ケロロ軍曹 転生して早々記憶喪失!? であります!   作:リボーン2期待ってます

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最近はケロロ小隊の借金問題ばかりなので吉祥学園の方にフォーカス当てます。全く誰だケロロ小隊に借金なんてさせたのは


夜早四季と吉祥学園

「リサっち愛しの夜早先輩いんじゃん?何と今日から本格的に部活の練習復帰だって!」

 

 廊下で話す一年生達の話題に日向夏美は思わず耳を傾ける。部活に顔を出していた事自体は知っていたが、練習参加が今日からなのは初耳だった。

 

「じゃ早速差し入れ用意しないと!アタックアタック!」

 

「ちょ、急に言われても……」

 

「何言ってんの!最近怪我して入院してたのもあって、夜早先輩に告白した人も結構いるんだよ!芋碁先輩とか、日向先輩とか。先越されてんだから、挽回していかないと!」

 

(うぅ〜、告白した事はクラスのみんなに知られてたけど、一年生にまで広まってる……)

 

 自分の名前が出てドキリとする夏美。しかし後輩達の会話の矛先は夏美ではなく、別の人物へと向かう。

 

「でもさ、結局一番のライバルはやっぱり東谷先輩じゃない?」

 

「確かにね。一番距離近いの多分東谷先輩だし。頑張んなよ。夜早先輩と付き合えるかに関しては結局東谷先輩に勝てるかどうかなんだから」

 

(ぐはっ!!)

 

 後輩の会話が矢となって夏美の心に突き刺さる。男女問わず人気の高い夏美だが、当の想い人である四季からは長い間サブローに好意があると誤解されていた事で全く恋愛対象として見られていなかった事は多くの生徒の共通認識だったと改めて突き付けられた。

 

「あんな事言われてるよ夏美。夜早君に告白したのにだ〜れも恋のライバルとしては夏美の事脅威に思ってないのよね」

 

「まぁ夏美のヘタレっぷりも有名だしね」

 

 同じく会話を聞いていた友人の師走さつきと霜月やよいは意図しないメンタル攻撃を食らって死にそうな顔になってる夏美を見て苦笑する。

 

「でも実際争奪戦で一番リードしてるのが小雪ちゃんって考えも間違ってないからね」

 

「小雪ちゃんも学校戻って来たし、争奪戦は激しくなりそうだよね」

 

「やっぱり、小雪ちゃんも夜早くんの事が……」

 

「そりゃあ、どう見てもそうでしょ。スキンシップ凄いし、夜早君も大分ドギマギしてたからね。多分一番意識されてるわよ」

 

 以前から何となく察してはいたが、やはり小雪も四季に想いを寄せているという事実を突き付けられて夏美は少なからずショックだった。仲の良い友達との女の戦いが始まるという事なのだから。

 

「うぅ〜小雪ちゃんとなんて戦えないよ……」

 

「言っとくけど、競争相手が小雪ちゃんの場合は私達はノーサイド。夏美の恋を見守って来た身としては上手くいって欲しいけど、小雪ちゃんだって大事な友達だからね」

 

 困ったようにさつきはやよい共々、夏美と小雪に限った場合の争奪戦でのスタンスを告げる。本人の言うように、夏美も小雪も大切な友人だからこそ、どちらかに肩入れはしないと決めていた。

 

(どうやったら小雪ちゃんみたいにグイグイアタックできるんだろ……)

 

 ケロロやギロロが乱入したり、事故でキスしたりとハプニングが重なってなあなあの引き伸ばしになってはいるが、本来夏美はとっくに振られているはずである事は自覚しているので、内心焦りが高まって来ている。

 

 例え振られたとしても四季を諦める事なんて夏美には()()()()。それを自覚しているからこそ、小雪の四季への数々のスキンシップを思い出して焦る。……自分も同じ事をされている点はスルーしている。

 

 夏美が校舎の窓から外のグラウンドの様子を眺めると丁度サッカー部が練習を始めようとしていた。その中には四季の姿もあった。

 

 

 

 

 

 

「これまで部活には顔は出していたが、今日から夜早も本格的に練習に復帰する!気を引き締めて行けよ!」

 

『はい!』

 

