右眼に邪神を宿せし者   作:名も無き叛逆者

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 前回までのあらすじ

 激化する叛逆軍と|救世主の戦い。ハルフィアの策略によってシアン達と分断されたエデン、彼はそこで待ち構えるレーゼベッテとの戦いに勝利し、彼を殺害する。
 一方その頃、シアン達の戦いも終局へと向かっていた。


第6話 邪道

 恐ろしいほど強固なハルフィアの包囲網。

 

 絶え間ない騎士たちの攻撃によって、シアンは息も絶え絶えになり、限界に近づいている様子だった。

 

 シアンはハルフィアが張った護盾(アイギス)を破ることができずに、騎士たちの攻撃を受け流していく。

 

 すべての攻撃を防ぐことができず、シアンの傷は増えていく一方だ。

 

 それ故、騎士たちの勢いは衰えるどころか増すばかりで、シアンの採れる選択は減る一方だ。

 

(強情だな。この包囲網が組まれてから、既に10分経過している。それまで一切顕力を使わないとは。何を狙っている?時間稼ぎなのか。だがしかし、そうなれば奴の体力が限界を迎える方が先だ)

 

 ハルフィアは思考し続ける。

 

 もし今の状態がシアンの策略通りなら、ハルフィアは敗北してしまうだろう。

 

 ハルフィアはシアンの行動を思い出す。

 

『—引継(テイクオーバー)—』

 

 その言葉と同時に、紅い刀がシアンの胸部から顕現した。そして心臓にできた火傷痕。

 

 この摩訶不思議な現象が、ハルフィアの心を大きく乱す。

 

(奥の手だろうか。そうならば、このまま顕力を消費し続けるのは、不味いのではないだろうか)

 

 神域が解除されるまで5分程度。

 

 シアンの体力を削りきれずにいることも相まって、ハルフィアに焦りが募る。

 

(やはり、待ち続けるのは危険だ。今ここで決着をつける)

 

 そう判断したハルフィアは少しずつシアンに接近する。

 

 そして懐に入った瞬間、渾身の一撃を繰り出す。

 

「神罰奥義—断罪の剣(ジャッジメント・セイバー)!」

 

 今まで護盾(アイギス)によって無力化された攻撃が、神剣アテナに装填される。

 

 その攻撃に込められた重さ、速さ、破壊力。それらを利用し、ハルフィアは回避不能の突きを繰り出す。

 

 避けられないと悟ったシアンは槍先で攻撃を受け止める。

 

 シアンは槍と一体に動き衝撃を全身に分散させるが、そのあまりの威力に体中が悲鳴を上げる。

 

 シアンを追い詰めているのは、今までハルフィアの盾を破るために行使してきた彼の力だったのだ。

 

「このまま押し切る!」

 

 ハルフィアは更に力を込めて槍を突き出す。

 

 確実に追い詰められるシアン、ハルフィアは勝利を確信する。

 

 しかし、その確信を打ち砕くようにシアンは口を開いた。

 

「待っていた。貴様が接近するこの時を」

 

 シアンは残った顕力を全て一点に集中させ、最強の奥義を放つ。

 

「零竜奥義-黎零冷破(れいれいれいは)!」

 

 絶対零度の冷気が螺旋を描き、吹雪として槍先から放たれた。

 

 その災害のような吹雪はいとも容易くハルフィアの奥義を相殺してしまう。

 

「馬鹿な!」

 

 しかし、吹雪の勢いは止まることなく、ハルフィアに襲い掛かる。

 

護盾(アイギス)!」

 

 ハルフィアは神域を解き、盾を顕現させる。

 

 守護という概念そのものを具現化した盾、簡単に破ることは出来ない。

 

 しかし、そんな理を嘲るかのように吹雪は吹き荒れ続ける。

 

 高速で回転する冷気によって盾は削られ続け、もろくなった部分からひび割れる。

 

 ハルフィアも負けじとひび割れた部分を修復する。

 

 激しい攻防。巻き起こる吹雪。神域が解除された今、騎士たちは見守ることしかできなかった。

 

