解していたし、彼女なりに感謝の気持ちもあったのだ。

 

「今回デートをセッティングしてくれたのはさつき達だけど、それも自分で告白しなきゃ実現できなかったし、その背中を押してくれたのはアンタ達だから……一応ありがと」

 

「ゲロ…」

 

「行ってきます」

 

 そう言って玄関を出て、待ち合わせ場所に向かう。そんな夏美を見送った後、ケロロはいつもの悪巧みをする際の悪どい笑みを浮かべ、リモコンを取り出した。

 

 そのスイッチを押すと今日はまだ夏美の前に姿を見せなかったギロロが十字架に縛り付けられ、猿轡をされた状態で必死にもがきながらスライドして開いた床から迫り上がって来た。

 

「フガーッ!!ンゴォーーッ!!」

 

「ゲロゲロリ。甘いでありますなぁ夏美殿。吾輩達がただの親切心だけで背中を押したとでも!?そんなの精々8割程度であります!」

 

 そう。残りの2割こそ、今回の本命。地球侵略の為の重大な足掛かりとなる作戦だったのだ。

 

 地球防衛最終ライン、日向夏美は盗撮写真などがクルルのせいで宇宙中にバラ撒かれていたりする。その為、宇宙人には夏美ファンが結構いたりする。

 その盗撮写真や盗撮映像の中には夏美が赤らめた乙女顔で一人の地球人の少年を見つめるものが多数発見されていた。

 

 それを見た宇宙人達は思った。

 

『日向夏美ってこの地球(ペコポン)人の男の事が好きなんじゃね?』

 

 この言葉にできない甘酸っぱさは瞬く間に宇宙人達を虜にし、ずっと見ていたい。成就する所が見たいと思わせるようになった。対象の少年、夜早四季の人柄も日向夏美を任せるに相応しいとも思わせた。

 

 今や宇宙中でこの夜早四季×日向夏美というカップリングは超絶人気となり、宇宙掲示板では二人の恋を見守るスレなども立ち上がっている。

 これを知ったケロロ軍曹は灰色の脳細胞が活性化し、ある結論を導き出した。

 

 これ、金になるんじゃね?……と。

 

「クルル曹長、準備は良いでありますか!」

 

 いつの間にかスタンバイしていたクルルは端末を手に、嫌な笑いを浮かべながら進行状況をケロロに説明する。

 

「ククク〜♪事前告知の根回しは万全だからな。サブスク登録宇宙人数2億人を突破。焦らしてラストシーンを更に課金制にすれば一人500円でも追加で1000億は稼げる計算だぜぇ」

 

「では作戦通り、これから夏美殿と四季殿のデートの様子を宇宙中に有料配信し、これで侵略資金をガッポガッポ稼ぐであります!」

 

 やはり碌な事を考えていなかった。要は夏美の恋をエンタメとし、金儲けに利用する事にしたのである。タママとモアも作戦参加の為に現れる。

 

「結果的に恋を成就させてしまえば、夏美殿も文句は言えまい!これは夏美殿に恩を売って、地球(ペコポン)侵略の邪魔もしづらい精神状態に誘導する為の作戦でもあるのだぁーーー!!」

 

「流石軍曹さんですぅー!人の真剣な恋心でその人の母星の侵略の為のお金を稼ごうなんてとびきり下衆な作戦ですぅー!」

 

「てゆーか、一石二鳥?」

 

「モガァーーーッ!!!」

 

 その為、確実に二人のデートを邪魔するであろうギロロ伍長を拘束し、こうして縛り付けておいたのだ。一攫千金のチャンスをケロロは逃したくはなかった。

 

「『夜早四季×日向夏美・恋愛リアリティーショー大作戦』開始であります!」

 

 本格的に作戦を実行する為に日向家の地下に勝手に増築したケロロ小隊のアジト作戦司令室に向かう。

 

「あ、タママ二等、そこの赤ダルマさん見張っといてー」

 

「えー!僕もナッチーとクソボケの恋の結末観たいですぅ!!」

 

****

 

 衛星カメラによる中継映像を大型モニターで見ると既に待ち合わせ場所にて四季が複雑そうな表情で夏美を待っていた。ここ最近トントン拍子に色んな事が起き過ぎて疲れている中、特に恋愛感情を抱いている訳でもない相手とデートする事になったのだ。自分が何をやっているのか自問自答したくもなるだろう。

 

「シッキー、既に待ち合わせ場所に到着しています!」

 

「ゲロゲロリ。今日はガッポリ大儲けさせて貰うでありますよ!」

 

 暫くすると夏美が嬉しそうに四季に駆け寄って来た。遅刻ギリギリではあったが、四季は特に怒る事なく、走って来た夏美が喉が乾いているのも見越して用意しておいた飲み物を手渡している。夏美は四季の気遣いに顔を赤らめてモジモジしながらそれを受け取る。

 

「早速スレでも大盛り上がりだぜぇ」

 

「宇宙中の結婚式場の紹介が来てますぅ!」

 

「おじ様、物凄い勢いで入金されています!てゆーか、商売繁盛?」

 

 別のモニターにはクルルが適当にチョイスした宇宙人の応援スレが表示される。

 

210:名無しの宇宙人

 くぅー!もう甘酸っぺえーーー!!

