スイーツイーター ~お菓子の神機使い~   作:フロンサワー

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書いてから気づいた。
15歳がこの知力って、頭よすぎだろ………
ペッテンコーファーなんて普通分からんよ………


二十一品目 ディスクの中の、真実

 

ーー支部長室

 

「最近の君の活躍には目を見張るものがある。この短時間でチームを束ねる存在となるとは……新型の面目躍如といったところだな」

 

第一部隊の隊長という立場もあり、定期的に支部長と面談しなくてはいけない。リンドウさんもこんな面倒な事をやっていたのか………

 

「その割には待遇酷くないですか」

 

俺は忘れない。あの部屋替えの理不尽な仕打ちを……まあ、リフォームはしてもらったが。あのままなにもしなかったらストライキしてたかもしれない。

 

「さて……知ってると思うがエイジス計画は最終段階に入りつつある」

 

スルーしやがった。しかし、ここで口答えをすれば減給に繋がりかねない。この歳で、誰かの下に就くのは辛いと実感してしまった。

 

「アラガミの脅威から我々を守り、人類を新たなる未来へ導いてくれる方舟、それがやがて完成を迎える……喜ばしいことだ」

 

エイジス計画……この計画さえ成功すれば、俺みたいな惨めな奴が増えないですむのだろうか。忘れはしない、アラガミが人を、家族を蹂躙していったあの悔しさは、悲しみは………

 

「あと少しだ……もうしばらく君たちの力をかしてくれ」

 

「………はい」

 

ピピ……と何かのアラームが響いた。それと同時に支部長が机の上にあるパソコンを確認する。あのパソコンからアラームが鳴ったってことになるな。

 

「……すまない、来客だ。また後日に話そう」

 

うぐ……また来ないといけないのか。スイーツ作りの時間がドンドン削られていく。

 

「………分かりました」

 

「ともかく、君たちの働きに期待しているよ。以上だ、下がりたまえ」

 

「はい、失礼しました」

 

支部長室の扉を開けて外に出ると、そこにはサカキ博士がいた。支部長に用があるのはサカキ博士ということか?

 

「どうも、サカキ博士」

 

軽く会釈をしておく。

 

「やあ、アマト君」

 

サカキ博士とすれ違う。その時、何かが落ちた音がした。

 

「君は、好奇心は旺盛な方かね?」

 

地面にあったのはディスクだった。確かターミナルでも再生できるタイプだったものだ。相当古いタイプのものだな。

 

「これは………?」

 

サカキ博士のあの言葉……見ろと言うことなのか?

 

エレベーターのボタンを押して暫く待つ。その間にディスクをどうするか考えた。本来なら今すぐにでも返しにいった方が良いのだが、あの意味深な発言の後だ。

 

『ポーン』

 

エレベーターの扉が開いた。とりあえず部屋に戻ってから考えることにしよう。

 

エレベーターを降りてベテラン区画につく。早速、部屋を目指して歩いていると、いつも見かける三人組の子供たちがいた。補足だが、その内の一人はエリナである。

 

「あ、兄ちゃん!今から遊ぼうぜ!鬼ごっことかしてさ!」

 

三人の中で特に活発そうな少年が俺と遊ぼうとせがんできた。しかし……鬼ごっこか……

 

「あー……悪い。今忙しいんだ」

 

ディスクの件があるので遊んでいる時間はない。

 

「アマト、最近付き合い悪いわよ!いつもソレばかりじゃない!」

 

頬を膨らませながらエリナが文句を言う。確かにリーダーに就任してから遊んでないな……何かと報告書を作ったりと忙しいし。

 

「しょうがないよ、エリナちゃん………アマトさんもいつも忙しそうだし………」

 

エリナを少女が宥める。三人の間に暗い空気が漂っていた。何故かこっちに罪悪感が沸いてくる。正直、任務と報告の後でかなりの重労働だが………仕方がないか。

 

「分かった分かった、この後遊んでやるから」

 

「「「本当に!?」」」

 

パアッ……と明るい笑顔を浮かべる。この笑顔を見ると、偶にはこういう日も良いだろうと思える。

 

「ああ、だから今は勘弁してくれ」

 

「分かった!!じゃあエントランスに来いよ、兄ちゃん!約束だぜ!」

 

「必ず来てね、アマト!」

 

「アマトさん、またね!」

 

「ああ、また後でな」

 

手を振り返して三人と一先ず別れる。つーか何故ベテラン区画に居るんだ?