 シアンの顕力が尽きるのが先か、ハルフィアの顕力が尽きるのが先か、戦いの決着は持久戦へと持ち込まれる。

 

「叛逆か、貴様の言い分も解る。それ程までにこの国は腐っているからな」

 

 ハルフィアは苦悶の表情を浮かべながら言う。

 

「だが、そんな方法では真の平和は得られない!」

 

 ハルフィアの思いに呼応し、護盾の硬度はさらに上がる。

 

「正しい方法でこの国を正す」

 

 これがハルフィアの目的、方法は違え彼女とシアンは同じ志を持っていたのだ。

 

「そのために、ここで負けるわけにはいかない!」

 

 そして、ハルフィアはエデンの眼を鋭く見つめる。シアンの思いを知るために。

 

「理想論だ」

 

 シアンがそう呟くと同時に、護盾は凍結する。

 

 彼の眼は、深き深淵に支配されていた。

 

「理想を実現させたければ力を示せ。邪道を行く者を捻じ伏せる力を!」

 

 凍結した物体は柔軟性を失う。衝撃を分散させる力を失った結果、護盾は粉々に砕け散った。

 

 想定を超えた現実に、ハルフィアは硬直してしまう。

 

 それと対照的に、シアンの槍は無情に突き進む。

 

 その槍がハルフィアの肉体を貫く寸前、

 

「ハルフィア様!」

 

 ゼンはシアンが出した吹雪を乗り越え、背後からシアンに斬りかかった。

 

 シアンは素早く地面を蹴って体を翻し、回りながらゼンの双刀を叩き割る。

 

零冷撃(れいれいげき)!」

 

 そのまま間髪入れず冷気を絞り出し、槍に纏わせて重い突きを繰り出す。

 

 ゼンが反応できないまま喉を貫こうと槍が迫る。直撃すれば、ゼンは間違いなく死ぬだろう。

 

(ハルフィア様を護れたなら悔いはない)

 

 ゼンがそう覚悟した瞬間、

 

「降伏する!」

 

 ハルフィアは敗北を宣言した。

 

 シアンはその言葉を聞き、槍の動きを止める。

 

 その槍先はゼンの首の薄皮一枚を貫いており、鮮血が滴っていた。

 

 そしてシアンは武器を収める。

 

「ですが、ハルフィア様」

 

 ゼンは理解していた、救世主(メサイア)の降伏は裏切りに等しいことを。

 

「構わない、私に奴を捻じ伏せられる力がなかっただけだ」

 

 ハルフィアは冷静さを保たせている。

 

 しかし、その心の中には炎が燃え上がっていた。

 

「おいテメェ!俺から逃げんじゃねぇ!」

 

 先程までゼンの相手をしていたセツナがようやく到着する。

 

 ゼンに攻撃するために構えるセツナにシアンは手で制する。

 

 セツナは渋々刀を収めた。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

「我々は撤退する。叛逆者共に屈しない者は我々と共に来い」

 

  ハルフィアが降伏を宣言したことにより、ハルフィアに従う騎士たちと、更なる報復を恐れる者たちは宇宙艦に乗っていく。

 

 その中にはミハルの姿もあった。

 

「シアン、やり切ったんだな」

 

 終戦の後合流したエデンが、シアンに語り掛ける。

 

 彼等は人々が宇宙艦に乗り込む姿を眺めていた。

 

「ああ。だが、これで終わりではない」

 

 その中には不安に満ちた顔をする者や、泣きじゃくる子供が大勢いた。

 

「俺達がこの世界を変える度、その(しわ)を寄せられる者は少なくない」

 

 そう語るシアンの声色は、少し寂しそうだった。

 

「それを終わらせるために、根本から変える必要がある」

 

 シアンがそう言い終わると少しの沈黙が流れた。

 

 そうしている内に、船に乗り込む最後の一人が彼等に顔を向ける。

 

「叛逆者シアン。貴様のお陰で色々気付かされたよ」

 

 ハルフィアは真剣な表情でシアンに語り掛けた。

 

「次は負けない」

 

