距離を置きたいだけなんだけど   作:ろしでれ

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第9話 まだまだ理解が足りてませんね

 

 

 

「単刀直入に聞こう。2人とも、生徒会に入る気はないか? 無論、無理強いはしないが」

 

 

 

それら注文を終え、ようやく一息つける、となったその時に言われた事だった。

それとなく、剣崎の正面に座らせられる様に誘導されているのには気付いた。政近も伊織も。ならばどちらが真正面に座るか? と言う思考内でのバトルが勃発し、自然な流れで回避移動する伊織と、実際に口に出して正面から回避しようとする政近。

 

どちらに、軍配が上がったのかと言うと……お互いに平等に、と丁度剣崎を間に挟むかの様な座り位置で落ち着いたのである。

 

つまり、その時から、いや誘われた時から予感はあった。

有希に謀られたのだと確定もした。何故なら有希は本当に良い笑顔でこちらを観てくるから。

 

そして、剣崎も取り繕うようなこともなく、小細工もなく、あまりにも真っ直ぐな問いだったため、2人は揃って言葉が出てこない。

政近の方はあくまで脳内で様々な思考を巡らせるに留まっていた。

伊織の方はまた別の考えを、巡らせている。   

 

 

「……やっぱり、そういう話だったんですか」

 

 

先ずは政近から深々と息を吐きながら、隣に座る有希へ半眼を向けていた。それを見た有希は首を横に綺麗に傾ける。実に自然で、それでいて不自然だな、と政近は矛盾してるが矛盾してないと確信できていた。

 

 

「政近くん。そういう話、とは?」

「その何も知りませんみたいな顔やめろ。備品整理からこの飯まで、全部ここに繋げるつもりだったんじゃないだろうな?」

「まあ。わたくしを随分と計算高い女性だと思っているのですね」

 

 

そんな政近に対し、有希は悲しげに目を伏せる。

声だけを聞けば、幼馴染からあらぬ疑いを掛けられ、深く傷ついているようにしか聞こえない。実際、有希の素を知らなければ周囲から袋だたきに合うこと確定だろう。

 

しかし、その口元には隠し切れない笑みが浮かんでいた。それを見逃す訳がない。

 

 

「少なくとも否定するときの顔じゃねぇな」

「いえいえ、それは政近くんの勘違いですよ?」

「2人ともストップ、今は会長が話しているでしょう」

 

 

政近と有希のやり取りを横目で見ていたアリサの冷ややかな声が飛んでくる。それを追い風に剣崎はやや前のめりに言葉を繋げた。

 

 

「はっはっはっ! ほらほら、九条妹もこう言っているぞ。今か今かと2人の返答を待ってるぞ」

「会長も悪乗り便乗しないでください」

 

 

剣崎が愉快そうに笑う。

 

どうやら、生徒会長という肩書きに反して、こうした軽いやり取りを嫌う人物ではないらしい。

 

もっとも、伊織にとって、政近同様一方的に存在を知っているだけで初対面も同然な先輩。

 

政近たちのように気軽に混ざることはせず、静かに成り行きを見守っていた。

 

やがて剣崎が笑いを収め、改めて2人を見る。

 

 

「今日の働きを聞き、お前たちを見て思ったんだ。2人とも、指示されたことをこなすだけじゃない。周囲の状況を見て、次に必要な行動を自分で判断していた」

 

 

剣崎はテーブルの上で両手を組んだ。

 

 

「今の生徒会には庶務が不在。そして更に正直に言えば、人手が足りているとは言い難くてな。だから君たちのような優秀な人材が加わってくれるなら、非常に助かる」

 

 

冗談を口にしていた時とは違う、真剣な声だった。

だからこそ、政近も軽口で誤魔化すことはしなかった。

 

 

「すいませんけど、俺はもう生徒会をやる気はないです。中学でもう懲りました」

「政近くん」

 

 

政近の返答に対して有希がすぐさま隣から声を掛ける。

 

 