 

211:名無しの宇宙人

 相変わらずのスパダリムーブ

 

212:名無しの宇宙人

 これで付き合ってないってマジ?

 

213:名無しの宇宙人

 もう結婚しろお前ら

 

214:名無しの宇宙人

 結婚式の配信はよ

 

215:名無しの宇宙人

 むしろ結婚式招待してくれ。ケロン軍の侵略阻止でも何でも手伝うから

 

216:名無しの宇宙人

 723ちゃんを幸せにできるのは君しかいない!君じゃなきゃ駄目なんだよ!

 

「よーし、開始早々視聴率も鰻登りであります!これを維持しつつ、新規のユーザーも増やせるように宇宙SNSでも繰り返し告知!リツイートも忘れるな!」

 

 

 

 

「隊長殿、これは一体……?」

 

「あれ?ドロロいたの?」

 

「!?酷いよケロロ君………」

 

 

 

 

 それから、二人はまず水族館に行って通路順に展示してある魚や深海生物、ペンギンなどを見ながら雑談。公式のスタンプをダウンロードするのをきっかけに連絡先を交換したりと側から見てもちゃんとしたデートをしていた。

 

 一通り水族館の中を見たら丁度屋外で始まったイルカショーを観て、最後に売店でイルカのペアストラップを購入。何が良かったとか、イルカショーのここが盛り上がったとか和気藹々と話しながら水族館を出る。

 

「わ〜!ナッチー楽しそうですぅー!最初緊張してガチガチだったのがもう完全に自然体ですぅ!」

 

「四季殿の性格からして、例え自分から誘ったものでなくても、デートならば相手を楽しませる為にあの手この手で色んなプランを練っているのは当然!ならば基本的には我々が手を加える必要は無い!中継を無事に進める事に専念すれば良いのであります!ゲ〜ロゲロゲロ!」

 

 水族館を出て次の場所に移動する途中でも四季は自然と自分が道路側を歩き、後方から人や自転車が来れば夏美の肩を抱き寄せてぶつかるのを回避させる。

 

 時間的にもう昼なので次の場所に向かう途中で食事をする事にしたらしく、四季主導でランチに向かう。

 

『良い店があるってさっき聞いたんだ』

 

 そう言って迷わず特定の店に入り、スムーズに受付に向かう。

 

『予約した夜早です』

 

「予約してんじゃん!さっき聞いたとか嘘じゃん!ガッツリ下調べしてんじゃん!」

 

 思わずツッコミを入れるケロロ。クルルもすぐにその店の情報を突き止めて開示する。

 

「しかも店は日向夏美の空腹加減を問わないビュッフェスタイル……この店、デート用に人気だがそれ故にほぼ事前予約必須だぜぇ」

 

「そういえばさっきからお会計はナッチーがお財布を出す前に先に全部支払いもしてますし、普段のクソボケ具合からは想像できないくらいエスコート能力が高いですぅ……」

 

「け、結構お金持ってんのね……」

 

 中学生なのにそこそこ財力がある様を見て虚しい敗北感を覚えるケロロだった。

 

「てゆーか、用意周到?」

 

 明らかに中学生がするようなデートではない気がするが、あんだけスパダリムーブしてくれるのなら、ケロロ小隊としては好都合だった。

 レベルの高いエスコートの中に見えるいくつもの気遣い。それに夏美もある程度は気付いており、顔を赤くしてキュンキュンしている。その様子を見て配信を視聴している宇宙人達もフィーバーして更にスレが盛り上がる。

 

(……アイツ本当に振る気あんのか?気遣い空回って余計沼らせてんじゃねぇか……。やっぱクソボケはクソボケだな)

 

 大方、振るとしても相手(夏美)に恥を掻かせてはいけないし、突き放すような酷い事もできないとでも考えたのだろう。気遣いの方法を完全に間違えているとも思ったが、これはこれで面白いのでクルルは放置する事にした。

 

