今はマフィア界の戦国時代。地や地位を争い死人が多発する時代。そう、俺が率いるこのマフィアも狙われている。日々狙われているため、日に日に部下が消えていった。
何故こんな世になったのだろう? 俺はいつもいつも悩んでいた。
確かに前から地位争いも狙われることも死人が多発することもあった。だが、これほどまで長期間にわたって出たことはないのである。心休まる時がないほど長く続くのは俺がボスになってから今まであったであろうか?
それにしても、嫌な予感がする。俺の超直感が告げていた。俺は大切なモノをなくす。一体何が? 書類を見つめながら考えていた。手に持っている書類は部下の死亡が詳しく書かれた紙である。
ココ最近、まったく葬儀もしていない。いつ殺されるかわからない。その恐怖に葬儀すらままならなくなっていた。落ち着いたら、今が終わったら葬儀をして墓を造ろうと考えてはいるものの、この時代が終わる気配もましてや落ち着く気配もまったくなかった。
一瞬、目眩で身体が倒れそうになる。すぐ傍にいた獄寺君が支えてくれた。この頃は書類整理で一時間寝られればよい方である。心身ともに疲れが溜まっているのは言わずもがな、わかっていることである。
「十代目、少しお休みになる方が――」
「獄寺君、見てわかるでしょう? 今はまだ休めない」
「ですが! ……休まなければ、動けません。貴方に付いて行く部下の為にも、休んでください」
初めは怒鳴り気味に獄寺君は言ったが、少し間を空け俺に怒鳴ったことを悔やむように静かに続けた。獄寺君もこの状況を理解し、俺を心配して言っていることだ。でも、今の俺は心にゆとりはなかった。
「この書類が終わるまでは動けない!! 今も俺の為に何人何十人の人が死んでると考えたら、寝てなんか――」
怒鳴り、そのまま続けて言おうとした時、俺の視界は真っ暗だった。さっきは一瞬だった目眩が今は数秒にわたって続いている。獄寺君が叫ぶのが僅かに聞こえたが、すぐに俺の意識は沈んでしまった。
気づけば俺はベッドの上。獄寺君が運んだのだろう。前運んでもらった時より筋肉が付いているのにお姫様抱っこなんて、獄寺君には相変わらず驚かされる。
獄寺君は、俺以外は肩に担いだりして運ぶのに俺だけは姫抱っこなのである。確かに、ボスを肩に担ぐのはアレだが、俺と獄寺君の仲なのだから肩で担いでくれてもいいものを。
寝たおかげなのか、多少心に余裕が出来ていた。
「とりあえず、早く終わらせないと」
一度、しっかりとAランクの石に
「っ十代目!!」
すると、獄寺君の姿が飛び込んできた。心配でいっぱいになったような獄寺君の顔を見て、「あぁ、何でこんな顔させちゃうくらいほっといたんだろう」と後悔した。
「お体は大丈夫ですか!?」
「もう、大丈夫。さぁ、仕事にかかろう。俺は怖かった、でも皆と一緒だから。もう心配ない」
獄寺君に今の自分に出来る精一杯の笑顔を見せ、歩く。俺の事務室へ急いで歩く。こんな時代を、早く終わらせる為にも。