南ことり&ピカチュウ ~キミといた夏の奇跡~ 作:あいライス
なのに、もうバレちゃうのか!?
詰めが甘いんだよ、ことりちゃん。
翌朝 土曜日
窓から差し込む朝の光が、レースのカーテン越しにふんわりと部屋を包んでいた。
夏の朝は早く、窓の外からは蝉の声も混ざって聞こえてくる。
ことり「Zzz……ん………」
腕あたりに何かが乗ってる感覚がして、目が覚めた。
ことり「……ん~……?」
目を開けると、ピカチュウが腕の上に寝てた。
ピカチュウ「Zzz…」
ことり「っ!」
一瞬、びっくりしたが、昨日のことが、脳裏に蘇り、思い出した。
ことり「……夢じゃなかったんだ…」ホッ
ずっと腕枕してあげてた分、少し痺れるけど、あの電撃に比べたら可愛いものだった。
ことり「ふふっ、ピカチュウ…♪」
ことりは、そっと撫でようとした瞬間…。
休みの日でも、規則正しい生活を心掛けてるため、セットしていた目覚まし時計が、鳴り始めた。
ピピピピッ! ピピピピッ! ピピピピ~! ピピピピ~! ピピピピピピピピピピピッ!!
ことり「あ…」
ピカチュウ「ピカッ!?」
目覚まし時計の音に、驚いて飛び起きたピカチュウ。
ことり「えっ!? ピカチュウ! ちょっと待っ――」
ピカチュウ「ピッカ~~~~~ッ!!」
(BGM:M28(1997~1998))
ビリビリビリビリビリ!!
ことり「きゃああああああっ!!」
ピカチュウの電気が体中を駆け巡る。朝一番に味わうにはあまりにも刺激が強すぎた。
電撃は止まり、痺れの余韻に耐えながら、ことりは目覚ましを止めた。
ことり「ふぇぇ~…、朝からこれはきついよぉ~…」
まだちょっと痺れが残る中、ピカチュウを見つめる。
ピカチュウはびっくりした顔のまま、ことりにしがみついてくる。
ピカチュウ「ピカ……」シュン
ことり「ふふっ…おはよう、ピカチュウ。 私は平気だよ。 音にびっくりしちゃったんだよね?」ナデナデ
ことりは、ようやく痺れがなくなり、ピカチュウの頭を撫でながら微笑む。
ことり「これはね、『目覚まし時計』っていって、朝になったら『起きてくださ~い』って音を出して教えてくれるの。 音は大きいかもしれないけど、怖い物じゃないんだよ?」
ピカチュウ「ピカ?」
ことりはピカチュウをそっと膝の上に抱き上げた。
ことり「ちょっとずつ、この音に慣れようね~」ナデナデ
ピカチュウ「ピカ」
ことりの胸に頬をすり寄せてくる。
ことり「ふふっ。今日は学校お休みだから、一緒にゆっくりしよう」
ピカチュウをそっと膝から降ろしてベッドの上に座らせると、自分はベッドから立ち上がり、着ていたパジャマから私服に着替えようとクローゼットへ向かった。
ピカチュウはシーツの上にちょこんと座ったまま、待っている。
ことり「ちょっと待っててね、すぐ着替えるから」
待たせているピカチュウを安心させるように声をかけながら、ことりは手際よくお気に入りの私服であるブラウスとスカートへと着替えていく。
最後に鏡の前に立ち、いつもの特徴的なサイドテールを整え、お気に入りの緑色のリボンを丁寧に結ぶ。
ピカチュウ「ピカ!」
ことり「えへへ、これでよし♪」
身支度を終えたことりは、くるりと振り返ってピカチュウに向かって最高の笑顔を見せた。
ピカチュウ「ピカチュウ」
それを見たピカチュウは、嬉しさを我慢できないといった様子で、ベッドを蹴って勢いよく飛び出してきた。
ことりは胸元へと飛び込んできたその小さな体を、両腕でしっかりと受け止める。
ことり「ふふっ、さっ、降りようか」
ピカチュウ「ピカ?」
ピカチュウを連れて部屋を出て、階段を降りた。
◇リビング
ことり「おはよう~、お父さん、お母さん」
