竜牧場へようこそ!   作:かりん2022

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神々からの招待状

 起きると、ミレアスが竜達に食事を与えているところだった。

 規律よく並んで食事を頂いている。なんとマテが出来ていた。

 私の時の奪い合いで戦場のような様子との違いは一体……。やはり実家が竜騎士団だと違うのだろうか。

 子供達も子持ちの年配の騎士にヤギの乳を飲まされ、大人しくしている。

 流れる穏やかな時間。

 これが経験の差か……。

 

「食料が減ってたから注文しといた。後必要な物資。お金は鞄から出して置いたけど良いよね?」

「ああ、助かる」

「僕達もしばらく滞在する。こんなとこで竜の牧場なんて、賊に襲えって言ってるようなもんだし」

「賊か。考えてもいなかった……」

「後、国境で変なことすんな。斥候放ったら、隣国の監視が来てた。危なかった」

「申し訳ない……」

「隣国には戦争の意思はないから牧場引っ越すって伝えてある。しばらくは実家の領地の牧場に移す。新天地は君が上げた候補地から、父と陛下の相談の上決めることになるだろう。なんで相談しなかった? せめて僕を待つべきだった」

「う……! そ、相談はしてたぞ、相談は」

「養鶏場を作るとね。肝心なことを黙ってたでしょ。新種の竜とか聞いてない。……子供の事なんて、もっと聞いてない。しようと思えば、何かしら証明できたでしょ? 少なくとも僕は相談受けてないし」

「それは……すまない。大げさにしたくなくて……」

「戦争中に戦争止め―――って空から声がして」

「えっ」

「僕が名指しで、妻と乳飲み子の世話役と護衛をけちるな馬鹿、って説教され」

「ええええええ……」

「原因の水問題はどうにかしてやるから、すぐ騎士団連れて妻のもとに行け!って指示され、地面から水が溢れ出て両軍を反対方向に押し流し」

「申し訳ない。申し訳ない。申し訳ない」

「わけも分からずとりあえず帝都に向かったら君が出奔したと告げられ、君が子供を産んだとライアンから連絡が来て」

「すまん。すまん。すまん」

「ということで、僕ら、神様公認で夫婦だから」

「ごめんなさい。でも大げさにするな、準備がすむまで伏せろって言われていて……いや、本当にすまなかった。せめてミレアスには言うべきだった」

 

 申し訳ないにもほどがある。

 

「とにかく、お風呂入って食事して。その後話そう」

 

 私は大人しく言われた通りにした。

 そして、魔女の素性以外を話した。

 

「じゃあ、魔女……道化神を救って祝福を受けたっていうの?」

「そうだ。ただ、向こうで色々あったらしく、物資やお祝いとともにやってほしいことリストを沢山もらった」

「そのリストをもらおうか」

「その、良いのか?」

「父親なんだから、当たり前だろ。これから家族にもなるんだし。あと、婿入するとは言え、僕が家長だからね?」

「む、むこ……」

「何? 嫌なの?」

「……嫌じゃない」

「なら良いけど」

 

 その後、寝室に引っ張り込まれた。

 乳が出てしまってやっぱり爆笑されて吸われた。

 気に入ったって……ええ(困惑)。

 

 翌日、体力も回復し、お風呂にも入り、さっぱりした気持ちで子供達の面倒を見ていると、竜達がやってきた。

 竜騎士団……!!

 

「ミレアス! 新種の竜などいないではないか……いた!!」

 

 竜騎士団の者達が、我も我もと押し寄せてくる。

 

「ちっちゃい……!」

「うわっちっ こんな小さくても炎は吐くのか」

「可愛い……!」

「こっちにもうちょっと大きいのがいるぞ!」

「丸まっこい! 可愛い!」

「ん? 肉が欲しいのか? ほれほれ」

「ちょっと、勝手にそんなもの与えないでよ。まだ生後一週間なんだから、餌はこっち」

 

 ミレアスが子供を抱いて注意をする。

 

「餌やり手伝います」

「ほーらご飯だぞ―」

「ミレアスよ、こんな餌では強い子供は育たんぞ」

「現状維持を指示されてるからいーの。で、しばらくの間、受け入れをお願いしていいかな?」

「ずっとで構わんぞ。すぐに専用の厩舎を立てよう。候補地には我が領地も入っているそうではないか。我が領地で面倒を見る。子供もいる。新種の竜が持参金。素晴らしい嫁ではないか。喜んで我が領地に迎えよう」

「僕は婿に出るつもりなんだけど? 既に家も出てるし自立もしてる」

「神様に駄目だしされる甲斐性なしが何を言っている」

 

 バチバチしている間に、竜騎士達はせっせと子供達を運ぶ算段をしている。

 

「待ってくれ。ここはルイが作ってくれた農場だ。放棄はできない」

「しかし、戦争の火種を悪戯に作るわけには行かない」

「じゃあ、この農場はそのまま竜牧場の隣に移動させておくよ。すぐ隣なら自立も出来るし援助も出来るでしょ」

「ルイ!」

 

 すぐさま、騎士達もメイド達も跪く。

 

「ああ、いいから。僕も農場経営を甘く見ていたよ。ごめんね、ランドルフ」

「いや、そんな事はない。私の力不足だった」

「とりあえず、移動させるね」

 

 パンパン、と子供が手を叩くと、グラっとめまいをして、子供達が泣きじゃくる。

 いつのまにか、景色が変わっていて、窓から竜達が沢山空を舞っているのが見えた。

 竜達が舞い降り、鶏小屋の前で尻尾を振っている。

 

「……ひとまず、鶏を、半分ほど買おうか」

「あっ じゃあ俺が運びます! 良いですよね、隊長!」

「ああ、構わん。しかし、凄いな。ルイ」

「これくらいはね。それと、少し早いけど、次の吉日に各神殿や国に、3年後にここに集まるように告げることにするよ。参加証がこれだから、これを持つ人の種付け希望を聞いて、卵を産ませて幼竜をあげるのが最初のお仕事だよ。竜騎士団の団長にも今、渡しちゃうね」

 

 私やミレアスにも、参加証を貰った。

 これは、竜を好きなように交配し、育てる権利証なのだという。

 

「1000年前に配った竜の雛よりスペック高いんだよ。竜騎士団の竜は進化しきっているからこれ以上変わらないけれど、想定した最高の竜の6割くらいからな。それでも凄いけどね。お手本がある以上、各国も前よりもっと頑張るだろうし、君達もきっと王者の貫禄を見せてくれると信じているよ。この子達の子孫が1000年後、どうなるか楽しみだね」

「なるほど。神々も豪気な遊びをなさる。もちろん、王者の貫禄は見せますとも」

 

 竜騎士団長が凄まじい笑みを見せる。

 

「楽しみにしている」

 

 そしてルイは消えた。

 

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