ようこそCODEエージェントが住まう実力主義の学校へ 作:不知火新夜
暫くモチベが上がらなかったのもあり、投稿をしておりませんでしたが、再びやっていこうと思い、書き始めました。
こんな状況なので更新は不定期になるとは思いますが、よろしくお願いいたします!
1話
日本某所にある真っ白な建物。
外観どころか、壁や天井等の内装、設置された家具設備、関係者が着用する服、果ては提供される飲食物に至るまでが『白』一色、ノーベル平和賞を受賞した女性人権活動家が告発したイランの『白い拷問』でも参考にしたんじゃないかと言わんばかりに徹底して『白』で統一されていたその建物では、其処まで参考にするかと言わんばかりの『英才教育』という名の人権侵害が横行していた。
まず『英才教育』を受ける子供達を、ある者はとある事情で表に出せない存在を
「な、何だ!?一体何が起こった!?」
ある日、この施設は突然爆発した。
いや、爆発したかの様に破壊された、と言うべきか。
この日も何時もの様に施設内の子供達にハードな訓練を課し、職員達がその相手として或いは外の監視員として厳しく見ていた中、突如として建屋が爆発したかの様に壁が、天井が吹き飛んだのである。
ほんの数分前まで何時も通りだったはずの施設と其処での『英才教育』が、原因不明の爆発によって破壊され、跡形もなくなってしまうという想定外な事態に
『CLEAR!』
「ん?何だ今の音は?」
「お、おい!1人いなくなっているぞ!」
「何だと!探せ、遠くには行っていない筈!」
想定外な事態は続いた、その施設にいた1人の少年が、何らかの音声と共に忽然と姿を消したのだ。
施設を破壊し尽くした爆発の原因調査や神隠しの如く行方を眩ました少年の捜索、それが終わった後の施設再建や再建迄の職員や被験者達の受け入れ先確保等、やらなくてはならない事が山積みな中奔走する大人達だったが大前提となる前者2つは文字通りの『原因不明』であった為に進む事なく、
『〇〇県内にて発見・摘発された違法施設に関する速報です。この施設の事実上の代表として運営を行っていたとして、野党・共栄党の綾小路篤臣議員が今朝逮捕されました』
それどころか、その法律に思いっきり喧嘩を売るかのような運営実態故に表沙汰にならない様にしていた筈の施設に関する情報が次々とバラまかれ、当時国会議員であった施設の代表など関係者が芋づる式に摘発されて行った事で、事実上の閉鎖を余儀なくされた。
――――――――――――
それから、年単位の歳月がたった4月初旬のある日。
入学シーズン真っ盛りなこの日、とある場所へと向かっていたバスの中には、その場所を目的地としているであろう、同じデザインの真新しい制服に身を包んだ少年少女達が集結していた。
その様子から向かう先は少年少女達が入学するであろう学校、新たなる学校でどんな学生生活が待っているのだろうか、そんな『ワクワク』という擬音が聞こえてきそうな雰囲気に包まれていたバスの車中で、後方の座席に座る1人の少年が、
「zzz…」
寝てた。
それはもうぐっすりと眠っていた。
目鼻立ちの整った所謂「塩顔イケメン」と言える容貌は瞼が完全に閉じられ、微かながら寝息が聞こえる様から熟睡状態にあると周囲は理解し「入学が楽しみ過ぎて寝不足だったみたいだね」と流された。
とはいえ今乗っているバスは目的地が設定されており、其処に着けば降りなければならない、故に少年の睡眠は程なく覚まされる事となるのだが、
「…騒がしいな、揉め事か?」
それよりも前に、目覚めの機会は訪れた。
バスの前方にて乗客同士がもめているらしく、その声によって少年は目覚め、何が起こったのか情報収集する事とした。
聞こえて来た限りで状況をまとめると、自分達と同じ場所へと向かうべくバスに乗っていた1人の少年が優先席にふんぞり返って座っていて、其処に席の空きが無く困っていた様子の老婆と、そんな老婆を放って置けなかったOLがやって来て、OLが少年に対して優先席だから席を譲れと詰め寄っているらしい。
それに対して少年はあくまで優先席であって席を譲らなければならないという法的義務は無いと反論して立ち退くのを拒否、まさか反論されると思っていなかったのか感情的な言動になるOLに対して少年は泰然とした様子で丸め込んでおり、やがて居た堪れなくなった老婆がOLを制止する様になった。
(老婆が優先席を求めたら席を譲らなければならないなんて法的義務は無い、か。正論といえば正論だが、それはそれとして横柄に過ぎるな。イヤホン付けて音楽を聴いている様だが普通に音漏れもしているな。身なりの良さからして単なる悪ガキという訳ではなく、常人とは違った環境、才能を持って育ったが故の自尊心、といった所か。その環境が誰のお陰で享受出来ているという考えがあれば、あんな事は出来ない筈だが…な!)
騒ぎの全貌を把握した後部座席の少年は、優先席を占拠する少年の言動に苛立ちを覚えると、お仕置きだと言わんばかりに右手をフィンガースナップするかの様に親指を滑らせた。
「ぐぅっ!?い、一体何が…!」
お前は何を当たり前な事を言っているんだと突っ込まれそうだが念の為、ここは魔法だの呪術だのといった概念が公然とした物と化している世界線ではない、故に少年がそんな動作をした所で何かが起こる訳もない、筈だったのだが、次の瞬間、ただでさえ周囲に漏れる程の音量を発していた優先席の少年のイヤホンが、更に数倍の音量を発し出した。
その音は優先席の少年が身に着けていたイヤホンの出力制限を優に超える物、人の忠告を聞こうともしない鼓膜をぶち破ってやると言わんばかりに少年の耳を襲撃、突然の大音量にさしもの少年も驚きの余り飛び退き、大慌てで自らの耳に嵌っていたイヤホンを取り外して電源を切り、その隙にOLは老婆を空いた優先席に座らせた。
「イヤホンの故障か、或いは繋いだ端末側の異常か…いずれにしても最後まではた迷惑な奴だ」
まさかの事態に発生した瞬間は騒然となるも被害を受けた少年の言動が周囲のヘイトを生んでいた為に「天罰が下ったんだ」という空気になり沈静化した車内、その中で事態を引き起こしたであろう後部座席の少年は、素知らぬ顔でそう呟きながら、視線を外へ向けた。
――――――――――――
やがてバスが目的地――現在の日本国トップである鬼島首相が立てた教育政策の一環として、未来を支える人材を育成するという目的で設立された全寮制の高等学校『国立高度育成高等学校』へとたどり着いたのを確認した少年は、流れに乗るままバスを降り、自らが配属されたクラスへと向かうべくそれを記載した掲示板へと歩みを進めた。
「えーと、
掲示板に書かれた文字がはっきりと視認出来る位近づいたのを見計らって己の名前を確認、その中の『Dクラス』のカテゴリの中に目当ての名前を発見した少年、その目線の先には『摂津
これは少年――摂津清隆が裏社会にその人ありと言われる程のエージェントとして暗躍する、前の成長の物語。