ピカチュウ「ピカピカ~!」
鷹夫「おはよう、ことり。……そして、ピカチュウくんも」
飛鳥「おはよう、2人とも。 ことり。さっき2階から悲鳴が聞こえたけど、大丈夫だったの? 昨日のお風呂のときも、なんだか悲鳴が響いてたけど……」
ことり「うん。ピカチュウが目覚ましの音にびっくりして、また電気を出しちゃって…」
飛鳥「また感電したの? ことり、大丈夫?」
ことり「それは大丈夫。ビリビリするだけで、怪我はしてないから」
鷹夫「でも、危ないことには変わりないから、ちゃんと気をつけろよ? これから一緒に暮らしていく以上、ちゃんと気をつけないと」
ことり「うん、それはもちろん。これからはピカチュウが驚かないように、私がもっと気をつけるから」
(BGM:M27(2002~2005(AG)))
テーブルには、焼きたてのトーストと、鮮やかな色のイチゴジャム、ふわふわのスクランブルエッグが並んでいる。
それはピカチュウにとって初めての「家族みんなでの朝ごはん」だった。
飛鳥「はい、ピカチュウの分もちゃんとあるわよ」
ピカチュウにも、ジャムがついた小さめのパンと、スクランブルエッグが用意された。
ピカチュウ「ピカ~」
ことり「さっ、ピカチュウ、座ろうね」
ことりはピカチュウを椅子に降ろす。ピカチュウはパンを掴もうとするが…。
ことり「ピカチュウ」
ピカチュウ「…? ピカ」
手を合わせた。
ことり「うん、いただきます」
ピカチュウ「ピカチュウ♪」
ピカチュウはちょこんとお皿に手を伸ばして、パンをちぎって口に運ぶ。
鷹夫「器用だな~」
イチゴジャムがほっぺにつく。
ことり「ふふっ、ついてるよ~」フキフキ
ピカチュウ「ピカ?」
飛鳥「ホントに、姉弟みたいね」
ことり「えへへ。 あれ? 2人ともスーツだけど、今日、お仕事なの?」
鷹夫「あぁ。休日出勤でどうしても処理しなければならない案件があるんだ。 そこまで遅くはならないと思うが…」
飛鳥「私も、今日から始まる新しいセミナーの準備で、学院に行かないとなの。 だからことり。悪いんだけど、今日は、ピカチュウと一緒に留守番をお願いできる?」
ことり「うん、わかった! お仕事頑張って♪」
鷹夫「あぁ~。ことりに頑張ってって応援されたら、お父さん頑張っちゃう!」
飛鳥「あなた?」
鷹夫「あはは…」
ことり「ふふっ♪」
ピカチュウ「ピカ?」
* * *
鷹夫と飛鳥は出かけて行き、ピカチュウと2人になった。
ことりは食べ終わった食器を流しへ運び、ピカチュウに見守られながら洗い物を始めた。
ピカチュウ「ピ~カ?」
ことり「ふふっ、ちょっと待ってね~」
ピカチュウ「ピカチュウ」
シンクの上に乗った。
ことり「あっ、コラコラ、危ないよ?」
注意しつつも、目の前で丸くなって洗い物を見守るピカチュウの姿が愛おしくて、彼女の口元は緩みっぱなしだ。
ことり「今日は何しようか? 本当はお買い物とか、一緒にお散歩行きたいけど、ピカチュウが目立っちゃうよね…。見つかったら大変だし…」
『ピンポーン!』
突然、インターホンのチャイムが鳴る。
驚いたことりは、ピカチュウと目を合わせた。
ことり「誰だろう?」
ことりはキッチンタオルで手を拭いて、小走りでリビングの壁に設置されたインターホンのモニターの前へ向かい、画面の起動ボタンをタッチすると、液晶画面に外の様子が映し出された。
モニターに映っていたのは、穂乃果と海未だった。
(BGM:チェイス)
ことり「穂乃果ちゃん!? 海未ちゃん!?」
ことり「(大変!!)」
ことりは咄嗟に、ピカチュウへと振り向く。
ことり「ピカチュウ、あのね! そこっ! そこのテーブルの下に隠れて! お願い!」
ピカチュウ「ピカ? ピカチュウ」
