もしいるのなら言います。僕はノーマルです!誤解しないでね!
まあ、あんなの書いたのは事実だが………自分でもドン引きだよ!!
でもアマト君はあんなこと言って無いからね!!
数日後……アマトの病室にはブレンダン、カノン、エリナの三人が見舞いに来ていた。
「アマト!怪我は大丈夫!?痛くない!?」
エリナが心配そうにベッドの周りをウロウロしている。さっきからずっとこの調子である。
「ああー………大丈夫、大丈夫だ」
アマトも少し苦笑いをしながらエリナを止めようとする。しかし、止まる気配はない。
「ハハハ、元気だな………」
ブレンダンも苦笑いだ。本来なら叱らなくてはいけないのだが、アマトを心配しての行動なので、多目に見ていた。
「エリナちゃん……あまりはしゃいじゃダメですよ?」
やんわりとカノンがエリナに注意をするが
「………カノンさん、もしかしてヤキモチ?」
少女と思えないドヤ顔で応えた。
暫くの間静寂が訪れる。
「……………………吹き飛ばしてあげる!!」
顔を赤くしながら何故か任務中のテンションでエリナに襲いかかろうとする。
「お、落ち着け!カノン!!」
ブレンダンがカノンを抑える。それを見てもエリナは余裕の表情だ。どんどん取っ組み合いがヒートアップし……
ドンガラガッシャアーーーン!!
「うおっ!!?」
「きゃああ!!?」
ブレンダンとカノンが、近くの棚もろとも倒れる。お見舞品のお菓子が宙を舞った。
「……ああ、凄い疲れるな」
ベッドの上まで飛んできたお見舞い品のチョコレートを掴む。
賑やか過ぎるやり取りを聞きながらハァ……と溜め息をつき、チョコレートを口に入れた。
暫く騒いだ後、エリナが疲れてしまい、イスに座りながらベッドに突っ伏している。
「それで………リンドウさんの捜索は進んでいますか?」
エリナが寝ていることを確認してからブレンダンに問い掛ける。エリナにこんな話を聞かせる訳にはいかない。
しかし、二人共目線を下に向ける。
「………すまない、フェンリル本部に捜索を打ち切られたんだ……」
ブレンダンが悔しそうに拳を握り締める。
「!!………神機が見つかったんですか………!?」
「いいえ、まだリンドウさんの神機は見つかっていないんです……」
アマトが驚きで目を見開く。普通なら神機が見つかるまで捜索は続くものであり、これではまるでフェンリル本部がリンドウを見つけたくないようだ。
「おかしいですよ……まだ神機も見つかってないのに…………」
カノンがポツリと呟く。それは今アナグラにいるゴッドイーター全員の気持ちだろう。
「………調べてみるか」
フェンリルがリンドウを確実に亡き者にしようということは明らかだった。
「…………?どういうことだ………?」
「いや……何でもないです………」
アマトは固く口を閉じる。フェンリル本部が暗躍している事実を伝えて、ブレンダンとカノンまで巻き込む訳にはいかない。
ブレンダンも察したのか、それ以上はなにも言わなかった。
「………っと、こんな時間か。悪いな、任務に行ってくる」
ブレンダンが立ち上がる。
「じゃあ、お大事にな」
「はい、ブレンダン先輩。任務気を付けてください」
「頑張ってください!ブレンダンさん!」
そして、ドアを開けてアマトの病室を去っていった。
「……あれ?カノン先輩は任務は無いんですか?」
ずっと座っているカノンがギクリ!という表情をする。
「あの……誤射をするからなのか……任務が少ないんですよね………」
「………ああ………成る程」
誰も誤射なんてされたくない、当たり前だろう。
「う~ん…………」
ベッドで眠っていたエリナも目を覚ましたのだろう。呻き声が聞こえてきた。
「あっ……エリナちゃん、起きちゃったんですね」
エリナが目を擦りながら言う。
「あれ……?いつの間に寝ちゃったの…………?」
それを見たアマトが見舞品のお菓子を取り出す。
「さて、エリナも起きたことだしお菓子でも食べますか………」
そして三人のお菓子パーティーが始まった。
お菓子を食べて二人が談笑している中、アマトは仕切りに時計を確認していた。
「どうしたんですか?アマトさん」
それに気付いたカノンがアマトに問い掛ける。
「……すみません、カノン先輩。俺もそろそろ出かける時間なんで」
「あ……すみません!長居してしまって…………」
「アマト……どこかに行くの?」
エリナの質問でアマトが少し気まずそうな顔をする。
「ああ、ちょっとアリサの見舞いな……同じ第一部隊の隊員だからな」
あまり辛気くさい話をしたくなかったから言い難かっただけなのだが……
「「…………」」
何故か驚愕の表情のまま二人が固まっていた。
「……私もついていきます!」
「……私も行くわ!!」
「うお!?」
固まっていると思ったら、鬼気迫る表情でアマトにお見舞に付いていくと宣言する。
アマトが一刻も早くお見舞いに行きたがってると勘違いしているのが原因だった。
アマトそれを見て一言。
「え…と…是非どうぞ…………」
アマトに拒否する勇気は無かった。
ーーアリサの病室
「アリサさん……まだ寝てるんですね…………」
