スイーツイーター ~お菓子の神機使い~   作:フロンサワー

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ソーマには死神
カノンは誤射姫
アマトはスイーツイーター

やったねアマト君!前向き(?)な二つ名だよ!


八品目 生意気な新人と、二つ名

 

ツバキの命令により、アナグラの職員やゴッドイーターの面々がエントランスに集められる。

 

「皆に、今日から新しい仲間を紹介する」

 

ツバキが目を向けた先、そこには白い髪と赤い格好が特徴的な年の近い女の子がいた。

 

(ーーー自分と同じ新型、か)

 

「やったなアマト!女の子だぜ!」

 

「静かにしろって…………」

 

ツバキや新人に聞かれないよう小声で言う。

 

コウタが興奮しているのを落ち着かせたが、アマトもなんやかんやで興味津々だった。

 

「本日をもって極東支部に配属されました。アリサ・イリーニチナ・アミエーラです」

 

(アリサ・イチ………えっ?)

 

流石ロシア、誰一人本名を覚えれなかった。

 

早速コウタが声をかける。

 

「女の子ならいつでも大歓迎だよ!」

 

少し軽い感じだが、人当たりの良い言葉で話しかける。が…………

 

「よくそんな浮ついた考えで、ここまで生き長らえて来れましたね……」

 

対称的に冷ややかな返答が待っていた。コウタも思わず固まってしまう。

 

「成程、コミュ障二人目か」

 

それを見たアマトがポツリと呟く。その評価は随分酷いものだった。勿論コミュ障一人目は壁によりかかたったまま無関心のソーマである。

 

「彼女は実戦経験こそ少ないが、演習では抜群の成績を上げている。追い抜かれぬよう精進するんだな」

 

空気を変えるようにツバキが補足説明をする。

 

「アリサ、今日から暫く第一部隊隊長の雨宮リンドウと動くように」

 

「わかりました」

 

「リンドウ、資料等の引継ぎがあるので私と来るように」

 

「了解」

 

「以上だ、その他の者は持ち場に戻れ!」

 

ピシリ!とその場を締める。ツバキの命令通りにそれぞれが持ち場に戻った。

 

しかし、その中コウタは未だに固まったままであった。

 

「ドンマイ、コウタ」

 

ポンポン、と肩を叩く。

 

「あなたが、この極東支部唯一の新型ですね?」

 

コウタを励ましている中、意外にもアリサの方から話しかける。

 

「…………ああ、桐永アマトだ」

 

アマトは少し面倒そうだ。

 

「まあ、この人よりは真面目そうでよかったですけど、足は引っ張らないでくださいよ?」

 

「ぐふっ!?」

 

項垂れるコウタをチラリと見ながら上から目線で話す。

 

「………気をつける」

 

(黙れやコミュ障)

 

エリックの例の如く、アマトは再び腹黒なことを考えていた。

 

「それでは、失礼します」

 

そのままアマトの横を通り過ぎる。その後ろ姿を見送っていた。

 

「ちょっと気が強いけどかわいいよなー」

 

いつの間にかいつもと同じ状態に戻っているコウタ。

 

「復活したか、コウタ」

 

「ああ!アレくらいでへこたれ……アマト!?」

 

ゴン!

 

「てっ!?」

 

突然頭に鈍い痛みが走る。何事かと思い後ろを振り返ると

 

「…………」

 

何も言わずに拳を丸くしているソーマがいた。気がすんだのかスタスタとアマトのもとを去っていく。

 

それを見て一言。

 

「…………自覚あったんだな」

 

「何のこと?」

 

「いや、何でもない」

 

あいつの前では余計なことは言わないと心に決めたアマトだった。

 

 

 

贖罪の町ー

 

集合地点に向かう人影が2つあった。一人はチェンソーのような神機を持ち、もう一人はお菓子のような神機を持っている。

 

「何故アリサと任務なんですか」

 

憂鬱そうな顔でリンドウに聞く。原因は言うまでもなく彼の持っている神機だろう。

 

「ん、姉上が新型同士の戦術データを確認したいんだと。まあ、がんばれ」

 

アリサに神機を見て軽蔑されるのが相当嫌なのだろう。リンドウも同情している。

 

「そうっすか………」

 

その顔は既に色々と諦めていた顔だった。

 

「それにしてもまたシユウですか…………」

 

この前の単独任務を思い出す。アレはアマトにもしんどかったようだ。

 

「今回は3人だから大分楽だと思うぞ」

 

暫く歩いていると、真っ赤な神機を持つゴッドイーター、アリサがいた。

 

「っと、いたいた」

 

「…………」

 

そんな彼女も、やはりアマトの神機をまじまじと見ている。

 

