『とっととストーリー入れや!』とか思ってる人
明日…明日まで待ってください!!
防衛任務とは、ハイヴを囲む脆くなったアラガミ防壁を防衛するという、言葉通りの任務である。
詰まる所、アラガミ障壁の周りに出没するアラガミを片っ端から捕食する任務だ。
そんな任務を下されて、車で移動をしている四人。
「ハハハ、新型二人が任務に来てくれるなんて頼もしいな」
彼の名は『大森タツミ』、第二部隊班長でもあり、リンドウに次いで古参のベテランゴッドイーターだ。
タツミが運転しながら後ろの二人に話しかける。新型とは勿論アマトとアリサのことだ。
「タツミさん……私もいますよ?」
助手席には反論をするカノンがいた。何の因果か、誤射姫と一緒だ。
「うん、お前は誤射しなけりゃそれでいい」
戦力的には充分だから、なにもしなくていいよ。暗にそう言ってるのだが
「はい!頑張ります!」
天然ガールには通じなかった。
((ああ……わかってないな))
遠くを見るタツミと、後部座席で悲しそうな顔をするアマトがいた。
カノンの誤射の一番の犠牲者はタツミだ。彼女と任務に行きたがらないゴッドイーターが多いせいか、第二部隊班長のタツミに仕事が回される。
カノンとの出撃数が一番高いのがそのまま被誤射率No. 1 に直結した。
アマトも被誤射率をグングン伸ばしている。
カノンとの任務が多いのが原因だが、『お菓子を貰えるなら何のその』という信念のもとに出撃しているので、同情の余地はない。
しかし、今回彼が抱える問題はカノンだけではなかった。
「防衛任務なんて、私一人で充分です」
相変わらずのアリサが言い放つ。
まただよ、という表情で溜め息をつくアマト。同じ新型なので苦情や愚痴は大体アマトに回ってくる。
それを聞いたタツミはふぅ、と息をはく。
「おい、防衛任務だからって甘く見るなよ。俺たちはここにいる人間全員の命を背負ってるんだからな」
タツミが声のトーンを落とし、ゆっくりと諭す。
「そ、そうです!意外と大変なんですからね!」
控え目ながらもカノンも後に続く。しかし、タツミのような迫力はない。
ムッとした顔でタツミを睨み付ける。それを見たアマトは懐から何かを探す。
「それは貴方達の……『あの………さっきは少し言い過ぎました。すみませんでした』…………な!?」
アリサが驚いた顔をする。音源を見てみると、ボイスレコーダーを持つアマトがいた。
「おう!解れば良いんだ」
ボイスレコーダーとは露知らず、爽やかな笑顔でそう答える。
「わ、私も………大声を出してしまって………」
カノンに至っては自分が謝っている。
この空気で反論するのはもう殆ど不可能だろう。小声でアマトに話しかける。
「…………アマトさん!」
「お前、苦情とか全部俺に来るんだからな」
早速ボイスレコーダーを有効活用しているアマトだった。
暫く車に揺られている中、居住区を抜けてとうとうアラガミ防壁が見えてきた。
一気にアクセルを踏み込み、防壁まで走り出す。壁の根元に着くと、車を止めてドアを開ける。
「いつ見ても圧巻だな………」
立ち並ぶ巨大なアラガミ防壁を見上げながらアマトが呟く。
「そうですよねー、どうやって作ったんでしょう?」
カノンもアマトの横で一緒に見上げる。その後ろにはニヤニヤしているタツミがいた。
「あ~あ、俺もヒバリちゃんとそんな風に話せたらな~」
タツミは受付嬢のヒバリにベタ惚れだ。そんなタツミが羨ましがるシチュエーションは、つまり………
「ち、ち、ち、違います!なに言ってるんですか!?タツミさん!!」
いつものように安定の動揺っぷりのカノンと
「お菓子を渡したらいけるんじゃないですか?」
いつものように安定の受け流しのアマトだった。
「くく………面白いなー!お前ら!」
「酷いですよ~、タツミさん……」
顔を赤くしながら慌てて否定する少女の横で、無表情で佇む少年。中々にシュールな光景だ。
しかし、イライラしている者が一人。
「~~~~!!早く行きましょう!」
とうとう堪えきれずにアリサが叫ぶ。彼女は外と中を繋ぐ門の前でずっと待っていた。
「おお、悪いな」
「す、すみません!!」
「はいはい………」
三者三様な返事をして、アリサの下まで歩き出した。
「おーおー、沢山きやがる」
アラガミ防壁の前に立つ四人の人影、それを狙って襲い掛かるオウガテイル、ザイゴートの雑魚アラガミたち。
ベテランのゴッドイーターのタツミが言うだけあり、その数はざっと40は越えていた。
「一人あたり10体ってとこですかね」
アマトがそう言いながら神機をGEケーキに変型させる。
「なら私は20体倒します」
アマトをライバル視して、張り合おうとするアリサも神機を構える。
「誤射をしない……誤射をしない……」
「「…………」」
二人を凍りつかせるほど心配なことになっているカノン。今日も誤射されるんだろうなーとしみじみと感じていた。
「さて、作戦通りにアマト、アリサがアラガミを狙撃。ある程度近づいてきたら俺も加わり近距離で応戦。カノンは俺達が逃したアラガミに防壁前で思いっきりぶっぱなす。これで良いな?」
「「了解です」」
「…………了解です」
「じゃあいくぞ………作戦開始!!」
タツミの作戦開始の合図と共に新型二人が前に出る。
ドドドドドドドドドドドドド!!!
