スイーツイーター ~お菓子の神機使い~   作:フロンサワー

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アマト君ストレス溜めすぎだよ………


十六品目 必殺、お菓子殺法

 

ーー病室

 

カシャン、とドアが開く音が聞こえた。

 

「アリサ。見舞いにきたぞ」

 

そこにはお菓子の入ったバスケットを持つアマトがいた。

 

「ありがとうございます…………」

 

アリサがお礼を言いながらバスケットを受けとる。そしてアマトはベッドの側に置いてあった椅子に座る。

 

「「……………………」」

 

しかし、会話が続かない。あの日の出来事のせいでどうにも気まずいのだ。

 

「よし、撤退」

 

「ま、待ってください!!」

 

アマトは帰ろうとするがアリサが必死に引き留める。折角お見舞いに来てくれたのだ。このまま返すわけにはいかない。

 

しかし、アマトは席を起とうとする。その時

 

カシャン

 

再びドアが開く音がした。

 

「サクヤさん………」

 

アマトもサクヤを見て、椅子に座り直す。ちらりとアリサに目を向けると、かなり戸惑っていた。自分はリンドウの命を奪ったも同然の人間だと思っているからだ。

 

「こ、こんなところに何しに来たんですか…………?」

 

アリサはサクヤが自分を責めに来たと思っているのだろう。それをサクヤも察しているのか、首を横に振り否定する。

 

「大丈夫、あなたを責めに来たわけじゃないわ」

 

「だったら………」

 

「話を、聞かせてほしいのよ。その………あの日貴方に何が起きたのかを…………」

 

それを聞き、アリサがポツリポツリと語り始める。

 

アラガミに両親を殺されてから主治医のオオグルマによりメンタルケアを受けていたこと。

 

両親を殺した黒いヴァジュラを追って極東支部に赴任してきたこと。

 

そして

 

「何故かわからないけど!私の頭の中で『リンドウさん』がその仇になってて…………気づいたら、彼にむかって銃を…………イヤアァァァァ!!!」

 

アリサがあの日の状況をサクヤに告白する。混乱により悲鳴をあげながら頭を抱えるが

 

「せい」

 

いきなりアマトが極甘ジュースをアリサの口に突っ込む。

 

「甘い!!!??」

 

そう叫びベッドに突っ伏した。

 

「フゥ………これで落ち着いたか……」

 

アマトが一安心といった感じで息をつく。しかし、サクヤはかなり引いていた。ある意味それは何よりも荒療治だろう。

 

「アマト君……最近ストレス溜まってる?」

 

「いいえ、決して最初の暴言の仕返しというわけではないです」

 

「だれもそんなこと聞いてないけど…………」

 

ぶっちゃけ、神機の新機能(笑)のストレスが、今までの鬱憤との相乗効果で増大し、むしゃくしゃしてるだけである。

 

「んじゃ、帰ります」

 

「帰っちゃうの!?」

 

 

 

ーーエントランス

 

Side アマト

 

「なあ、アリサって確か今日に復帰するんだよな?」

 

「そうだな」

 

アリサも最初と比べると大分落ち着いてきた。そろそろ復帰させようという上の意見なのだろう。

 

「………アリサ、大丈夫かな」

 

「どうだろうな…………」

 

そう、問題はアリサがリンドウを見殺しにしてしまったと誤解されているからだ。フェンリルの上層部が一枚噛んでいるのだが、それを言える筈もない。感応現象だけでは証拠が不足しすぎている。悔しいが俺に出来ることは何もない。

 

「………っと、来たか」

 

噂をすれば、とはよくいったものだ。

 

「……本日より、原隊復帰となりました。また宜しくお願い致します」

 

アリサが目線を下げながら言う。最初の態度とはえらい違いだ。

 

「実戦にはいつ復帰するの?」

 

「それは……まだ分かりません…………」

 

「そうなんだ………」

 

やはり元気がないな。お菓子でもやれば元気になるか?いや、今必要なのは言葉だろう。

 

「……焦らずに頑張ればいい、アリサ」

 

「…………はい」

 

そう、焦った所で何かが変わるわけでもない。少しずつ、ゆっくり勘を取り戻せば良い。

 

「おいおい、聞いたか? 例の新型の片割れ、やっと復帰するみたいだぜ?」

 

「………!」

 