 退院して初のサッカー部の練習参加に四季は内心心踊っていた。サッカーに関しては前世からやっていた為、何故始めたのかも分からないラジオDJよりも断然思い入れが強い。

 四季のポジションはFW。それもチームの中心と言えるCFだ。オフェンスとディフェンスに分かれての実戦形式の練習に気合いが入る。

 

 何せ病院で目覚めたタイミングでは前世で死んだ時の記憶までしかなく、もっとサッカーがしたかったという悔しい想いがずっと残っていたのだ。今日その気持ちを全うできるのだから気合いも入るというものだ。

 

 同じFWやMFと共にパスを回しながらディフェンスを潜り抜けていく。この吉祥サッカー部の仲間とのプレーは実質初めてなのだが、不思議と合わせられる。身体が覚えているという奴だろうか。

 

 パスを素早く回し続け、最後にDFの裏に飛び出しての不意打ちシュート。キーパーを出し抜き、ゴールに突き刺さる。

 

(うっし!前世通りのプレーもできる…!腕は落ちてない!)

 

「怪我治ったばっかで今のシュートは凄えな……」

 

「あの撹乱は秀逸だわ……」

 

(やっぱりサッカーが一番楽しいな……今僕生きてるって感じ……!)

 

 サブローには申し訳ないが始めた理由すら分からないラジオよりもこっちの方が余程楽しいと思う。他人の反応を伺う必要のないスポーツはこれまで記憶喪失を隠す為に募って溜まりに溜まったストレスの発散にはベストと言えた。

 

「四季の奴、相変わらず良い位置取りしてシュート撃つよな。あいつ、大怪我したんだよな?しばらく練習もできなかったのにあんなできるもんか?」

 

「ブランクって程でもないし、レギュラー落ちはなさそうだな。エースの座奪うのはまだ先になりそうだ」

 

 そう言ったのはレギュラーではなくベンチの二人だが、四季の活躍に僻む事なく冷静に分析していた。それとは別に遠方から四季の練習を見学している女子達に目を向けて、先日の混乱した状態と比較する。

 

「しっかし、四季の奴が怪我して入院して大騒ぎになったのに落ち着いたもんだよな」

 

「退院した後も芋碁さんや日向が夜早に告って話題になったよな。漫研の山口がラブコメの主人公にできそうだとか言ってた」

 

「あいつ他人の批評ばっかで自分で描かねーだろ」

 

「おい」

 

 ふと背後から少しばかりドスの効いた女性の声が響く。振り向けば不機嫌そうに二人を睨む黒髪の美少女が立っていた。

 

「誰が誰に告ったって?」

 

「は……?いや、その……B組の芋碁さんとA組の日向っすけど」

 

 妙に圧を感じたので恐る恐る答え、それを聞いた彼女はギリ…と少しばかり歯軋りして、ツカツカと少し強い足取りでその場を去って行く。

 

「日向……あの女……抜け駆けしやがって……!」

 

 明らかな不機嫌状態となり、夏美に対して敵意すら滲ませているように見える。何か不味い事でも言ってしまったかとベンチのサッカー部員は焦り、同時に彼女の素性を知りたがる。

 

「誰だったんだ今の……?」

 

「えっ、何言ってんのお前。高等部の先輩だよ。ほら、俺らが入学した当初サブロー先輩との事で夜早とめっちゃ揉めたあの不良の……」

 

「マジ!?うっそ、変わりすぎだろ……あ、四季に惚れたのか。そら更生するわ。いやでもあんな変わる……?」

 

 もう一人の部員は彼女が誰なのかを察しており、説明するとその人物と結び付いたのか、不良の様変わりに一瞬驚くが、その原因があのクソボケである事を察して即納得。

 

「うっさいな!ずっと変わんないとか宇宙人だろそれ!」

 

 聞こえてたらしい。少々離れた距離から怒られた。

 

****

 

 この日、進路指導室にて、吉祥学園の教員が数人集まっての会議が開かれていた。議題は先日取った二年生の進路希望調査についてだ。

 

「夜早は……やはりそうですか」

 

 進路希望調査票を見て男性教員の一人が苦々しい顔をする。

 

 2年A組 夜早四季

 外部進学希望

 

