ヒーローな君のことが大大大大大好きな100人以上の彼女   作:トラ-Tora

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第2話 数多の運命

 

 

出久「大きいなぁ…」

 

お花の蜜大学附属高等学校の見学会に来て第1声がこれだった。雄英と比べられるくらい広いのも、幼稚園に小学校、中学校、高校、大学全てが入っているからだ。幼稚園からエスカレーター式に進級・進学するであろう子達と違って、僕は外部入学だから見学会や説明会には積極的に参加しようと思いながら、初回の見学会が終わって、校門を抜けて最寄駅へと歩く。

 

出久「…ッ、なんだろう…?」

 

視界の端で何かが揺れ動くのが気になって振り向いてみると、境内からはみ出た真っ白な旗が風で揺れていた。

 

出久「…縁結び?」

 

旗には“縁結”と書かれており、それが神社へ続く石畳の隣で何本も立てられ、それぞれ縁結という文字を風によって揺れ動かす。

 

出久「縁結びの噂が多いって聞いたけど、ここもそうなんだ…」

 

僕はお母さんから聞いた噂が気になって、石畳の端を歩いて境内の奥に入りながら、賽銭箱と鈴緒の前に立って財布の中にある、何枚もの小銭を指で掻き分けながら1枚取り出す。

 

出久「えっと…ご縁があります様に、ってことで…」

 

5円玉を賽銭箱に投げ入れ、軽く響く様な金属音で身が清められた気がしながら、鈴雄を手で揺らして本坪鈴(ほんつぼすず)を2、3回鳴らす。2回礼をした後、2回拍手する。そしてそのまま手を合わす。

 

出久(縁結びの神社だから、合格出来ますように、というより…)

 

出久はゆっくりと礼をしながらお願いをする。

 

出久(どうか…こんな僕仲良くしてくれる人と、出会いますように…)

 

僕は、数秒か数十秒が経ったのか分からないほど、集中してお願いをする…

 

???「大丈夫じゃ」

 

突然聞こえて来たその声で、驚くようにハッとするまでは。僕は声は何処から聞こえて来たのかと辺りを見渡して見ても、境内にもここから見える道にも人はいなかった。

 

???「ここじゃ」

 

今度はしっかり声を聞いて方向が分かり、その方へ顔を向ける…だけど、声がしたのが賽銭箱の方で、人は立っていなかったと不思議に思いながら確かめてみると…賽銭箱からまるで水面から顔を出すようにして、お爺さんの顔がそこにあった…今でも憧れではあるあの人みたいに、画風が違う様な気もしながら、

 

出久「ワァァァッ!?お化け!?すり抜ける個性!?それとも幻を見せる個性!?」

 

???「どれでも無いわ戯け!!」

 

大声で驚いて色々言っていると、そのお爺さんから怒りを言葉を貰う…いや、普通に驚きますよ、それ…

 

???「ワシはこの神社の神じゃ…!!」

 

出久「神ってそんな奇々怪界な感じなんですか!?」

 

あと、いきなり神って言われるのも驚きますよ…

ほんの少しお互い言葉を出さないでいると、神と名乗るお爺さんが賽銭箱から上半身を出していき、それに伴って鈴雄がとぐろを巻く様に頭の上で重なり、その鈴雄に重なる様にして頭の上に光ながら浮かぶ、天使の様な輪っかと背中から大きな白い翼が広がって、神というより天使に近い姿が現れた。

 

神「大丈夫じゃ、出久」

 

お爺さんは翼で見えない背中から、木の杖を取り出し床に着きながら、まだ名乗っていない筈の僕の名前を呼びながら話し掛けてきた。

 

出久「え、名前を、どうして…本当に、神様?いや、頭の輪っかと翼を見ると天使…いや、個性でそういう姿になれるのかも…すると、賽銭箱から出て来たのも、僕について知っているのにはどう説明が…いや、背中に仕舞えたとして体を賽銭箱に収めるには体積的に不可能なはず、だったら体は別の何処かにあって幻がそこに現してるだけで…でもでも、相手の考えを読むのは一体どういう_」

 

お爺さん「独り言が長いわッ!!」

 

お爺さんは杖をコツコツと床に着きながら、1人でブツブツし始めた僕に怒りを言葉をぶつけてきた。

 

出久「ご、ごめんなさい…!」

 

お爺さん「全く、文章の方も早く神様に直しておくれ_」

 

神様「_ふむ、これで良し」

 

出久「文章…?」

 

神様「そんな事より、話の続きじゃ」

 

僕の疑問が口から零れたけど、神様は意に介さず話の続きをし始めた。

 

神様「お主は高校で“運命の人”と出会う事になっておる…」

 

出久「…運命の、人…?あの、恋愛小説とかである…?」

 

神様「あぁ、そうじゃ」

 

僕はその言葉に驚きを隠せなかった。だって、今まで友達と呼べる人はいなかった、ただのヒーローオタクの僕に…?

