めちゃめちゃシリアスです。
遡ること数分前…………
「グオオォォオ!!!」
まるで待ち構えていたかのような白いヴァジュラ。砲口と同時にリンドウに襲い掛かる。
「下がれ!後衛支援を頼む」
しかし、彼女は動かない。いや、動けない。ゆっくりと後ずさる。
「パパ…………!?ママ…………!?止めて…………食べないで!」
明らかに様子がおかしい。
「アリサぁ!!どうしたぁ!」
脳内にフラッシュバックのように浮かぶ、自分の両親がアラガミに捕食された光景。初めてゴッドイーターとなったときの光景。専属医師の大車のメンタルケアの光景。
リンドウは苦戦しながらも白いヴァジュラと戦いを繰り広げている。
『こう唱えて引き金を引くんだ。ΟДИ……ДΒα……ТНИ!!』
「ΟДИ……ДΒα……ТНИ………」
自分に言い聞かせるように呟く。
『そうだよ、そう唱えるだけで君は強い子になれるんだ』
「ΟДИ……ДΒα……ТНИ………」
『こいつらが君たちの敵、アラガミだよ!』
そこにある写真には両親を殺した黒いヴァジュラ、そして
神機を構えているリンドウがいた。
銃口をリンドウに向けるが
『混乱しちまったときはな、空を見るんだ』
リンドウの言葉が脳内に響く。
『俺も似たような事してますよ』
『おお、そうなのか。どんなことをしたんだ?』
『お菓子に見える雲を探すんですよ。アレなんかワタアメみたいですよね』
『全部同じに見えるが』
『だからあんまり意味無いですけどね…………』
『ダメじゃねえか、それ』
少しどうでもいいことも思い出した。しかし、アリサを混乱させるには充分だった。
「いやああああ!やめてぇぇぇええ!」
咄嗟に天井に銃口を向けた。
ドオォォオオォオン!!
そして、時は現在に戻る。
教会から轟音で様子を見にきたアマトとサクヤ。そこには瓦礫で塞がれた退路と座り込んでいるアリサがいた。
「あなた………!!いったい何を…………!」
あまりの異常事態にアリサに問い掛ける。
「クソ……こうなるなんて………」
アリサの異変に気づいてたアマトは悔しさで歯をギリリ………と噛む。何故、なにも対処をしなかったのかと。
「違う、違うの、パパ…………ママ…………私、そんなつもりじゃ」
アリサの方も何か言える状態ではない。そんなアリサを見て、サクヤは堪らず瓦礫にレーザーを放つ。
一方、外では…………
「まずいな…………こっちも囲まれてやがる…………」
白いヴァジュラに完全に包囲されていた。このままでは自分達の身も危険だ。
「ぐぅ!!」
コウタが白いヴァジュラに吹き飛ばされる。
「コウタ!!無事か!!」
アマトがGEチョコで斬りかかる。
「サクヤ、アリサを連れてアナグラに戻れ!!」
「で、でも……!」
「聞こえないのか!! アリサを連れてアナグラに戻れ!!」
リンドウが怒りを込めてサクヤに言う。
「サクヤは全員を統率、ソーマは退路を開け!!」
「わりいが俺はちょっとこいつらの相手して帰るわ。……配給ビール、取っておいてくれよ」
「ダメよ!わたしも残って戦うわ!!」
「これは命令だサクヤ、必ず生きて帰れ!!」
「嫌よ!!」
それでもサクヤは譲らない。
「サクヤさん行こう、このままじゃ全滅するよ!!」
コウタがサクヤの腕を掴む。このまま残ったら確実に全員が死ぬ。
「早くしろ!囲まれるぞ!」
外にいるソーマが叫ぶ。ソーマも押し止めるには限界があった。
「…………アリサ」
アリサを背中におぶらせる。彼は今、何を考えているのだろうか。
ソーマがスタングレネードを地面に投げつける。眩い閃光が辺りを包み込んだ。
急いで部屋から出てその場を離れる。
無我夢中で包囲を抜ける。ある程度距離を取ったところでアリサをおろし、息を整える。
「リンドウ…………」
「クソ…………!!」
「チクショウ…………」
その間はなにも言えない空気が漂っていた。しかし、意を決したようにアマトが口を開く。
「助ける方法が…………あるかもしれません」
全員が驚いた顔でアマトを見る。
「どういう…………こと!!」
サクヤがアマトに必死の形相で聞く。
「リンクバーストを……4、いや、5段階まで引き上げまて、あの瓦礫を吹き飛ばします。その間にあの白いヴァジュラをサクヤさん達は引き付けてください」
アマトが淡々と述べる。
リンクバースト。特殊な銃弾、アラガミパレットを渡すことでパワーアップする方法だ。
「バカ野郎………そんな危険なこと…………!!」
「そうだ!!アマト!!」
ソーマとコウタが声を荒げる。三段階までがゴッドイーターの限界のはずなのに、それを二段階も上げるのだ。危険でない筈がない。
しかし
「…………お願い、アマト君…………」
「サクヤさん!?」
予想外にもサクヤの許可が降りたことにコウタが驚く。
「お願い…………リンドウを…………助けて…………」
無表情で頷くアマト。
「分かりました。その前に………これはアリサがいないと不可能です」
アリサの肩を掴み、優しく語りかける。
「アリサ……確かにお前のミスでこの状況を招いた…………」
「いや…………いやぁ…………」
聞きたくないとばかりに耳に手を当てる。