 

暫く歩き続け、ようやく自室に着いた。ドアを開けると甘い香りが鼻腔をくすぐった。今この部屋には至るところにスイーツがあるからだ。やはり甘い香りとは良いものだ。ビールやタバコの匂いとは段違いだ。少し香りに浸りながらソファーに座る。

 

「…………」

 

さて、サカキ博士が落としていったこのビデオテープはどうする?流石に人の落とした物を再生するのはいかがなものか…………

 

「…………別に良いか」

 

思えば博士にそんな気を遣う必要もなかった。そもそも意味深な発言をしたから見ろと言うことだろ。早速ビデオテープをターミナルに取り付ける。何が再生されるのやら…………?

 

 

 

 

 

ーーザ………ザザザザ………ーー

 

そこには医師と思われる人物が映し出されていた。一人は男性、もう一人は女性の医師だ。オウガテイルの解剖をしている。その事から察するに相当昔の映像だろう。

 

『う、うわああああああああ!!』

 

………!男の方が殺られた!あのオウガテイル、まだ生きているのか!?

 

『麻酔効いてないの!?』

 

『おい、こっち手伝え!』

 

誰かがカメラにぶつかったのか、映像が乱れ再びノイズが走る。一体なんの映像なんだ………

 

ーーーザザザザ………ザザー

 

次に映し出されていたのは会議室のような場所だった。そこに座っているのは………若い頃の支部長とサカキ博士か?それじゃあもう一人の女性は誰だ?

 

『やはり、生体への偏食因子組込みは難度が高いわね……』

 

『投与しても、アポトーシスが誘導されづらいようだね』

 

前に博士の講義で習ったな。アポトーシスは生物をより良い状態にするために細胞を自殺させる事、だった気がする。

 

『やはり、胎児段階での投与が一番確実じゃないかな……。少なくともラットでは成功している』

 

そう言い終わるとサカキ博士がお茶を啜る。これは何の話し合いなんだ?

 

『どちらにせよ、人体での臨床実験が必要な段階だろう』

 

『原理のわからない物を、分からないまま使うアプローチ全てを否定するわけじゃないけど、P-73偏食因子

の解明は始まったばかり。少なくとも今行うのはいかがなものかと……』

 

P-73偏食因子ということは、ゴッドイーターについての事だ。つまり、この映像は、最初のゴッドイーター誕生の過程だ。

 

『一日10万人近くの人間がアラガミによって捕喰されている中、そんな悠長なことは言ってられないだろう』

 

人体実験か………ゴッドイーターはおろか、アラガミ防壁すら存在しない混乱の真っ只中の時代じゃ、やら不るを得なかったのか………

 

『君が、ペッテンコーファーのように自分で試すのかい?』

 

ペッテンコーファー………コレラ菌を解明した第一人者であり、自分の理論を確立させるためにコレラ菌を直接飲んだドイツの化学者のことか。

 

『ああ……それが合理的であれば、試すさ』

 

しかし、支部長は普通の人間だ。ということは他の人間がやったことに……

 

『ヨハネス……私の、私達の子供に投与しましょう』

 

………………今、何て言った…………?自分達の、子供で実験する……!?

 

「……ふざけるな!!!!」

 

自分達の子供なんだぞ!!この女、何を言っているんだ!!

 

『本気か……!?いくら君の提案でも、それは……』

 

『誰かが渡らないといけない橋よ……それならば、私達が……』

 

だからと言って!子供にそんな重荷を背負わせるなんて………!!

 

『しかし……』

 

