あと数話です
ゆっくり書いていきます
「なんや、解放された気分やわ」
はやてがうんと伸びをしながら、気分よくそう言った。
教室に荷物や上着を置いてこざるを得なかった二人は、バリアジャケットをそうと分からないように上着として羽織り、今は河川敷を進んでいる。
さほど天気がいいとは言えない空模様だったが、出歩くのに不自由ない程度の曇空ではあった。晴れてたらなと、ユウは少し残念に思う。
「シャマルに連絡入れとかんとなあ……あ」
スマートフォンを操作していたはやてが、何かに気づいて声を漏らした。
「どうした?」
「うーんと……」
言葉に詰まるはやての反応を見て、ユウはスマートフォンを覗き見る。
アリサから、どこにいるのかと再三の脅迫文。
すずかから、どこにいるのと再三の問い合わせ。
フェイトから、大変なことになったかもと謝罪のメッセージ。
なのはから、ゆうくんはフェイトちゃんをやり捨てた二股クズ男になったとの事実報告。
全て把握したユウはなるほどと呟きを一つ。
「明日から普通に登校していいのか、これ?」
「まあ、ええんちゃう? 人の噂も七十五日言うし……」
「一日しか経ってなくね?」
「変わらんやろ。一日も七十五日も」
「お前も噂の中にいるんだぞ。浮気相手さん」
「そうみたいやな。フェイトちゃんをやり捨てたクズ男さん」
互いに皮肉を言い合い、溜息を吐く。
返信をどうしようかと悩むはやては、そう言った素振りを一切見せないユウを怪訝そうに見た。
「私にはこんなにメッセージが来てるのに、ユウ君の携帯電話は静かやな」
「電源切ってるからな」
「その手があったか!」
シャマルに学校をサボったことを伝え、大急ぎで電源を切るはやて。
これで落ち着いて散歩ができると内心胸をなで下ろした。
「これで安心やな」
「そうだな」
実際は先延ばしにしただけではあるけれども、二人ともあえてそこには触れず歩を進める。
「いやー。こうしてユウ君と二人で歩くのも久しぶりやなあ」
「ああ……あの頃のお前は車いすに乗ってたな……」
「懐かしいなあ。今では元気いっぱいや」
昔、はやての身体が蝕まれていたころ、二人はよくこうして散歩に出かけていた。
図書館に行ったり夕飯の買い物に出たり、二人しかいない世界ではあったが、穏やかな日々だった。
「あの図書館も、もうしばらく行ってへんなあ。ユウ君は?」
「俺も行ってない。本も読まなくなった」
「私はまだ読むで。数は減ったけれども」
家に積まれている本を思い出しながらはやては言った。
たまに寄る本屋で買う新刊本。読もう読もうと思いつつ、忙しさにかまけてほとんどページを捲れていない。
二か月後、ミッドチルダに移住することを考えたら、読まずに終わるかもしれないとはやては思った。
「ユウ君、本いる?」
「いらない」
「もう読まれへんの?」
「はやてが読んでたから俺も読んでただけだし。だいたい、夏目漱石やら二葉亭四迷やら、小学生には難しい本ばかりだった。実際のところ、読んだふりをしてただけだったかもな」
そんなものかとはやては思う。
はやてにとって、読書は新しい世界を知れる唯一の手段だったから、難しいと感じたことはない。合う合わないはあったけれども。
「しっかし、本当に懐かしいわあ。ユウ君に会ってから、人生いい方向に転がり出したしなあ」
「図らずもお前を幸せに出来てたみたいで嬉しいよ」
「なのはちゃんとすずかちゃんにも会えたしなあ。ほんま、幸運の女神さまや」
拝んどこと両手を合わせるはやてに、ユウは嫌そうな顔をした。やめろよと口数短く言う。
親がいないからと引き合わされた二人は、異性ではあったものの、さほど間を空けずに仲良くなった。
