夜に咲く白い花 作:ももはね
教室へと足を踏み入れ、最初に目に入ったのは四人の少女たち。そして目を引いたのは赤い髪の子。
「……っ」
め、目付き悪!
とんでもなく目付きが悪いのと目が合ってしまって、咄嗟に逸らす。
教室の中に居たのは先生が言っていた通りに四人の生徒たち。
赤い髪に赤い目のとんでもなく目付きが悪くて……よく見ると小柄な人。
黄色い髪の、すごく痩せた背の高い人。
青髪青目の怠そうな雰囲気の……でっか。え、なにあれ、胸とお尻がどうなって……でかい。なんか色々とデカい人だ。
そして最後は、白っぽい金色の……白金色の髪のすごく綺麗な人。
「加田さん、挨拶して」
「は、はい……
「席は山吹……じゃなくて、あの金髪の子の横の席ね…………あ」
『あ』ってなんですか先生?!
赤い人はなんかずっとメンチ切って来るし、黄色い人は机に漫画を広げて読んでるし、青い人なんかスマホ使ってるし。白金色の人だけは真面目に教科書とノートを使って勉強している。
この子は真面目そうだ。多分、先生の言う優等生がこの子なのだろう。でも、こんな怖い人たちばかりの中で平然と勉強する姿はそれはそれで不安になる。一体どんな鋼の精神をしているんだ。
恐る恐る席に座って、鞄を床に置く。そして、横に私が座ったというのに一瞥もせず一心不乱に勉強を続ける彼女の顔を覗き込む。
うわ、やっぱり綺麗な顔。すごいな。すごいね。女優とかアイドルでも全然やって行けそうな顔だ。でも、普通ここまで反応しないもんなのかな。転校生が横に座ってすごい角度から顔を覗き込んでいる訳なんだけど。チラ見くらいしてくれないと話しかけ辛いんだけど。
「あ、あの……初めまして、私
「聞いたわよ。さっき自分で言ってたじゃない」
「き、聞いてたんだ……ですね」
じゃあこっち向いてよ! なんでまだ教科書見ながら話すの?!
「あの、お名前を聞いてもいいですか? 先生からお世話になれって言われてますしぃ……」
「……
「は、はぁ」
わかった。この子が『問題児』だ。人との接し方が酷すぎる。だって視線すら合わせてくれないのだから。これと仲良くするのは難しい、と言うか無理。でも、ヤンキー系と仲良くするのは初めてなので、それはそれで不安。
まあ、そもそも。
「いや、私の席端っこなので。横が山吹さんしか居ないんですけど……」
私、山吹さん、赤、黄、青、の横並びの状況。先生が前に立っていて、授業の準備を進めているのが現状。流石に立ち上がって話しかける訳にはいかず、そうなるとこの人と会話するしかないのだ。
「おい、そいつと話するだけ無駄だぜ。仲良くする気ねぇんだからな。先生、この金ピカと加田の席、交換していいよな?」
悩んでいると、赤い人が先生へと話しかけていた。
「
「交換して「敬語」……いい、です、か?」
負けるのかい。
「…………はぁ。お二人が良いと言うならそうしましょうか」
先生が悩んでから困ったようにそう言うと、山吹さんは迷いなく立ち上がって自分の机を持ち上げた。
「交換するわよ」
「あ、はい」
私の返答を待つことなく交換を始める彼女に気圧され、私も机を持ち上げる。中からはカタコトと音がして、何かが入っていたことに今ようやく気がついた。確認は後にして、とりあえず移動を急ぐ。机、椅子、そして鞄も動かして、ついに交換が終わった。それと同時に、山吹さんはもう勉強を再開していたのには驚いた。
私が席について一息吐くと、すぐに横から赤い人が体ごとこちらを向いてくれた。
「なあ、アタシは
「は、はい! 私は
「おい、お前らも」
あ、挨拶ができた! さっきのが余りにも余りにも酷過ぎたこともあって、ちゃんと自己紹介ができるというだけ感動してしまう私が居る。
赤い人が少し体をズラし、奥に居る二人と私の目が合うように空間を開けた。
き、気遣いまでできるのか……最初の睨まれてるって思っていたのは、目付きが悪過ぎるせいだったのかもしれない。雰囲気によらず、案外良い人なのだろう!