素直にソファーの前にあるローテーブルの下に隠れた。
ことり「ピカチュウ、そこ動かないでね…! いい子だから、私がいいよって言うまで、そこで静かにしててね…!」
ピカチュウ「ピカ…?」
ことりはモニターフォンのスイッチを押し、声を繋ぐ。
ことり「あっ、えっと…穂乃果ちゃん、海未ちゃん、おはよう。 どうしたの? こんな朝から」
穂乃果『ことりちゃん、おっはよ~!』
画面の中で手を振る彼女は、レモン色のポロシャツにデニムのショートパンツという夏らしい私服姿だった。
隣の海未も、淡い水色のシャツに青いスカートといったシンプルながら上品なコーディネートの私服姿だ。
海未『おはようございます、ことり。突然押しかけてしまって、すみません』
ことり「ううん、全然大丈夫だよ! えっと、今開けるね!」
ことり「(全然大丈夫じゃないよ~!)」
ことりはモニターを切って、玄関へと小走りに向かう。
ことり「(どうしよう…! 穂乃果ちゃんと海未ちゃんに、ピカチュウが見つかったら、本当に大変なことになっちゃう…! ううん、大丈夫。落ち着いて、私。 ピカチュウは、すっごくいい子に、テーブルの下に隠れてくれている。 2人には本当に申し訳ないけど、今日は家に上げないで、玄関先だけで用件を聞いて、すぐに帰ってもらえば、大丈夫! だよね…?)」
◇玄関
ことりは息を整え、玄関のドアを開ける。
ことり「2人ともびっくりしたよ~、来るなら連絡してくれたらよかったのに~」
笑顔を浮かべながらも、ことりの顔は若干引きつっていた。
海未「すみません…。 ですが、昨日のことりの様子が気になってしまって」
穂乃果「そうだよ~! 昨日のことりちゃん、なんかずっとソワソワしてたし、お昼休みもすぐどこかに行っちゃうんだもん。 だから、今日はμ’sの練習もお休みだし、ちょっと様子を見に来ちゃおうと思って!」
ことり「(あ~…やっぱり、私が休み時間の度に、教室を飛び出して、校舎裏の倉庫に行っていたから、2人ともすっごく心配してくれていたんだよね…)」
ことり「そっか〜、心配してくれてありがとう。2人の気持ち、すごく嬉しい。 でもごめん。今ちょうど、お家の中がちょっと片付いていなくて、すっごく散らかっちゃってるの…。だから、また今度ゆっくり――」
穂乃果「大丈夫だよ、そんなの~♪ 私たちの仲なんだから、散らかってたくらいで気にしない気にしない! むしろ穂乃果が片付けも手伝うし! お邪魔しま~す!」
穂乃果は先にスニーカーを脱ぎ、勢いよく家の中へ。
ことり「えっ!? ちょっ、ちょっと待って!穂乃果ちゃん!」
海未「ことり、お邪魔しますね」
海未も靴を揃えて、穂乃果の後に続く。
ことり「えっ!? 海未ちゃんまで!? はぁ……」
ことりは観念して、扉を閉めた。
◇リビング
勝手知ったる親友の家。
遠慮のない足取りで、穂乃果はそのままリビングへと向かい、そのままソファーへダイブする。
穂乃果「ふわぁぁ…! ことりちゃん家のソファー、いつ来てもふっかふかで、最高に気持ちいいよぉ~!」
海未「穂乃果!いくらことり家でも、上がって早々、なんというはしたない姿ですか!」
穂乃果「えへへ、ごめんごめん。でもさ、なんか落ち着くんだよね~。ことりちゃんのお家って」
海未「それはわかりますが…」
ことり「あはは…」
海未「……? 散らかってもなさそうですね?」
ことり「それは、私のお部屋のことだよ~…?」
ことりはローテーブルを見る。
ピカチュウが隠れているのは、まさにそのソファーのすぐそばのテーブル下だからだ。
ことり「(お願い、ピカチュウ…! 静かにしててね…!)」