あるいはそれは共依存だったのかもしれない。
寄る辺のない身の上同士、傷心を舐め合うのにこれ以上なく相性が良かった。
ユウはあれこれとはやての世話を焼き、はやてはユウのためにと料理の腕を磨いた。あの頃ほど通じ合っていた時期はないとはやては思う。
やがて、親がいないならどこに住んでも変わらないと、二人は一つ屋根の下に住むようになり、そして闇の書の事件が起こった。
「たまに思うんよ」
はやては呟く。
「もし、あのまま闇の書なんてないまま二人で暮らしてたら、どうなっとったんやろかって」
「……そうだなあ」
もし、闇の書がなければ。
その時は、はやては身体を蝕まれることもなく、健やかに過ごしていただろう。親はいなかったかもしれないが、遠い親戚にでも引き取られて、少し不幸な女の子として平和に暮らしていたはずだ。そうすると、ユウと出会うこともなかった。
そのことは二人ともわかっている。
分かっていて、ありえない空想に浸る。
「今もこうして二人で歩いていたのは間違いないな」
「私は車椅子に乗って、ユウ君に押してもらって」
「今日の夜はあれが食べたい、これが食べたいって俺が我が儘を言って」
「私が頭を悩ますわけやな」
はやてがくすりと笑う。
今でさえ、ヴィータが献立について我が儘を言うことがある。言う人物が変わるだけで、それ以外はあまり変わらないのかもしれないと思った。
「闇の書がないっていうのが魔法がないって意味なら、フェイトとも会えなかっただろうな」
「あ……そっか……」
「当然、ヴォルケンリッターもいない」
「そうやな……」
「今の方が幸せだと俺は思うよ」
それはそうだとはやては同意する。
身体は治り、家族が出来て、友達も出来た。辛い別れもあったけど、それでも今は幸せだと胸を張って言うことが出来る。ただ一つ、不満があるとすれば……。
「ま、良いことも悪いこともある言うことやな」
「悪いことなんかあったか?」
「あるで」
「例えば?」
「召し使いがおらへんことやな。私の言うことに一々口を挟まない、従順な召し使いさんがおらへん。これは残念なことやで」
「ほほう……。ちなみにその召し使いの名前はなんて言うんだ?」
「ユウ君」
「聞いたことあるなあ。ひょっとして同姓同名かな?」
「ユウ君より可愛くて、ユウ君より聞き分け良くて、ユウ君より頭の良い召し使いさんや」
「へえ。そんな都合の良い子がこの世界にいるんだなあ。今度紹介してくれよ」
「別にええけど。そのためにはユウ君もうちょい頑張らんとあかんなあ。なにせ今のユウ君は、可愛くなくて、素直じゃなくて、頭悪いからなあ。最悪やで」
ユウは微笑みを浮かべた。
応じて、はやても笑みを作る。
「やっぱり俺のことじゃねえか! 妄想にかこつけて人の欠点悪し様に言いやがって!」
「嫌やなー。別にユウ君のこと悪く言うつもりはあらへんよー。ただ召し使いさんのこと言うとるだけやないのー」
はやては否定こそしたものの、その白々しさは隠せたものではない。そもそも、隠すつもりなんて一切ない。
「ああ、そうですか。まあ、俺は可愛くなくて素直じゃなくて頭悪いからな。仕方ないね」
不貞腐れたようにそっぽを向いたユウに、はやては若干の罪悪感を抱く。言い過ぎたかなと反省する。
「ごめん、ユウ君。ちょっとした冗談やないの。そない怒らんといて」
「怒ってはないけど……」
そう言いつつ、ユウは溜め息を吐いて何かを飲み込む素振りを見せる。
やっぱり言い過ぎてたなと、はやては昼食をご馳走して機嫌をとることに決めた。
「今の話じゃないけども、はやては誰か良い人はいないのか?」
「なんや突然。自分がフェイトちゃんに告白されたからって調子に乗るもんちゃうで」
「告白はされていない。あれは違う。きっと違う」
