感想、ありがとうございます!
ほんともう感無量です!
適合検査から一週間は訓練漬けの毎日だった。正直命を賭けるだけあってかなり厳しい。
しかし、そんな訓練も今日で最後だ。任務も兼ねて、実際に戦場に出て、オウガテイルというアラガミを討伐するらしい。
クッキーを噛じり、任務を同伴するゴッドイーターをロビーで待つ。
暫くして、カツン、カツンと階段を降りる音が聞こえた。
「あ、リンドウさん、支部長が見かけたら 顔を見せに来いと言ってましたよ?」
「オーケー、見かけなかったことにしといてくれ」
ヒバリが苦笑いを浮かべている。日常茶飯事の事なのか、特に誰も咎めはしなかった。ソレでいいのか、アナグラ。
リンドウと呼ばれた男がこちらに歩いてくる。おそらく任務の同伴者だろう。急いでクッキーを頬張る。
「よーう、新入り、俺は雨宮 リンドウ。形式上、お前の上官にあたる……が、まあめんどくさい話は省略する。とりあえずとっとと背中を預けられるぐらいに育ってくれ、な?」
「俺の名前は桐永アマトです。よろしくお願いします」
「ああ、よろしくな、アマト」
右手を出し、お互いに握手する。命懸けの闘いを続けているだけあって、力強い手だ。
「あ、もしかして新しい人?」
次はショートヘアーの女性が声をかけてきた。しかも、また露出度の高い女性だ。しかし、ツバキと違いどこか柔らかい雰囲気を感じる。
「あー今厳しい規律を叩き込んでいるのであっち行ってなさい、サクヤ君」
「了解しました、上官殿」
相当仲が良いらしい。
「じゃあね、新人君」
「あ……はい、また今度」
サクヤと呼ばれた者はそのまま階段を上がっていった。
周りの男性陣が羨ましいような、憎たらしいような視線をリンドウに向けている。
「リンドウさん、ここにいる皆の代表として物申します。
リ ア 充 爆 発 し ろ 」
「おーおー、今回の新人は随分手厳しいもので」
「いや、代表として言っただけですから」
「つーか、お前の思ってるような関係でもないしな」
「そうなんですか?俺はてっきり●●●や■■■…………」
「冗談はこのくらいにして、そろそろ行くぞ、アマト。」
「はい」
こうして、アマトの最初の贖罪が始まった。
ーーー贖罪の町
「ここも随分荒れちまったな…………」
「………はい」
アラガミの蹂躙により、廃墟となってしまったビル群。ハイヴができる前では居住区となっていた地域だ。
「しっかし、そんな神機初めて見たぞ。戦えるのか?ソレ」
「曲がりなりにも一端の神機です。大丈夫ですよ、多分」
今のところ、この神機を見たほぼ全員に言われている。彼はこの先、何回このセリフを言うのだろうか……
「そうか、そんじゃ早速ミッションに入るぞ。命令は三つだ。死ぬな、死にそうになったら逃げろ、そんで隠れろ。運が良ければ不意をついてぶっ殺せ。……あっ、これじゃ四つか」
苦笑いをして頭を掻く。緊張を解そうとしてくれるようだ。
「その命令、守れるように頑張ります。死んだらそこで終わりですから………」
「そういうことだ、生き延びていれば後は万事どうにでもなる。それを忘れるなよ」
これまでのリンドウからは想像できない神妙な顔だった。何度も何度も闘い抜いて辿り着いた自論なのだろう。
「ッと、そろそろ時間だ。行くぞ、アマト」
「はい」
息を殺しながら町を探索していると、リンドウが突然足を止めた。
「…………いたぞ」
壁に背をあずけ、視線を向けると討伐対象のアラガミ「オウガテイル」がいた。
リンドウSide
新型のゴッドイーター、桐永アマトは噂通りにお菓子の神機を使っていた。その事に触れると、遠い目をするが………
(最近の若い奴も苦労しているな)
しかし、その新人は初陣だというのに全く緊張していない。
(少し試してみるか)
「アマト、先ずはお前が仕掛けろ。何かあったら俺が援護する」
「……分かりました」
その返事には一切の淀みが無かった。肝が座っている、と言うべきか。
「……いきます!」
一気にオウガテイルとの間合いを詰める。最初は誰でも恐怖で動きが鈍る筈だがソレもない。
『グオオオォォ!!!』
オウガテイルもこちらに気づいたらしく、咆哮をあげる。しかし、怯むことなくさらに速度を上げる。
「ーーーオォ!」
一気に加速して板チョコの刀身で横一閃に切り抜ける。
(…………分かっていたが、かなりシュールな光景だな)
夥しい量の血が飛び散るが、それでもオウガテイルは倒れない。
『ギャアアアァァ!!』
「クッ…………」
血を撒き散らしながらオウガテイルが暴れまわる。アマトは付かず離れずの距離を保っている。
実際、アマトは新人としては上手く立ち回れている。想像以上の動きだった。
(頃合いだな。そろそろ加勢するか………)
しかし、戦場は何が起こるか分からない。
「ズルッ」という音が聞こえた。
アマトが血の泥濘に足をとられ、一瞬動きが止まったのだ。一瞬とはいえ、その時間は攻撃されるには充分すぎた。
「防げ!!アマト!!」
「ッ!!」
リンドウの指示に反応し、キャンディーを展開する。
「があ!!」
しかし、オウガテイルの尾の横払いをくらう。盾を展開することで幾分か衝撃を緩和したがダメージには変わりない。後ろに吹き飛ばされてしまう。
(クソ!!くらったか!!)
