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こんなにありがたいものは無いです
外部居住区のとある場所にアマトとコウタの二人の姿があった。とある民家の前で立ち止まり、玄関のドアを開ける。
「ただいまー!」
そこには一人の女性と少女がいた。コウタの母親と妹のノゾミである。
「お帰り、コウタ」
「お帰り!お兄ちゃん!」
「ノゾミ!!元気だったかー!」
コウタがノゾミの頭をワシャワシャと撫でる。
少し遅れてアマトが扉を開ける。
「おじゃまします」
「あらあら、いらっしゃい、アマト君」
「いらっしゃーい!!アマトさん」
まるでコウタが三人になったような賑やかさだった。
二人は任務の空き時間を縫って藤木家に遊びに来たのだ。
「うんうん、礼儀正しい偉い子だな。おじさんがお菓子をあげよう」
懐からクッキーやチョコレートの入った袋を渡す。
「いや、おじさんって年じゃないだろ!」
ビシッとコウタにツッコまれる。本人は気づかないだろうが、アマトと出会ってからツッコミスキルが格段に上昇していた。
「なんだか漫才みたいねぇ……」
そう思うのも仕方ないだろう。
「わぁ~~!!ありがとう!アマトおじさん」
だが純度100%の満面の笑みでお礼をしたが台詞がいけなかった。
「く!!?やはりおじさん扱いはキツイ…………!」
「アハハハハ!!おじさんってwww ドンマイ!アマト!!」
あまりにも素直な言い方で、コウタの笑い声をBGMにアマトが膝をつく。
「アハハハハ、ウハハハハ!!」
「…………うっさいぞ、コウタ!!」
「ハハ………ギャアアァァ!?」
アマトがいきなり復活しコウタに飛び掛かる。
「本当に、いい友達ね……」
コウタの母親は、安心しつつも嬉しそうな顔だった。
「?…………どうした?」
「……ああ、いや……何でもない 」
取っ組み合いをしているなか、その顔をチラリと一瞥したアマトは羨ましくも、悲しそうだった。
三人が椅子に座りながらコウタに視線を向ける。
「そこでさ、俺がズバババーンと撃ち抜いたわけよ!決まった………てな」
身ぶり手振りを加えながら最初の任務を説明する。
「すごーい、お兄ちゃん!」
「ああ、まあな!」
ノゾミが素直に喜び、和やかなムードが漂う。しかし、ポツリとアマトが呟く。
「誤射をな」
ソレを聞いたコウタの母親が血相を変える。
「コ、コ、コウタ!!誤射って相手の方は大丈夫なのかい!?」
勢い余ってコウタの首もとに掴み掛かる。
「ウゲ!?だ、大丈夫、大丈夫だって!」
「アマトお兄ちゃん、誤射って何?」
「誤射ってのは味方に攻撃する射撃が下手な奴のやることだ」
「アマトーーー!!余計なこと言うなよーー!!」
コウタの叫び声はどこまでも響いた。
「久々に楽しかったな」
コウタが車の運転をする横で、アマトが懐かしそうに呟く。
「またうちに来いよ、皆歓迎するぜ」
「…………生きてたらな」
「…………ああ」
二人の今回の任務は、ツバキ教官の最終試験のようなものだ。その内容はコンゴウ一体の討伐。丁度良く鎮魂の寺院で出現したらしい。
任務自体はそこまで危険なものでない。しかし、一番恐ろしいのは取り逃がすなどの失敗をしたときだ。
リンドウが出発間際にいった言葉が二人を凍りつかせた。
「ああ、いい忘れてたがこの任務を失敗したら訓練を1からやり直しだとよ」
ガンバれよ、と言いながら去っていくリンドウの背中を、二人は茫然と見ることしかできなかった。
ツバキ教官の訓練は恐らく全支部一の厳しさだろう。元々極東支部が激戦区と言うこともあるのだがとにかく厳しい。
あれを1からもう一度など悪い冗談だ。
「アマト………絶対成功させような………!」
「ああ…………!」
これまでにない二人の真面目な雰囲気だった。
ーー鎮魂の寺院
アラガミに破壊し尽くされた仏像が立ち並ぶ、雪の振り続く場所に2つの影があった。
「うはー!寒みーー!」
「お前、そんな格好だからだよ」
ゴッドイーターでなければ耐えられない寒さだろう。
「ホントゴッドイーター様々だよなー、うっし!早く終わらせようぜ!」
車から早速神機を取り出す。モウスィブロウという初期型の神機だが、改良されて現在の神機にも引きをとらない。
しかし、元々ツバキの神機だったのだ。
「大切に使え………」
と三割ましの迫力で言われたコウタは冷や汗だらだらだった。
車の後ろからガシャン、と神機を取り出す。
「アマトも早く出せよ」
しかし、アマトの浮かない顔に気づいていなかった。
コウタside
あの訓練という名の拷問を繰り返さないため、今日の任務は絶対成功させないといけないものだ。
俺は気合十分なんだけどアマトの様子がおかしい。なんというか、申し訳がないような……
「うん、まあ……驚くなよ」
何故か嫌な予感が体中に駆け抜ける。
そして……アマトの神機が取り出された。
「…………は?」
えっ、お菓子が………え?