 

出久「…あ、有り得ないですって、こんな僕にそんな人が…」

 

神様「いいか、運命の人というのはじゃな…人がこの世に生を受けし時定められる、最高の恋愛パートナーじゃ!」

 

出久「人が、生を受けし時…」

 

その言葉が、何故かしっくり来てしまった。“人は、生まれながらに平等じゃない”それを知っていたからか、妙に納得してしまう…それでも、僕にそんな人がいるとは今でも思えないけど…

 

神様「そうじゃ。運命の人同士が出会う時、全身にビビーン!!!と衝撃が走り立ち所に互いを好きで好きで堪らなくなる、所謂“一目惚れ”じゃ…」

 

出久「一目惚れ、本当にそんな事が…経験した事が無いので、まだ信じられないと言いますか…」

 

神様「それはそうじゃ。運命の人同士は定められた時期に必ず出会う様になっておるからのぉ」

 

出久「確かに、高校でって言ってましたね…でも僕に、そんな人が…//」

 

神様の話を聞いている内に、まだ出会った事もない運命の人を考えると、嬉しい様な恥ずかしい様な気持ちになって、顔が熱くなってしまう。だって、それって恋人ってこと…だよね?2人で遊園地に行って手を繋いで、クレープを半分こすること、だよね!?

内心で色々考えていると、神様から一言貰った。

 

神様「あぁ。しかも、高校で出会う運命の人は…なんと100人もおるのじゃッ!!」

 

出久「なんでそんなにィィィ〜ッ!!?」

 

途轍もない爆弾だった…

 

出久「ひゃ、100人って言いましたか!?」

 

神様「そう言ったが_」

 

出久「普通1人とかじゃないんですかッ!?僕以外にもそんなに多くの人が運命の人だったりしますッ!?」

 

神様「…その事なんじゃが…」

 

神様は冷や汗をかき、バツが悪そうにしながらも話を続けてくれた。

 

神様「お主の言う通り、本来運命の人は1人の人間に対し1人しかおらぬのじゃ」

 

出久「…え?」

 

神様「ちょうどお主が生まれた時、ある重大な事があってなぁ…恋愛の神であるワシはミスを犯してしまったんじゃ…」

 

出久「…一体、どんなミスを…?」

 

僕は固唾を飲んで、神様から発せられる言葉を待った…

 

神様「…その日は金曜日でなぁ…仕事中偶々テレビで、サマーウ◯ーズが流れておったんじゃ!」

 

出久「仕事中にテレビ見ないでくださいよッ!?」

 

神様「ちっ違うんじゃ、聞いてくれぇ!!初見だったんじゃ、それで“よろしくお願いします”の起源はここじゃったのかと歓喜してしまったんじゃ!!それで100点満点を書いてしまったんじゃ!!」

 

出久「リアルタイムで見るなら仕事の手を止めて見て下さいよッ!!…修正って出来ないんですか…?」

 

神様「もう他部署で受理されておるから、無理じゃと思うのぉ」

 

まさか僕の運命が仕事のミスで大変な事になっていたとは…というか、部署って…神様も大変なんだなぁ…

 

出久「…分かりました。伝えてくれてありがとうございました」

 

神様「まぁ、困った事があったら何時でもここに来れば良い。ワシはここにおるからな」

 

出久「はい…テレビを見る時は仕事の手は止めてくださいね」

 

僕は色々と疲れを覚えながらも、神様に会釈しながら神社から最寄駅まで歩く…まぁ、運命の人に会ったら、しっかり答えられる様にしてはおこう…恋愛についても勉強しないと…

 

 

⬜︎⬛︎⬜︎⬛︎⬜︎⬛︎⬜︎⬛︎⬜︎⬛︎⬜︎⬛︎⬜︎⬛︎⬜︎⬛︎

 

 

神様「…録画の仕方は、と…」

 

夜、仕事中にテレビで恋愛ドラマが流れていたので、神様は出久の言葉を思い出しつつ、急ぎの仕事があるからとテレビの録画をしていた。

 

神様「…あ、そういえば、修正出来るか聞いておこうかのぉ…この時間じゃと、休憩してるはず…」

 

神様は黒電話を使って、何処かに電話をし始めた。

 

神様「もしもし?ワシなんじゃが………おぉ、エナドリ4本目とは不吉じゃのぉ。それで電話した理由なんじゃが、もう生まれた人間の修正って……今年で15歳の…うむ………やはり難しいか、すまんのぉ。一応他にミスが無いか確認したいから、書類送ってくれんか?………頼むのぉ」

 

神様は電話を切ると、神様の近くに置かれているコピー機から、FAXで書類が送られて来た。

 

神様「生命の神なのに過労死してしまいそうじゃなぁ、まだ若いのに…今度一緒にDVD鑑賞でも………」

 

神様が送られてきた書類を確認していると…重大なミスに気付いてしまい、独り言を呟いていた口があんぐりとしながら、冷や汗を滝の様に流し始めた…

 

神様「………さぁ〜てと、ドラマに見ようかなぁ〜…」

 

神様は書類を机の上にソッと置き、一先ず忘れよう、出久が来た時に伝えれば良い、と現実逃避がてら録画予定のドラマを見ることにした。

 

_しかし、緑谷出久が神社に来るのは、少なくとも高校入学後になるので…出久が真実を知るのは、10ヶ月以上先になることになるだろう_

 

 

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