周りの空気が震える程の轟音と共に武骨な銃弾が放たれる。
「ギギャア!!」
アラガミの断末魔などもろともせずに銃弾を放ち続ける。
一撃で撃ち抜かれたアラガミ、ダメージは与えたものの倒れないアラガミ、運良く避けれたアラガミ。なんにせよ先制攻撃には十分だ。
アマトは神機をGEチョコに、アリサはアヴェンジャーに変型させ、襲ってくるアラガミ達を迎え撃つ。
「俺は右、アリサは左で………」
しかし、アリサは右のアラガミの下に向かい駆け抜ける。
「はあ~………」
溜め息をつきながら左のオウガテイルと交戦する。
オウガテイルの攻撃を最小限の動きで避けつつも斬りつける。
「グギャアァア!?」
一撃で葬る。反り血が顔にかかるが拭う余裕もない。更に迫ってくるアラガミ達のもとへ駆け抜ける。
一体目、ザイゴートは口を広げて突進してきたところを体を捻て避ける。
その勢いで一回転してGEチョコを真横に振るう。
「ギュアァアア!??」
二体目、オウガテイルは尾をアマト目掛けて振り回すが、姿勢を低くし、地を這うように跳ぶ。
姿勢が低くなることで、オウガテイルの尾はアマトの上を通り過ぎる。そのままGEチョコで横一閃に斬り抜けた。
「ガアァァアァ!?」
三体目、ザイゴートは空気弾を吐き出すために体を脹らませる。しかし、アマトは地面を蹴り宙を舞う。
好機と見たザイゴートは空気弾を発射する。それを難なくGEキャンディーで防ぎ、GEチョコを突き刺す。
「グギャアァア!?」
そのまま落下地点にいるオウガテイルもろとも地面に突き刺した。
「ギャ…………!???」
(こんなもんか…………)
アマトの駆け抜けた後には五体の死体が積まれていた。
Sideアマト
周りの状況を見渡す。
アリサは相手を翻弄しながら確実にアラガミに一太刀あびせてる。
タツミ先輩の方は、持ち前のタフさでかなりの数を相手にしている。
カノン先輩は………「消し炭にしてあげる!!」 …………大丈夫だろう。
となると、タツミ先輩の援護だな。アリサは問題無さそうだし、カノン先輩は巻き添えを食らいたくない。タツミ先輩の援護に駆けつけるとしようか。
「せい!はぁ!」
タツミ先輩の声が聞こえてくる。流石第二部隊班長だ。周りには15体ものアラガミ達の死体が転がっている。
っと………感心している場合じゃない。オウガテイルがタツミ先輩を後ろから狙っている。
「っは!」
オウガテイルにGEチョコを斬りつける。前はこれはどうかと思ってたが最近になって大分慣れてきた。
「わるいな、アマト!仕事が早くて助かる!」
「それはどうも」
互いに背中を合わせる。まだ俺達を取り囲むアラガミが6体いる。だが、俺達なら十分対応できる数だ。
「行くぜ!アマト!!」
「はい!」
しかし、忘れていた。
誤射姫のことを…………
ボーーーーン!!!