海未「とりあえず、こうして顔を見た限りでは、ことりに何も変わった様子がなくて良かったです。 昨日ずっと上の空でしたから、本当に心配してたんですよ?」
ことり「ありがとう。 昨日はちょっと、いろいろ忙しくて、ゆっくり話せなかったもんね?」
穂乃果「そうそう、ことりちゃんと一緒にお喋りできなくて、すっごく寂しかったんだからね!」
穂乃果がソファーから起き上がったとき、ほんのちょっとの埃がテーブルの下に…。
ピカチュウ「…! ……ピチュン!」
(BGM:チグハグ)
ことり「っ!!」
ふふっ、可愛いくしゃみ♡
なんて言ってる場合、ことりには一切なかった。
穂乃果「んっ? 今の声って……?」
海未「聞き間違い…ではありませんね? そこのテーブルの下から聞こえたような…?」
海未はスカートの裾を少し押さえながら、上体を屈めてテーブルの下を覗こうとする。
ことり「わあああああああっ!!」
ことりは咄嗟に海未の前へ出る。
穂乃果、海未「っ!?」
ことり「あ、あのっ! い、今のは!えっと!そう! テレビの音だよっ! ほらっ、何か最近の朝のバラエティ番組って、変な効果音多いでしょ!? それだよ!それ! アハハ、アハハハハ…!」
穂乃果、海未「……?」
テレビを見る2人。
テレビ「………………………」
海未「テレビ、映っていませんが?」
ことり「う……!」
穂乃果「ことりちゃん?」
海未「ことり…。やはりあなた、私たちに何か重大な隠し事をしていませんか!? 昨日の不自然な行動といい、今の態度といい、明らかに様子がおかしいですよ!」
ことり「だから…その…えっと~…」
ピカチュウ「ピ、ピカ〜……」
穂乃果、海未「…?」
ことり「あ……!」
ピカチュウが、テーブルの下から出てきてしまった。
ことり「(っ!? ピカチュウ~…、出てきちゃダメって言ったのに~…!)」
穂乃果、海未「え…?」
ピカチュウ「ピカ……?」
穂乃果「………な…、なに…? これ……? ことりちゃん、ペット飼ってたっけ?」
海未「……こ、ことり…、この子は一体……?」
ことり「…………」
ことり「(バ……、バレちゃったぁ~~~!!)」
ピカチュウ「ピカチュウ…」
ピカチュウは2人の存在に気づくと、ことりの足に隠れた。
穂乃果「ことりちゃん、その子、ぬいぐるみ…? じゃないよね? 生きてるよね?」
海未「新種の動物ですか…?」
ことり「(もう隠し通せないよね…。 やっぱりこの2人に隠し事なんて、最初から無理だったんだよ…)」
ことりはしゃがみ込み、ピカチュウをそっと抱き上げた。
ピカチュウは不安げに、ことりの胸元に顔を埋める。
ことり「実はね…、この子、昨日の朝、学校に行く途中にある音ノ木公園で見つけたの…」
海未「あの公園で?」
ことり「…うん……」
穂乃果、海未「………」
穂乃果「すっごく可愛い~!」キラキラ
海未「はい!?」
穂乃果は駆け寄り、ことりの腕の中のピカチュウに興味津々な目を向ける。
(BGM:ルンルン↑どんより↓)
穂乃果「ちっちゃくて、ふわふわで、ぬいぐるみみたいで可愛いね~♡」
ピカチュウ「ピカ……?」
ピカチュウは警戒して、ことりの胸元にぎゅっとしがみつく。
ことり「ピ…ピカチュウ…?」
海未「穂乃果! 可愛いですが、それより先に言うことがあるのでは!?」
穂乃果「珍しい動物だね!」
海未「珍しいで片付けていいものですか!?」
穂乃果「ことりちゃん! ちょっとだけこの子、抱っこしてみてもいい?」
穂乃果が手を伸ばす。
ことり「あっ!ちょ、ちょっと待って!穂乃果ちゃん! 今は危ないかも――!」
穂乃果の手が、ピカチュウの体に触れた瞬間。
ピカチュウ「ピカッ!? ヂュウウウウウウウ!!」
ビリビリビリビリビリッ!!
