恋愛リアリティ番組で知り合った体格差カップルの話   作:ヒロ@一次創作

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本日この前にもう一話投稿しております。


第六話

2人の仲が少しだけ進展した翌日以降も撮影は順調に進んでいた。

海辺に設置された特設ステージには大型モニターや照明機材が並び、何十人ものスタッフが忙しなく動き回っている。

参加者が慣れて行くにつれて、撮影規模も大きくなってきていることが分かる。

 

 

「うわぁ…機材が沢山あって迫力がありますね。」

 

「これはまた随分と金が掛かったセットだ。」

 

 

周囲を見回して美桜が言えば、隣で同じようにセットを見ながら現実的な返答をする豪。

撮影開始から数日、2人は番組側からも他の参加者からも仲の良いペアとして認識されるようになっていた。

 

 

「試合会場とは違うけど、こういう裏側見るのは面白いね。今度の大会に活かせる部分もありそうだし。」

 

「豪さん、こういうセットでの撮影とか緊張しないんですか?」

 

「しないなぁ。東京ドームでのタイトルマッチの方がよっぽど緊張するよ。」

 

「色々比較対象がおかしいですって。」

 

「はっはっは、それはそう。」

 

順調に午前中のスケジュールをこなし、午後の撮影がスタート。

二つ目の企画を終えたところで一度休憩が入り参加者たちが思い思いに休憩するなか、美桜が配布されたドリンクを手に豪を探して歩いていると、少し離れた場所でスタッフと話している姿が目に留まる。

 

(休憩中にもスタッフさんと打ち合わせなんて豪さんは真面目だなぁ。)

 

そんなことを考えながら、確保していた豪のドリンクを渡しに行こうと方向転換をした、その時だった。

 

 

ギッ。

 

 

耳障りな音に美桜が反射的に顔を上げると、大型照明の支柱が海風に煽られたのか不自然に揺れている。しかしその音は喧騒に紛れてしまい、スタッフも他の参加者も気付いていない。

急いでスタッフに知らせなければ、そう思った直後。

 

 

「……え?」

 

 

海風に耐えきれなくなった支柱が傾き倒れてくる。直ぐに逃げなければいけないのに、予想外の事態のせいで身体が動かず、出来るのは身を竦めることだけ。

大型機材は重力に引かれて加速しながら倒れ掛かり…しかしそのまま美桜が照明機材の下敷きになることは無かった。

 

 

「美桜さん!」

 

 

不意に名前を呼ばれると同時に視界が塞がれ、訪れる強い衝撃。何が起きたか分からない美桜だが、自分が誰かに助けられたことだけは理解できた。

助けたのは、スタッフと話をしていた豪。

美桜の姿と機材がガタついている様子を目にした豪は全力で駆け寄って美桜を抱き寄せると、そのまま覆いかぶさるように地面に伏せる。

豪は文字通り身体を張ったのだ、美桜を助けるために。

 

直後、激しい音が響く。

 

最も大きな照明機材は少し離れた場所に落下していたが、中型機材の幾つかが豪の身体にぶつかり転がっていった。

一瞬の静寂の後、参加者の悲鳴が上がるとともに慌てて駆け寄るスタッフの声が交錯し、一気に現場が騒がしくなる。

大混乱となった中で、ひとまず危険は無いと判断した豪はゆっくりと身体を動かし、美桜に声をかける。

 

 

「大丈夫?」

 

 

耳元で聞かれた美桜は震えながら顔を上げる。抱きかかえられたままなので、豪の顔が近い。

 

 

「ご、豪さん……?」

 

「どこか痛いところはある?」

 

「だ、大丈夫です。」

 

「よかった、でも一応診てもらおうね。」

 

 

周囲の喧噪や自身の身体に機材が直撃したにもかかわらず、美桜が無事であることを確認した豪は安心したように笑ったのだった。

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