「まだ認めへんのかい。仮にそうだったとしても遅かれ早かれやろ。男らしく受け止めえや」
ユウはその場に頭を抱えてうずくまった。
はやてもその横でしゃがみ込む。
「どしたん? 話、聞こか?」
「……仮に告白されたら、断るしかない。そうしたら、またフェイトが泣く」
「泣かせてたんか……。でも、断る言うことは、フェイトちゃんのこと好きやないってことなん?」
「そういうわけじゃない」
意味が分からず、はやては首を傾げる。
「別に、フェイトのことが好きじゃないわけじゃない。むしろ好きだ。でも、そうするとアリサを裏切ることになる」
「……え、ユウ君とアリサちゃん付き合ってたんか!?」
「付き合ってない」
全くもって意味不明だと、はやては頭を捻る。
「でも、アリサと先に約束してたから、そっちを優先しないと……」
「ちょい待ち」
整理する。
ユウの言っていることとその時系列、判断基準。
そして一番大事なことを聞く。
「ユウ君はアリサちゃんのことが好きなん?」
「まあ、好き」
「フェイトちゃんよりも?」
「いや、同じぐらい」
「あ……」とはやては声を漏らした。
「も、もしフェイトちゃんに告白されて、それでこう言われたらどないするん? 私とアリサどっちが好きなの?って」
「どっちも同じぐらい好きって言うしかないんだが……」
「……あかん。拗れる」
少なくとも一度振られているフェイトが改めて告白しようとしているのだ。
今度は完全に白黒つくまで諦めることはないだろう。
そうなると、白黒つけなければならないユウ本人が、そのような戯言を吐くわけだから、これは大変なことになりかねない。友情など吹っ飛んでしまうのではないかと、はやては危惧した。
深呼吸をし、気持ちを追いつかせて下手人に言い聞かせる。
「あのなユウ君。ユウ君には選ぶ義務があるんや」
「この話、やめないか」
「逃げんな!」
はやては激高する。
胸ぐらを掴んで前後に揺すった。
「選べ選べ選べ! 選ばんかい! 今選べ! どっちが好きなんや! どっちや!?」
「……」
「黙んな! 喋れっ!」
「うるせえ! 俺だってわかんねえよ!」
執拗な追求にユウは逆ギレする。
「そもそも好きって何だよ! 教えてくれよ!」
「そ、そこからか……」
「俺はフェイトもアリサもすずかもなのはも好きだよ! お前のことも好きだ!」
はやては掴んでいた手を放した。
二人そろってその場に腰を下ろす。河川敷に人の姿は少ないが、ないわけではない。
「あー……うー……」とはやては唸る。
「なんや……。ユウ君はお子ちゃまやったんやなあ……」
「……もう、それでいいよ」
諦めたようにうなだれるユウに、はやては何も言えなくなった。はあとため息を吐く。
「自分の気持ちに素直になればいいだけやん。なしてそれが出来ひんの?」
「俺の素直な気持ちは今しがた言っただろ」
「救いようがないわ」
身の回りの女の子を全て同列に好きだと言うのは、どう考えても女の敵のそれでしかない。
これでモテないのであれば冗談で笑えるのだが、実際に告白されている人間がそれを言うのだから、人間関係を破壊しに来ているとしか思えない。
「どないしよか……どっちか選べないなら、いっそどっちも選ばないって手もあるか……」
「……なに?」
ユウが顔を上げる。
フェイトを選ばない。アリサも選ばない。そうするとどうなるのか。
「フェイトちゃんの紐にならん。アリサちゃんと同じ学校にも行かん。イーブンやん」
「なるほど……その場合、俺の進路はどうなるんだ?」
「まあ、全然別の学校行ってもいいし、働いてもいいんちゃう? ユウ君かて魔導士やろ」
真面目に考え込むユウを見ながら、はやても考え込む。