ことり、穂乃果、海未「きゃああああああああああ!!」
突如、強烈なビリビリする放電が3人を包み込む。
止まったら、その場に崩れ落ちる3人。
穂乃果「し…しびれた~……!」
穂乃果は仰向けに倒れ、電気がビリビリと体を這う。
海未「うぅ…体が…ビリビリしますぅ……」
海未もその場に、体をプルプルと震わせる。
ことり「はぁ~…、しびれるぅ〜~……」
ことりも膝から崩れるように床にへたりこむ。
ピカチュウ「ピカ」
ピカチュウは、ことりの腕の中から飛び降り、またローテーブルの下に隠れてしまった。
ことり「あ……ピカチュウ、ごめんね。急に知らない人が来て、びっくりしちゃったね?」
ことりがテーブルの下を覗き込む。
ことり「大丈夫。穂乃果ちゃんも海未ちゃんも、ピカチュウのこと、絶対に悪く言わないよ。 だって2人は、私の大好きな親友だもん」
海未「…///」
親友という言葉に、海未はわずかに照れくさそうに視線を逸らした。
穂乃果「…?」
穂乃果もその声に反応して、上半身を起こした。
ことり「ねっ?」
ことりはふわっと微笑んで、腕を広げる。
ピカチュウ「ピカ」
ことりの声に応えるように、ピカチュウはテーブルから顔を出して、胸に飛び込んだ。
ことり「うん、いい子」
穂乃果「うぅ~…、ホントに可愛いね~! こんな動物、初めて見たよ!何でこんな子がことりちゃん家にいるの!? ずるいよ~!」
ことり「えっと…これには、ちょっと理由があって……」
ことり「(きっと2人なら、秘密してくれるよね。 わかってくれるはず)」
ことり「……ごめんね、2人とも。ちゃんと話すね。何でこの子がここにいるのか…」
海未「昨日の朝、学校に行く途中、公園で見つけたことまで聞きました」
ことり「うん。 その公園の中から、この子の鳴き声が聞こえて、中に入って、確かめたら、ブランコの後ろの植え込みにいたの…」
穂乃果、海未「………」
ことり「誰かに捨てられたのか、迷子なのかは分からないけど、この子、独りぼっちで、すごく寂しそうに見えたから、なんだか放っておけなくて…つい、連れてきちゃったの……」
穂乃果「じゃ、昨日、休み時間の度に教室抜けたのって、もしかして、その子のところに?」
ことり「うん…。 教室にはさすがに連れて行けないから、こっそり校舎裏にある倉庫の影に隠れてもらって、休み時間や昼休みに様子を見に行ってたの。 もちろん本当は、学校に動物を連れてくるなんて、絶対にダメだって分かってたし…、さっきみたいに電気を出して、ビリビリにされることもあったけど、それでも、この子を怖いって思えなかった…。 すごく痺れるけど、可愛いし、きっとこの子と仲良くなれるって思ったの。 現にこの子も、少しずつだけど、私のこと信じてくれて…」
海未「だから昨日、様子おかしかったんですね?」
穂乃果「もう~ずるいよ、ことりちゃん! こんな可愛い子を見つけたなら、何ですぐ私に教えてくれなかったの!?」
海未「そこですか…?」
ことり「ごめんね…。 だって、不思議な子だし、もし誰かに見られたら、変なニュースになったりして、この子に危害があるかもしれないって思ったら怖くて…、誰にも言えなかったの…」
穂乃果「あっ……、そっか、確かにそうだよね…」
海未「これからどうするんですか? まさか、ご両親にも内緒で飼うことにしたとか?」
ことり「あ、ううん! 昨日の夜、お母さんとお父さんには、ちゃんと話したよ。 最初はびっくりしてたけど、最後は家で一緒に暮らすことを許してくれた」