「何ですか、その神機は!?」

 

ほーらね、やっぱり来たよ。というアマトの表情。

 

「ロシア支部での噂は本当だったんですね………」

 

「「噂?」」

 

リンドウと声を揃えて聞く。アマトは嫌な予感がして仕方がない。

 

「アマトさん、お菓子の神機を使うゴッドイーター、通称『スイーツイーター』で有名ですよ」

 

「………そんな…………二つ名が」

 

「有名になれて良かったじゃねえか」

 

自分の知らない間にそんな微妙な二つ名が付いていたという事実にアマトは遠い目をする。リンドウのフォローも虚しく感じた。

 

しかし、アリサの口撃はまだ終わっていない。

 

「…………ハァ、幻滅です。真面目な人と思ってたけど、そんな装備をして戦場に出るなんてふざけてるんですか?ドン引きです」

 

容赦無くアマトに追い討ちをかける。アマトの精神は『スイーツイーター』の時点でLife0。そこから発生する現象は、所謂オーバーキル。

 

「…………」

 

アマトは真っ白に燃え尽きていた。

 

「言い過ぎだぞ、アリサ」

 

あまりの言いようにリンドウも注意をするがアリサは聞く耳も持たない。結局任務開始時間ギリギリまでアマトは復活しなかった。

 

 

 

任務開始時間ー

 

「今日は新型2人との共同任か……まあ、足を引っ張らないようにするから安心してくれ」

 

「何言ってんすか……リンドウさん」

 

緊張を解そうとしてるのだろう。最初の任務の時と同じだな、と思いつつリンドウにつっこむ。

 

しかし

 

「――旧型は、旧型なりの仕事をしていただければいいと思います」

 

明らかにリンドウ、いや、旧型神機使い全員を侮辱した言葉。アマトも見過ごすわけにはいかない。

 

「お前…………!!」

 

しかし、そんなアマトをリンドウが笑いながらも制止する。

 

「ははっ、まあ気楽にやらせてもらうさ」

 

まるで気にしたようすもなくアリサの肩を掴むが

 

「キャア!!」

 

悲鳴をあげながら後ろに下がる。さすがの二人も少し驚いた。

 

「………あーあ、随分と嫌われたもんだな」

 

しかし、別段気にした様子も無い。

 

「流石リンドウさん、正しく大人の余裕ですね。俺ならガチで寝込みます」

 

素直にリンドウを称賛する。その傍ら、アリサはもの凄く気まずそうだった。

 

「あー………最後のは少し傷ついたんだけどな……」

 

「え」

 

リンドウの衝撃の告白に更に空気が重くなる。

 

「あの…………すみませんでした………」

 

アリサも申し訳無く思ったのか、素直に謝る。

 

「そうだな……よしアリサ。混乱しちまった時は空を見るんだ。そんで動物に似た雲を見つけてみろ。心が落ち着くぞ。それを見つけたら許してやる。」

 

「な……何で私がそんな事……」

 

「いいから探せ、これは命令だぞ」

 

渋々ながら空を見上げている。命令に従うようだ。さっきの行動がそうさせているのだろう。

 

「俺も似たような事してますよ」

 

「おお、そうなのか。どんなことをしたんだ?」

 

「お菓子に見える雲を探すんですよ。アレなんかワタアメみたいですよね」

 

「全部同じに見えるが」

 

「だからあんまり意味無いですけどね…………」

 

「ダメじゃねえか、それ」

 

そんなアホみたいな会話を後ろで聞き、アリサは動物の雲を探し始めた。

 

討伐対象のシユウを探している途中、リンドウが口を開く。

 

「アリサなんだがな、どうも訳アリらしい。まあこのご時世だ。まともな奴の方が少ないんだがな」

 

「…………そうですね」

 

自分も、そのマトモじゃない内の一人なのだろう。そう思いながら足を進める。

 

「少し精神が不安定らしくてな、さっきの発言も許してやってくれ」

 

「はい…………」

 

彼女もアラガミに人生を狂わされたのだろうか?そんなことを考えたアマトだった。

 

「あっ!いた!」

 

噂をすればなんとやら、アリサが後ろから走ってきた。

 

「新型なのに随分遅かったな、何の動物を見つけたんだ?」

 

皮肉たっぷりにアマトが聞く。

 

「ッ!新型は関係ありません!」

 

プライドの高いアリサには聞き流せるようなものではなかった。

 

「大方、あの雲がキリンにでも見えたんだろ?」

 

アマトからしたら適当に言った事なのだが

 

「な…………」

 

アリサが驚愕の声をあげる。

 

「…………え、当たった?」

 

一瞬警戒を怠るほどグダグダな空気が漂っていたが

 