フェイトに告白された時、それを断る。恐らくどちらが好きなのかと言う話になるので、皆好きだと言う。フェイトの提案を断る代わりにアリサと同じ学校にも行かないと告げる。……これは間違いなく拗れる。
「やめや。ユウ君、今のなし。ダメ」
「は? いや、ちょっと今考えてるところ……」
「ダメや! 私がダメって言っとんねん! 言うこと聞かんかい!!」
はやての気迫に負け、ユウは頷いた。
「どうしたらいいんだ……」
「まあ、まだ少し時間あるし、考えるしかないやろ。その内良いアイデアが浮かぶかもしれへん」
何も思いつかないなら先延ばししかない。下手に答えれば拗れるのだから。今までそうしてきたように、出来る限り延ばす。先のことはその時の自分に任せてしまえと言う暴論だった。
「一応聞いとくけど、他にはおらへんな? 他には告白されてないんやろ?」
「……ない」
「その間はなんや?」
「なんもねえよ! もういいだろ! 何があったって答えは一緒だ! 選べない! 以上!」
「開き直りおった……」
これ以上話しても何もいい案など浮かんできそうにない。
追求すればするほど恐ろしい事実がポロポロ出てきそうな気配もあり、二人は歩き出す。
「話は戻ってお前に良い相手はいないのかと言う件だが」
「恐ろしいほど戻すやん。目を背けてもなかったことにはならへんで。私のことより自分の心配せえや」
「俺だって少し話したんだからお前も話せよ。誰かいないのか」
良い人なあ、とはやては考える。
学校の知り合い。管理局の同僚たち。男と言うだけで顔は無数に浮かぶが、その中で気になる人間はいない。
「……管理局にもいないのか?」
「歩くロストロギアに恋する男の子なんておるわけないやん」
「それよく聞くけど、はやては別にロストロギアじゃないだろ。普通の可愛い女の子だ」
ひくりとはやての頬が引きつる。
ふーっと息を吐いて気持ちを落ち着かせる。
「……ま、今は仕事が忙しくて恋愛に現を抜かしてる暇がないねん。落ち着いたら考えるわ」
「お前だけ他二人と比べて出世速度が異常なんだけど、いつ落ち着くの?」
なぜユウが出世速度など知っているのか。はやての脳裏にリンディの顔が浮かぶ。
「まあ、その内? 心配せずとも大丈夫や。自分のことは自分で何とかするさかい」
「残りの人生をみんなの幸福のために使おうとか思ってる奴の言葉は信用できないんだよね」
どの口が言っているのだろう。
はやては内心腹立たしくて仕方がなかったが、何とか口には出さず腹の中に抑え込む。
「仲人気取りか? 時代錯誤も甚だしいで」
「お前を幸せにするためならどんな手でも使うさ」
「もう十分幸せや」
「幸せに十分なんてないよ」
「足るを知るとも言うやろ?」
「あればあるほど欲しくなるのが人間の本質じゃないか」
「そして欲深で傲慢になっていくんやな。私はそない小汚い人間にはなりとうないわ」
「人に迷惑をかけず、最大限の幸せを得るのが足るを知るってことだと思う」
ああ言えばこう言うなとはやては思う。
お互いさまではあるのだけど、打てば必ず響く様には小気味よさすら感じられる。
「なら私はもう最大限の幸せを得てるわけや。家族がいて、足も動く。友達もたくさんいて、仕事だって順風満帆。夢に向かって邁進中。これ以上の幸せはないやろ」
「人並みの幸せって感じだな」
「ええやん。ダメなん?」
「ダメじゃないけど、でも、もっと求めていいと思う。はやては普段、色々我慢してそうだし」
その言葉に押し黙る。思い当たるところはたくさんあった。
内心を隠して会話を続ける。
「そう言われてもなあ。思い浮かばないんよ」
「だからこっちでサポートしてやるって言ってんだ。まずは男の子。それが嫌なら女の子でもいいぞ。偏見はない」
