ようこそCODEエージェントが住まう実力主義の学校へ 作:不知火新夜
Dクラス生徒への暴行で訴えられた颯が逆転無罪となり、逆に訴えた側であるDクラスの虚偽通報と証拠捏造が認定された審議から一夜明け、その結果が各担任教師を通じて伝わった。
それに対する各クラスの反応は様々だった。
まず逆転勝訴を勝ち取った元Cクラス、只でさえDクラスの生徒達から度重なる嫌がらせを受けて来た上に今回の冤罪と精神的に追い詰められていた中で手にした勝利にクラス全体がお祭り騒ぎとなった。
事ある毎に難癖を付けて来た挙句に謂れのない罪をでっち上げたDクラスが盛大に自爆して再起不能となり、代わりに自分達は300cptという莫大な賠償金を得られたのだからその喜び様も明白、一部の者は祝勝会みたいな形でパーティを開こうと提案し、それを聞いた颯が「だったら摂津も呼ぼうぜ!アイツが協力してくれなかったら俺は此処にいなかったかもしれないんだしさ!」と清隆を招待する様意見を出していた。
こうして雨降って地固まるという諺の通りクラス内の結束力が一段と高まり、勝利の立役者である清隆を引き込んだという実績を受けて帆波のリーダーとしての地盤が更に強固となった元Cクラスの一方で颯に濡れ衣を着せようとして強烈なカウンターパンチを食らう事となったDクラスの雰囲気は最悪と言うしかない。
この件に関わっていない者達からしたら、リーダー的存在である翔に本件を無理やり一任させられたらいきなり300cpt減らされた、即ち月初めに支給されるお金が3万も減らされた挙句
本来だったらそういった声を強引に黙らせられる地位も武力もある翔及び、アルベルトや大地といった荒事に慣れた取り巻き達も審議の結果この日から3ヶ月近く停学となり教室には来られない、残った翔の支持者達も多勢に無勢で暴言を浴びるしかない、この状況を制せるリーダーシップや実力を併せ持つ生徒もいないとあって、最早Dクラスは学年内の争いに参戦するチームとしての体を成していなかった。
それでも今の状況は翔が復帰する10月には終結する物、いずれ再起して、他のクラスとの争いに割って入れるレベルまで立て直してくれる筈、と入学以後功績どころか大き過ぎる損失しか残していないにも拘わらずチームリーダーとして翔を支持する少なくない者が彼の復帰以後に向けて今は雌伏の時と耐え忍んでいたのだが…停学が終わった10月になっても、翔がDクラスに帰って来る事は無かった。
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と、此処迄は審議の当事者、もっと言えば其処に至る迄の遺恨の当事者達の反応を書き記したのだが、今度はそれに関わりのないクラスの反応を見ていくとしよう。
まずはAクラス、生徒が直接関わった訳でも巻き込まれた訳でも無ければ、弁護役等で首を突っ込んだ訳でも無い為か、明確に反応した生徒はいなかったものの、ただでさえ160cpt近くと僅差という訳では無いとはいえじりじりと迫って来ている元Bクラスに加えて、340cpt台から40cpt台と元Cクラスが一気に猛追して来たのだ、入学以来ずっと維持しているAクラスの座も脅かされるかも知れないと危機感を覚える者は少なくなかった。
そして帆波達のクラスが莫大なcpt獲得によってBクラスへ昇格、それと入れ替わる形でCクラスへ降格する事となった清隆達のクラスはどうなったか。
「摂津君、これは一体どういう事かしら?」
「何だ堀北、出し抜けに」
朝のホームルームで審議の結果及び元CクラスのBへの昇格及びこのクラスのCへの降格が茶柱より報告された後、降格という事実に動揺を隠せないのか少なからず騒めきが起こる教室内、その中で鈴音が、報告が終わった直後に清隆を問い詰めた。
急にどうしたといいたげな態度を見せる清隆だったがこの状況で問い詰める事など1つだと言わんばかりに鈴音は続けた。