「おい、来たぞ」

 

「「!!」」

 

リンドウの鋭い声で心を切り替える。二人もシユウが悠然と歩いているのを確認した。急いで近くの壁に隠れる。

 

「俺とアマトが前衛、アリサが基本後衛の狙撃で良いな。」

 

「はい」

 

「…………はい」

 

ガシャリ、と神機をGEケーキに変える。

 

「いくぞ」

 

リンドウの合図と共にアマトとアリサも飛び出す。

 

銃口を50メートルは先にいるシユウに向ける。容赦の無い激しい弾丸の雨がシユウに目掛けて飛んでいった。

 

「ギュアァア!?」

 

しかし、鋼鉄の肉体を持つシユウには大きいダメージは与えられていない。

 

「チッ、通らないか………!」

 

銃弾の雨が止まったときには既にリンドウはシユウと対峙していた。

 

アマトも前線に出るべく神機をGEチョコに変える。

 

一つ、また一つとシユウの翼を掻い潜るリンドウ。あまりの猛攻で攻めあぐねているところに

 

「おぉ!」

 

アマトがシユウの足に神機を凄まじい勢いで斬りつける。

 

「ガアァァアァ!?」

 

アマトの援護に一気に戦況が逆転した。

 

「サンキュー、アマト!」

 

「ヨーウェルカムです、リンドウさん」

 

そこから始まるのは一方的な怒濤の攻撃だった。リンドウの鋭い一撃を防ぐが、アマトの的確な斬撃がシユウの肉体を削る。それだけではない。シユウの頭部を狙ってアリサが銃弾を放つ。それを全て避けきるなど不可能な話だった。

 

ダメージが蓄積され、どんどんシユウの動きが鈍くなる。

 

「リンドウさん、俺が足を止めます」

 

「ああ!任せる!」

 

アマトが地を這うように前へ跳ぶ。シユウから見ればいきなり消えた様なものだろう。

 

空中で一回転し、神機で両足を刈るように斬りつける。

 

「ギュア!?」

 

地面に手をつき、ズザァーー!と滑りながら体勢を整える。

 

シユウがバランスを崩す。そこを突いてリンドウがシユウの翼に神機を突き立てる。全体重を込めた神機は、倒れたシユウの翼を貫通し、そのまま地面に食い込む。

 

もう片方の翼でリンドウを切り裂こうとするが

 

グサ!!

 

「ギギャアァアアァ!!?」

 

GEチョコがシユウの片方の翼に突き刺さる。

 

「殺れ!!アリサ!!」

 

リンドウが叫ぶ。しかし、それよりも早くアリサは朱色の神機『アヴェンジャー』を構え駆け抜ける。

 

「ハアアァァ!!!」

 

地面を蹴り、空高く跳躍する。

 

グサァ!

 

「ギュアアアァァアァア!!?」

 

シユウの顔面に神機を突き立てた。

 

 

 

~Side アリサ~

 

私と同じ新型であるアマトさん。彼の噂はロシア支部まで及んでいた。

 

しかし、彼の神機だけが噂になっていた訳ではない。

 

類い稀なる適合率の高さと、それに見あった実力。

 

同じ新型なのに彼の活躍はめざましいものだった。そんな彼を目標とし、勝手だがライバルと決めた。

 

お菓子の神機を使うという噂はでっち上げということにしたが。

 

最初は幻滅した。自分の目標がこんな神機を使った人だったと思うと怒りが込み上げてくる。

 

しかし、私はアマトさんを甘く見すぎていた。

 

所詮旧型と思っていたが、普段のリンドウさんからは想像出来ない見事な動き。その動きに完全に合わせて連携を取るアマトさん。

 

そもそもあんな見た目だけど神機自体の性能は良いようだ。あんな見た目だが。

 

彼の実力は噂以上かもしれない。

 

そもそもお菓子の神機に適合したのは偶然なので決してふざけていない。

 

そう思うと罪悪感が湧いてきた。

 

シユウを捕食しているアマトさんに話しかける。

 

「あの………さっきは少し言い過ぎました。すみませんでした…………」

 

やはり少し照れ臭い。どうしても声が小さくなる。

 

「…………」

 

………おかしい、返事がしない?不思議に思いながら顔をあげると

 

録音しているアマトさんがいた。

 

「ちょ!何してるんですか!?」

 

「リンドウさーん、面白いネタゲットしましたー」

 

「良くやった、アマト。さーて、どうするかな………?」

 

仕返しと言わんばかりに怪しい笑みを二人で浮かべる。

 

ああ、この人たち苦手だ。

 

 




アリサのあの頃は酷かった………
今じゃ丸くなりまくりですよねー
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