カノンが心配そうにしている実際、アリサは暫くずっとこの状態だ。心配するのも無理はない。
「そうですね……」
死んだように眠るアリサを見てポツリとそう呟いた。そう言った後アマトはあることに気づく。
「……お見舞品忘れたか」
アマトとは対称的にアリサにはお見舞品が全くない。面会謝絶が長かったのもあるのだが、これ迄の態度が原因だった。花一本すら無い。これは酷い。
「それなら私が行きますよ!アマトさんもその足じゃ大変ですもんね」
カノンは見舞品を取りに行こうとするが…………
「…………」
エリナは動かなかった。
「手伝ってやれよ、エリナ。一人で行かせるのは可哀想だろ」
「ええっ!?何で私が…………」
そう言って反論しかけたとき
「ほら、俺印のクッキーだ」
アマトがポケットから手作りクッキーを取り出してカサカサと揺らす。極甘ジュースが隠し味だが
「わたしも手伝うわ!」
効果は抜群だった。
二人が部屋から出ていったのを見て、アマトは昨日のラボラトリでの、サカキ博士との会話を思い出す。
「………成る程、それは興味深い現象だね」
サカキ博士が中指で眼鏡を押し上げる。
「はい……博士は何か知っていますか?」
「それは感応現象だね。新型ゴッドイーター同士の接触で記憶や感情が共有されるんだけど、悔しい事に、謎がまだ多くてね…………」
そう話すサカキの表情は悔しいというより嬉しそうだった。解らないことを楽しむという、生粋の研究者としての性という奴だろう。
「そうですか……あともう一つ、これでアリサの意識を戻すことは可能ですか?」
アマトが此処に来た目的でもある話を切り出す。
それを聞き、サカキは少し考えた後う笑みを浮かべながら答えた。
「……現時点ではなんとも言えないけど、可能性はあると思うよ」
「そうですか……ありがとうございます」
アマトは一礼をした後、ラボラトリのドアに手を掛けようとしたが
「アマト君、そんな事を聞いてどうするつもりなんだい?」
その顔には今までと違う、全てを解っているかのような含み笑いをしていた。
アマトはサカキを睨み付ける。しかし、サカキは少しも動じない。
ハァ……と溜め息をつく。サカキもある程度は状況を把握しているのだろう。
「………探偵ごっこ、ですかね」
「……そうかい、あまりのめり込まないようにね」
そうして、ラボラトリのドアを開けた。
この会話の通り、感応現象はまだ謎も多いことも有り、何が起こるか分からないのでカノンとエリナに見舞品を取りに行かせのだ。
覚悟を決めたアマトは、そっとアリサの手に触れる。
ピキン…………!
あの音が頭に響く。
『もういいかい』
『まぁだだよ』
そんな声が聞こえた。その瞬間景色が変わる。親子でかくれんぼをしているのだろう。
『もういいかい』
少女はタンスの中に隠れて楽しそうな笑みを浮かべている。
『もういいよ』
その声を聞き、とうとうアリサの両親がアリサの目の前までやって来た。
しかし、
『アラガミが来たぞーーー!!』
その声が響いたとたん 、
グシャアアァァアァ!!!
アマトとリンドウを襲った黒いヴァジュラが、アリサの視界から二人を奪い去る。
グシャ……グシャ、ボキン!!
生々しい音と共に、鮮血が辺りに飛び散る。
『パパ…ママ……?やめて、食べないで……!』
その願いも届くことなく、アリサの両親は肉塊と化した。
「いやぁぁぁぁぁっ!!やめてえええええええっ!!」
その悲鳴を最後に、再び景色は変わる。
「幼かった君はさぞかし自分の無力を呪った事だろう。これに勝てば君は親の仇を討てるのだ……そうだ、戦え、打ち勝て!」
アリサがあの赤い機械に手を挟まれていた。これが彼女の復讐の始まりだったのだろう。
そして再び景色は変わる。次に視界に飛び込んできたものは、どこかの医務室にいるアリサと誰かがいた。
「こいつらが、君たちの敵、アラガミだよ」
そこにはアリサの両親を喰い殺した黒いヴァジュラの写真が貼ってある。
「アラ……ガミ……」
力無い声でアリサが呟く。
「そう、こわーいこわーいアラガミだ。……そして、こいつが……君のパパとママを食べちゃったアラガミだ」
そこには、紛れもないリンドウの写真が映し出されていた。
「でも、もう君は戦えるだろう? 簡単な事さ。こいつに向かって引き金を引けばいいんだよ」
「引き金を…引く……」
「こう唱えて引き金を引くんだ。ОДИН、ДВα、ΤρИ」
「ОДИН…ДВα…ΤρИ……」
「そうだよ。そう唱えるだけで君は強い子になれるんだ」
プツン………
そして、感応現象は終わった。
「……まさか、アリサの過去をみるなんてな…………」
本来アリサの意識を覚醒させるために行ったのだ。しかし、成果は充分あった。
(アリサ本人に聞こうと思ったんだが……まさか感応現象で見せられるとはな…………)
アマトが確信するには充分過ぎる証拠だった。これからどうするべきか考えている時…………
「………アマトさん」
アリサが目を開けてアマトの名前を呼んでいた。
次回はアマト君の過去です。
早く任務に行かせたい…………