「そう言わず、また一緒に生徒会をやりましょう? そして一緒に出馬しましょう!」

「サラッと要求を増やすな。そもそも、お前なら俺がいなくても次期会長候補の筆頭だろ。元中等部生徒会長なんだから」

「わたくしは、中学時代と同じく、皆と一緒にやりたいんです」

 

 

有希は真っ直ぐ政近を見つめた、そして政近だけでなく、伊織も見ている。

普通の男子生徒なら、その微笑みだけで二つ返事をしてしまいそうな可憐さである──が、しかし、長年その笑顔の裏側を見続けてきた政近には一切通じない。

 

 

「いやだ。めんどい」

「まあ、残念です」

 

 

即答する政近と、その拒否、拒絶的な政近の言葉とは裏腹に、有希はまるで残念そうには見えなかった。

今すぐ承諾させる必要はない。

そんな余裕すら感じさせる笑顔である。彼女の中ではどこまでが本気で、どこまで計画して、どこまでが計算通りなのか、それが読めないから末恐ろしく感じる所もある。

 

剣崎も無理に押し切るつもりはないらしく、ひとまず小さく頷いた。

 

 

「そうか。中等部での経験がある以上、軽々しく引き受けられないという久世の気持ちは分かる」

 

 

それから、今度は伊織へ顔を向ける。

先ほどから、言葉を介さず深く考えている様相の伊織をみているから。

 

 

「真田はどうだ?」

「……………」

 

 

剣崎はそう聞いた。

 

伊織は政近の前だから、黙っていた、成り行きを見守っていた、などというわけではない。

ただただ、今回のに関しては伊織は会話に混ざることもなく、最初は傍観に徹し、そして頭の中で組み立てられていき、そして紡ぐべき言葉を構築していた。そこに邪な考えはない……が、思考が定まるよりも前に、剣崎が声をかけたのである。

 

 

「もちろん、今すぐ答えを出せとは言わない。だが、君も実績は聞いている。十分生徒会で活躍できる人材だと俺は思っている」

 

 

正面から評価を伝えられ、伊織は僅かに姿勢を正した。

剣崎に気を遣っているだけの言葉には聞こえない。

 

今日の短い時間の中で、剣崎なりに自分たちの働きを見て、判断した上での勧誘なのだろう。

 

だからこそ、曖昧な言葉で逃げるのは失礼だと思った。

 

 

「ありがとうございます。そこまで評価していただけるとは、正直思っていませんでした」

 

 

伊織は一度頭を下げてから、言葉を続けた。

 

 

「ただ……申し訳ありません。僕も、正式に生徒会へ入るのは難しいと思います」

「理由を聞いてもいいか?」

「はい」

 

 

伊織は頷く。

剣崎的にも、政近とはまた違う理由があるのか? ならば、聞いてみたい、と思っていた。

無論、それらを考慮した上でも諦めず勧誘したい事実は変わらないが。

 

 

「──実は今、個人的に受けようと考えている検定試験がいくつかありまして」

 

 

そう告げると、指を折りながら、伊織は続ける。

ある程度の数を並べられていくと、徐々に驚きを含む表情になっていく。

 

 

「────それは、凄いな」  

 

 

剣崎も驚嘆に値する、と言わんばかりに目を見開いた。

 

驚いているのは、伊織が受けようとしている試験の数だけではない。

征嶺学園の学習内容、その範囲だけでも、生半可な努力では上位を維持するなんてできない。

その現実を、彼自身も嫌というほど知っているからだ。

そして、剣崎は当然だが伊織の学力を、教師陣からの評価を知っている。

だからこそ、その上でさらに学校の外へ目を向け、自ら新たな目標を掲げている伊織の姿勢に驚きと同時に、深く感心していた。

“挑戦すること”を選び続ける人間は、決して多くないから。

無謀な挑戦などではなく、結果を残せる、ともなれば更に凄まじいの一言だろう。

 

 

そして直ぐ側で聞いていた政近も、ギョッとした顔になっていた。

 