「わたしは
まず、黄色い人が人懐っこい笑顔でそう言った。
次に青い人が。
「ウチは
「よろしくお願いします!」
よかった、と胸を撫で下ろす。
最初は一体どんなとんでもない学校に来てしまったと人生の終わりのように感じていたのだが、良い人そうなのばかりで助かった。
いやまあ……一名を除いて……うん。
「それじゃ、授業を始めるわよー。加田さんは机に教科書が入ってるから、それ使ってね」
「あ、はい!」
+ + +
授業は至って普通の内容だった。中学でやったことを振り返りつつ、新しい分野へと入っていく新学期らしいもの。魔法少女の学校も案外普通なんだな、と意外に感じてしまった。
そうして一時間目が終わって、短い休憩時間。先生が教室を去るのを見送っていると、横のレンさんが机に頬杖を付きながらこちらを向いて来る。
「お前、ミツハだっけ。珍しい髪の色だよな」
そう言った彼女の髪は赤色だった。真っ赤っかだ。私の田舎ではみんな黒かったし、私も黒色。というか、大体みんな黒色だ。だから、
「私からすれば、みんなの方が珍しいですけどね」
「あー、一般の出だもんな。てか、魔法少女って生まれてすぐに病院で調べられるだろ。なんで今までバレてなかったんだ?」
「私、田舎者でして。病院がザルだったんじゃないかー、て。役所の方がボヤいてました」
「あと、髪の色もあるんだろーねー」
レンさんの奥の二人、アオコさんとサクさんが立ち上がって、レンさんの机に体を預けながら会話へと入って来る。
「魔法少女って魔力の影響で髪が染まるじゃん? ウチらみたいなのは分かり易いけど、ミツハちゃんみたいのだとわかりづらいもんねー」
「ミツハの髪って真っ黒なんすか?」
「いえ、一応よぉく見ると緑っぽいらしいんですけど……どうですか?」
自分の髪を摘んでレンさんへと見せる。
「わからん」
「ですよねぇー」
ぴしゃりと言い捨てられた。もっとも、自分でも同感と言わざるを得ないので特に思うところはない。そりゃそうだよね、って感じだ。鏡と睨めっこしてようやく私が気がつけるくらいの色合い。
「にひひ、ミツハさんは魔法少女の髪の色がどんな意味をしてるのか知ってるっすか?」
サクさんはニヤニヤとしながらそう聞いて来る。魔力の影響で……と言う話は今やったばかりだ。それ以外であろう。それを考慮し、少しばかり考えてみるがわからない。
「いや、何かあるんですか?」
「端的に言えば、強さっす」
「つよさ……強いか、弱いか?」
「はいっす。色が変わってる理由ってのは、魔法少女の魔力は無意識の内に少しだけ漏れちゃうんすよ。んで、そのせいで髪とか目が変色してるっす。だから、魔力の量が少ないとか質が悪いと、色が薄くなるっす。言い換えれば、才能がない奴は髪が黒いっす!」
「ひどい!」
い、いきなり才能がない奴扱いされた?!
「おい馬鹿サク。そりゃ迷信だろ」
「えぇー?! この前ネットでこんな感じの記事みたっすよ?!」
「まー、全くの嘘ではないけどねー」
「え、どっちなんですか? 私は何を信じればいいんですか?」
「どっちもよ」
私が不安になっていると、意外なことに背後──山吹さんの声が聞こえた。思わず振り返ると、これまた自習をしていた彼女が手を止め、私を見ていた。その綺麗な白金色の目と、私の目が合った。
綺麗、だった。
「魔力の色は人によって異なる。それが黒系の色なら髪も黒く染まるもの。さっきの話だって、魔力操作を鍛えることで無意識下の漏出も抑えることができる。そうすれば、本来の地毛の色が現れる。だから、むしろ髪が黒っぽいってことは魔力操作に長けている証明として、熟練者の中では一目置かれることもあるのよ」
「は、はい」
「……だから、実際にやってみないとわかんないよ」
「そう、なんですね」
余りに唐突に、余りにも長く話して来るものだからコクコクと頷きながら短く返すので精一杯だった。
「……わかればいいのよ」
そう言って、彼女は再び自習を再開する。
い、今のは……きっと、私を慰めてくれたんだよ、ね? なら、うん。お礼くらいは言わないと。
「その、ありがとう。教えてくれて」
「……」
「……ま、そゆことだ」
「……」
「……」
「……?」
え、どゆこと。
暫くして、沈黙の教室にガラガラと戸が開く音が大きく響いた。
「うおっ……んだお前ら黙りこくって」
職員室で見た先生の一人、ジャージを着た人だった。
いや本当に何なのこの雰囲気は……?
実はキャラの外見とかダイスで決めてる部分が大きいんですよ。本当は振り直しなんてしたくないし、よくないってのはわかってるんだけど……
流石に、レン以外がブル○カのハスミとハナエみたいなドスケベボディになったので振り直しました。ナニがとは言わんがデカ過ぎるって。エロ同人じゃないんだぞ。
アオコはその名残です。