「いけるいけるぞ……!一抹の不安は結局夏美殿を恋愛対象として意識してないであろう四季殿が振ってしまうのではないかと思っていたでありますが……何だよもう!ホントは満更でもないんじゃん!最初から素直になっとけよ〜!これでカップル成立すれば夏美殿にも恩を売れるし、地球(ペコポン)侵略資金も解決〜!一気に侵略達成であります!!」

 

 ケロロも完全にお調子に乗っており、その両目には¥マークがデカデカと浮かび上がっている。ここまでの有料配信だけで既に数百億以上は儲けているので、天狗になるのも当然だろう。

 

 ランチを終えて次の目的に向かう四季と夏美。並んで歩く中、夏美はモジモジしてどうにか手を繋ぐ事はできないかと悩んでいるのが良く分かる挙動をしている。

 

「よーし、クルル曹長!ここでラスト一押し!軽い暗示程度で良い!催眠脳波を放映カメラから出して二人に浴びせるであります!キスしたくなっちゃうやつ!それはもう濃厚なのをブチュ〜っとしたくなっちゃうやつ!そこで更に課金するであります!」

 

「あ、無理っすね。録画とリアルタイム中継でそこまでやるスペックがあのカメラにないんで」

 

「ゲロォ!?何やってんのもう!これでくっ付かなかったらクレーム来ちゃうじゃんかよ!」

 

「ここまでやって、結局日向夏美が振られたら振られたで俺は面白ぇからな。ク〜ックックック……」

 

「わー…嫌な奴ぅ」

 

 次の目的地は街の百貨店。夏美のショッピングに付き合う流れのようだが、次第に焦ったく思い始めたケロロは手っ取り早い結果を求め出す。更なる課金で儲ける為に。

 

「「キース!キース!」」

 

 小学生が男女を囃し立てるノリでキスコールをするケロロとタママ。一応明記しておくが現地にいる四季と夏美は別にそんな雰囲気になっていない。

 

 そしてここでケロロ小隊にとって最悪の誤算が起きた。

 

『夏美ぃ〜〜〜〜ッ!!!』

 

『え!?ギロロ!?』

 

『…ッ!?』

 

 巨大な武装したロボットに搭乗したギロロ伍長が泣きながら二人を襲撃し、目の前に降り立った。

 

『これ以上……お前の好きにさせてたまるかあぁぁぁぁぁっ!!!』

 

「ちょっと!?何してくれてんの赤ダルマさん!?」

 

 明らかなデート妨害。ケロロ達とは違い、モニター越しではなく、現地で二人をストーキングし続けて、良い雰囲気になる二人を見せ付けられ続けた事で我慢の限界に至ったのである。そして四季を直接叩き潰しに来た。

 

「こうならないように拘束しといたはずでしょ!?どうなってんの!?」

 

「コピーロボットを身代わりにして脱出してたみてぇだなぁ。軍の備品まで持ち出しちまってマァ」

 

 これは小隊の地球侵略の為の資金稼ぎの作戦なのだ。個人的な理由でそれをぶち壊そうとするギロロを放置する訳にもいかない。

 

「やれやれ、困ったオッサンだぜ」

 

 クルルが何処からか取り出したのは赤いボタンが一つだけのリモコン。そしてそのボタンを押した瞬間、ギロロが搭乗していた兵器が爆発した。自爆装置を仕込んでいたようだ。

 

『どわあああああっ!?』

 

「ナァイスクルル!ドロロ兵長!今すぐギロロ捕まえて来て!」

 

「酷いよケロロ君……酷いよ酷いよ」

 

「まだやってたの!?」

 

 ギロロの捕縛を命じた単騎戦闘力では小隊最強の男はさっきの雑な扱いを受けてずっと体育座りで落ち込んでいた。これでは使い物にならない。

 

(四季の奴、センパイを見て絶句してんな……。記憶失くす前に宇宙人と交流あったとか普通思わねえからな。……俺知〜らね)

 

 ギロロの独断専行のせいで記憶喪失の四季を混乱させてしまっている。とはいえ、侵略者である故にクルルは予算確保の為の恋愛リアリティーショー大作戦を優先する。まずは宇宙インターネットの反応を確認。

 

「ヤバいぜ……どこのスレも大炎上だ」

 

「サーバーにも億単位で苦情メールが来てるですぅ!!」

 

「てゆーか、四面楚歌?」

 

 さっきからサブスクを介して苦情メールの通知が止まらない。

 嫌な汗が止まらないタママは恐る恐る宇宙掲示板にも目を通す。

 

823:名無しの宇宙人

 ふざけんな

 

824:名無しの宇宙人

 やっと二人が結ばれると思ってたのに

 

825:名無しの宇宙人

 723ちゃんとワイらの心弄んで楽しいんか?

