ケロロ軍曹 転生して早々記憶喪失!? であります! 作:リボーン2期待ってます
それは、いつもとは違う光景だった。
「ギロロ先輩、これ捨てといて下さいねー」
「……」
パシろうとするタママの要求に対して返事は無い。その瞬間、ピキッ…とタママの顔に青筋が走る。
「あ、もう僕の方が階級上なんで先輩付けなくてイイっすよね」
「……ッ!!」
ギロロもまた、タママの発言に青筋を立てる。だが、言い返す事はしない。その資格が今のギロロには無いからだ。
その様子を見て冬樹は頭に?マークを浮かべて、ソファにて湯呑みでお茶を飲んで寛ぐケロロに質問する。
「伍長どうしたの?前にタママが隊長だってなった時もあそこまで酷くはなかったよね?というか、タママ怒ってる?」
「ギロロは先日の失態で三等兵まで降格したのであります」
「ええ!?何があったの!?」
サラッと語られたギロロの立場降格。当然これに驚かない冬樹ではない。伍長という立場から急に三等兵という完全な下っ端となってしまったのだから。
ケロロは語る。つい先日の『夜早四季×日向夏美・恋愛リアリティーショー大作戦』の概要と顛末を。
「そっか。それじゃあ仕方ないのかな。でも、元はと言えば軍曹がそんな作戦立てたからじゃない?姉ちゃんは真剣に夜早先輩に好きになって貰いたくてアピールしようとしてたのに、それを利用してお金稼ぎは酷いよ。ガンプラ禁止されても文句は言えないよ?」
「ゲロ…反省してるであります」
本心ではちゃんと応援もしていたが、金稼ぎの手段として利用したのも事実。冬樹を本気で怒らせたら夏美の比ではないので、一瞬ビクッとしながらケロロは頭を下げる。
リビングで一人カレーを食べていたクルルも今回のギロロへの処分については思う所があるようで、会話に入ってくる。それにしても今更ながらこの宇宙人達、好き放題している。
「2億人以上が観ていたLIVE配信だったからな。言い逃れはできねぇレベルのやらかしだ。本来ならケロン星への強制送還が大前提。よく降格で済んだな」
「本部にも本部の考えがあるのでありましょー。ま、降格って言ってもそれなりの手柄さえ立てれば即座に伍長に戻れるそうだから、心配いらないであります」
(……明らかに緩過ぎる。キナ臭え事になりそうだぜぇ)
「でも知らなかったよ。姉ちゃんと夜早先輩のカップリングって宇宙じゃそんなに人気なんだ」
「その分やらかしたギロロの炎上も凄いのでありますが」
ケロロは端末を取り出して、一部の宇宙掲示板のスレを日本語に翻訳して冬樹に見せる。
168:名無しの宇宙人
赤ダルマあいつほんとありえねー
169:名無しの宇宙人
相手の幸せ考えて身を引くくらいの度量はないのかね?
170:名無しの宇宙人
そんなんだから見向きもされねーんだよ。723ちゃんが四季君好きになった理由だって、ああいう優しい所だろ?
171:名無しの宇宙人
自分じゃ幸せにできないどころか、悲しませるだけって分かんないの?アンタ侵略者よ?
