転生ワンオペゲマトリア黒服概念   作:地霊殿の壁

4 / 4
第三話

「……クク、どうやら無事にアビドス高等学校に流れ着いたようですね」

 

 

 砂狼シロコ(死の神アヌビス)に背負われる大人を監視カメラ越しに見ながら私はコーヒーを一口、口に含む。

 

 

「アビドス高等学校から見て、真逆の位置で倒れていた時は流石に焦りましたが……」

 

 

 私はモニターを眺めつつ、数時間程前の出来事を思い返しました。

 

 


 それはカイザー理事との取引が無事に終わり、アビドスに点在する最寄りの拠点の一つに向かっていた夜、それも午前3時辺りの深夜帯───私は砂の上で倒れている人影を発見しました。

 数年前にも似たようなことがあったと思いながらも念のため近寄るとそれは今朝、シャーレで起きて、そのまま電車に乗り、アビドスにまで向かっていた事を確認している()()()()()───即ち先生でした。

 予想外なのは彼女が倒れている位置───そこはアビドス高校の真逆、さらにいえば砂狼シロコのパターン化されている登校ルートと見比べても、外れている場所だったことでしょう。

 

 

「何故、ここに倒れて……いえ、考えている場合ではありませんね」

 

 ペットボトルに入った水とカプセル錠を取り出し、彼女に手を伸ばす───

 

させませんっ!

 

 パチンッ!

───そんな音とともに青いバリアのようなものによって手が弾かれる。

 

 

「……ククッ。なるほど、アロ───いえ、シッテムの箱の介入ですか」

 

……!えぇっ、わ、私に気付いてる!?

 

「ですが良いのですか?敢えて断言しますが、このままでは彼女は誰にも助けられず、死に至ります。アビドス生徒の基本的な行動パターンは把握していますが、この場所を登下校で通る生徒は誰もいません。唯一可能性があるのは毎晩アビドスのパトロールをしている小鳥遊ホシノでしょう。───ですが午前3時なのにも関わらず、一度も遭遇していないということは入れ違いになりましたね?明日のパトロールを待つ、としてもこんな日差しを遮るものも無い場所で倒れたままというのは、人間が持ち堪えれるものではありません」

 

「さぁ、ご決断を。このまま貴女の判断で彼女を死に至らせてしまうか、この場で私を通して彼女を生き永らえさせるか……」

 

……

 

 

「───極力、冷静な判断をお願いします。私も彼女を死なせたくないので」

 

っ!?……せん、せい……?い、いえ───そんなはずは……

 

 

───数十秒後、私が再度差し伸べた手がシッテムの箱に阻まれることはありませんでした。

 私は咳き込まないように先生の体勢を変えて、抱え起こす。

 

 

〝!!んぐ、ごくっ───〟

 

 

 カプセル錠を彼女の舌に置き、そのまま水で流し込みました。

 直近の記憶を抹消する経口薬と睡眠誘発剤を混ぜたカプセル錠ですね。

 

 

〝……うぅ、だ……れ……?〟

 

 

 瞼がほぼ開いていない状態で問いかける〝先生〟。

 恐らく遭難中、殆ど寝ていないのでしょうね。そんな中で夜中に起こされても明確な意識を保つことは難しいでしょう。

 

 

「有害なものは入っていませんよ。少し眠っていただくだけですから───安心してお休みください」

 

〝……う、ん……〟

 

せんせい……

 

───彼女が眠りにつくと同時に無人ドローンが到着する。

 これはカイザー製ではなく一から私が開発したため、あちら側に情報含め、利用される心配もない。

 

 

「水分は取ってもらったので、これから彼女をアビドス高校の付近にまで運び、放置します。数時間の間は野晒しとなるので、心苦しくは思いますが私に拾われるよりはマシだと思ってください。クックック、それから彼女が目覚めても私のことは伝えないように───お願いしますね?」

 

……わ、分かりました

 

 

 私の真意が伝わっていると信じ、シッテムの箱と共に先生をドローンに運ばせました。

 薬品を運ぶ用のドローンなため揺れは殆ど無いはずですし、睡眠薬の効果もありますから、運ぶ道中で先生が起きることはないでしょう。

 一応監視カメラ越しでの状況の確認は続けますが……これ以上トラブルは起きない事を祈りましょうか───。

 

 

 

───というのが、数時間前の話です。

 先生を背負った死の神アヌビス(砂狼シロコ)がアビドス別館の校舎内に入っていく姿を見つめながら、あの場所に倒れていた理由に思考リソースを割いていましたが、一向に結論は出てきませんでした。

 

 アビドス校舎内で交わされた会話を知る術は私にはありません。ので、私は一旦席を外すこととしましょうか。まぁある程度の頃合いで戻ってきますが……せっかくアビドスに長期滞在するのですから、ここでしか出来ない研究も進めておくべきでしょうから───クックック。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

お前のミスでした―――。(作者:責任とれやクソボケ)(原作:ブルーアーカイブ)

散々生徒と先生、ついでに私の脳を焼いたくせに、このままフェードアウト出来ると思ったんですか?このクソボケが。


総合評価:538/評価:7.31/連載:4話/更新日時:2026年08月09日(日) 23:49 小説情報

神と転生者達が送る自作自演(仮)(作者:晴天桜花)(原作:ブルーアーカイブ)

異形の神に拉致られた三人は先生をあわよくば曇らせて欲しいと頼まれる▼暇な神が設定を練りにねって考えたキヴォトスを滅亡しうる厄災。▼それに秘密裏に対抗する生徒、先生の邂逅、先生の勘違いと曇らせにより物語は加速する。▼意味深に言葉を紡ぐが意味はない。▼意味深な態度をとるが何もない。▼作者はブルアカ未履修です。調べたり、動画を見てフィーリングで頑張っていますのでキ…


総合評価:1248/評価:7.86/連載:16話/更新日時:2026年06月28日(日) 15:00 小説情報

デッッッッカ……グラマトンのTS少女によるブルーアーカイブ(作者:冴月冴月)(原作:ブルーアーカイブ)

 デッッッッカ!(身長が)▼ しっっっっろ!(肌が)▼ うっっっっす!(身体が)▼ なデカグラボディに転生した奴の話。


総合評価:1342/評価:8.4/短編:5話/更新日時:2026年04月25日(土) 17:10 小説情報

降格回避√カイザーの野望(作者:ハヤモ)(原作:ブルーアーカイブ)

ある意味で生まれ変わった悪徳大企業の理事が、知ってるようで知らない学園都市で、降格されないよう足掻いたり女の子とイチャつきたくて戦犯顔になる話。▼キャラ崩壊や今更なネタバレが含まれます。▼注:作者は素人なので生暖かい目でお読み下さい。他作者様の書き方等を参考に進めますが、解釈違いもあります。場合により削除します。ご了承下さい。


総合評価:1841/評価:8.38/連載:32話/更新日時:2026年06月08日(月) 17:15 小説情報

レジギガスで行くアリウス生活物語(作者:強酸性のTKG)(原作:ブルーアーカイブ)

目が覚めたらレジギガスになっていた主人公がアリウスで頑張るお話▼レジワロス要素もアリ


総合評価:1647/評価:8.03/連載:22話/更新日時:2026年08月07日(金) 02:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>