 そして、彼を睨み付け、船の中に消えていった。

 

 まもなくして、宇宙船が離陸する。

 

 それを眺めながらエデンは口を開いた。

 

「俺は手を差し伸べたかった」

 

 エデンは右手を宇宙船に掲げる。

 

「でもこの手は、差し伸べられなかった人の血で汚れちまった」

 

 気持ち悪い感触が、手に張り付いて離れない。

 

 しばしの沈黙の後、シアンは口を開く。

 

「貴様は傲慢だ」

 

 シアンは目線をエデンに向ける。

 

「人の手は二つしか無い、同時に拾えるものは精々二つだ。その二つを慎重に選べ、それが人の限界だ」

 

 シアンは諭すような声色で言う。人はちっぽけな生き物で、成し遂げられることは少ない。だからこそ、何を成すのか選ぶ必要があると。

 

 エデンは少し考える。自分はこれから何をしたいのか、何を拾うべきかを。

 

「シアンは二つ、何を拾ったんだ?」

 

 答えを決めあぐねたエデンは、シアンに問う。

 

「何も拾えなかった」

 

 そんな筈はない。シアンはこの戦いで多くのことを成した。エデンの命も拾った。そんな結論に至るのは不合理だ。

 

 しかし、シアンに嘘をついたような雰囲気はない。彼の瞳は、すべてを失った者のそれだった。

 

「あんたこそ傲慢じゃねえか。全部拾うまで拾ったとは一切思ってない」

 

 それ程シアンの成したいことは大きく、難しいことだ。

 

「決めた。俺はあんたが拾えなかったものを拾う」

 

 エデンは目線をシアンに向ける。

 

「俺を叛逆軍に入れてくれ」

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 シアンたち叛逆軍の面々は森の中を進む。その中にはエデンの姿もあった。

 

「本当にこの先にあんのか?」

 

 エデンは腰ほどまである草を搔き分けながら軽口をたたく。

 

「嫌なら帰ってもいーんだぜ」

 

 それを文句と捉えたセツナが口を開く。

 

「別に嫌とは言ってねぇよ」

 

 エデンはそっぽを向きながら弁明する。

 

「そう聞こえる言い方すんじゃねーよ、新米が」

 

 その態度が気が食わないセツナはエデンに文句を言う。

 

「子供にはジョークの一つも通じないのか?」

 

 それにイラっと来たエデンはセツナを挑発する。

 

「あぁん?」

「あぁん?」

 

 2人は顔を見合わせ威圧しあった。

 

 そうこうしている間に、先頭を歩いていたシアンが足を止める。

 

「到着した」

 

 シアンはそう言うが、彼の目の前には普通に木々が生い茂っており、目的の物があるようには見えなかった。

 

 シアンは耳に手を当て少し会話すると、光学迷彩が解除され、目の前に漆黒の宇宙船が現れた。

 

 そしてハッチが開き、船内への階段が出現する。

 

「喧嘩は船内まで持ち込むなよ」

 

 シアンは言い残し、船内へ入っていった。

 

 そして、

 

「「ふんっ」」

 

 エデンとセツナは互いに背を向けてシアンの後を追っていった。

 

 

 

 

 

 宇宙船の中に入ると、常軌を逸したアルコールの臭いが鼻を突く。

 

「あ~、おあえり」

 

 只々酒癖の悪さを(かも)し出す女性が、彼等を出迎えた。

 

「シアン、彼女は?」

 

 初めて見る人物にエデンは説明を求めた。

 

「ハート。訳あって今回の任務には参加しなかったが、叛逆軍の戦闘員だ」

 

 ハートは新参者であるエデンの存在に気づき、右手にウィスキーを持ちながら彼に近寄った。

 

「新人君だね。私はハート。気軽に『お姉ちゃん』って呼んでいいからね」

 

 ハートはそう言うとエデンの顔を覗き込み、微笑んだ。

 

 エデンの顔はみるみる赤くなる。

 

 ハートはエデンを凝視した後、耳元で囁いた。

 

「人殺しは辛いよね」

 

 エデンの表情が一瞬で強張る。

 

