夜に咲く白い花 作:ももはね
検査の結果、特に大きな異常は見つからなかった私はすんなりと退院することになった。それから、先生が事前に手配してくれていたらしい新しい制服の早過ぎるほどの支給のお陰で、今現在私は病衣や下着ではなく制服を着て敷地内を闊歩できていた。
新しい制服の申請書を出さずに済んだのはかなり嬉しかった。
色々と早く終わったものの、時刻は既に十一時を過ぎている。授業には、体育系以外なら行けそうなら行っていいと言われたが……進んで授業に行きたがるほど私は勤勉ではなくって、でもサボるの勿体無い気持ちで……悩みながらも、私は登校することにした。今は皆に、ヒトカに会いたかった。
一度寮に戻って鞄や教科書を持ち、職員室に寄って預かられていた荷物を回収、ついに教室に近付いて──誰もいない。
「あれー?」
時間割表を確認──今は魔法訓練の時間だった。
「校庭じゃん」
休み明けのせいか確認が抜けていたようだ。ちょっと緊張していたので肩透かしに感じながらも、鞄だけ置いて私は校庭へと走って向かうのだった。
+ + +
初めての任務で私が大怪我をしてから……大体、三ヶ月くらいが経過した。
振り返って見ればたったの三ヶ月だけれど、その間に沢山のことがあった。
初めて私の地元にヒトカを連れて行って遊んだこと。
「ヒトカちゃんだっけ? よろしくー」
「わー、ホントに髪綺麗だねー」
「よ、よろしく」
ヒトカも最初は人見知りしていたけれど、後半は素が出ていて楽しそうだった。二人は私の何倍も優しい子たちだから、ヒトカとは相性良いだろうと思ってはいたが想像通りだったのだ。その時に撮った写真は今ではスマホの壁紙に設定してある。
あまり外に出たことがないらしいレンたち全員を引き連れて近くの大型総合商店に行ったこと。
「あはー、レンびびってるのー?」
「び、ビビってねぇよ。おいサク、帽子取んなよ目立つだろうが!」
「えー、でも邪魔っす」
魔法少女特有の鮮やかな髪色が人目を引いて、良からぬことを呼び寄せかねないとヒトカ含め四人はあまり出かけたことがなかったらしい。もしかしたら、何か嫌な思い出があったのかもしれないけれど、できることなら楽しい思い出で上塗りたかったのだ。
「くそっ、アタシも魔力操作巧けりゃな」
「レンは気にし過ぎ。それに、ミツハと同じくらい抑えるのは練習でどうこうなるものじゃないと思うけど」
「そういうヒトカも、私の地元に行った時は私の背中に隠れてばかりでしたよね?」
「っ余計なこと言わないで!」
「ダサいっすね!」
「こーらサク余計なこと言わない」
映画見たり、服を買ったり。フリフリのワンピースを着たレンを見れたのは中々に貴重な体験だった。小さなお人形みたいでとっても可愛くて、本人も満更でもなさそうで、いつもそうすれば良いのに。
休みの日ばかりではなく、任務として魔物とも何度か戦った。
四級以下の魔物は私だけでも五体は倒したし、皆となら二十体は超えた。回復魔法の効き目も、最初はヒトカ以外はあんまりだったけれど、最近は苦痛共有を使わなくても痣くらいは消せるようになったし。魔法の効き目が良くなっていくのは絆が目に見えているようで嬉しい。
「そういえば、ヒトカって私のこと好きなんですか?」
「っは!? な、なに言ってんの? なんで?」
「そりゃお前だけ魔法の効き目が良過ぎるからだろ。なんで苦痛の共有無しで骨折まで治ってんだよ」
「そりゃ……同室だし……」
「まーまー、二人ともー」
「ちょっとミツハ! 早くわたしも治して欲しいっす! 駄弁るの後! 痛いっすぅ!」
「あ、ごめん!」
仲が良くなる、といえば。
「えー、ヒトカの誕生日? 五月だけど」
「……今じゃないですか!?」
「そだねー」
「ひ、日付は?」
「四日」
「……すいません。時間を遡る魔法って存在してますか?」
「開闢の魔法少女なら持ってるかもねー」
「伝説上の存在を出さないください……」
なんならレンも一ヶ月くらい前だった。他の皆はまだ遠かったからよかったのだが、よりによってヒトカの誕生日が直近で通り過ぎてしまっていたのには困った。ギリギリ仲直りする前だったから皆も祝うに祝えなかったらしい。
誘ってみれば、皆も乗ってくれたので慌てて休日に贈り物を買いに行った……の、だが。
「……おかえり」
「あ、た、ただいま?」
「……お出かけしてたんだ」
「う、うん。その、どうかした? 部屋の電気点いてないけど」
「……私だけ抜きで。楽しかった?」
「んん!? なんか勘違いしてるよ! その、あの……こ、これ!」
「……なにこれ」
「た、誕生日の贈り物。過ぎちゃっててごめん。知らなかったんだ。本当は皆と一緒に贈るつもりだったんだけど……あはは」
「っ……あ、ご、ごめん私。てっきり、ミツハに、嫌われちゃったのかも……って」
「そんな訳ない。大好きだよ。ちょっと早いけど、隣の部屋行こっか。誕生日会の準備してくれてるんだ」
お祝いの後、こっそりレンにも贈り物をしておいた。
リボンがたっぷり付いた可愛らしいワンピースだ。
そして、今──夏が来た!
「こ、これが……」
「おー、あっちのヒトとか結構すごい格好するもんだねー」
「うっひゃー、えっちぃっす!」
「……暑い」
そう、ここは、此処こそが真夏の象徴、生足魅惑の──海に来ていた!
。百合に興味を持ったきっかけがあれなので、せっかくだし海パートは入れておきたかったのよ
たくさんカニ集めて軍隊作る!