 進路希望調査票にはハッキリと外部進学を希望する旨が記されている。その理由など分かり切っている。この学校では教員のみが知る極秘事項だ。

 

「ええ。やっぱり記憶喪失が公になる事を極度に恐れているようで……」

 

「……離れるのが一番確実という訳ですか」

 

「そして、それ以降はこの学校の知り合いとは二度と会おうとしないでしょうね」

 

 四季の外部進学については教師陣としてはなるべく避けたい事態だ。その為に学校側も全力で本人の希望に沿って彼の記憶喪失を隠蔽しているのだから。

 

「この学校の生徒の多くは大なり小なり夜早に影響を受けていますからなぁ。三年の北城も夜早と交流を持った事で不登校気味であった点も生活態度も周囲とのコミュニケーションも大幅に改善されましたし。高等部の天王寺も中等部にいた昨年までは荒れていましたが、今ではあの頃からは想像付かない程に……」

 

「夜早が介入した事で抱えていた問題が解決した生徒もいますし、孤立していた生徒も北城同様にクラスの輪に入れるようになりました」

 

「新聞部の問題行動も減りました。……一部を除いて」

 

 これだけの校内問題の改善を意識せずとも自然にやってしまう四季は学校を経営する側としても手放したくない生徒なのだ。

 女性教員の一人はそんな話に耳を傾けながらも、四季の入院当時の事を思い返す。

 

(でも夜早君は退院と同時に()()する事を希望していた……。それはどうしても記憶喪失を明るみにしたくなかったから。周りの人間が夜早君に違和感を持てば必ずバレてしまう……だから転校して強引に関係を切ろうとした)

 

「だからこそ、夜早には高等部卒業まで吉祥学園にいて欲しいのですが……仮に彼がいなくなってしまえば以前の状態に逆戻りしてしまう生徒も出て来るでしょう」

 

 四季が転校すれば生徒達も大きく影響を受ける。また荒れる者も出て来るだろう。サブローを筆頭に四季がいるから学校が楽しくなったと考えている生徒も多い。

 だからこそ、学校側の都合で転校しないように説得した。この学校は教師である自分達が思っている以上に四季の存在が大きい。

 故に学校側としては四季には是非とも内部進学をして欲しいのだ。記憶喪失後に個人的に行った学力テストでも内部進学に問題ない成績が出たので、学力面での心配はないのだから。

 

「本当に……夜早が全て思い出してくれれば外部進学する必要もなくなって全部解決するんですがねぇ」

 

「教師が生徒のプライベートにどうこう言うのも何ですが、女子生徒には夜早に好意を向けている子も多いでしょう。なのに夜早がその子達の事を綺麗さっぱり忘れてしまっているのはどうも不憫で……まぁ、当の本人は全く気付いていませんでしたが。特に日向に関してはどうして気付けないのか……」

 

「特に天王寺さんはあの不良スタイルは何処行ったってくらい健気ですもんね〜。何かと理由付けて夜早君に会う為に中等部に来るくらいですし」

 

「ははっ。今日会いに来てたりして……」

 

 途中から脱線して生徒達の恋愛事情を話の種にして談笑を始める様は本当にお前ら教師かと突っ込みたくなるが、この話をきっかけに一人の男性教員がある事に気付いた。

 

「……不味い、夜早に天王寺の事を説明していなかった……!」

 

****

 

 教員の予感は的中していた。練習が一段落して、休憩時間になったタイミングで一人の高等部の女子生徒が照れ臭そうにその艶がかった黒髪を弄りながら、四季へと話しかけた。

 

「よ、ようっ!夜早。入院してたんだって?」

 

(やべぇ……誰だこの人……)

 

 記憶喪失なので四季には当然目の前の人が誰なのか、自分とどんな関係なのか分からなかった。

 

 彼女の名は天王寺麻美。今年から吉祥学園の高等部に上がった先輩なのだが、記憶のない四季がそんな事知る訳なかった。

 麻美は若干もじもじと顔を赤くしながら、先程人伝に聞いた話の裏を取ろうと質問を切り出す。

 

「お前さ、日向と何かあった?」

 

「へ?」

 

 ここで出された夏美の名前に呆然とする四季。何故自分との会話で夏美の名前が出るのかと思い、そういえば夏美は校内でも男女問わず人気のある人物だと教師に聞いた事を思い出す。瞬間、四季の脳内に電撃が走る。

 

(まさかこの人、東谷さんと同じパターンか!?日向の事が!?)

