ちなみに、コメントはありがたく拝見させていただいております。
───私は今、アビドス対策委員会の部室に居た。
いつの間にか路上で寝てしまっていた私を助けてくれたシロコ、ヘルメット団が襲撃してきた際や強襲する際にオペレーターを務めてくれたアヤネ、ツンツンした声色に何かあった際に真っ先に委員長を呼びに行く行動力が特徴のセリカ、ほんわかした雰囲気とは裏腹にミニガンを扱うノノミ、そして三年生で委員長を務めるホシノ。
上記5名がアビドス全校生徒にしてアビドス対策委員会のメンバーだそう。
「ん……じゃあ先生は監視カメラを避けた結果、アビドスで遭難しちゃったってこと?」
ヘルメット団と二度目の戦闘を終えて部室に帰ってきている最中───何故私が遭難していたのかという話になった。
理由としては今シロコが言ったようにアビドス内の人気が無い位置だと、極力監視カメラを避けて移動していたから。
……それで裏路地とかを通った結果、今いる位置すらも分からなくなってしまったという……
〝そういうことになるのかなぁ……シャーレの監視カメラが
「でも先生ってシャーレに住んでるんでしょ?自分の寝顔とか見られるのイヤじゃない?普通に女の子としてはイヤだと思うんだけど……」
「うへ〜、教室でお昼寝してるおじさんに対する当てつけかな?」
〝いやいや、女の子って……そんな年齢でもないし、第一私の寝顔なんて誰も興味ないって……その証拠にアロナ曰く、寝室のカメラには何もされてなかったらしいしさ〟
「だとしたら……そのストーカーさんは何が目的で……先生を攫う隙を狙っている?もしかして動向のチェックが目的でしょうか?」
〝うん。私もそう思ったから人気のない場所は避けて、避けられない部分はなるべく行き先が掴めないように動いたんだけど……って、そんなことより!私は皆の話を聞きたいかな〟
「あっ、そうだ!先生のおかげでヘルメット団の問題が片付いたんだし、コレで心置き無く借金返済に取り掛かれるってことよね!ありがとう先生!この恩は一生忘れないから!」
……ん?
〝───借金返済って?〟
「……あ、わわっ!」
「そ、それは……」
「ま、待って!!アヤネちゃん、それ以上は!」
「……!」
「いいんじゃない、セリカちゃん。隠すようなことじゃあるまいし」
「か、かといってわざわざ隠すようなことでもないでしょ!」
……借金って聞いたときはちょっとびっくりしちゃったけど、他の子達の様子を見るにギャンブルとか、そういうので背負った借金じゃなさそうで一安心かな。
多分、外部の大人への不信感から来る言動なんじゃないかとは思うけど……
「私は認めない!!」
少し考えているうちにセリカが飛び出していってしまった。
セリカが心配だけど、この学校の置かれた状況も聞かなきゃだし……
「セリカちゃん!?」
「私、様子を見てきます」
そんな私の感情を汲んだのかは定かではないがノノミがセリカの様子を見に行ってくれる。私より遥かに適任だろうし、セリカのことはノノミに任せよう。
「……。えーと、簡単に説明すると……この学校、借金があるんだー。まあ、ありふれた話だけどさ」
「でも問題なのはその金額で……9億円くらいあるんだよねー」
「……9億6235万円、です。『アビドス』……いえ、私たち【対策委員会】が返済しなくてはならない金額です。これが返済できないと、学校は銀行の手に渡り、廃校手続きを取らざるを得なくなります」
幾つかの案が浮かんでは消えていく。
……ひとまずは現状把握から……かな。
〝何故、借金をしなければならなくなったの?なにか理由があるんだよね?〟
「借金をすることになった理由ですか?それは……数十年前、この学区の郊外にある砂漠で、砂嵐が起きたのです」
「この地域では以前から頻繁に砂嵐が起きていたのですが、その時の砂嵐は想像を絶する規模のものでした」
〝なるほど。その砂嵐に対処するため、多額の融資を求めなければならなかった……と〟
「はい。ですがこのような片田舎の学校に巨額の融資をしてくれるところは中々見つからず……」
「結局、悪徳金融業者に頼るしかなかった」
「……はい。最初のうちはすぐに返済できる算段だったと思います。しかし砂嵐はその後も毎年さらに大きな規模で発生し、学校の努力もむなしく学区の状況は手が付けられないほど、悪化の一途をたどりました」
「そしてついに、アビドスの半分以上が砂に呑まれて砂漠と化し、借金はみるみるうちに膨れ上がっていったのです」
「「……」」
〝……〟
「私たちの力だけでは毎年の利息を返済するのが精一杯で……弾薬も補給品も底をついてしまっています」
「セリカがあそこまで神経質になってるのは、これまで誰もこの問題にまともに向き合わなかったから。話を聞いてくれたのは、先生。あなたが初めて」
「……まあ、そういうつまらない話だよ」
ホシノはそう纏めたあと、続けて言う。
「で、先生のおかげでヘルメット団っていう厄介な問題が解決したから、これからは借金返済に全力投球できるようになったってわけー」
「もし、この委員会の顧問になってくれるとしても、借金のことは気にしないでいいからねー。話を聞いてくれただけでもありがたいし」
「そうだね。先生はもう十分力になってくれた。これ以上迷惑はかけられない」
〝私は、対策委員会の顧問なんだから、私も委員会の一員ってことでしょ?それで、見て見ぬふりなんてするつもりないよ〟
「そ、それって……。あっ、はいっ!よろしくお願いします、先生!」
「へえ、先生も変わり者だねー、こんな面倒なことに自分から首を突っ込もうなんて」
「良かった……シャーレが力になってくれるなんて。コレで私たちも、希望を持っていいんですよね?」
「そうだね、希望が見えてくるかもしれない」
私の言葉が、ほんの少しの気休めでも……この子たちの希望になってくれてるのなら少しはマシ、かな?
それでもこの借金の問題が全て消えたわけじゃない。
今は、先生として、顧問として、今の私に出来ることをやっていくとしよう───