爆発音が城内に響いた。恐らく一階からだろうと俺は予想を立てる。慌てて事務室へ入ってきたのはまだ若い部下だった。
「っボス!! 城内に敵が侵入しました!」
「んだとっ!? 何敵の侵入許してんだ! 天下のボンゴレに入れるなんて馬鹿なマネして――」
部下が入って侵入したことを伝えると、すぐに獄寺君の怒鳴り声が事務室に響いた。
「獄寺君、今は非常事態だ。少し黙ってて」
「一階フロアは中央広場にかなりの破損が出ています。先ほどの爆発で三人が重症、七人ほどが軽症を負った模様です。敵の侵入経路は西壁に爆弾を仕掛け穴を開けその穴から侵入した様子。私が確認した中でもう城内には十数人侵入してきています! 武器に描かれていたマークはフォリアロッテファミリーのものと同じであり、敵はフォリアロッテファミリーのテロ集の模様!」
「わかった。直ちに幹部を――」
俺が言い終える前に、フォリアロッテの人間が扉を開け銃を構えていた。その銃は
「武器を捨て、手を上げろ!」
男は散弾銃を俺の方へ向けると、少しずらして引き金を引いた。弾は俺の肩や腕を突き抜けて行き、その痛みに顔がゆがむ。嵐の炎は俺の身体に灯り、俺を焼いていく。獄寺君が駆けつけようとすると男は獄寺君の足元を狙い撃った。
「動くな」
男の低い声が妙に響いた。獄寺君は舌打ちをし、そのまま手を上げて立っているだけだった。
「何もせずゆっくりとこちらへ来い。何かしたら撃つぞ」
男は脅しながら指示を出す。今も俺の身体を蝕んで行く嵐の炎に顔を歪めながらゆっくりと立ち上がった。
男は俺たちを一階に連れてくると、ロビーへ入れた。
そこで俺が目にしたのは、仲間のスプラッタな死体だった。
山本は腕をグニャグニャに曲げられ、さらに捻じられていた。腕は血で真っ赤に染まり、顔は焼き爛れて山本だとは思えない。俺が山本だとわかったのは、近くに山本の匣兵器が落ちていて、ネクタイが山本のお気に入りのものだったからである。
お兄さんは手全体の皮が剥げており、両膝は骨が見えるほどパックリと肉が割れていた。眼球は片方くり貫かれており、顔の近くに転がっている。目、手、膝、身体のいたるところから血が溢れており、お兄さんの白髪はところどころ真っ赤に染まっていた。
骸は武器の三叉槍の手持ち部分は粉々であり刃の部分は欠けて使えなくなっていた。骸自身は両手が潰されており、頭は身体と離れたところで押しつぶされたようだった。腹部は切り裂かれており、内臓が丸見えである。大腸が少し飛び出ていた。
クロームは脳の部分が飛び出しており、眼帯が外れ左目から血を流していた。骸とは違い胸部分が引き裂かれており肋骨が見えている。肋骨は折られていて心臓が飛び出し潰されていた。足が付け根から切り離されていて綺麗な断面になっている。二の腕部分が潰されていた。
雲雀さんは頭から大量の血が流れており顔が真っ赤になっていた。腕は有り得ない方向に曲げられていて足は潰されていた。身体は焼かれたようで全体が爛れていた。血が身体全体から噴出しており雲雀さんの殆どが真っ赤であった。男性器は切り外されており、壁に釘で打ち付けられていた。男性器が切り取られているのは見た限り雲雀さんだけであり、壁に打ち付けられているのが雲雀さんの物だと考える時間はそうかからなかった。
俺は吐いた。胃の中に入っていたものを全てその瞬間に吐き出した。まだ消化されていない野菜が口の中から溢れ出て来た。酸っぱく気持ちの悪い胃液と共に全てを吐き出し目からは涙を溢れさせる。
ランボがここにいなかったことが唯一の救いだと思う。
「吐き終わったか? ほらよーく見ておけ、自慢の右腕君が無残に殺される姿をなぁ!」
愉快そうに叫んだ男は言い終える前に獄寺君を散弾銃で撃ち抜き、近くにいた男の仲間が獄寺君の頭を吹っ飛ばした。獄寺君の頭は勢いよく飛び壁から鈍い音が聞こえた。人間とは思えない力で獄寺君は縦に引き裂かれ俺の身体に血飛沫が大量にかかった。それだけでは終わらず獄寺君の身体を剣が横に切り裂き獄寺君の身体は四等分にされた。獄寺君の身体から内臓が血液と共に飛び出ていき、辺りの血の海をさらに広げた。
俺は吐く暇もなく狂った。狂って狂って、身体全体から夜の炎が吹き出ていた。夜の炎の発生条件は絶望、俺の精神は絶望から来るあの境地にあった。全てを飲み込んでしまいそうなほど真っ黒な夜の炎に男を放り込み上空から落とす。見渡しの良くなったホールから中庭は見え、上空から落ちてきた男が地面に叩きつけられる音が良く聞こえた。男の四肢はあらゆる方向へと曲がり顔面や足、腕などのから血がドッと溢れ出る。
男の仲間はすぐに逃げていったが俺には止まって見え、全員上空から叩き落した。面倒くさいからあいつらの走る勢いを利用した。走っていった目の前に夜の炎のワープホールを作ればそのまま地面に直行ルートの完成である。勢いがある方がより効果的に落とせるから良かった。
数時間後、俺は全ての敵を殺した。城の周りは血の池を連想させるほど真っ赤に染まり、俺自身も真っ赤であった。城の周りの森もある程度真っ赤であり、フランの言っていた深紅の森なんて言葉がピッタリかもしれない。
ジッリョネロやキャバッローネの応援が来るまでの間に、俺は自殺していた。仲間は死んだ。もう俺には何も残ってないと思った。全て失った。でも、俺にはまだ自殺という選択肢が残っていた。楽になれると思ったんだ。俺は走って、ワープホールに入って自由落下に身を任せた。痛いと思っていたのだけれど、案外痛くないものだ。だって、地面に当たる前に俺は気を失ったのだから。