スイーツイーター ~お菓子の神機使い~   作:フロンサワー

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もっと一人称上達しないかな~、うん


十七品目 アマトの、メンタリズム

ーーエントランス

 

Sideアマト

 

アリサに特訓を頼まれてからの五日間、俺達は沢山のアラガミ共を倒し殺し続けてきた。

 

アリサは俺の戦法にツッコミながら戦ってきたのだ。緊張や恐怖は幾分か軽減することが出来ただろう。

 

具体的にはGEチョコの破片を投げつけて気を逸らしたり、神機を食べて体力回復とかだ。あれは不味かった。ヘタに甘い分質が悪い。

 

まあ、俺は真面目に戦ってたつもりなのだが…………

 

しかし、本当に克服したと言えるのは『アレ』と同じヴァジュラ型のアラガミを倒した時だ。

 

そして今、丁度良いことに俺、コウタ、サクヤさんはヴァジュラ討伐の任務をツバキさんから伝えられていた。

 

「説明は以上だ。他に何か質問はあるか?」

 

コウタがおずおずと手を挙げる。よし、手筈通りだ。

 

「あのー……アリサを今回の任務に出してほしいなー……なんて」

 

「俺との特訓で頑張ってますからね。そろそろ出して良いんじゃないですか?」

 

さあ、どうだ………?

 

「お前らもか……他の者はどうだ?」

 

「…………賛成です」

 

よし、サクヤさんも賛成してくれた。後はアリサ次第だ。

 

ツバキさんがアリサの目を見ながら問い掛ける。

 

「………アリサ、今回の相手はこの間と同じ個体だ。大丈夫か?」

 

………行きたいって言わなかったら極甘ジュースを飲ませよう。

 

「…………行きます、行かせてください!」

 

「よろしい……無理はするなよ」

 

よく言った、アリサ。思わずコウタがガッツポーズをする。

 

「よっしゃ!俺達がいるから大丈夫だよ、な!」

 

「アリサ、俺との特訓の日々を思い出せ」

 

ここまで行かせたいのには理由がある。アリサとの特訓のせいでお菓子を作る時間が削られていたのだ。やはり自分で作ったスイーツは旨いからな。

 

コウタは純粋にアリサの復帰を望んでいたが………うん、利用してすまん。

 

「ありがとうございます……アマトさん、あなたのお陰でここまでこれました…………」

 

アリサが俺に向かって頭を下げる。全く、振り返ると厄介な頼み事だった。

 

「………お礼なら手作りスイーツで十分だ」

 

「はい!!」

 

アリサの手作りスイーツか……楽しみにしておくか。

 

 

 

ーー贖罪の町

 

Sideアマト

 

今俺達は贖罪の町を歩いている。目的はヴァジュラ一体の討伐。そしてアリサのトラウマの克服でもある。

 

「アリサ、チョコ食うか?リラックスするぞ」

 

隣には固くなっている面持ちのアリサがいた。久々の任務で緊張しているのだろう。

 

「あっ………いえ、大丈夫です……」

 

なら全部食っても良いか。

 

「そうか(ムシャムシャ)」

 

「アマトー、俺にもくれよー」

 

「お前にやるチョコはねえ」

 

…うん、GEチョコより遥かに旨い。そもそも比べる事自体間違っている。そんなことを考えながら進むと、道が二つに分かれていた。

 

「それじゃあ此処からは手分けをしてヴァジュラを捜索しましょう。私とコウタ君、アリサとアマト君で良いわね?」

 

「「「はい」」」

 

別れ際にサクヤさんが小声で俺に話し掛けてきた。

 

「もしもの時は………アマト君、アリサを頼んだわよ」

 

「安心してください。気を逸らすのは得意中の得意です」

 

いざとなったら神機の一部を投げつければ良い。大抵のアラガミはそっちに気をとられる。………俺の神機、なんやかんやで便利になったな。

 

「そうね!アマト君なら安心だわ」

 

サクヤさんが微笑む。が、それは囮として評価が高いって事になる。こっちとしては微妙な気分だ。まあ………否定する気もないし出来ないが。

 

数十分後、アリサが前、俺が後ろを警戒しながらヴァジュラを捜索する。しかし、一向にヴァジュラは姿を見せない。

 

「向こうの方にいるか……?」

 

こっちはハズレだったか。仕方ない、サクヤさん達と合流するか。

 

「………アマトさん」

 

アリサが突然足を止める。なんだ?何か問題でも起きたのか?

 

「………なんだ」

 

「アマトさんは……アラガミが恐くないんですか?」

 

ゆっくりと振り向きながら俺に質問する。そんな中、体が震えている事に気づいた。あの時の防衛任務と同じだ。

 

確信した。アリサはまだ恐怖を拭いきれてていない。

 

「アマトさんもアラガミに両親を殺されているのに、どうして………どうして戦えるんですか!?」

 

…………戦える理由か。

 

「……戦う理由なんて考えるな。アラガミを殺す。これだけに集中しろ」

 

「でも……私!恐くて………!!」

 

「アリサ、特訓の日々を思い出せ」

 

俺の脳裏には特訓の日々の風景が浮かんでいた。

 

俺がお菓子を食べたら驚愕のあまりつっこむアリサ、GEチョコの欠片を投げたら再びつっこむアリサ……

 

…………あれ?

 

「ツッコミしかやってないな………」

 

「いや、ちゃんと戦ってましたよ!?」

 

あ、アリサの震えが止まった。恐怖もそこそこほぐせたっぽい。

 

「…………難しい事は考えるな。いつも通りツッコミながら戦えば良い」

 

「私がツッコミ要員みたいに言わないでください!!」

 

ツッコミ要員じゃない?特訓中にアレだけツッコミんでおいてなにを今更………

 

パシュン!