 

 もうお前分かっててわざと言ってんじゃねぇのってレベルで間違った結論を導き出し、目の前の人を百合判定した。最近何人も告って来たのなら目の前の相手も自分にそういう感情を向けているとは思わないのか。徹底したクソボケ振りである。

 

(不味いぞ……この人ちょっと荒っぽそうだし、東谷さんと同じで同性でありながら、日向に好意を持っていて尚且つギロロみたいな恋敵は力尽くで排除しようとするタイプの可能性が……下手な事言ったらボコられるかも……)

 

 何せ既に夏美から告白され、事故とはキスまでしてしまっているのだから……と、そこまで考えた瞬間、夏美とキスした時の感触がフラッシュバックし、みるみる顔が真っ赤になった。

 

(日向あいつ……!抜け駆けして夜早に何しやがったぁぁぁぁっ!!)

 

 女の勘は鋭いもので、夏美と四季との間に告白以上の何かがあった事だけは麻美も察し、夏美への嫉妬と怒りを募らせる。

 その様子を見て、何となく不味いと察した四季は休憩時間がそろそろ終わる事にも気付き、それを口実にその場を去ろうとする。

 

「あ、その……じゃ、そろそろ練習再開なんで……」

 

「あ、ちょ……」

 

 夏美との事を尋ねはしたが、本当はいつものようにただ話がしたかった麻美は呼び止めようと手を伸ばす。

 

「四季くーん!!」

 

「うわっ!?」

 

 それを遮るかのように上から飛び降りて現れた小雪が正面から四季に抱き着いた。スリスリと身体を密着させて甘える様子を見せる小雪と驚きながらも明らかにドギマギしてる四季を見て麻美は固まった。

 

「練習お疲れ様です!終わったなら夏美さんも誘って一緒に帰りましょう!三人で!」

 

「あの、東谷さん?空気読んでくれませんかね……?あと練習終わってないから」

 

「……いきなり現れて何してんだコラァァァァッ!!」

 

 我に返った麻美は目の前で惚れた男に抱き着く見知らぬ女に怒鳴り散らす。

 天王寺麻美は記憶を失った四季からは沸点の分からないキレたら怖い人と認識されるのであった。




プロフィール開示

夜早四季(記憶喪失後)
誕生日:7月23日
血液型:A型
所属:吉祥学園2年A組
職業:中学生兼ラジオDJ
部活:サッカー部
好きなもの:サッカー
嫌いなもの:今の自分
尊敬する人:????(前世の関係者。ぶっちゃけ死に設定)
好きな食べ物:鰯の刺身
嫌いな食べ物:一人で食べる食事
得意科目:英語
苦手科目:理科
特技:アドリブで人の話に合わせる(やる度に心が抉れる)
最近泣いた事:病院で目覚めた日。本当は毎日泣きたい


天王寺麻美
一応サブローの回想で登場済。モアちゃんの擬態の元になった子。アニメと原作ごっちゃの影響で年齢とか学校とかの設定が変わってる。睦実(サブロー)と同じ学校という設定を拾ってこの世界では吉祥学園の高等部に通う先輩という事になった。色々あって夏美とも面識あり。
今の姿は原作26巻で再登場した際の普通の肌色の黒髪セミロング。不良から足洗った理由?クソボケに脳焼かれて恋する乙女になったからです。
脳焼かれたのはサブローの一件とはまた別件。

四季
モアちゃんが二つの姿を使い分けている事は知ってるが、それがグレてた頃の麻美とは知らない。というか麻美と出会った頃にはただでさえほとんどない原作知識が更に埋もれていたので、モアちゃんの事自体忘れていたから麻美を見ても特にリアクションはなかった。

モア
これまで出てもほぼ空気になっているが、夏美、サブロー、四季は先に麻美の方と面識があった為、出会った当初は驚かれた。
空気になってんのは書きづらいだもん。

記憶失くす前のアニメエピソードならどれ読みたい?

  • 夏美関係
  • サブロー関係
  • 小雪関係
  • クルル関係
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