「どうして、それを」

 

 エデンは驚き、なんとか声を絞り出す。心の整理が出来ていない物事を掘り起こされたのだ、無理もない。

 

 しかしハートは気にする素振りを見せず、エデンの顔を胸元に埋めた。

 

「心が疲れた分、お姉ちゃんがよしよししてあげる♡」

 

 女性の温もりを直に感じる。エデンはこの状況も悪くないと始めるが、呼吸ができないことに気づいた。

 

「ん、んんん〜んんんん!」

 

 エデンはハートの胸元から抜け出そうとするが、あまりの力に抜け出せないでいる。

 

「いやぁん♡くすぐったいな〜」

 

 ハートは更に強く締め付ける。エデンが窒息していることに気づいていない。

 

「んんん、んん!」

 

 エデンの意識が薄れ、三途の川が見えてきたところでシアンが仲裁に入る。

 

「それくらいにしろ。殺す気か」

 

 シアンがそう声をかけるとやっと、ハートはエデン解放した。

 

「まったく、二日酔いで潰れていたから待機を命じたのだが、その後もここまで飲酒するとは」

 

 シアンはハートを威圧する。

 

 船内そこら中に中身の無い酒瓶が散乱していた。

 

「それは、その〜深い事情があって」

 

 気圧されたハートは、言い訳を並び立てる。しかし、中身のない言い訳が通る筈はなく、ハートは手に持っていたウィスキーを取り上げられる。

 

「事情は聞かない。暫くは禁酒してもらう」

 

 そう言いながらシアンはウィスキーに封をした。

 

「他にも隠し持っている酒がある筈だ。それも没収する」

 

 そしてシアンはその場から立ち去る。

 

 それを阻止すべくハートは素早くシアンの背後に抱き着く。

 

「待って!お酒がないとお姉ちゃん生きていけないよ!」

 

 それでもシアンは止まることなくハートを引き摺りながら進む。

 

 エデンが意識を取り戻すと、人当たりのよさそうな青年が近寄った。

 

「君がエデンだね。僕はエイ、基本的にはパイロットとオペレーターをやらせて貰ってるよ。よろしく」

 

 エイは自己紹介し、エデンに右手を差し出した。

 

「ああ。よろしくな」

 

 エデンはそう言い、エイの右手を握った。

 

「ここっていつもこんな感じなのか?」

 

 エデンはハートの様子を眺めながら言った。

 

()()()()()というのはどんな意味なんだい?」

 

 エイは微笑みながらエデンの質問に質問で返す。

 

 敵意などはなさそうだ。

 

「ほら、なんか、()()()()みたいな?」

 

 エデンは特に考えてなかったので答えに詰まってしまう。

 

「成程。外部の人はここを()()()()だと判断するのか。今まで雰囲気を相対的に評価する人はいなかったから参考になるよ」

 

 エイは微笑みながら言った。

 

 おそらく悪意などは一切ないだろう。

 

 しかし、エデンは今後、彼と関わるのは最低限にしようと思った。

 

 そうしている内にシアンが戻ってくる。

 

 酒類はないが、ハートはしがみ付いたままだった。

 

「もうじき出発する。総員準備に取り掛かれ」

 

 その言葉と同時にエイは操縦室の方へ移動していった。

 

 (こう)、セツナは着席し、シートベルトを締める。

 

 シアンはハートを座席に括り付け、エデンに席を案内する。

 

「ここに座ってろ」

 

 シアンはその隣に座る。

 

 彼らは一つの机を取り囲むように座っていた。

 

『これから離陸するよ。3、2、1、0』

 

 激しい揺れを起こしながら、宇宙船は大地に別れを告げる。

 

 そして、彼らはディアスタシノス神教国、第9惑星から去って行った。

 

 しばらくすると大気圏を突破し、揺れがなくなっていった。

 

「そういえば、貴様にはまだ伝えていなかったな。叛逆軍の目的を」

 

 シアンはエデンに語りだす。

 

「支配で他人を苦しめる奴に、叛逆することだろ」

 