172:名無しの宇宙人
押し付けがましい一方通行の愛なんて迷惑なんだよ
173:名無しの宇宙人
このまま放置してたら結婚式もぶち壊されるぞ
174:名無しの宇宙人
よし、殺そう。誰かニョロロ持って来い
「今もバチバチに炎上してるであります」
「SNSの怖さは地球も宇宙も変わんないね」
ケロロに見せて貰った宇宙掲示板のスレを一部見て冬樹も流石に苦笑する。だがやはり冬樹としても姉のお相手ならばギロロではなく、四季が良い。四季なら夏美を間違いなく幸せにしてくれると確信しているからだ。
「やはりこの借金を一気に返済するならば夏美殿と四季殿のラブコメを利用するしか……。あんな事があったとはいえ、それでも二人の恋路が気になる宇宙人は大勢いるであります。いっそ本当に二人の結婚式を勝手に開いてしまえば……」
「軍曹……」
「今のやっぱ無し」
これ以上夏美の恋路で色々企めば確実に冬樹がキレると察したケロロは全面撤回。そんなやり取りを眺めていたクルルはスプーンを振りながら呆れ全開でどうせやっても失敗すると根拠を語る。
「どっち道無理だっつーの。前回のデートだって四季がリードしてただけで日向夏美の方からアプローチなんて碌にできてなかったじゃねーか。結局振られる方に2000円賭けても良いぜ?」
「ならば吾輩は上手くいく方に3000円賭けてやるであります!」
売り言葉に買い言葉。そんな事してる場合でもないのに、ポケットマネーでギャンブルを始めようとするケロロに夏美が洗濯物籠を叩きつけた。
「勝手に賭け事してんじゃないわよ!」
先日は勝手に宇宙中にデートを配信され、今度は結婚式とその配信を企画されて、どうせ失敗するからと却下した挙句にギャンブルに使う。これでもかと言うほどに自分の恋路を好き放題使われている事に怒らない訳がない。
洗濯物籠に押し潰されてピクピクしているケロロを放置し、好き勝手言って振られる方に賭けたクルルをジト目で見た後、少し不貞腐れたようにリビングを出る。
「……分かってるわよ。このままじゃ振られるだけって事くらい」
夏美がリビングから出るとすぐ復活したケロロはその最後の呟きの意味が理解できずに困惑する。
「ゲロ!?ど、どうしてでありますか!?あんだけあの手この手で楽しいデートを自分から企画したなら、脈アリどころか向こうが気があるレベルでは!?」
「隊長、アイツのクソボケ具合を舐めちゃあ命取りだぜぇ?それはあくまでも気遣いでしかねぇ。人に冷たくする事ができねぇ奴だからな。恋愛感情と簡単に結び付けると痛い目見るぜ」
「冷たくできないって……じゃあ556への扱いは?」
「アレはもう人認定されてねぇぜ。虫以下だ」
「……」
****
「とゆーわけで、まずは夏美殿と四季殿の間を取り持つ事を目的とした作戦会議であります。みんなでバーベキューとかどう?」
「賛成ですぅー!モモッチ達も呼んでみんなで楽しくやるですぅー!」
「そういう事なら、拙者も拒む理由なし。夏美殿の為にも全力を尽くすでござる」
日向家地下の侵略前線基地の会議室にて、ケロロが出した議題は侵略作戦とは全く無縁の夏美の恋路のお手伝い。タママとドロロはそれに乗り気であったが、この男は違った。
「貴様ら、
ギロロである。元々積極的に侵略活動を推し進めようとする彼は地球侵略とは無関係な上に夏美と四季をくっ付けようとする作戦などに手を貸すはずがない。
「え?それをチミが言っちゃいます?侵略の為の予算を確保する為の資金稼ぎの作戦を個人的な感情でぶち壊したチミが言うの?小隊に多額の負債を齎してケロン軍そのもののイメージを大きくダウンさせたチミが言っちゃいます?」
「ぬぐ…!」
だがここでケロロもここ最近のギロロの一番痛い所を突く。流石に何も負い目に思わない彼ではないので、何一つ反論できない。更にそこをドロロとクルルが追撃する。