素早く落下地点に回り込む。間に合うかは五分五分だ。
その一方で、宙を舞うアマトの目には、いまだ殺意が宿ていった。
ガシャン!という音が響く。
新型神機の板チョコのような刀身から、ケーキのような銃身に変わる。
「…………まだだ!」
アマトは吹き飛ばされつつもケーキの銃口をオウガテイルに向ける。
ドンドンドンドンドンドン!!
『ガアアァァア…………』
オウガテイルは銃弾で肉を抉られ、血を噴き出し、穴だらけになり地面に倒れる。
本来ならば地面に叩きつけられるアマトを
「よっと!」
間一髪でリンドウが受け止める。
「痛ッ…………すみません」
「ん、気にすんな」
(大したヤツだ………反撃する気力があるなんてな…………)
ゆっくりとアマトを腕から降ろす。
「ったく、ヒヤヒヤしたぞ。怪我はないか?」
「いえ、まだ少し痛むけど大丈夫です」
「そうかそうか、そいつは結構。補食は俺がやるから少し休んでろ」
「ありがとうございます………じゃあ、少し休ませてもらいます」
そのまま何事もなかったように壁にもたれ掛かる。
まだまだ未熟な部分が目立つが、これまでの新人とどこか違うとリンドウは感じた。
(自分が傷つくことを恐れていない…………いや、関心がないのか?)
そう考えながらタバコを一服し、補食を始めた。
(やれやれ、一癖ある新人が来たもんだ)
Side end
フェンリルの病室の中、アマトはゴッドイーター専属の医者の治療を受けていた。
慣れた手つきでアマトの上半身の患部に薬を塗り、包帯を巻く。
「!!ッ~~~~!」
「我慢しなさい」
さらに包帯を強く締める。その度にアマトは顔を強張らせるがその手は一切止まらない。
「はい、これでお終いよ」
彼女の名前は三上ショウコ、黒い髪をポニーテールで束ねた、メガネを掛けた女医だ。
「ありがとうございます」
一礼をした後、席をたち、上着を着て黒色のコートを羽織る。
「まったく、初日からこんな怪我をして………先が思いやられるわ」
「婚期を逃した先生よりは全然良いと思いますけどね」
「…………」
「無言で注射器を構えないでください」
ショウコは俗に言う仕事女である。医者としての職業を真っ当してしまう余り、出会いが全く無い。更にその仕事ぶりから男性陣からも敬遠されがちなのだ。
「真面目な話、本当に大丈夫なの?」
注射器を下げ、尋ねる。
初めてアラガミの攻撃をくらったゴッドイーターは、死と隣り合わせという現実を突き付けられ、精神をすり減らし憔悴する者も多い。しかし、アマトの様子は普段と変わらない。
「何が、ですか?」
「………いいえ、何でもないわ。忘れてちょうだい」
「そうですか。それでは、失礼しました」
こうしてアマトは病室を後にした。
暫く歩くと廊下のベンチに座り込む。初めてのアラガミとの戦いということもあり、ここにきて疲れがどっと出たのだ。
「やっぱり………何も感じなかったか」
あの戦いの中、オウガテイルから攻撃されたときすら何も感じなかった。
しかし、彼の体は震えていた。命のやり取りに、心は何も感じなくても身体は反応していたのだ。
「…ああ……震えているのか」
アマトは意外そうな顔だった。しかし、次第に満足そうな顔に変わっていく。
「俺には……これがお似合いだな………そうだろ?父さん、母さん…………」
うっすらと嘲笑を浮かべて呟く。その問い掛けに答える者は誰も居なかった。
昨日投稿する予定だったんですけどねー……
あんなことになるとは