 エデンは自信満々に答えを言う。

 

「一つはそうだ。故に我らの次の行き先は、ディアスタシノス神教国ではない」

 

 シアンはエデンの言葉に概ね肯定する。

 

「まあ、まだ準備は足りてないだろうしな。って、他の目的があんのかよ」

 

 シアンの言葉にエデンは少し驚いた。

 

 そしてシアンは重く口を開ける。

 

「もう一つの目的、それは」

 

 シアンの眼の深淵が更に濃くなる。

 

()()使()()を殲滅することだ」

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 邪神使い。

 

「やめろ!これ以上近寄るな!」

 

 それは悪意に満ちた力を使い。

 

「おいおい、酷いじゃないか。僕を化け物みたいに扱ってさぁ」

 

 嬉々として禁忌を楽しむ。

 

「嫌だ!来るな!死にたくない!」

 

 人の外道だ。

 

生贄(ヴィルジェイラ)

 

 迫り来る男の影が伸び、禍々しい口が開く。

 

「やめろぉぉぉぉぉぉ!」

 

 逃げる者はその口に呑まれ、丁寧に磨り潰される。

 

 血飛沫が舞い、骨が砕け散る。

 

 肉体はこねられ、巨大な肉団子が完成する。

 

「次は、誰かな?」

 

 そして、その男は次の生贄を見定める。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 ディアスタシノス神教国、第1惑星にて。

 

「よく戻ったな、ハルフィア」

 

 地上より遥か上で、豪華絢爛な椅子に座る男が声を発する。

 

 ハルフィアはその男の前に行き、平伏した。

 

「申し訳ございませんでした、ディアスタシノス様。どんな処罰も受ける覚悟です」

 

 ハルフィアは地面に頭を擦り付け、誠心誠意謝罪する。

 

 その男は人ではない。ディアスタシノス神教国、主神ディアスタシノス。この国の絶対的支配者だ。

 

 彼の命令を背いた者は死刑となる。敗北しのうのうと帰ってきたハルフィアも死刑となるのが妥当だろう。

 

「ざまぁねぇなハルフィア。あんな大口叩いて、この体たらくとはなぁ」

 

 ハルフィアの横の壁に背を預けている男がハルフィアを侮辱する。

 

「そもそもお前の能力(ちから)は古いんだよ。大人数同士で殺り合うならまだしも、圧倒的個が支配する今の時代に何の役に立つんだ」

 

 ハルフィアが反論しないことをいいことに、男は更に饒舌になる。

 

「そんなんじゃ負けて当然」

 

 男がそう言う途中、その場が一気に凍り付く。

 

「アルスゼッテ。貴様、吾の判断が間違いだと言いたいのか?」

 

 ディアスタシノスは強い言葉で威圧する。それに逆らうことは誰にもできない。

 

「申し訳ございませんでしたディアスタシノス様。発言を撤回します」

 

 アルスゼッテも平伏し、地面に頭を擦り付けた。

 

「次はないと思え」

 

 ディアスタシノスはそう言うと、目線をハルフィアに向けた。

 

「ハルフィア、其方はいつも働き過ぎだ。少しは休め」

 

 ディアスタシノスは優しく声をかける。

 

「今回の失敗は不問としよう。但し、解かっているな」

 

「、、、はい」

 

「では、今は立ち去るがよい」

 

 そして、ハルフィアはその場から離れていった。

 

 その後、アルスゼッテは口を開く。

 

「ディアスタシノス様。私の能力があれば、あんな田舎の惑星、簡単に奪還してみます」

 

 アルスゼッテがそう言った直後、ディアスタシノスは却下する。

 

「ならん。そんな些末なことはどうでもよい」

 

 そしてディアスタシノスはハルフィアともう一人を除く、すべての救世主(メサイア)に命じた。

 

「今すぐ叛逆軍を潰せ!猶予など与えてはならぬ、吾に牙を向ける者を総て根絶やしにするのだ!」

 

「「「御意!」」」

 これが叛逆の代償。

 

 叛逆軍に更なる敵が立ちはだかった。




第一章 完
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