別の世界
ーー--初めて彼に出会ったのはエステルを助けたすぐ後…綺麗な黒髪に一瞬目を奪われて男の人なはずなのに綺麗だと思った。
出会ってすぐ彼らは私たちのギルド『アドリビトム』に入ることを決めたらしく一緒に依頼を受けたりした。最初はただの仲間のはずだったのにいつからだろう?彼を1人の男の人としてみるようになったのは…
今思えば初めて彼を見たときからかもしれない--ー
《まったくユーリ達は…いつになったら問題起こさないようになるのかしら!》
《まあまあ…今回は2人共色々あったし仕方ないって事で…》
《もーシャスティルは2人に優しすぎよ!》
《あはははは…》
誰かの会話が聞こえてくる…でも、内容は聞こえない…近くに誰かいるのだと思った。女の人?
私は重たい瞳をゆっくりと持ち上げた。ボヤけた視界に赤い色が映った。
「あ…」
「?…どうしたのよ、シャスティル。」
「あの子…」
「え?…あ!起きたの!?」
だんだんと視界がハッキリとしてくる。目の前には心配そうに私を覗き込む同じ顔の女の人が2人いた。
「ここは…」
「よかった。目が覚めたのね!」
「シャスティル、隊長に報告しに行って!」
「うん!」
そして、シャスティルと呼ばれた女の人は行ってしまった。残った方の女の人が私に色々と現状を教えてくれた。
「…………と、まあこんな感じ。なにかわからない事ある?」
「…いえ。」
ヒスカさんの説明の中に出てきた私をここまで運んでくれた男の人…フレンと言う名前に動揺した。フレンとは彼の友人…フレン・シーフォなのだろうか?もしそうだとしたら彼が…ユーリが一緒にいるかもしれない!会いたい…彼に会いたいと強く思い『フレン』についてヒスカさんに尋ねようと口を開きかけたその時、部屋のドアが開いてシャスティルさんと男の人が1人入ってきた。
「初めまして、シゾンタニアの騎士団の副隊長をしているユルギスだ。」
「は、はじめまして。私はディゼって言います。」
「ご丁寧にどうも、ナイレン隊長が君と話がしたいそうだから来てもらいたい。話しはできる?」
「はい。大丈夫です。」
「それはよかった。じゃあ付いてきて。」
そう言われるままに私は今までいた部屋を出てユルギスさんについて行った。案内されたのは少し大きめの部屋だった。
「目が覚めて早々に悪いな。こちらもあまり時間がなくてな。」
部屋に入ってまず私に声をかけてくれたのは白髪の大柄な男の人だった。最初は申し訳なさそうに言葉を発していたが私の大丈夫と言う言葉にニッコリと笑顔になった。
部屋にあったソファにお互い腰を下ろして部屋から人払いをすると私と大柄な男性の2人だけになった。すると大柄な男性はおもむろに話し出した。
「俺はナイレン・フェドロック。このシゾンタニアの騎士団の部隊長やらせてもらってる。」
「私はディゼです。」
「そうか、よろしくな。ところで話は変わるんだがディゼ…これはお前の物か?」
そう言ってナイレンさんが取り出したのは私の杖だった。
「それは!」
「その反応は肯定と受け取っていいんだな。」
「はい…」
「じゃあ本題だ。お前は…何者だ?話を聞かせてくれないか?」
真剣な顔つきになったナイレンさんを見て私は疑われているのかと思ったが、何者かわからない私を見定めるといった方が正しいような気がした。
私はこの人に全てが伝わるとは思っていなかったが正直に今までのことを話した。ルミナシアの事、ギルドの事、世界樹での戦いの事…正直、なぜこんな初対面の男の人にここまで話してしまったのだろうと疑問にも思ったがこの人は信頼できる…きっとそう思ったからだと私は思った。
私の話をナイレンさんは黙って真剣に聞いてくれた。
「正直な感想言ってもいいか?」
「どうぞ…」
「さっぱりわからん。」
「そうだろうと思ってました。」
「えーっと、なんだ…『ルミナシア』だっけか?もうそこからさっぱりだ。この世界は『テルカ・リュミレース』ってんだよ。ルミナシアなんて名前じゃねえ。」
「え!?」
ルミナシアじゃない…ならここは…
一体、どこなのだろう?