「ギロロ殿。拙者としても、ギロロ殿が夏美殿に自分の想いだけを押し付けて、夏美殿の気持ちを汲まずに四季殿との仲を壊そうというのなら、看過はできぬでござる」
「ぐぐ……!」
「そもそも小隊が予算どころか借金返済に奔走しなきゃならねぇのも先輩が軍人として抑えるべき所を抑えられなかったのが原因だからなぁ」
「ぐぐぅ〜……!!」
「ナッチーの幸せの為に身を引く事を考える事をお勧めするですぅ」
「貴様に言われたくないわ!!」
同性でありながらケロロに情欲を抱き、恋愛関係を迫るタママには確かにギロロも言われたくないだろう。
だが何を言われようとケロロを力尽くでも手に入れると決めているタママはギロロの反論を三等兵の戯言と受け流す。
「シッキーはクソボケですけど、ちゃんとナッチーの幸せを考えてくれるです。てゆーか前にシッキー言ってましたよ。宇宙人の…それも良い歳こいたオッサンに欲情されるナッチーほど可哀想な人間は他に見た事が無いって。ホワイトデーにお返しでバウムクーヘン渡してたのもそういう事ですよ?」
ここぞとばかりに煽り散らすタママ。以前バレンタインデーで何故かチョコではなくいきなり団子を渡されて義理と判断してのお返しとして夏美にバウムクーヘンを送った意図まで説明する。当時の四季からの認識を知ったら夏美は泣いて良い。
「まぁ何が言いたいかと言うと、どうせ脈なんてこれっぽっちもないんだからさっさと諦めろって話ですぅ。性別は問いませんが、結局同じ種族同士の恋愛が一番なんですぅ」
「おじ様ー!」
(だからオメーもさっさとどっか行けや……!!僕の軍曹さんにこれ以上近寄るんじゃねぇぞコラ……!!)
さらっと自分の事は棚上げしつつ、怒りの矛先をギロロから今やって来たモアに一瞬で切り替えた。
「なんか……タママ、ギロロに当たり強くね?」
「タママ殿は夏美殿の恋路を人一倍真剣に応援していたのだから、ある意味当然でござろう」
ケロロとしては冬樹に諭された事もあって、流石に夏美に対しての申し訳なさと、せめてガンプラ禁止令を解除して欲しいという打算もあっての企画だったが、タママが思った以上にガチだった。
「おじ様宛にお手紙が来てます!てゆーか、返信必須?」
「手紙ぃ?また先日の配信の抗議状でありますか?」
モアから知られた一通の手紙。その内容を想像してげんなりするケロロ。先日の放送事故以来、それを咎める内容の連絡が多過ぎて、流石にケロロも嫌気が刺していた。
「ゲロォーーーーーーッ!?」
手紙を開き、中の便箋を読んだケロロは卒倒してしまった。白目を剥いて涙を流すその姿は非常に哀れだった。
「どうしたケロロ!?」
ギロロ達がケロロを心配する中、紙を拾い上げたクルルもそれを読み、珍しく表情を渋らせた。
「なるほど、本部が先輩を降格で済ませたのもこれが理由か」
流石のクルルも事態を重く見ていた。いつもの飄々とした態度ではなく、額に脂汗を滲ませている。
「い、一体何が書いてあると言うのだ!?」
「差押予告通知書だな。いよいよ宇宙裁判所からも借金の取り立てが来やがったぜぇ。差し押さえ対象はこの基地だ」
「な、何だと!?」
「タマァ!?」
流石に地上にある日向家は対象外とされたが、その地下に作ったこの違法物件はケロロ小隊にとって生命線とも言える。それが差し押さえられるという事は侵略活動そのものが停止せざるを得ない。
「要するにギロロ先輩のやらかしで小隊が数百億の借金を背負って、この基地まで差し押さえられるのに、先輩だけ左遷して後始末をさせねぇ方が無責任って考えたんだろう。隊長だけに返済をさせるのも酷だから責任持ってギロロ先輩も返済に協力しろってこった」
「ぬう……」
「想定以上にヤバい事態だぜこれは。基地そのものが差し押さえられれば設備も使えねえからいよいよこれまでのような大金を得る為の資金稼ぎもできなくなる。本当に数百億の借金をチマチマ返済しなくちゃならねぇから
