・ロリコン
・タラシ
・スイーツイーター
録なのがねえ…………
ーーサクヤの部屋
Sideアマト
「開きませんね」
「そうね…………」
今、サクヤさんとリンドウさんの残したデータを調べている。が、開く気配は一向に無い。
「やっぱりリンドウさんの腕輪が必要ですね」
「ええ、このデータさえ解れば今回の手懸かりが掴めると思うんだけど…………」
ここまで頑丈にガードされている情報とは一体何なのだろう。無いと思うが、もしもただのエロい画像とかなら心から軽蔑するぞ………
「フェンリル本部に回収されたら手詰まりです。早く見つけないと………」
今考えられる最悪のケースだ。そうなればこのデータを見るのは不可能に近…………
『コンコン………』
「「!!」」
ドアをノックする音が響く。と言うことはドアの前に誰かいるという事だ。
マズイな……!今の会話、聞かれたのか……!?
「誰………?」
「夜分すみません、わたしです」
なんだ………アリサか…………
「あなたか……びっくりした。そこで話すのもなんだし、入って」
「失礼します」
「…………よう、アリサ」
ドアが開きアリサと目が合う。まったく、こんな夜遅くに何のようなんだ?
しかし、俺の顔を見たとたんアリサが石のように固まってしまった。
「どうしたの?」
サクヤさんが怪訝そうな顔で尋ねるもそれでも動かず。一体なんなんだ。
「し、し、失礼しました!!」
ゆでダコのように真っ赤になって部屋を出ようとする。キラリと目の端に涙も浮かべている。
うん、全て理解した。絶対に逃がしはしない。
「待て!違うっつーの…………!」
ロリコン、タラシ、スイーツイーター、既にこんな不名誉な渾名で呼ばれているのにこれ以上増えたら心が折れる…………!
・
・
・
「つまり、二人でリンドウの置き手紙を開けようしてたのよ」
「そうなんですか…………」
サクヤさん、ナイス説明だ。多分俺が言ってもなんの効果も無いからな。駄菓子菓子……間違えた。だがしかし、しっかり口を封じさせてもらおうか。
「お前、変な事言ったら直ぐ極甘ジュースの刑だぞ」
「い、言いませんよ…………」
アリサが頬を引き吊らせている。特訓で錯乱した度に飲ませてたからな。今やもう一つのトラウマだとかなんとか。こんな旨いのに………
「そうだ、コーヒー淹れてくるわね」
サクヤさんがソファーから立ち上がる。コーヒーか………苦いのは勘弁だな。
「糖分多目で」
「フフ、わかってるわ」
分かってくれたか。流石サクヤさんだ。部屋もキレイだしできる女は違う。
コポポポポ………とコーヒーが注がれる。それと同時にいい匂いが鼻をくすぐった。
ふと、アリサに目をやる。そういえば何故アリサはここに来たんだ?
「はい、どうぞ」
アリサと俺の前にコーヒーが置かれる。
「「ありがとうございます」」
ズズズ……とコーヒーを啜る。確かに旨いがまだ甘味が足りないな。そうだ、砂糖を足そう。確かコートの裏にあった気がする。
「サクヤさん……私にも手伝わせてくれませんか?今回の件についてサクヤさんに相談しようと思って………」
あ、砂糖いれる空気じゃないな。
「せめて一つでも罪滅ぼしができ…………うぅ…………」
たまらずアリサが言葉を詰まらせる。贖罪、それが理由か………
「アリサ、お前の専属医のオオグルマ先生がいただろ?極東支部から異動になってな……ロシアに帰る途中アラガミに襲撃されて死亡した」
「え……!?」
「単純に襲われたか、揉み消されたかのどちらかだ。俺達が調べてるのはそんな奴等を相手にする危険な事だ。それでも……やるか?」
罪を償いたいという気持ちは解る。だが、生半可な気持ちなら手伝わない方がいい。
「アリサ……無理することなんて無いのよ…………」
静寂が暫く続く。
「………やります、やらせてください!私にも無関係な事じゃないですから…………」
「………そうか」
「ありがとう………アリサ」
まったく、無駄に強いヤツだ。
ーーエントランス
Sideアマト
今日の任務はサリエルの討伐だ。蝶と女性を組み合わせたようなアラガミだ。このアラガミ、元が女性のせいなのか、甘味好きが多い。しかもホーミングレーザーを放ってくるから攻撃が避けにくい。(俺限定で)厄介な相手だ。
その任務の直前にツバキさんに第一部隊全員が呼ばれた。珍しいな、全員集合なんて。
「なあ、急に集まれって言われたけど一体なんなの?」
「知りませんよ……知っててもコウタには教えませんけど。サクヤさんは何か聞いてませんか?」
久々にアリサがツンを出した。本調子に戻ったんだろーな。
「いいえ、全く聞いてないわ」
それと同時にエレベーターの扉が開きツバキさんが降りてくる。
「どうやら全員いるようだな」
「いえ、ソーマが居ません」
「………後ろを見てみろ」
言われた通りに後ろを振り向くと……
「なに見てんだ」
ソーマが後ろにいた。影薄すぎだろ……根暗かよ。しかし、表情には出さない。殴られるのは分かり……ヤバイ!
