スイーツイーター ~お菓子の神機使い~   作:フロンサワー

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五十一品目 怠け者と、宿敵

 

 今日は黎明の亡都で小型のアラガミを討伐する任務だ。エミールさんに加えて、ブラッドの各員まで任務に同行している。

 この面子なら楽勝なので、僕はできるだけ目立たないようにアラガミと激闘( )を繰り広げた。強敵だったぞオウガテイル。

 さてさて、皆もアラガミを討伐し終わった頃だろう。

 

「集合場所に戻ろうか、アテナイちゃん」

『ダメダメ!』

 

 アテナイちゃんが首を横に振る。まだ僕に働けってか。

 このように、アテナイちゃんは僕に対して若干厳しい態度を取る。だけど、それは愛がある故の厳しさと解釈している。

 

「あのね、仕事をしようにも他にアラガミは―――」

「うわぁぁぁぁぁ!!??」

 

 僕の言葉を遮るようにエミールさんの叫び声が響いた。なんか、似たような経験が前にもあるんですけど。

 叫び声が聞こえた方に目を向けると、エミールさんが必死な形相で走っていた。

 またアラガミか…… って、あれ?

 エミールさんって、そう簡単に敵前逃亡しないよな。なら、なんで逃げているんだ?

 

「レイジ! まずいんだ、神機が動かなくなってしまった!!」

 

 僕に気づいたエミールさんがそう叫んだ。

 神機が動かない? それって、ブラッド以外の神機を動かなくさせる感応種って奴なんじゃ―――

 

「グォォォォォ!!!!」

 

 僕は目を疑った。曲がり角から出て来たのは、他とは桁違いの図体を持つ狼のようなアラガミだった。

 え、ヤバくね? 勝てる気が微塵もしないんですけど。

 

「ピンチだ! まさにピンチだこ――― へぶッ!!??」

 

 エミールさんが巨大な右脚で吹き飛ばされた。

 一瞬ヒヤッとしたが、どうやら気を失っているだけのようだ。だけど、この状況を打破しないと結局アイツに殺られてしまう!

 狼のアラガミがゆっくりと足を進める。まるで、いつでもお前を殺せると言わんばかりの足取りだ。

 逃げるか? うん、逃げよう。アレに立ち向かうなんて馬鹿らしすぎる。

 問題は、どうやって時間を稼ぐかだ。エミールさんを担いで逃げるとなると、絶対に追いつかれる。

 

「フラン、なんか強そうなアラガミと遭遇したから救援要請を頼む!!」

『分かりました! どうか、御無事で……!!』

 

 アテナイちゃんを構え、目の前のアラガミに集中する。

 やっぱり、ジュリウスさん達の救援を待つしかない。その間は、死ぬ気で逃げ回る!

 

「グォァァァ!!」

 

 アラガミが大きく両前足を上げる。このままじゃ叩き潰されると予感した僕は、全力で後方へと跳んだ。

 バゴン、と鈍い音が響く。地面には小さなクレーターができていた。

 直撃しなくてよかったと、一先ず安堵する。しかし、その直後に悪寒が走った。

 目の前が紅く輝く。それと同時に、目を開けられないほどの熱風が襲って来た。

 怯んだ隙を狙ったのだろう。アラガミの尾が僕の脇腹へと叩き込まれた。

 肺の空気が強制的に吐き出る。あまりの衝撃に、僕は地面まで吹き飛ばされた。

 体が痛い。当たり前だ。受け身を取る余裕さえなかったのだから。

 フラフラの体で立ち上がる。そして、神機をヴァルキュリアちゃんに変型させた。

 逃げ回る体力なんて残っていない。だから、ここでコイツを殺すしかない!!

 死ねない……。死にたくない!! こんな死に方なんて真っ平御免だ!!

 

「あああぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 僅かに残った体力を振り絞り、ヴァルキュリアちゃんを振り上げる。その瞬間、体の奥底に眠る何かが目覚めたような感覚がした。

 ヴァルキュリアちゃんが紅く輝く。この光は前にも見た気がする。ジュリウスさんがブラッドアーツを使おうとした時にも―――

 

「ガァァァ!!??」

 

 アラガミを斬り飛ばした。僕の何処にそんな力があったのだろうか。

 やった…… のか?

 あっ、僕のバカやろ! これって死んでないフラグじゃん!!

 

「ヴヴヴゥゥ……」

 

 ノソリ、とアラガミが立ち上がる。僕の渾身の一撃は、どうやら左目を潰したのみだったようだ。

 ああ、もう死んだな。これだからゴッドイーターっていう職業は嫌なんだよ。

 せめて人思いに殺してくれと願いながら、ゆっくりと目を瞑った。

 

 ―――ドドドドドド!!!!

 

 銃声が響いた。

 目を開くと、ブラッドの皆が僕を守るように佇んでいた。

 銃撃に怯んだアラガミは、ビルを伝ってそのまま逃げて行った。

 た、助かった…… のか? あまりにも感極まって、ちょっと泣きそうになった。

 

「よく頑張ったな。大した奴だ」

 

 倒れそうになっている体を、ジュリウスさんが支えてくれた。

 

「ジュリウスさぁぁぁぁん!!!」

 

 僕の涙腺が決壊した。

 暫くして、ギルさん達も僕を心配して集まってくれた。

 

「大丈夫か、レイジ!」

「ロ゛ミ゛オ゛ざぁぁぁぁん!!!」

「ちょっ、俺の服に色々つけるなよ!?」

「あはは! レイジは泣き虫だねぇ〜」

「ったく、無駄な心配かけさせやがって……」

 

 仲間って良いもんだなと、今日は改めて思い知った。

 

 

 





短めでも別にいいや!
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