私と彼女のある日常   作:no518-nineteen

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1話目ですが、1つの事件を解決するぐらいまでは書きたいと思っています



第一話

 梅雨というわけでもないのに、このところ長く雨が降り続いていた。

そうなると外に出ることは少なくなり、このところ彼女と二人で過ごす日々が続いているのであった。

 

 今日も朝から天気は悪く、家事や掃除を済ませてしまえばやることはない。そのためここ一週間ほどは、無聊を慰めるためにゲームやドラマの視聴、ボードゲームやトランプといった室内での遊びに興じていることが多かった。

「はい、これで全部のラウンドが終了、点数は私が上だから私の勝ちかな」

「これで七勝目。どう、もう一度やる?それとも他のゲームでもやる?キミの好きなゲームでもなんでも相手してあげるよ。」

彼女はニコニコしながらそう言った。とは言うものの、彼女は凄まじく頭がよい。体力や運動神経、運といったものが絡んでくる遊びならともかく、このように頭脳要素が多いゲームになってくると、小さい頃からほとんど彼女に勝てたことがない。

 

 昨日は久しぶりに晴れていたので近くのショッピングモールに行ってきたのだった。その中で面白そうなボードゲームを見つけ事前に攻略法を予習し、偶然面白そうなものを見つけたので遊ばないかというふうに何気なく遊びに誘い、準備は万端といったところだったのだが結果は御覧の通り。最初の一勝こそ勝てたものの二戦目終盤からは互角に渡り合うようになっていき、三戦目を迎えるころには早くも勝ちを取られてしまったのであった。

 

 「やらないよ」と片付けながらぶっきらぼうに答えた。「やるわけがない。なんでこんなに負け続けたのにやらないといけないんだ。」よく考えれば物心がついたような小さい頃から彼女につきあってきたのだ。相手が初見のゲームでこちらが攻略法を知っていたからと言って何連勝もできるわけがなかった。

おそらく彼女はゲーム中に、もしくは遊びを持ちかけてきた時点で既に私が初見ではないことを見抜いたのだろう。そして私の手を読み、勝負を長引かせ攻略法や重要点を解析していったのだ。

既に時刻は朝の11時近くになっていた。

 

「昨日、ドラマを見たんだけどね。」しばらくして、今度は逆に彼女が私に勝負を持ちかけてきた。

「その中で面白い手品があったんだ。この勝負の結果のお詫びというわけじゃないが、一つ勝負をしようじゃないか。もしキミが―そうだな、明日の0時までにTRICKが解けたらキミの言うことを聞いてあげよう。家事でも娯楽でもそれ以外でも、なんでも付き合うよ。」

「分かった。」

とは言ったものの命令を聞かせるよりは先ほどの勝負のリベンジといった側面が強かった。

なにしろ彼女は生活能力が皆無ではないもののかなり低い。おまけにめんどくさがりだ。大学に入学する直前、家事こそ私と彼女の両親、3人がかりで教え最低限はできるようになったものの、1週間もすれば部屋は散らかり料理は栄養のバランスのみを考えて決める―例えば鍋一杯の肉、野菜、魚がぶち込まれた味噌汁、それと白飯のみのメニューが数日続くといったような具合だ―ため今は私が家事の多くを請け負っていた。

「ここに封筒があるだろう。それとコイン。これを...」

「待った。封筒はこちらで選ぶ。それとコインもだ。それでいいか」

彼女はOKの返事を出した。ということは封筒、それにコインには秘密がないということだ。私は一番近くにあった封筒、それと財布の中のコインを渡し、再開してもらうよう頼んだ。

さらに念を入れ、動画で撮影することにし、彼女はそれにも了承した。

「では気を取り直して、ここに封筒、それにコインがあります。このコイン、封筒、両方に目印をつけてください」

「次に、封筒に封をしてください。しっかりと、糊付けして。」

「この封筒からあなたが入れたコインを、取り出して見せましょう」

その後彼女は封筒を持ち、手をかざした。その後に後ろを向き何やらブツブツとつぶやきながら封筒をこすったり、遠ざけたり色々なことをした後に...

「コインは消えました。」

差し出された、カッターで切り開かれた封筒をみると確かに何も存在せず、唖然とした私に彼女は先ほど目印を付けたコインを差し出したのだった。

 

分からない。封筒、コインは彼女が持ち出してきたものではなくこちらが用意したものを使用したはずだ。だとすればその二つには仕掛けがないことになる。だが彼女がコインを入れる前、入れた後、どのタイミングで、どうやって取り出したのか。いや、封筒に仕掛けはないのだからそもそも取り出すことは不可能だ。だとするとどうにかして私の書いた目印を真似たのか。それでは封筒にコインが存在しなかったことの説明がつかない。では封筒に何らかの仕掛けが―といった風に堂々巡りになってしまう。

 

どうしようもなくなった時に彼女が昨日ドラマを見たと言ったことを思い出した。ごみ捨てに行くといった隙にサブスクを確認しようとしたものの、視聴履歴は消されていた。しかもそれを予測していたのか、履歴が消されているところを確認した瞬間に、ドアを開けて声をかけられた始末だ。

「カンニングはだ~め。ちゃんと自分の頭で考えないとご褒美はなし。」

とニヤニヤしながら言われたら、自分の頭で考えるほかないだろう。

 

そのようにして私は手品の解明に頭を悩ませ、彼女はそれを見て面白がっているという時間が経過し12時が過ぎたころ―

玄関のチャイムが鳴った。

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