「おいおい、ギャグは要らないって……」
でも、アマトの顔は真剣そのものだった。と言うより、こんなときにふざけるやつじゃないしな。
と言うことは…………
「俺たちオワタ\(^o^)/!!!」
「落ち着け!コウタ」
いやいやいや、どうするんだよコレ!?どうするんだよコレ!?
「コレでもちゃんと戦える!」
「無理だろ!嫌だーー!!!またあの地獄に戻るなん
「落ち着けつってんだろ!」
グハァ!!!」
アマトの右ストレートが俺の頬を正確に捉えた。少しは手加減しろよ!
Side end
雪が降り続けるなか、寺の影に隠れながら外の様子を伺っていた。
「イテテテ………」
痛そうに頬をさすりながらぼやく。
「ちゃんと見ろ」
アマトが周囲をみながら注意する。
「悪い悪い、んで、いるか?」
「…………ああ、いた」
中型の大猿のようなアラガミ、コンゴウが悠然と寺内を闊歩していた。
「仕掛けるぞ」
「OK!」
モウスィブロウの銃口をコンゴウに向ける。
ドンドンォン!!
コウタがコンゴウを銃撃し、アマトが前線に出てコンゴウの前に現れる。
「ギギャア!?」
予想外のダメージに少し驚いたコンゴウだが
「…………(フッ)」
ある程度知能が高いのだろう。完璧にアマトの神機を見て格下と判断していた。
(うわー……絶対怒ってるよなー)
心配そうにアマトの顔に視線を向ける。予想通りぶちギレ顔をしていた。
「ぶっ潰す…………」
コンゴウの目の前まで接近するが丸太のように太い腕を振り回され攻撃まで繋ぐことができない。
身を屈め、右左に回避しながら攻撃のチャンスを探る。
「アマト!!」
「っ!!」
コウタが叫ぶと同時にアマトが距離をとる。
コウタの放った複数の弾丸がコンゴウを襲う。しかし、ダメージはあまり無さそうだ。
「ギアァァア!!」
ビュウン!!
空気弾が雪を吹き飛ばしながらコウタに迫る。
「うわわ!」
一旦攻撃を止め横方向に前転して回避する。
銃弾をくらいながらも空気砲を飛ばしてきたのだ。モウスィブロウだけではまだ火力不足だった。
ドドドドドン!!
しかし、更に弾幕が濃くなる。アマトがGEケーキ形体の神機で弾丸を放ったのだ。
「ギギ…………」
さすがのコンゴウも逃走しようと背を向けるが
「逃がさねぇよ」
アマトがGEチョコに神機を変え、駆け抜ける。
一瞬でコンゴウの背中に追い付いたかと思うと、いきなり地面を蹴り、壁に向かって跳躍した。
トンッ
コンゴウの横にある壁を蹴り、三角跳びの要領でいきなりコンゴウの目の前に現れる。
「ギィ!?」
「マジかよ…………」
神業じみた動きにコウタも驚きが隠せなかった。
「じゃあな」
なんの抑揚もなくコンゴウに別れの言葉を告げる。
GEチョコの刃を振り下ろす。ズバンと血が噴き出し、コンゴウの体が地面に落ちるように倒れる。
「や、やったーーーーー!!!」
コウタは涙を流して喜んでいた。
「焦った焦った…………」
アマトも冷や汗をぬぐっている。
二人とも暫く勝利の余韻に浸っていた。
「やっぱ新型ってすごいんだな…………」
最初は神機のことでどうなるかと思ったが、無駄な心配だった。
「な?戦えただろ」
神機を振り、刃に付着した血を払う。
「ああ………俺も頑張んなきゃな。家族のためにも………」
今回の任務を掻い潜り、コウタは改めて覚悟を決め直した。
「………その覚悟があれば、強くなれると思うぜ」
「マジで!?よーし!もっともっと強くなるぜ!」
『本当に騒がしい奴だ』そう思い、アマトは神機を担ぎ直した。
暫くして、アマトは神機をプレデターフォルムに変えてコンゴウを捕食する。
「うわー、見事なミスマッチだなー」
やはり誰から見てもそんな感想らしい。
「そういやさ、アマトも家族を守るためそんな強くなったのか?」
コウタからしてみれば唯の話題作りのためにふった話だったのだろう。しかし…………
「殺されたよ」
「っ………ゴメン……」
コウタが悲しい顔をして謝る。こんな時代、珍しい事ではないがやはり慣れることはない。
「アラガミに……いいや、俺に、か」
自分にしか聞こえないくらいの、消えてしまいそうな呟きだった。
「え?今なんて………?」
神機の捕食の動きが止まる。
「っと、終わったか。いくぞ」
「あっ!待てよ!」
鎮魂の寺院に、ただただ雪が振り続けていた。
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