つまりこの基地が差し押さえられる前に借金を完済しなければ詰むという事だ。本当に地球侵略どころではなくなる。
「あーあ、どっかの誰かさんのせいでとんでもない事になっちゃいましたねー」
「ぐ……」
やさぐれたタママから嫌味が飛ぶが、流石に自分のせいだと理解しているギロロは歯軋りするだけで反論はしない。
息を荒げ、泣きながら立ち上がるケロロは起死回生の二番煎じの策を告げる。
「最早我々に残された金策は一つ。ギロロ伍長、妨害は絶対に許されないでありますよ」
「今は三等兵ですぅ」
****
日向とのデートから一週間。僕は今日、日向家へと向かっていた。
遂にこの日が来てしまった。あの宇宙人達と接触するこの日が。
何故自ら日向家に向かうのかと言うと呼び出されたから。断ろうかとも思ったが僕を呼び出したのは日向ではなく、その弟の日向冬樹だ。
日向に告白された日の前日、僕にメールをして呼び出したのは日向冬樹だった。日向の告白のインパクトがあり過ぎて完全に忘れてた。
いや、それだけならば理由をつけて断る事もできた。でも日向冬樹からのメールの文面にはこう書かれていた。
『軍曹が夜早先輩に用事があるんだそうです』
宇宙人本人からの呼び出しだった。ここで下手な断り方をすれば本人よりもその部下の黄色いの辺りが無理矢理拉致って来そうなので、逃げ道がなかった。
覚悟を決めてインターホンを鳴らすと、出て来たのは日向だった。
「はーい。……って、よ、夜早くん!?」
「……冬樹君、いる?」
「いらっしゃい夜早先輩!」
姉の驚く声を聞き取ったのか日向冬樹……冬樹君本人が遅れて出て来て、家に上げてリビングまで案内してくれる。するとそれと一緒に正直まだ関わりたくなかったカエル型宇宙人が姿を現した。
「これはこれは四季殿。怪我をして入院したとは聞いていましたが、無事で何よりであります!」
やっぱり普通に話しかけて来たよこのボケガエル。その隣には真っ黒なおたまじゃくしタイプもいる。
「何だかクソボケ……シッキーと顔を合わせるのも久しぶりですぅー!」
「今クソボケって言った?」
理由はまぁ、クラスメイトの反応や日向の事で察しはつくけど、本人に向かって堂々とクソボケって言った?
ケロロ小隊のメンバーをどう呼んでいたのか分からないので、極力名前呼びしなきゃいけない話し方は避けないと。
クラスメイトの呼び名に関しては教師陣から聞けたけど、宇宙人達はそうはいかない。
「ボケガエル、アンタが夜早くんを呼び出したの?」
「何でも軍曹が夜早先輩に用があるんだって」
「それで、僕に用って何?」
絶対碌な事じゃないと思いつつ、尋ねてみればケロロが取り出したのは一つのトングだった。
「実は四季殿の退院祝いとして、吾輩達の方でサプライズバーベキューを企画させて頂いたのでありますよ。それにホラ、先日のギロロ襲撃のお詫びも兼ねて」
「バーベキュー?軍曹達が準備してくれたの?」
「アンタ達そんな事してたの?」
……?記憶喪失だから前者の方はそれを開く程親密なのかとかそんな疑問は敢えてスルーするけど、後者のギロロ襲撃に関してはなんでケロロがそんな事気にするんだ?
「サプライズでの企画でありますので、服もバーベキューに合わせたものではないでありましょう?油跳ねたり、煙が染みたりするといけないので、ささ…こちらの服に着替えて。夏美殿に冬樹殿も」
日向と冬樹君それぞれに別の服を渡して、部屋で着替えてくるように言ってリビングから押し出す。
そしてケロロが僕に渡してきたのは白タキシードだった。
「……何が目的な訳?」
あからさまに何か企んでる。少なくとも下心があるのは丸分かりだ。なんでバーベキューでこんなもん着せようとするんだよ。てか何するにしてもギリギリまで隠さない?予算ないの?