~図解~
ソーマ→( ・ω・)っ≡つ (((っ・ω・)っ←アマト
「遊ぶなッ!!!」
ツバキさんの右ストレートで仲良く地面に沈められました。
「さて、本題に入ろうか」
本題に入るそうなので、ふらつく足に鞭を打ちつつ無理矢理立ち上がる。何なんだあの人外パンチは………
「本日、執行部から正式に辞令が降りた。今回の任務の完了をもって、桐永アマトをフェンリル極東支部、保守局第一部隊隊長に任命する」
…………俺がか?
「これからはお前がリーダーだ。よろしく頼むぞ」
「え、あ………はい」
おかしい………普通は副隊長に位置するサクヤさんに任命されるだろ。
「すげぇ……出世じゃん!大出世じゃん!こういうのなんて言うんだっけ……下剋上!?」
……コウタが可哀想になってきた。中途半端な教養だな。正しくは成金とかだろ……なんか違うか。
「それ……裏切りですよ」
おい、何でロシア人のお前が下剋上なんて知ってるんだ。
「改めて……よろしくお願いします!ねっ、サクヤさん」
しかし、サクヤさんは浮かない表情だ。執行部が何を考えているのか探っているな。
「サクヤ…………さん?」
アリサの不思議そうな顔に気づいたサクヤさんは慌てて俺に微笑みかける。
「リーダーか……アマト君なら背中を預けられるわ!これからもよろしくね!」
今考えられるとしたら、出来るだけ俺を監視下に入れておきたいっていうところか……どこから情報が漏れたんだ?
(アマト君……気をつけてね)
(………分かってますよ)
流石にこの辞令には何か裏がある。そうでなければ俺みたいな新人がこんなにも早く隊長に任命されることは有り得ない。
「早とちりするな。正式に任命されるのは今回の任務完了後だ。それに、確かにリーダーに成ればそれ相応の権限を与えられる。それと同時に重く大きな義務を負ってもらうことになる」
ツバキさんが何時もと違う雰囲気で話し掛けてきた。今なら解る。この話は、絶対に聞かないといけない。
「重く、大きな義務…………ですか」
「そうだ、神機使いの職分だけではない。チーム全員を生きて帰すという義務だ」
俺のような仮初めの隊長にそんな大きな義務を背負えるのだろうか。
「リンドウさんのように……ですか?」
そう、その義務を果たしたリンドウさんのように…………
「フッ、どうだろうな………死ぬなよ、全員生きて帰れ、これは命令だ」
…………!!
正反対な二人だと思っていたけど、やっぱり姉弟なんだな………あの時と同じ事を言うなんて…………
「ぼさっとするな。早く任務に行ってこい」
上の思惑は解らないが、しっかりと義務は果たさせてもらおうか。
ーー鉄塔の森
Sideアマト
鉄塔の森に現れた蝶のようなアラガミ、サリエル。それが今、誘うように俺の目の前で舞っていた。
「全員、ブリーフィング通りにやってくれ。作戦……開始!」
作戦内容は単純明快、俺が前線に出てサリエルの攻撃を引き付ける。そもそも俺しか狙わないから。
「キュルルルル!」
早速俺だけに向かってレーザーが放たられた。右、左とステップしながら避け続ける。
今のチームはアリサ、ソーマ、コウタと俺を含めて四人だ。アリサとコウタがサリエルに銃口を向ける。しかし、そのまま銃撃してもスカート(?)に弾かれて意味がない。
「消えろッ………!!」
なので先にソーマに破壊してもらう。
『ゴシャアアァアアァ!!』
「キュルルル!?」
『ドンドンドンドォン!!!』
「キュルルルル!!??」
間髪入れずにサリエルを銃撃させる。剥き出しのスカート内部を銃弾が抉る。そのダメージに耐えきれずにサリエルが墜ちる。
「…………斬り抜ける!」
そこを見逃すほど俺は甘くはない。ダラリとしたサリエルの上半身をGEチョコで切断する。
「キュルアァ…………」
斬られているのに幸せそうだ……そのままサリエルは力尽きる。
「ヨッ、さすが隊長!!」
「はい、とても良い作戦でした!」
「…………フン」
「…………ああ、ありがとな」
………やっぱり違うな、この義務の重さは。リンドウさんはずっとこの重さを背負ってきたのか………
「リンドウさん……仇はとりますよ」
~どうでもいい後日談~
この任務の後にも更に肩書きが追加された。
その名は『スイーツリーダー』。
なんかファッションリーダーみたいだ……