海未「そうですか…。ご両親の許可があるのなら、そこは一安心ですが…」
ことり「うん」
(BGM:真剣な眼差し)
ことり「だから、ちゃんと私が責任を持って面倒を見るつもりだよ! これから先、どんなに大変なことがあっても、絶対に守るって決めたの!」
海未「気持ちは分かりますが、先ほどのような電撃を放つ以上、このまま一緒に暮らすのはやはり危険です。私は、賛成できません」
穂乃果「私は、ことりちゃんに大賛成!」
海未「穂乃果!?」
ことり「穂乃果ちゃん?」
海未「しかし…」
穂乃果「だって、一人で寂しそうに泣いている子を、ことりちゃんが放っておけるはずがないよ! そんな優しくて強いことりちゃんのこと、私は生まれたときから、ずっと誰よりも近くで見てきたもん!」
海未「それは私だって、ずっと見てきましたけど …。 ですが、穂乃果。 これは気持ちだけでどうにかなる問題ではありません! さっき私たちも身をもって浴びたでしょう? 今回は運よく3人ともこうして無事でいられましたが、もし万が一、ことりやご家族が、あの雷で取り返しのつかない大怪我を負ってしまったら、どうするつもりなのですか!?」
穂乃果「それはちゃんと分かってるよ、海未ちゃん。さっきは本当にすごくビリビリしたしね。 でもこの子は、ことりちゃんを困らせたくて、意地悪で電気を出したんじゃないと思うの」
海未「どういうことですか?」
穂乃果「だって、さっきこの子が電気を出したのは、私が急に触ろうとしてびっくりさせちゃったからでしょ? この子からしてみれば、知らない人が、いきなり目の前に現れて、大声を出しながらグイグイ近づいてきたんだもん。怖くて、自分を守ろうとして、電気を出しただけなんだよ」
海未「大きな声でグイグイ近づいた自覚はあったんですね? なら普段から、もう少し落ち着いた行動を心がけてください」
穂乃果「今、その話じゃないでしょ? 大丈夫だって~」
海未「何が大丈夫なのですか!? あなたはいつも物事を簡単に考えすぎます!! さっきの電撃は、一歩間違えれば本当に危険なものですよ!? もし、ことりが倒れて、目を覚まさなくなったりしたら…! 私は、私は……!」
ことり「海未ちゃん…?」
海未「やはり、私は反対です。怪我をしてからでは遅いですよ! ことりを失うかもしれない危険を、私は見過ごすわけにはいきません!」
(BGM:友情)
ことり「……」
ことりは、もう一歩だけ海未と距離を縮めた。
そして、海未の片手を、空いているほうの手で、きゅっと包み込むように握りしめた。
海未「ことり……?」
ことり「海未ちゃんは、本当にいつも私を真剣に心配してくれるよね。 私の安全を、私の体のことをどれだけ大切に思ってくれてるか、私をどれだけ愛してくれてるかも、今のですごく伝わってきたよ。 いつも私のこと、一番に考えてくれて、本当にありがとう」
海未「わかってくれるなら…」
ことり「でもね、聞いて。 私はやっぱり、この子と一緒にいたいの」
海未「……」
ことり「昨日、この子を初めてぎゅって抱きしめて、この温かい体温に触れたときから私は、この子を絶対に離さないって、心に決めたの。 この子はとっても賢くて、そして誰よりも優しい心を持っている。 私がこの子をもっと信じて、この子が私を信じてくれれば、きっと電気だってコントロールできるようになると思う。 ううん、私はそう信じてる。 信じてあげたいの! 昨日から、私が感電した時も、この子は本当に心配そうに、私の顔を覗き込んでくれたんだよ? 悪気があってやってるんじゃないって、私には分かる」