『滅び行く世界を子供に見せつける気はないわ……』

 

~~~ッ!!クソ!何でなんだよ………!なんでそんな愛情があるのに、そんな残酷な事を…………!!

 

『私は、支持しよう』

 

…………落ち着け、俺。これはもう過去の話だ。今更何を喚こうと変わりはしない………

 

『両親共に賛成か……。どうやら、説得の余地はなさそうだね。なら私は降ろさせてもらう。君達とは方法論が

違いすぎる』

 

『サカキ……』

 

『私はあくまでスターゲイザー……、星の観察者だ。君たちの重大な選択に介入するつもりはないよ。私は私で偏食因子の解明を続ける。いずれどこかで交わることもあるだろう。それじゃあ、失礼』

 

ーーザザザ、ザザ…………ーー

 

………映像には、妊娠した女性が映っている。カメラを撮っている人は支部長なのだろう。支部長とこの女性は夫婦という事か…………じゃあ、子供はソーマか?

 

『気分はどうだ?』

 

『うん……体調もいいし、早く生まれてきてね……』

 

そう言いながら大きくなった自分のお腹を手で撫でる。

 

『サカキは?』

 

『安産のお守りが贈られてきたが、音信不通のままだ……』

 

『そう……。私達が計画を強行したのをまだ怒って……』

 

『今は、考えるな……。身体に障るぞ』

 

『そのお守りは貴方が持っていて頂戴。明日はよろしくね』

 

ーーーザザ………ザザザ、ザーー

 

『やあ、ペイラー。久しぶりだね』

 

イスに座っている支部長が映っていた。自分で撮っているのか?

 

『あの忌まわしい事件の後……事実上マーナガルム計画は凍結された』

 

マーナガルム、北欧神話に登場する狼だったな。フェンリルと関連づけているのか………しかし、忌まわしき事件ってことは、まさか…………

 

『あの事故で生き残ったのは、生まれながらにして偏食因子を持ったソーマと……君から贈られた安産のお守り

を持っていた私だけだ。君のあのお守りの技術が、今や人類を守る対アラガミ装甲壁となるとは……、科学者と

して君には敵わないと痛感するよ……。おそらく君は、こうなることを予測していたのだろう……? フッ、安心してくれ。君を責めるためにこのメールを送っているわけではない。近々私はフェンリル極東支部の支部長に任命される。そこで再び君の力を貸してほしい。報酬は、研究のための十分な費用と、神機使い、ゴッドイーターに関わるすべての開発統括だ』

 

そうか……ソーマは、自分が母親を殺したと思っているのか…………

 

『そういうわけで、近々挨拶に行くよ。それでは、失礼』

 

…………プツン!

 

映像が終わった。多分続きは無いのだろう。サカキ博士、何故こんな物を俺に見せたんだ…………?

 

『ピピピピピ!!』

 

ん?まだ続きがあるのか?

 

『このディスクを拾った方は、ペイラー・榊の研究所まで届けてください……まさか、中身は見てないよ

ね……?』

 

「…………」

 

博士………最後にこの映像を入れても意味ないと思うぞ。

 

 

 

 

 

ーー支部長室

 

「やあ、誰かと思えばペイラー」

 

「ヨハン、君はアマト君も飼い犬にしようと言うのかい?無理がありすぎるように思えるけど……アマト君は賢い子だからね。直に裏が有ることに気づくと思うよ」

 

アマト君の第一部隊の隊長就任、これには流石の僕も驚いた。いくら新型とはいえ、こんなに短時間での昇格は不自然すぎる。引き込もうとしているのがバレバレだよ。アマト君とサクヤ君の方も、色々と探っているみたいだしね。

 

「問題はないさ。それより、例の件はどうなったのかな。あれから報告を受けていないが」

 

特異点………のことかな?アレはまだヨハンに見つけさせるわけにはいかないな。

 

「ああ、特異点のことかい。残念ながら、まだ手掛かりはない」

 

「………そうか。あれは計画の要だ。引き続き頼む」

 

ヨハンもある程度は気づいているだろう。あの計画もそろそろ最終段階か……僕もうかうかしてられないな。

 

「君の方もは探させているようじゃないか。どうなんだい?」

 

「やはり、ソーマだけではままならないと言う現状だ」

 

それもそうだ。彼女を一人で探させるのは効率が悪い。

 

「それで、アマト君も引き込もうとしたわけだね?でも、アマト君はそう簡単に懐柔できないと思うけどね」

 

「さて、どうだろうな?それより、貴方はいつも通り観察に徹してくれればいい」

 

「ああ、森羅万象は私の観察対象さ。貴重な観察対象を無駄にしてほしくないから言っているんだよ」

 

「ご忠告ありがとう、スターゲイザー。これからも『我々』が為すことを見守ってくれたまえ」

 

「それじゃあ、ヨハン。失礼するよ」

 

「ああ、ペイラー……また後日に」

 

さあ、あの計画も引き返せない所まできている。計画の鍵を握っているのは、特異点と、アマト君だ。

 

「さて……どちらについてくれるかな?桐永アマト君」

 

願わくは、彼が狂っていないことを祈るだけだね………

 

 





桐永アマト君の画像を見たい人は、活動報告をチエックしてね!!
後どうでも良いけど、あの少年と少女の名前ってどうしようか………
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