 

「いやいや、マジ? マジでそんだけ狙ってんの?? 同時進行で???」

「うん、マジだよ。と言うか、政近は側で見てたのに気付いてなかった??」

「俺は、お前をオタクの道へ戻そうと躍起になってて、細かな内容まで見てなかった」

 

 

伊織が机の上で並べている教科書、参考書。確かに政近の目にも入っていたけれど、当たり前だが勉学にそこまで一生懸命になれてない。なんなら、今シーズンのアニメや漫画、ラノベ、ゲームの方が重要だから、細かくまで見ない。

 

 

「おバカな理由を言わないの。……でも、驚いたわ。合間にそこまで広げてるなんて。今あげたもの全部合格圏内狙えてる、ってことかしら?」

「一応、先生のお墨付きは。自信もそこそこ。……もちろん油断は出来ないけどね」

 

 

その、自然な笑みは自信の表れである、とアリサは判断できた。これからも競うつもりだからこそ、解っていたつもりだ。

 

伊織の話を聞いて、またライバル心を引き起こされる。

 

征嶺学園のテスト範囲や内容も難易度的には決して低くない……と言うより日本で最高峰と言われるに相応しいレベルに位置している。にも関わらず更に高難易度を複数を受けて、それを超えるだけの事をしている彼を見て、内に秘めたプライドが刺激されると言うものだ。

高校では負けない。

そう宣言し、宣戦布告をしたのは、つい最近のことなのだから。

 

 

「(私だって、もっと――)」

 

 

アリサにとっては、余計に力が入りそうになるがそれを諌めたのもまた伊織だった。

 

 

「だからこそ、高く評価してもらいありがたい限りですが、僕は正式に入るのは難しい、と判断してます。生徒会所属して、責任や業務内容。正直今僕が狙ってるのよりも、大変と思いますから」

 

 

伊織は手を前に出した。

そんなことは無いだろう、とも剣崎は言いたかった。実際小さく口にした。でも、伊織がそう思ってないのなら無意味だろう。

 

 

「手を広げて、広げ過ぎたせいで、どれも中途半端になったら意味がない。今のところは、学校の勉強と両立できる範囲で、って考えてますから」

 

 

確かに内容を聞けば聞くほど、両立出来るか?と問われれば安易に首を縦に振れない。

正しく未知の領域。仮に、伊織が羅列したものを全て高得点・合格したとするなら、征嶺学園始まって以来の実績になるだろう。

 

そして、この場で唯一表情が変わらなかったのは有希。

その微笑みと共に伊織に告げた。

 

 

「伊織くんなら、私は十分可能である。とも思いますよ? 笑って超えてしまいそうです」

「う、うーん……、褒めてくれて嬉しいけど、過労で倒れちゃう未来が濃厚な気がするけど…」

「あらあら、どこまでもご謙遜を」

 

 

愉快そうに、有希は口元に手を当てながら、微笑む。

そして、少し視線が細くなると、その瞳で伊織を見据えながら、言った。

 

 

「私は、中学時代の伊織くんを見ていますから」

 

 

まるで、誰よりも伊織を知っている、と言わんばかりだった。 そして、短いながらも、その言葉の力には、何か引力のようなものが、惹き込まれる、信じるしかない、と言うような、説得力がそこにはあった。

 

 

「政近くんと、伊織くん。お2人のおかげで中学のころ、私は乗り越えられました。今の私があるのはお2人のおかげです」

 

 

凛とした佇まい。

大袈裟すぎ、と言いたいのだが、その有希の姿勢は政近でさえ、あれだけおちゃらけていた妹と同一人物なのか? と一瞬疑うレベルだったので、何も言えなかった。これが恋愛イベントパワー……もとい、大型イベントを得た有希の姿なのか、と。

 

 

「周防の評価は凄まじく高いな。まあ、俺も色々と聞いているからそこまで驚きはしないが」

 

 

剣崎はふっと笑うと肩の力を抜いた。

 

 