「聞け、アリサ。確かにお前のミスでこうなったのは変えようがない事実だ。だが、お前にはリンドウさんを救える力があるんだ。後悔するにはまだ早いぞ」
アリサが僅かにピクリと動く。
「アリサ…………アラガミパレットは5つあるか?」
「…………(コクリ)」
「よし、後は……二人とも…………手伝ってくれるか?」
アマトが残った二人に問い掛ける。
「…………勝手にしろ」
「アマト……ちゃんと生きて帰ってこいよ!!約束だぞ!!」
「ああ、勿論だ…………」
アマトがゆっくりと口を開く。
「作戦…………開始…………!」
退路が塞がれた教会の中、リンドウは1人、白いヴァジュラと戦っていた。
「っ!!オラァ!!」
生き残る為、リンドウは必死に戦う。ブラッドサージが白いヴァジュラの顔を切り裂く。
そのとき
「リン……ドウ………さん!!」
アマトの苦痛に満ちた声が届いた。
「…………!!?アマト!!テメェ、何でいる!!」
かつてない程の怒りを込めてアマトに言う。部下を守るために撤退させたのに、戻ってきたとなると当然だろう。
「リンドウ………さん………話はあとです!白い…………ヴァジュラを…………瓦礫の前で足止めしてください!その後は…………リンドウさんも…………離れて…ください…!」
「~~~!!クソ!!」
指示通りに白いヴァジュラを瓦礫の前におびき寄せる。それと同時にスタングレネードを地面に投げる。
「ギュアアァァ!!?」
白いヴァジュラの動きが止まる。
「いいぞ!!アマト!!」
リンドウが叫んだと同時に
ズガガガガガガガガ!!!!
巨大な氷柱が何本も瓦礫もろとも白いヴァジュラに突き刺さる。
「おいおい…………なんじゃこりゃ…………」
長年ゴッドイーターをしているリンドウでも、こんな攻撃はアラガミを含めて見たことがない。
あまりの威力に土煙が上がる。その中から攻撃した張本人のアマトが出てきた。
彼のGEケーキは何故か知らないが焼け焦げ、GEチョコは溶け、GEキャンディーはドロドロになっている。しかも総じてなんか焦げ臭い。
「アマト…………!なんだあの攻撃は!!つーか神機ヤバイぞ!!」
「話は後です。行きま…」
ゾクゥ!!
「「!!?」」
背中に悪寒が走る。かつてない程の巨大なアラガミが近づいてくるような…………
直感的に上を見る。
壊されたステンドグラスの上に立つ黒いヴァジュラがいた。明らかに今までとは雰囲気が違う。
「ッ!………ガハッ!…………」
「おい!!アマト!動けるか!?」
アマトの様子がおかしい。息づかいが荒く、足も震えている。当たり前だろう、限界の筈の三段階を2つも越えたのだ。異常があるに決まっている。
そして、黒いヴァジュラが動き出した。
「■■■■■■■!!」
まさしく、声にならない雄叫び。それと同時に二人に飛び掛かる。
「ック!!」
アマトとリンドウは既に避けるための予備動作に入っていた。リンドウが後方に下がる。しかし、
「…………ッ!」
アマトがその場に倒れた。
「アマト!!!」
そして
黒いヴァジュラは
アマトに飛び掛かる。
グシャアアアア!!!!
あまりの衝撃に土煙が上がる。それがどんどん晴れていくと
「無事か!?アマト!!!」
リンドウが血まみれのアマトを引き摺っていた。
「すまねぇな…………アマト…………少し、休んでてくれ…………」
離れた場所でアマトを下ろし、リンドウが申し訳なさそうに呟く。しかし、意識が朦朧としているアマトには届くことは無い。
煙草を口にくわえ、フゥーッと白い煙をはく。
「俺が…………終わらせる」
煙草の吸い殻を投げ捨て、神機を肩に担ぎ黒いヴァジュラの元へ歩いていった。
Sideアマト
駄目だ、駄目だリンドウさん………
リンドウさんの帰りを待っている人たちがいるんだ…………
皆に必要とされてるんだ…………
行くな、俺の為に…………
俺なんかの為に命をかけないでくれ…………
そのまま俺を置いて逃げてくれ………
頼む…………頼む…………リン…………ドウ…………さ…………
Side end
打ち合わせ通りの時間、サクヤ達が囮を終え全員無事に教会にやって来た。しかし、また包囲されるのも時間の問題だろう。
「すげぇ………瓦礫が………」
あの瓦礫の山を吹き飛ばした恐ろしい威力にコウタは戦慄を覚える。
「そんなこといってる場合じゃねえ!早く行くぞ!」
アリサを背負ったソーマが怒鳴る。
「ええ、早く行きましょう」
サクヤ達は瓦礫の奥を進む。そこには…………
血まみれの中、アマトが地に臥しているだけだった。
「いや………いやああああ!」
サクヤが泣き崩れる。
「パパ………ママ………私……私……」
アリサが壊れたように呟き続ける。
「…………コウタ!!アマトを連れてアナグラに戻るぞ!!」
しかし、ソーマの鋭い指示で早急な対応をすることができた。
「わ、分かった!!」
コウタは急いでアマトを担ぐ。
(軽い…………)
アマトの血が抜けすぎたせいだろう。ぐったりとして力がないが、その左手はお菓子の神機を力強く掴み、けっして放さなかった。
評価のゲージに色をつけたい………
評価されるだけの作品に出来るように頑張ります