「とぼけないで。貴方が今回の元CクラスとDクラスとのトラブルで、元Cクラス側の弁護を引き受けた事は知っているわ。はっきり言って今回貴方がやった事は利敵行為、このクラスに対する裏切りよ」
「利敵行為?裏切り?おかしな事を言うな、単にDの連中が柴田に暴力行為の濡れ衣を着せようとして、その根拠と称した怪我を捏造している動かぬ証拠が出たから重い処分が下り、被害者である柴田達がいる元Cクラスへ相応の賠償が支払われただけの話だ。嘘だと思うなら議事録を開示請求すれば良い」
とはいえそれは清隆が想定していた事、今回元Cクラスが300という莫大なcptを得てクラスが入れ替わったのはDクラスの悪行が明るみに出て、被害者である元Cクラスが賠償を受け入れたからに過ぎない、Aクラスの座を争う上での敵である元Cクラスの利となる様行動してそうなった訳では無く、鈴音の言う裏切りには当たらないと反論した。
「だけどその動かぬ証拠は、貴方がこの件に首を突っ込まなければ明るみにならなかった。今回の事件が起こった特別棟がどういう所かを踏まえたらそれは確定的、そうでしょう?」
にも拘わらず鈴音の追及は止まる事は無い、事件の現場である特別棟には監視カメラが置かれておらず証拠動画が撮られるという事態は普通起こらない、そして明確な証拠が無ければ罪に問う事も、逆に問われた罪に対する潔白を証明する事も出来ないのがこの学校の不文律な以上、清隆の介入によってこの結果は生み出されたと言っても過言では無いと問うた。
だがそれこそが清隆が狙っていた展開だ。
「だったら何だ?Dの悪逆非道と言うべき行い、その一部始終を記録した証拠を、敵だからという理由で何の罪も犯していない元Cクラスを潰す為に隠蔽しておけば良かったと言いたいのか?最低だなお前…」
「非道いよ堀北さん、人の心とか無いの?」
何の罪も犯していない元Cクラスを、Aクラスの座を争う敵だから潰せ、その為にも颯に濡れ衣を着せたDクラスの悪行を記録した証拠を隠蔽しろ、そういう事だなと鈴音の言葉の揚げ足を取り、清隆はドン引きした様な表情で返した。
その言葉に「お前が言うな」と、自分の首根っこを掴んだ際の行動を思い出して心中でツッコミを入れつつ、とある理由から鈴音に対する敵愾心が凄まじい桔梗も、今が鈴音を孤立させる決定的なチャンスだと言わんばかりに便乗した。
それによって自分の失言に鈴音が気付くも、もう遅い。
「ふざけんじゃねぇぞ堀北!敵にだったらどんな悪い事しても良いってのか、あぁ!?」
「摂津君、貴方は何も悪くない!寧ろ正しい事をしたわ!悪いのは悪い事しても平然としているDクラスと堀北さんよ!」
「勉強出来る癖してやって良い事もやっちゃダメな事も分からねぇのか!」
「最っ低!」
自分の発言に対して弁明をする暇も無く、クラスメート達からの非難を集中的に浴びる事となった鈴音、幾ら他人からどう見られているかを微塵も気にしない彼女でもこれ程までの非難を浴びて平然と出来る程精神的に強靭では無く、逃げる様に自分の席に戻って行った。
そんな彼女を侮蔑する様な、非難を込めた視線を向ける清隆だったが、そんな彼の今回起こした行動に対して納得していない様子なのは鈴音だけじゃなかった。
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「情報提供ありがとうな、佐倉。お前が送ってくれたデータが、Dの悪行を断ずる決め手になった。ああ、佐倉が証拠を出した事は口外していないから安心してくれ」
「う、うん。黙って何もしないと、とんでもない事になりそうだったから。でもゴメンね摂津君、私が出した事を黙っていた事で堀北さんに…」
「構わない、あの証拠を隠蔽しろなんて言う方がどうかしている」
その日の昼休み、学校の敷地内にある公園にて清隆は、クラスメートである女子生徒――