「「グアッハァ!!?」」
吹き飛ばされた。ベショッと地面に叩きつけられる。
密集地帯だというのに容赦なく爆風が吹き荒れたせいだ。これはもう誤射ではなく故意な気がする。
「ほら、さっさと退きなさい!」
カノン先輩ェ…………
「あ、貴方!まだアマトさん達がいるでしょう!?」
アリサ……久々にマトモな事を言ったな。
「射線上にいるのが悪いのよ!」
だから射線なんて無いだろ。
「アハハハハ!消し炭にしてあげる♪」
そう言いながらさらに銃弾を撃ち込む。爆風に曝されるアラガミを見てると少し虚しくなってきた。
くそ………慣れてると思っていたが避けることは出来ないか。そもそもタツミ先輩が避けれないなら俺に避けれるわけがないか。
「だ、大丈夫か………アマト…………」
絞り出したような声でタツミ先輩が話しかける。
「はい…………やっぱいつくらっても痛いですね…………」
「だな…………」
しかし、お蔭(?)でアラガミ達は全滅していた。まあ、クッキー貰えるし良しとしよう。
「だだだだ、大丈夫ですか!!?」
カノン先輩が駆け寄ってくる。ほんと二重人格は恐ろしい。
「カノン先輩、ドン引きです…………」
今だけはお前に同意しよう、アリサ。
「うう………すみません…………」
なにも言えないカノン先輩。普段がこれだから責めにくい。
「まあ、今に始まったことじゃないからな~~」
「俺はお菓子を貰えるなら良いです」
帰ったらお菓子が楽しみ…………
『グルルルル…………』
…………!!
全く、最近不運続きだな。
ヴァジュラが出てくるなんて。
Side out
岩場の高い場所からアマト達を見下ろすよヴアジュラ。それまでの空気が一気に剣呑なものに変わる。
「アマトとアリサは防壁を守れ!俺とカノンで交戦する!」
「なっ…………私たちも戦えます!」
タツミの撤退命令に異を唱えるアリサだが、アマトだけが気づいた。
ーーー震えている
アリサの手が僅かに震えていることをアマトは見逃さなかった。
「俺達の任務はアラガミ防壁の防衛だ!警護を手薄にするわけにはいかねぇだろ!それに、今無理にヴァジュラを殺す必要はねえ!」
「私たちはゴッドイーターです!アラガミを殺すのが私たちの役割です!」
いつもの反論ではないと判断したアマトはボイスレコーダーを使わなかった。
「そうやってアラガミを見逃すことで更に被害が拡大するんです!何で其れが解らないんですか!?」
「最初に言ったよな!?俺達は中にいる人間全員の命を背負ってるんだ!!」
二人の論争は更にヒートアップする。
「あわわわわ…………」
カノンはどうすればいいか解らず狼狽えていたが
「あの、少しいいですか…………?」
アマトが二人を止める。
突然だがアマトの神機を見たアラガミには3つの種類の反応がある。
1つは格下と見なすアラガミ、アマトの実力が分からない弱いアラガミが多い。
もう1つは無反応のアラガミ、単純に知能が低いか、アマトの実力が分かる強大なアラガミが多い。
最後が一番厄介な反応である。それは…………
「…………ヴァジュラは甘党です。多分俺だけ狙って襲い掛かかります。だから俺は残らないと…………」
言いずらそうに話す。一気に空気が死んだ。
「ああ、例のアレか…………」
「な、何ですかそれ!?」
ヴァジュラをよく見てみると、口元には涎が垂れていた。これが一番厄介な反応である。この状態になったら最後、アマトしか狙わない。
そのはずだが…………
ヴァジュラは岩場を飛び降り、アマト達とは逆の方向に去っていった。
「逃げた…………のか?」
ぽつりとタツミが呟く。流石にこれには全員驚きを隠せない。
(どういうことだ…………?)
アマトにはヴァジュラの行動は偵察のように感じた。しかし、あんな強力なアラガミが組織的な行動をするはずがない。
何故か胸騒ぎが起こった。
「「「「…………」」」」
アラガミ達を捕食する。その時間は地獄のような気まずさだった。タツミとアリサの口論がどちらも間違いでないだけに、どちらが悪いとも言えないのだ。
「…………あー……悪い、さっきは言い過ぎた」
タツミが意を決したようにアリサに頭を下げる。
「い、いえ…………そんな」
先に謝られたアリサもばつが悪そうだ。口ごもりながらも反省の色を示す。
「良かったです……仲直りしてくれて」
カノンが嬉しそうに言う。
「…………そうですね~」
アマトは小さいがアリサのコミュニケーションの進歩に軽く感動していた。
その日、ヴァジュラが現れたらせいで一日中アラガミ防壁の防衛を任された。結局、アマトは今日も運が悪かった。
後半が雑だ…………
あのイベントのフラグと思って優しく見守って下さい