全ては「ボク」の仲間の為に   作:Colore

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十五年前もやはりアイツは侮れない

 ブランコ、シーソー、ジャングルジムで遊んで約一時間が経過した。長かった。小銭を持ってきていないから、自販機で飲み物も買えなかった。僕の喉は今、随分と渇いている。

「……帰ります、か」

 ブランコをこいで、軽く飛んでみせる。大丈夫、今この公園には僕しかいないから。一人赤面しているところは、きっと誰も見ていない。

 

 

「ただいまー」

 靴を脱いで、いそいそと僕は階段を上っていった。

「綱吉――学校から電話があったわよ!」

 母さんは台所を片付けながら僕に言った。

「今日は学校サボったんだってねぇ。あんた将来どーするつもり?」

 母さんは怒りながら僕の後をついて来ていた。このやり取りも、やっぱり懐かしい。僕が椅子に腰掛けるころ、母さんは既に部屋の中に入ってきていた。

「母さん別にいい高校や大学に行けっていってるんじゃないのよ」

 母さんは続けて、僕の将来思ってほしいことをキラキラした目で言った。僕もそんな将来になってほしい。僕も皆も、そうやって楽しい思いをして過ごしてほしい。

「そうだね、僕もそう思うよ」

「……あら、あんた熱でもあるの」

 母さんは疑いの目をかけた。確かにここに来る前は寝不足と疲れが半端ではなかったけど、今は元気いっぱいに決まっているじゃないか。

「そうだツッ君、今日家庭教師の先生が来るの」

「……」

「ポストに面白いチラシが入っててね」

 母さんはチラシを僕に見せながらそう言った。そのチラシは、リボーンが持っていた物と同じである。そりゃそうだ、二枚破いたところで何枚でも複製できるからね。元がある限り。

「ステキでしょ? こんなうたい文句見たことないわ」

 母さんは嬉しそうに笑顔を浮かべる。やっぱり母さんの笑顔は元気になるなぁ。

 母さんの好きな物を上手く使った誘導、さすがリボーンだと思う。敵になると、本当に嫌なやつ。敵にしたくない。でも、仕方ないんだ。そう、みんなの為に頑張らなくちゃね。

「きっと凄腕の青年実業家庭教師よ!」

 凄腕は認めるけど、青年実業家庭教師ってフレーズは認めません。

「僕は断じて認めません!」

「っ!? 何よ急に大声出して!」

 

――ちゃおっす。

 

 その場が一瞬にして静まる。高く幼い声。CHAOSの言葉。リボーンが着たのである。

「三時間早く来ちまったが特別にみてやるぞ」

「ボク……どこの子?」

 母さんが驚くのもムリは無い。こんな赤ん坊の姿をしたやつが家庭教師だと言って、信じるやつなんて一部除いて僕の周りにしかいないのではないだろうか。

「帰ってくれないか」

「俺はお前の母親に雇われたんだ。ま、その前に別のヤツに雇われてるから帰れねぇけどな」

 リボーンは、またニィと笑って僕を見つめた。その目は測っている様な目つきだった。

「なら別のヤツのところに行けばいいだろう?」

 雇っているのは、絶対九代目。もういいよ確かにザンザスに継がせると厄介であるけど、それはそっちの都合なのだから。現時点で十代目にならないって選択肢を与えてください。

「それはムリな話だな。俺はソイツに頼まれて来たんだ」

「んじゃ、その人の連絡先教えてよ、クレームするから。何なら住所でもいいよ、その場合は父さんの電話番号を教えてもらうけど」

 ……そういえば、僕本部の住所も番号も覚えてるじゃん。怪しいけど、かけてみるのも……。イタリア語は覚えてるし、お金は父さんが稼いでるし……。ちょっと高いけど、やってみよう。

「てめぇ、人の話無視するな」

 リボーンが壁を使って飛び蹴りをしてくる。手を抜いていた、僕にはわかる。要らないよね、一般人には。僕はリボーンの攻撃を必要最低限の動きでかわす。軽く運動――って言っても公園で遊んだだけだけど――したお陰か、普通に避けられる。

「すまない、リボーン。少し考え事してた」

「一般人だった癖して良い反射神経してんじゃねぇか」

「こら!! 室内で暴れるんじゃないの!」

 今までついて来れていなかった母さんのお蔭で、多少空気が和らぐ。でも、この空間に母さんは危ない。……僕とリボーンがいるんだもん。

「母さん、ちょっと部屋から出てって」

 母さんは機嫌を斜めにして拗ね始める。顔を膨らませて、子供みたいだ。

「嫌よ! まだ話は終わって――」

「後は俺が面倒見てやるぞ」

 母さんはリボーンに圧されてか、部屋から出て行った。やっぱり機嫌は直っていないけど、ここにいて怪我されるよりはマシだ。

「ちょっと、ここで待っててくれる? トイレ行って来るよ」

「ああ」

 リボーンはまた笑ってるけど、次に笑うのは僕のほう。これから電話かけるんだから。僕は子機を手に取り、トイレの中へ入った。

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