穂乃果、海未「……」
ことり「それにね、お父さんもお母さんも、この子の不思議な力を見た上で、一緒に暮らすのを応援してくれているの。 私がしっかりこの子の手を握って、責任を持って育てるから。 だから海未ちゃん、私を信じて、見守ってくれないかな?」
海未「……」
穂乃果「海未ちゃん、ことりちゃんなら絶対に大丈夫だよ。ねっ? それに、今の話を聞いて、私も手伝いたいって思った! 私もこの子の面倒見てあげたい!」
海未「……」
ことり「お願い、海未ちゃん…!」
その瞳には、いつものおっとりとした甘さはなく、一人の少女としての、強い意志に満ちていた。
海未「……はぁ…。まったく、あなたという人は…。 普段はあんななのに、一度こうと決めたら、穂乃果並みに頑固になるんですから…」
ことり「えへへ」
海未「……分かりました。そこまでの覚悟があるのなら、私からはこれ以上、何も言えません。 何より、ご両親が正式に許してくれているのなら、外の人間である私が、これ以上口を挟むべきではありませんしね」
ことり「海未ちゃん……! じゃあ……!」
海未「えぇ。手放しに大賛成。とまではいきませんが…、ことりのその強い決意に免じて、私も全力で応援することにします…。 その代わり、少しでも危険だと感じたり、ことりの手に負えなくなったりしたときは、すぐに私たちに相談すると、それだけは約束してください。いいですね?」
ことり「うん! 約束する! ありがとう、海未ちゃん! 大好き~♡」
ことりは嬉しさのあまり、ピカチュウを片手で優しく抱きかかえたまま、空いたもう片方の腕で海未の首にぎゅっと抱きついた。
海未「こ、ことり! 急に抱きつかないでください、恥ずかしいです…!///」
海未は顔を赤くしながらも、拒絶することなくことりの背中に手を回した。
穂乃果「ずるい! 穂乃果も交ぜて~!」
穂乃果も勢いよく2人の輪に飛び込み、3人はリビングの中央でぎゅっと固まって笑い合った。
海未「穂乃果!?」
ことり「えへへ♪」
ピカチュウ「ピカ?」
穂乃果「よしっ! これでこの子は、私たち3人の秘密だね!」
ことり「うん!」
海未「μ’sの他のメンバーには話さないんですか?」
ことり「………今は、まだ…」
海未「……話すかどうかは、ことりの判断に任せます。 ですが、外で迂闊に話して、大騒ぎすることだけは、絶対に避けてくださいね。 穂乃果、あなたのことですよ?」
穂乃果「う…! もちろん、みんなに内緒にするのも手伝うよっ! 私たち3人で力を合わせれば、どんな難しいことだって、絶対に乗り越えられるもんね!」
ことり「うん! 2人とも、本当にありがとう!」
穂乃果「そういえばさ、ことりちゃん。この子の名前ってもう決めてるの? なんて呼べばいい?」
ことり「うん、決めてるよ」
(BGM:M12(1999~2001))
ことり「この子の鳴き声が、『ピカピカ』とか『ピカチュウ』って聞こえるから、私はそのまま『ピカチュウ』って呼ぶことにしたんだ!」
穂乃果「ピカチュウ? うん、すっごく可愛い名前だねっ! ぴったりだよ!」
穂乃果は、ことりの腕の中にいるピカチュウとじっくり目の高さを合わせた。
穂乃果「ピカチュウ、さっきはいきなり抱っこしようとして、ごめんね」
