ベリルの構えは隙が無い様に見せているが、意図的に隙を作り、敵に攻めさせ後の先を取る戦法を使う。それはベリルの観察眼がズバ抜けて良いから使える。並の使い手なら直ぐに崩されてしまうだろうな。
「その誘いにあえて乗ってやる」
「…っ!」
初撃は互いの木剣がぶつかり合った。受け流そうとするベリルに対して、ビャクエンの一撃は凄まじく重い。
「…重っ」
「戦場では敵は律儀に待ってくれないぜ」
その言葉を皮切りに、縦横無尽の斬撃を繰り出すビャクエンに、ベリルは受けるしか出来ない。かろうじて捌けているが、急所に始まり手や足などを狙ってくるため、判断ミスが命取りだ。
「俺の剣のタイミングを測っているな」
「…!?」
ビャクエンの攻撃が剣をすり抜けて掠った、ベリルは驚きを隠せていない。
「だから言ったろ…次行くぜ?」
ベリルは攻めに転じることが出来ず、剣が掠り、捌ききれずに打たれていく。既に攻め続けているビャクエンよりも疲弊し、打ち身や切り傷が増えていく
「ベリル」
「はあっ…はあっ…なんだい」
「自分と同等以上の相手に、待っているだけじゃジリ貧だ…昔のお前なら…どうしたかな」
ベリルには伝わっただろうか…まぁ良い、分かるまで叩いてやれば
「…はああああああああ!!」
「!?」
雄叫び…いや、あの面構えは…面白い
「ビャクエン、本気で行くぞ!」
「良いとも」
先程よりも速い無数の斬撃を全て弾き落とし、反撃までしてきた。もうこの動きに対応してくるとは
「ふふふ…やはりお前はそうでなくてはな」
「ハア…ハア…ハア…体が着いてかないけど」
「「楽しい!!」」
互いの木剣が粉々に砕け散ったのを合図に、手合わせは終了した。
「ハアハアハア…ふひ~!」
「なんだ、だらしない奴だな」
「親父以外で本気出したの久しぶりなんだ…許してくれ」
地面に倒れ込むベリルに対し、ビャクエンは汗は流れているが涼しげに笑っている。
「しかし、ブラックランクって凄いな…ビャクエン」
「お前の弟子に、スレナって子がいたろ。あの子はブラックランクになっているぞ」
「えぇぇ!?」
コイツ、弟子の活躍も知らんのか
「俺も何度か手解きをしてやったしな。お前と違って真っ当な兄貴分をやってるぞ」
「そ、そうなの?」
「街でスレナに会っても分からなそうだな…お前」
ベリルは物凄く鈍いというか、古い思想だ…苦労するな、スレナ…アリューシアよ
俺と同じく冒険者として活躍するスレナ、レベリオ騎士団の最年少で団長に就任したアリューシア。ベリルを慕う教え子は多いが、この2人ほどベリルに対する想いが強い
「ベリル」
「ん?なんだい?」
「楽しみにしている」
お前と交わした約束の為にもな