「おっと。私は女の子にはうるさいで。まず胸はフェイトちゃん、愛嬌はなのはちゃん。お淑やかさはすずかちゃんで、ツンデレ具合はアリサちゃん。全てを満たす女の子を連れてきいや」
「いねえよ。そんなのは」
二人で笑い合う。
ひとしきり笑って、ユウが続ける。
「で、好みのタイプは?」
「……続けるんか」
「もちろん。お前は無茶するタイプだし、ヴォルケンリッターも主従関係だ。いざと言う時に抑える人がいてほしい」
「……ふーん」
好みのタイプなんて、そんなのは考えたこともない。
はやては少し考えて、ユウに念を押す。
「一応聞いとくけど、本気言うことでええんやな?」
「ああ」
「後悔せえへんな?」
「うん」
「あとで聞かなかったって嘆いても遅いで」
ユウは頷く。
はやては溜息を吐く。そうまで言うなら教えてやろう。私の好みの男の子を。
「ええか。一回しか言わんへんからな。聞き逃さんように注意せえよ」
ユウがポケットからメモとペンを取り出す。
用意が良いなあと、はやては少し呆れる。
「まず一番に、優しいことやな。私もたまーに茶目っ気が出るんやけど、それを笑って許してくれる子がええな。別に怒ってもいいけど、ちゃんと仲直り出来る子。ご飯とかで機嫌直してくれたら扱いやすくて嬉しいわあ」
ペンを走らせる音が聞こえる。
今のはやての言葉を要約すると、優しくて単純で扱いやすい性格。
「次に助けてくれること。昔、車いすに乗ってた頃は色々と苦労したもんやけど、そういう困った時に必ず助けてほしいんよ。もちろん私も助けるんやけど、支え合うと言うか寄り添い合うと言うか、そういう感じやな」
ペンが動いている。
「命がけで私のこと守ってくれたり、倒れた時は心配して泣きそうな顔してくれたりな。リインフォースがいなくなった時も一緒に泣いたなあ。裏でみんなとコソコソしてた時はちょっと頭に来たけど、でも結局しゃーないなって思ってもうた。だって私のためにやってくれてたんやから」
メモを取る音が聞こえる。
「その子はいっつも自分のこと蔑ろにして、他人のことばかりで心配なんよ。いつか、私が知らんうちに死ぬんやないかって、どこかに行ってしまうんやないかって不安なんよ。だからもっと養生してほしいわ。自分の幸せを考えてほしいんよ」
ペンは動いていない。
メモを取る音は聞こえない。
はやてはにこりと笑って問いかける。
「メモ、取れた?」
「ああ……」
ユウはたった今自分が書いたメモを見ながら問い返す。
「他に何かあるか?」
「他? 他かあ……」
じっとユウの顔を見つめながら考える。
「うーん……とりあえずそんなところかな。また思いついたら教えるわ」
「そうか」
沈黙。そして戸惑い。
少しの逡巡のあと、遠慮がちにユウは聞く。
「好きな人の話だよな?」
「せやで? どっか分かりづらいところでもあった?」
「いや……」
ユウは空を見上げ息を吐く。
それから自嘲気味に尋ねた。
「その男の子、もしかしたら可愛くなくて素直じゃなくて頭悪いかもしれないけど、それでもいいのか?」
「ええよ。可愛いやん。好きやで。そういうところ」
ユウはメモ帳で顔を隠すように額を叩く。恥ずかしかったのかなとはやては思った。
「頑張ってなユウ君」
「……何を?」
「さあ、何をやろうか……」
意地悪なことを言った。はやては笑う。
「さあ、お昼ご飯の買い出しに行くで。何食べたいか言いや。作ったる」
「……じゃあ、もう、炒飯食わせろ」
「もっと手のかかるものでもいいのに、ユウ君は遠慮しいやね」
「今は本当にそれが食べたいの」
二人は笑い合いながら歩いていく。
昔、はやてが車いすに乗っていた頃と同じように。