スイーツイーター ~お菓子の神機使い~   作:フロンサワー

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 一応、最終話です。


六十九品目 いつまでも一緒に

 

 気づけば、よく分からない光景が目の前に広がっていた。周りは何もない真っ暗闇。だけど、足元には花が咲き誇っている。

 

「ここ、は……?」

 

 ブラッドの皆んなとユノさんがいた。どうやら、あの光に巻き込まれた人たちがここに行き着いたようだ。

 ふと、前方から誰かが歩いてくる気配がした。足音が次第に大きくなる。闇の向こうから現れたのは、ジュリウスさんだった。

 

「ジュリウス、さん……」

「久しぶりだな、レイジ。髪が真っ白になっているが、大丈夫か?」

「ええ、なんとか」

 

 女神三姉妹が壊れかけた翌日、気づいたらこうなっていた。だけど、もう大丈夫。女神三姉妹の修理は無事に完了したから。僕の髪だって元の灰色に戻る…… 筈!

 

「すまない、レイジ。お前には負担をかけてばかりだった。ブラッドのみんなも、レイジのサポートで大変だっただろう?」

「ああ、そうだな」

「ちょっ!? そこは嘘でも、レイジが頑張ってくれたって答えてよ!」

「でも、それ以上に充実した時間でした」

「うん。誰かを支えて、支えられて。マグノリア・コンパスじゃ体験できないもんね」

 

 ジュリウスさんは安心したよう微笑んだ。

 その微笑みは、女神三姉妹が壊れかける寸前に浮かべたものもよく似ていた。

 僕はもう、自分の感情を抑えきれなかった。

 

「……ダメだ。帰ってきてよ、ジュリウスさん! 僕の隊長はあんただけなんだ!!」

「レイジ……」

 

 ジュリウスさんへと手を伸ばす。しかし、それは透明の壁に阻まれた。

 

「お前たちは外に出ろ。俺はここでいい」

「いい訳ないだろ!! 僕らは、あんたを助けるために、ここまで……!!」

 

 ジュリウスさんは首を横に振った。

 

「終末捕食を止めるには、特異点がここに残る必要がある……。俺が戦う場所はここで、お前たちが戦う場所は外にある。レイジなら…… いや、お前たちなら、俺がいなくても大丈夫だ」

「ジュリウス……!!」

 

 シエルとナナが泣き崩れた。

 かく言う僕も、もう泣きそうだ。

 

「こらは命令じゃない。ブラッドの隊長ではなく、ジュリウス・ヴィスコンティとしての願いだ。……俺の我儘、聞いてくれるか?」

「……こっちは、俺らに任せろ。お前は思う存分暴れてこい」

 

 ギルさんはクルリと背を向けた。

 振り向き際に、頬に涙が伝っているのが見えた。

 

「……行こう、シエル。ジュリウスの言う通りだ。ここで止まる訳にはいかないよ」

「……はい、はい……!!」

 

 ジュリウスさんは再び微笑えんだ。

 背後の闇が激しくうねる。やがて、ヴァジュラ、マルドゥークなどの、大型から小型のアラガミが姿を現した。

 

「みんな、ありがとう」

 

 ジュリウスさんは毅然とした表情で振り返り、神機を構えながらゆっくりと歩いた。

 

「……ジュリウスさん、僕は諦めません。いつかきっと、あんたを救って、終末捕食も止める方法を見つけ出してみせます!! だから、待っててください」

 

 ジュリウスさんは振り返らない。だけど、右手を天高く上げてくれた。きっと、いつまでも待っているということだろう。

 ふと、視界がぼやけていく。気づいたら、僕らは神機兵保管庫にいた。

 

 

 

 

★☆★☆★☆

 

 

 

 

 任務を終えた僕らは、とうとうアナグラに戻ってきた。今やもう、この出撃ゲートを潜るだけ。この先に、女神三姉妹がいる。

 

「どうした、レイジ。入らねえのか?」

「い、いや…… なんか、ここにきて照れくさくなって……」

 

 あんなに会いたかったのに、いざ会うとなると緊張してきた。

 うーん、なんて声を掛けよう。久し振り…… いや、なんか違うな。会いたかったよ…… ってのも在り来たりだし。

 ああああああああ!! どうしよう!!!???