「なんでウェディングドレスなのよ!?」
廊下からは日向のツッコミが聞こえてきた。どうも向こうはウェディングドレスを渡されたらしい。ジト目でケロロを見つめたら、観念したのか溜め息を吐いた。
すると急にケロロが泣きながら僕の足にしがみついて懇願して来た。
「お願い四季殿!今すぐ夏美殿と結婚式を挙げてそれを有料配信させて欲しいであります!」
「何言ってんの!?」
僕は日向に対してその気は無いし、そもそも僕も日向も中学生なんだから結婚なんてできる訳ないだろ。
てか有料配信て。そんなん需要あんの?何処に流すつもりだよ。
「借金返済しないと地下の侵略前線基地も差し押さえられちゃうんであります!」
「借金!?」
悲報。ケロロ軍曹、借金作ってた。……いや流石にガンプラ欲しさにサラ金に手を出す程馬鹿じゃないと思ってたんだけど。認識を改める必要があるようだ。
「ガンプラ欲しさに借金しちゃったの?それはいくら何でも……」
「違うであります!全部あの赤ダルマのせいであります!」
「……君じゃなくて?ガンプラ買うお金欲しさに怖い人に借りたんじゃなくて?」
「吾輩そんなにそういう信用ないの!?ガンプラの為にそこまでする程馬鹿だと思われてたの!?」
ない。何ならケロン軍から支給される侵略予算を横領してガンプラ大量に買ってても驚かないよ。
それからも必死に言い訳するケロロは借金の経緯を説明してくる。何でも侵略の予算確保の為に新しく商売をして1000億程の利益が見込めたがギロロがトラブルを起こした結果、全額返金しなければならなくなり、それはそれとして宇宙へ利益を出した分の税金は支払わなければならず、結果、数百億の大赤字となったらしい。肝心の商売の内容は教えてくれないけど。
で、払えなければ日向家の地下に勝手に作った彼らの基地を差し押さえると宣告された訳か。
……こないだあの自称宇宙探偵のプータローを使って623とシーズとしての僕とサブロー先輩の正体を暴こうとした理由はそれか。ネットで掛けられてる曖昧な賞金を狙ったのか。どうせ顔だけ見たら支払いなんてしてくれないと思うけど。
「これでも身銭を切って返済に充ててるんだぜぇ。隊長の作ったプラモを売ったり、まだ手ぇ付けてない限定品をネットオークションにかけたりな」
「転売ヤーじゃん」
いつの間に隣にいた黄色いの……クルルが、ケロロがここ数日で受けて来た苦痛について語る。まぁケロロはコレクターっぽいし、それを手放すのは辛いだろうけどさ。
「で?なんでその為の金策で僕と日向を結婚させたい訳?なりふり構わなさ過ぎ」
「え、えーと…そりは……あ、あははは……」
急に歯切れが悪くなったな。
でも通りでさっきからギロロが物陰からめっちゃぐぬぬ顔で睨んで来てる訳だ。しょうがないじゃん、そもそも君人間じゃないんだから。僕がいなくてもカエルの君が日向をモノにするのは無理だよ。アニメでもどうせサブロー先輩とくっ付いて終わるでしょ。
「軍曹……駄目じゃないか。こんな事でお金儲けをしちゃいけないって言ったばかりなのに」
いつの間にかリビングに戻って来ていた冬樹君がケロロの背後に立ち、その頭を掴んでいた。
汗だくだくで固まったケロロは頭を掴まれたまま冬樹君に廊下へと連行されて行った。
「ご、ごめんね?夜早くん……ボケガエル達がまた馬鹿な事してて……」
少し恥ずかしそうにした日向が謝りながらリビングに戻って来た。その手にはさっきケロロに手渡されたウェディングドレスがあるが、ブライダルグローブに少し皺があった。……試しに着けたな?