 

「「!!」」

 

青空に鮮やかな光が輝いているのを見つけた。これはアラガミ発見の時の合図だ。

 

「急ぐぞ」

 

「はい!」

 

 

 

ーー贖罪の町

 

Sideコウタ

 

サクヤさんと一緒にアラガミの捜索ができるなんて今日はついてるなー、そう思ってる時期が俺にも有りました。

 

「グオオォォオオォオ!!」

 

「うわわわわ!!!」

 

今、ヴァジュラと戦ってるんだ……

 

ヴァジュラの電撃を転がりながら必死に避ける。アマトはこんな攻撃で集中砲火されてたのか………

 

うん、今度極甘ジュースでも奢ってやろう。

 

バシュン!!バシュン!!

 

ヴァジュラめがけて銃弾を放つ。しかし、骨格で覆われた肉体には大したダメージは与えられない。

 

このままだと正直キツい!

 

「アマト~~!早くこいよ!!」

 

「もうすぐで来るわ!頑張って!!」

 

サクヤさんが励ましながら援護射撃をしてくれる………よっしゃ!これだけであと二十分はいけるぜ!!

 

そんな時、フワリと甘い香りが漂った。あっ、来たなコレ。そう思い後ろを振り向くと

 

「待たせた」

 

いつもの神機を持って佇むアマトとアリサがいた。

 

「任せたぜ!アマト、アリサ!!」

 

「任せろ。行くぞ、アリサ」

 

「はい!」

 

二人揃ってヴァジュラの前まで飛び出した。迎え撃とうとヴァジュラが前足を振り上がるが

 

「甘い、シロップより甘い」

 

ガキンッ!!!

 

「ハアァア!!」

 

ズシャアアァァア!!

 

アマトがGEキャンディーを展開して前足を受け止め、動きを止めた隙にアリサがヴァジュラの顔面を斬りつけた。

 

「グギャアァァアアァ!!?」

 

すげえな……一緒に特訓しただけあって息がピッタリだ。

 

あっ、ヴァジュラのマントが電気を帯始めた!

 

「アリサ、後退!」

 

「はい!」

 

バチバチバチと放電をするがアマトとアリサのバックステップの方が数段速かった。うーん、流石新型だな。

 

「コウタ君!狙撃!!」

 

「あっ、スンマセン!!」

 

ヤベ!感心してる場合じゃなかった。放電をして隙だらけのヴァジュラに全員で一斉に銃弾を放つ。

 

ドドドドドドドドドドドド!!!

 

あまりの銃弾の数にヴァジュラが見えなくなるほどの土煙がおこる。やり過ぎだなコレ!

 

煙が晴れると、そこにはヴァジュラはいなかった。

 

「うわ、あの中を逃げたのかよ!」

 

「流石ヴァジュラってとこか。どうします?サクヤさん」

 

「そうね……それぞれ散開してヴァジュラを追いましょう。固まっていたら狙われるわ。………アリサ、大丈夫?」

 

「はい……!いけます!」

 

「それじゃあ………散開!!」

 

 

 

ーー贖罪の町

 

Sideアリサ

 

「はっ………はっ…………」

 

呼吸が荒いのが自分でもわかる。建物の影に隠れて一度息を整えよう。

 

一人だと、アマトさんがいないとどうしても不安に思ってしまう。こんなことではダメだと解っているのに……

 

私はアマトさんとなんの為に特訓したんだ…………!

 

ドシン!!

 

ゆっくりと音の発生源を見るとヴァジュラがビルの上にいた。他に誰かいないか周りを見渡す。しかし、そこには誰もいない。

 

私がやるしかない…………

 

「パパ………ママ…………」

 

あのときとは違う。私にはやれるだけの力が有る筈だ。そうだ、覚悟を決めなきゃ………!ビルの影から飛び出て銃口を向ける。

 

「はあっ…………はあっ…………!」

 

恐怖で銃口が揺れて狙いが定まらない…………

 

「グオオォォオオォオ!!」

 

私に気づいたヴァジュラが雄叫びをあげる。

 

………!!

 

脳裏に浮かぶのは私の両親を殺した黒いヴァジュラ。思わず膝をついてしまう。一体、どうすれば…………!

 

そんな時、ザッザッザッザッ………という足音が聞こえてくる。

 

アマトさんがこっちに向かって歩いてくる!そんな………ヴァジュラに気づいていない!?

 

このままじゃ、アマトさんも護れない………!ヴァジュラがアマトさんに目掛けて飛びかかる。

 

そうだ………難しい事なんて考えるな。誰かを守る、それだけで十分だ!

 

「アマトさん!!よけて!!!」

 

私の放った赤い銃弾がヴァジュラに吸い込まれた。

 

ズドオオォォォオオォン!!

 

「グオォォオオォ…………」

 

ヴァジュラが爆風により力尽きてその場に倒れる。

 

やった……私にも………守ることができたんだ…………

 

「うっ………うっ………」

 

安心したら涙が溢れてしまった。人前で泣くなんて何年ぶりだろう。

 

「やればできるじゃないか、アリサ」

 

アマトさんが私に手を差し伸べる。その顔には怪しい笑みを浮かべていた。

 

「アマトさん………?まさか最初から気づいて…………!」

 

「さあな、チョコ食うか?」

 

こうして無事、今日の任務は終わった。

 




題名ェ…………
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