 

『そういうことは気にしないでさ、思ったことを口に出せばいいんだよ!』

「えっ?」

 

 誰かに背中を押された。振り返ると、そこには誰も居なかった。ブラッドの皆んなは僕の隣にいるし……。

 誰だ? それに、何故か懐かしい声が聞こえたような気も……。普通なら冷や汗モンの心霊体験だけど、不思議と恐怖は無かった。寧ろ、勇気を貰ったような……。

 

「どうかしました、レイジ?」

「……いや、何でもないよ。待たせてごめん。行こう」

「おっ、決心が付いたか。だが、随分とあっさり決めたな」

「いや、うん。何でか分かんないけど、誰かに後押しされた気分だからさ」

「ねえねえ、それよりも早くおでんパンを食べようよ」

 

 出撃ゲートを潜ると、沢山の人が僕らを出迎えてくれた。これ、アナグラにいる人全員なんじゃないのか!?

 はっ!! それよりも、ヴァルキュリアちゃん、アテナイちゃん、アレスちゃんはどこにいるんだ!?

 

「レイジ君」

 

 クジョウ博士の声がした。

 人波がいっきに割れて、クジョウ博士と、台座で運ばれている女神ちゃんたちが―――

 

「ッ!」

 

 気づいたら、全力で駆け出していた。

 勢いをちっとも緩めず、僕は自分の神機にそのまま飛びついた。

 

『くすぐったいよう、レイジ』

『がまんしなさい。ほら、レイジ。いいこいいこ』

『……』

「ありがとう、ありがとう……!! 本当に、本当に……!! 生きててくれて、ありがとう……!!」

 

 恥も外聞も捨て、僕は声を上げて泣いた。

 

『『『おかえりなさい、レイジ』』』

「ただいま…… ただいま、みんな!!」

 

 その日を境に、僕は女神三姉妹親衛隊から女神三姉妹の正式な婿として認められた。

 

 

 

 

★☆★☆★☆

 

 

 

 

 終末捕食と終末捕食がぶつかり合い、最終的に大樹がそびえ立った。

 サカキ博士が考察するには、あの樹の中で終末捕食と終末捕食が未だに発生してるから、あの樹がある以上、新たな終末捕食は発生しないだろうということだ。

 黒蛛病に罹った人に浮き出る黒い紋様が、世界中からこの樹に集められた。それ以降、黒蛛病の症状はすっかり完治したらしい。

 それもこれも、多分ジュリウスさんのおかげだろう。それを考慮してか、いや、多分してないだろうけど。この件をフェンリルはジュリウスさんの功績とした。

 以降、この樹とジュリウスさんは神様のように崇められている。この件の裏を知る身からすれば、少し複雑な気持ちだ。

 ジュリウスはまだ闘っている。

 この樹を見る度、元々低いモチベーションだけど、今日も頑張ろうと思えた。

 

『どうしたの、レイジ?』

「ううん。なんでもないよ、ヴァルキュリアちゃん」

『へんなレイジ』

「あはは、ゴメンねアテナイちゃん。お詫びに、大好物のコクーンメイデンを沢山捕食してあげるからさ」

『べ、べつにうれしくないんだから』

『あたし、スサノオがいいー!!』

「いや、それはちょっと無理かな」

 

 僕らは今日も神を喰らう。だけど、ようやくそんな仕事も悪くないと思えてきた。

 だって、この子たちと一緒にいられるのだから……。

 

 

 

 

 

 

―――FIN

 

 

 

 

 





 ユノは喋らせねえ。本当なら、あの場面はユノでなく幽霊でいいからロミオ先輩を出すべきだと思います。
 何はともあれ、無事にGE2を終えることができました。みなさん、ありがとうございます! アマトとか、キュウビとかは追い追い書いていきたいですが、とりあえずはポケモンの方を進めたいと思います。
 これを機に、感想や評価してくれると嬉しいです。
 では最後に。女神三姉妹は最高のヒロインだーーーーーーー!!!!! シエル(爆笑)。
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