「先ほども言った通り。無理強いはしない。君たちの考えは尊重するさ」

「……そう言っていただけてありがたいのですが、これで終わると、なんか俺だけ断る理由が下位互換っていうか、非常に薄っぺらく感じてしまいますが」

 

 

政近は、眉間に手を当てて唸る。

自身の断る動機と、伊織の動機。実に対照的だ。

自分は面倒だから嫌だ。平たく言えばそう。

伊織は他に挑戦していることがあるから、そちらまで手がまわらない、という理由。

 

こうして比べてみると、薄い。本当に格好がつかない。

別に格好をつけたい、と言うわけではない、と思っているはずなのだがどうにも引っかかってしまっている政近。

最も、本当に理由と言うものも、政近の中にあるのだが……、それを表に出すのは憚れる。あの日の記憶は鮮明に残っている。あの日の後悔も、今でも思い返される。

それを、表に出すのは……出来ない。

 

 

「当然ね。ちゃんと真面目に考えないからよ。悔い改めなさい」

「アーリャ手厳しい……」

 

 

ぐうの音も出ないとはこのことだろうか、と肩を落とす。

でも、今はアリサのこの冷たく、手厳しい一言も、ある意味救われると言うものも。かつての記憶を、どうにか振り払いたいところだったから。

 

 

「そう言えば九条妹の評価も聞いてみたかったところだ。どうだ? お前からみて2人は」

「私、ですか」

「ああ。多角的な視点、意見がある方がより良いだろう?」

 

 

有希の独壇場だったのだが、ここでアリサに振られた。

アリサは少し、考えた後に。

 

 

「真田くんは、真面目で勤勉で、模範生徒の鏡と言えます。彼とは何度か競い合いました。……中学時代の最後の最後で、負けてしまったのは、私の慢心だったかもしれません。本当に悔やまれます」

「お、おお。こちらもまた、周防とは違うタイプだな?」

「あ、あはははは……その、評価を、ありがとう?」

 

 

前半は物凄く褒めてくれているのだが、後半に行くにつれて、雰囲気が黒くなっているように、見える。悔しい悔しい悔しい、とその顔に見て取れる。殺気? と思ってしまうような圧力も感じられる。

 

 

そんな気配を政近も察したのか、伊織の肩にぽん、と手を触れた。

『どんまい』と言わんばかりに。

 

その政近の所作が、アリサの目に触れて、違う意味で更に視線を鋭くさせると、続く言葉の刃が突き刺さってくる。

 

 

「久世くんの方は真逆。……正直に言って、〝不真面目〟の一言に尽きます」

「ぐふっ」

 

 

少なからず、有希に評価を上げられたので、アリサに下げられるのは好都合だと言えるのだが、なかなかに鋭く鋭利な言葉は政近の脳髄に突き刺さってくる。

ちらり、と伊織の方を見てみると、同情してくれているのか励ましてくれているのか、悲哀に満ちた視線をむけてくれた。

正直、あまり嬉しくない。

 

 

「スマホでゲーム、居眠り、忘れ物はしょっちゅうですし、授業態度も決していいとは言えません。成績も下から数えた方が早いようですし」

「久世のことになると、矢継ぎ早に出てくるな? 主に悪い評価が。すごい言われようだ」

「はは……まあ、事実なので」

 

 

言い足りない、と言わんばかりのアリサだったが、一息つくと、締めくくる。

 

 

「これが、私から見た2人の評価です!」

 

 

そう告げた時だった。

小さな、クスっ、と呟かれた笑い声。

そして、これまでと変わり、アリサのほうへ向けられる視線。 

それは有希だった。

 

 

「それは、聞き捨てなりませんね。アリサさん」

 

 

不敵な笑みが続き、どこか挑発しているようにも見える仕草だった。

 

 

「まだまだ理解が足りてない、と言わざるを得ません。お2人と長らく共にしてきた私としては」

「! そ、そんなことはないわよ! 私だって、見てきて、それに今は同じクラス。一番そばにいるのは私だもの!」

 