これ以上
「日向……その、こないだの告白の件だけど……」
「……っ」
相手の家でこんな事言うのもものすっごい気が引けるけど、いつまでも先延ばしにしてられないし、期待させて焦らし続けるのも良くないだろう。
僕の返事を察してしまったのか、不安に押し潰されそうな表情になる日向。芋碁さんの時もそうだったが、罪悪感が半端ない。
「僕は……「振らせてたまるかぁ〜!!もう借金返済にはこれしかないのであります!!」」
冬樹君から逃げて来たらしいケロロがリビングに飛び込んで来た。
「余計な事をするな!」
するとすかさずギロロがバナナの皮を投げた。それを見たケロロの目が変わった。そういえばアニメでもこういうシチュエーションではケロロは必ずわざとバナナの皮を踏んですっ転んでたような……
「のああああ〜!?」
「ちょ、ボケガエル!?」
バナナの皮で滑り、足元に転がり込んでくるケロロ。まるでボウリングのようにすっ飛んで来たケロロが足に直撃し、バランスを崩して倒れ込む僕と日向。
咄嗟に僕は後頭部から倒れる日向の頭に手を回す。これで頭打ったら流石に不味い。そう思っての行動だった。
倒れそうになる日向の身体に引っ張られて、ケロロに足を取られたせいで不安定だった僕も覆い被さるように倒れ込む。
結果、倒れた僕達は唇を重ね、密着させていた。
「「!?」」
暫く僕も日向も二人して固まってしまい、その間ずっと口付けを続けていた事に後になって気付く事になる。
ゆっくりと互いに身体ごと遠ざかる事でやっと唇が離れるが、その際に互いの唾液による銀色の架け橋ができて心臓がドキリと跳ねる。
数秒遅れてボーッとしていた日向の顔がみるみる赤くなっていき、ボンっと蒸気を噴き出し始めた。
「……へあっ!?わ、わわわわ私、そ、そそそそその……夜早くんと……その………はふぅ…」
日向は目をグルグルにしてぶっ倒れた。仰向けに倒れた日向は今度は目をハートにして幸せそうな顔をして気絶した。リアルに目がハートになった人初めて見た。この世界じゃ珍しくないのかもしれないけど。
……ヤバい。自分でも顔の熱がハッキリ分かる。多分僕も今顔真っ赤だ。気を抜けば日向の唇を凝視しそうになる。
記憶失くす前の事が分からないから、実質的にこれが転生してからのファーストキスか……しばらく日向の顔をまともに見れそうにない。
ガタッ
物音がして、そちらを振り向けば冬樹君が物陰に隠れながらこっちの様子を伺っていた。多分元々はケロロを連れ戻そうとしてたんだろうな……。
「あ……その、えーと……お邪魔しました」
「……!!」
自分の家なのにそんな事を言ってその場を離れた冬樹君。
………完全に見られた。
「クククー♪今の一連の流れを有料で宇宙各地に提供すりゃあ、多少は稼げるぜぇ。悪く思うなよ。マジで」
「軍曹さん!ナッチーとシッキーのチューを見たギロロ先輩が石化して崩れて瓦礫になっちゃいました!」
「やっべぇよこれ!モア殿、接着剤持って来て!」
「てゆーか、失恋決定?」
「それも修行でござる」
「……ドロロ君、君一番酷い事言ってない?」
ギロロ:四季が振ろうとしているという大義名分があったのでこれ幸いにケロロを妨害した。結果、メンタルが死んだ。
はい、これでこれからは夏美の事意識しまくりです。コメント欄で土台固めとか言いましたが、良い加減アニメの話とかもやりたいのでセメントで固める事にしました。
と、思ったけどこれまだまだオリジナルになりそう。ホントそろそろ他のメインキャラ出したい。