突然下からKYなモブ共の声が聞こえた。アリサがビクリと反応する。

 

「ああ。リンドウさんを、新種のヴァジュラと一緒に閉じ込めて見殺しにしたヤローだろ」

 

正しくは女朗な。

 

「ところが、あんなに威張り散らしてたくせに結局戦えなくなったんだってさ」

 

「ハハハ!結局口ばっかりじゃねぇか!」

 

何も言えないままアリサが俯いてしまう……前言撤回だ、俺にも出来ることはある。片手に極甘ジュースを取りだし、階段を降りる。

 

「あっ、アマト。どこ行くんだよ!」

 

コウタが呼び止めるがそんなことは気にしない。後ろから感づかれないように素早く且つ流れるように近づく。なんと言うか、気分は蛇のおじさんだ。

 

「新型って言っても大し………ムグッ!?」

 

手前にいた男の首を絞めて完全にロックする。動けなくなったところで口に極甘ジュースを流し込む。

 

「ブアッハァァァァ!!!」

 

一人目、取り合えずぶっ倒れた。

 

「!!?、おい!!?」

 

倒れた男に気をとられてる内に、腕を残った男の首に挟める。後は同じ行動だ。極甘ジュースを流し込む。

 

「ブアッハァァァァ!!!」

 

こうして二つの屍ができた

 

「……任務、完了」

 

 

 

ーーエントランス

 

Sideアリサ

 

「ターゲット抹殺完了」

 

「アマトーー!!お前なにやってんだよ!?」

 

アマトさんの突然の行動にコウタが突っ込む。私のためにあんなことをしてくれたのだろうか…………

 

「事後処理どうすんだコレ!?」

 

「………その内起きるだろ」

 

何だかそれが無性に嬉しく感じた。

 

『焦らずに頑張る』

 

アマトさんの掛けてくれた言葉を思い出す。そうだ……焦らずに一歩づつ進んでいけば良いんだ。そのためにも………

 

「あの……アマトさん!」

 

「ん?」

 

「私に……私に戦い方を、教えてくれませんか!?」

 

「「…………え"」」

 

二人が困惑した顔で固まる。やっぱり迷惑なのだろうか…………

 

「嫌という訳じゃなく、別に良いんだが……」

 

「………!良いんですか!?」

 

良かった。断られたらどうしようかと思った。恥ずかしいが、アマトさん以外にこんなことを頼める人はいない。

 

「それじゃあ、10時に贖罪の町で良いですか?」

 

「ああ」

 

「アマトさん、ありがとうございます……!!」

 

これからはもっともっと強くならないといけない。もう二度とあんな惨めな思いをしないために。誰かを、いや、アマトさんを守れるくらいに……

 

「アマト……大丈夫なのか?」

 

「多分無理ゲー」

 

………ん?今何か聞こえたような……いや、気のせいだろう。

 

 

 

ーー贖罪の町

 

Sideアマト

 

俺達は今コンゴウを討伐しに来ている。アリサの特訓なのだからこの辺りのアラガミが丁度良いだろう。

 

「………!!アマトさん、いました…………」

 

早速発見した。こちらに背を向けて歩いている。これはもう奇襲を仕掛けるしかない。

 

「いいか?アリサ。今からやるのは俺の奇襲の仕方だ」

 

一応釘はさしとく。

 

「…………はい!」

 

「よし、見てろ」

 

そして俺は

 

GEチョコをパキリッ、と取り

 

それをコンゴウの遥か前に

 

ポーンと投げた。

 

「ええ!!!?」

 

案の定アリサが驚いている。そう言えば俺の神機が食べれるって知らなかったからな。

 

「!!!!!!」

 

コンゴウが投げたGEチョコの破片に脇目も振らず走り抜け、ガツガツと食べ始めた。

 

「ラアッ!」

 

食事中というのは生物にとってもっとも無防備な時間だ。それはアラガミでも例外ではない。

 

なので、俺は自分の神機の破片を食わせてから奇襲をするという戦い方を思い付いた。

 

神機を振り下ろす。勿論コンゴウは血の海の中で臥した。

 

この奇襲は大抵のアラガミなら一発で成功する。凄い楽だ。

 

「……………………」

 

アリサが信じられないという表情で見つめている。うん、だから言ったろ。

 

「アリサ、これが奇襲だ」

 

「絶対違います!!」





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