 

突如として、始まる2人の対決。

 

 

「お? ディベート開始か?」

「なんで、ちょっと楽しそうって感じになってるんです?」

「ちょっ、ちょっと有希さんに、アーリャさん!?」

 

 

周りの反応を他所に、有希は続ける。

 

 

「ええ、確かにアリサさんはお2人と同じクラスですね。ですが、上辺しか見れていないのは明白では? 例えば伊織くん」

 

 

視線を、伊織のほうへと向ける有希。

伊織は、僕? と自分に指を差しながら首を傾げた。

 

 

「確かに真面目で勤勉で努力家、それは間違えてません。でも、伊織くんは好きなこと(・・・・・)をされる時、お話する時、本当に楽しそうに笑うのですよ。最大の魅力はそこにある、と私は思います」

「え、すき? みりょく??」

「そこにお気づきにならないとは。やはり、私のほうが理解していますね」

  

 

アリサにとって、伊織はともに勉学を切磋琢磨しあい、競い合う間柄だ。何が好きで、日ごろ何をしているのか? 等というやり取りはほとんどしたことがない。と改めてアリサは気付かされる。

そんなアリサを見た有希はクスリ、と笑みをこぼしながら続けた。

 

 

「ですが、それは仕方のないことなのです。私は、私達は中等部生徒会で共に研鑽を積み上げましたから。その重みが違います。勿論政近くんのことも」

「そ、そんな事ないわ! 今のは少し言葉に詰まっただけよ。私だって1年で以上久世くんの隣にいて、真田くんとだって、一緒に頑張ってきて!! 負けてないんだから!!」

 

 

背後にメラメラ、と何か燃えてるように見えるのは気のせいじゃないだろう。

 

 

 

「……えと、僕の好きなことって?」

「そんなの、決まってるだろ? ラノベや漫画、ゲーム。……愛すべきオタク文化」

「いや、そんな熱弁しなくても(否定はしないけど…)」

「故に、また戻ってこい! こっちに!! みんなみんな待ってるぞ!」

「必死か」

 

 

 

有希のいう魅力的、と言うのは気恥ずかしい気もするが、ある種の褒め言葉でもありそうなので、何とか飲み込む。

ただ、わからないこともある。

有希のそれは、まるで見てきたかのように言っているからだ。

有希とは、中高ともに同じクラスになったことは無いし、中学時代の生徒会関係での、交流が殆ど。

 

そして政近が言い分もわかる。中学時代かなり分かち合った間柄だから。

でも、中学最後の1年で、卒業を匂わせ、勉強に励む姿勢も見せてきた、と言うのに諦めないのは何でなのか、と疑問に思う。本人に聞こう、とは思わないが。

 

 

「でも僕、周防さんの前でそんな話した事なくない? ……まさかだけど、政近が勝手にひとの趣味バラした、とかないよね?」

「…………ぴゅ〜ぴゅ〜♪」

「……………………………」

「いや! ツッコんでくれよ! わざとらしい! とか、誤魔化すな!! とか、口笛吹けてねえよ! とか!」

 

 

どうやら間違いはないらしい。

有希と政近の関係性はよく知っているから。

ただ、まさか有希自身に何かを言うとまでは思ってなかったが。

 

 

「いや、よくよく考えたら別に秘密にしておいて、とも言ってなかったし。政近が口軽いのは当然だし。脇が甘い僕が悪かったな、って」

「俺がメッチャ悪いことしたみたいに聞こえる。ごめんなさい。勘弁してください」

「はっはっは! こっちもこっちで色々とありそうだな」

 

 

丁度、男女分かれてのディベート対決(政近、伊織の方はディベートと言えるのかは違うが)。

それに終止符を、打ったのはアリサである。

 

 

 

「Я же не смогу сказать об этом!!」

──言えるわけないでしょ!!

 

 

と、いつもとは比べ物にならない程の声量のロシア語を響かせて。

 

 

 

 

 

 

 

 

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