 

826:名無しの宇宙人

 金返せクソが

 

827:名無しの宇宙人

 さっさとこの赤いの退場させて二人の結婚式流せ

 

828:名無しの宇宙人

 このケロン人が乱入しなきゃ、今頃キスしてんの見れただろふざけんなマジで

 

829:名無しの宇宙人

 そもそも侵略者が現地民に欲情してんじゃねぇよ

 

830:名無しの宇宙人

 てか侵略方法も武力制圧とかいつの時代だよ。んで人の恋路邪魔すんのに軍の武器持ち出してんじゃねえ

 

831:名無しの宇宙人

 俺たまに地球(ペコポン)行って二人の様子見てんだけどさ、コイツホントいっつも良いとこで邪魔しやがってよ、クソが

 

「……バチクソに燃えてるですぅ」

 

「ヤバくねー…?あ、あはははは……」

 

「てゆーか、進退維谷?」

 

 ケロロはもう今回のオチが見えてしまったのか、うわ言のように乾いた笑いを搾り出す。

 モニターに映る夏美は黒焦げのアフロと化したギロロのベルトを掴んで持ち上げ、上空に放り投げる。

 

『アンタね……どういう理由か知らないけど、折角の夜早くんとのデートを台無しにして……ふざっけんじゃないわよぉーーー!!』

 

 キレた夏美のアッパーがギロロの顎を捉える。ぶっ飛ばされたギロロは中継用の衛星カメラに激突。その衝撃でカメラは爆発。配信していた映像はそこでブツンと途切れた。これではデートが再開されても中継はできない。

 

「宇宙中に配信する関係でサーバーのほとんどはそっちに使ってたからな。映像カメラはアレ1台だけ。こりゃもう中継無理だな」

 

「のあああーーーっ!!なんでこうなるのぉーーーー!!!」

 

 ケロロの泣き叫ぶ声が作戦司令室にて虚しく響いた。

 

 結局、中継が途切れた事に加えてギロロ伍長がデートをぶち壊した為、サブスク登録をして有料視聴していた宇宙人達からはクレームが殺到。

 ケロロ小隊は今回の恋愛リアリティーショー計画で稼いだ利益を全額返金しなくてはならなくなり、それとは別に一度は稼いだ事による宇宙税の支払いと、今回の計画に注ぎ込んだ資金という多額の損害を被る事となった。

 

 尚、ギロロ伍長の乱入から芋蔓式に夏美と四季のデートを恋愛リアリティーショーとして宇宙中に有料配信していた事もバレた為、当然夏美の怒りを買って軽くないお仕置きを受けたのは言うまでもない。

 

「ゲ、ゲロォーーーーーッ!!!」

 

****

 

(普通にギロロが見えてたし、声も聞こえてた……。何なら喧嘩売られた。これ他のメンバーとも完全に顔見知りだな……)

 

 今回のデートの裏で張り巡らされていた陰謀も、宇宙中から寄せられる困った期待も何も知らない四季はケロロ小隊と面識がある事を悟り、途方に暮れていた。

 ぶっちゃけ記憶喪失を隠す上で一番厄介なポイントであった為、無関係である事を願っていたが、そう都合良くはいかなかった。

 

(いやまぁ……日向やサブロー先輩と普通に関わってたら可能性は高いよなぁ)

 

 すると不意にポンと肩を叩かれた。そこには知らないスーツの男性が明後日の方向を見ながら立っていた。

 

「……?」

 

「今回は邪魔が入ったが、女の子をエスコートする様は良かったぞ。地球(ペコポン)の少年」

 

 それだけ言って四季に背を向けたスーツの男性は手をヒラヒラと振って去って行った。暫く訳が分からずその後ろ姿を眺めいているだけだったが、最後に聞き捨てならない一言を言っていた事に気付いた。

 

(え?僕今宇宙人に話しかけられた?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 後日、日向家のリビングにタママが大量のパンフレットの山を持って来た。

 

「……何コレ」

 

「宇宙中から届いたナッチーとクソボ…シッキーの結婚式のプロデュースのパンフレットですぅー!!」

 

「結婚式配信しろって事……?」

 

 応援してくれる人が大勢いて喜べば良いのか、宇宙中に恋愛事情が知れ渡っていて嘆けば良いのか。何処から突っ込んで良いのか分からず複雑な夏美だった。




ギロロ伍長は大好きですよ。歪んでいますが。
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