ピカチュウは「ピカ…?」
穂乃果「私は高坂穂乃果だよ。ピカチュウ、よろしくね!」
差し出された穂乃果の右手をピカチュウは、きょとんとした表情で見て、ことりの顔を見上げた。まるで、「この人を信じてもいいの?」と尋ねるかのように。
ピカチュウ「…?」
ことり「大丈夫だよ、ピカチュウ。 さっきも言ったでしょ? この2人は、ことりの大切な、大好きな親友なの。だから安心していいんだよ」
その言葉を聞くと、ピカチュウは、ことりの胸元から床へ降りた。
そして、鼻をくんくんしながら、穂乃果の匂いを確かめるようにゆっくりと近づいていく。
穂乃果「ふふっ、お鼻が当たってちょっとくすぐったいよ、ピカチュウ〜」
ついに――。
ピカチュウ「……ピカ」
ピカチュウが、ちょこん、と前足を乗せた。
――ぎゅっ。
小さな手が、穂乃果の指をやさしく、けれど確かに握りしめた。
穂乃果「……っ! わぁ~……! ことりちゃん、海未ちゃん見て! 今、ちゃんと……握手してくれたよ! ピカチュウが、私の手を握ってくれた……!」
ことり「うんっ!」
ピカチュウが、ことり以外の人間に対して、初めて自らの意志で心を通わせた記念すべき瞬間だった。
穂乃果「ありがとう、ピカチュウっ! これからよろしくね!」
それを見ていた海未も、もうピカチュウを、危険な動物として見ることはできなかった。
海未「…!」
海未は決意して、膝をつき、ピカチュウの前に座り直した。
海未「私は園田海未と申します。ピカチュウ、どうぞよろしくお願いしますね…?」
海未もピカチュウに手を差し出す。
ピカチュウはもう一度、後ろにいることりを確認する。
ことり「…うん」
ことりが優しく頷くのを見ると、ピカチュウは安心したように海未のほうへ向き直る。
海未の差し出した手にも鼻を近づけて匂いを嗅いだあと、前手を重ね合わせた。
海未「っ! ありがとうございます、ピカチュウ。……あなた、言葉が分かるのですね。確かにことりの言う通り、賢い子ですね」
ことり「でしょでしょ! すごくいい子なの!」
ピカチュウ「ピカ♪」
ことり「ピカチュウ、新しいお友達が2人もできたね♪」
ピカチュウ「ピッカ~! ヂュウウウウウウウ!!」
海未「きゃああああああっ!!」ビリビリビリ
ことり、穂乃果「海未ちゃん!?」
海未「やっぱりしびれますぅ~~~!!」ビリビリビリ
ことり「(っ!?/// 昨日からことり…、こんなふうに痺れてたんだ…///)」
* * *
(BGM:軽やかな昼下がり)
◇南家 庭
しばらくして、3人と1匹は庭に出て、穏やかな時間を過ごしていた。
ことり「お庭なら、外の空気も吸えて、思いっきり走っていいよ、ピカチュウ」
ピカチュウ「ピカ?」
ピカチュウを芝生の上に降ろして、ことりたちは縁側に座った。
ピカチュウ「ピッカ!」
ピカチュウ、すぐにことりの膝の上に。
ことり「わっ! ふふっ、ピカチュウ♪ 走らないの?」ナデナデ
穂乃果「ホントに、ことりちゃんにすごく懐いてるんだね!」
海未「電気さえ出さなければ、これほど愛らしい見た目をしているんですがね…」
穂乃果「あはは…、海未ちゃん、大丈夫? まだ痺れる?」
ことり「本当にごめんね、海未ちゃん…。ピカチュウも海未ちゃんと仲良くなれて、本当に嬉しかったんだと思うの」
ピカチュウ「ピカ…」
海未「はぁ……。そんな顔をされてしまうと、これ以上強くは怒れませんね…。 痺れも、どうにかようやく落ち着いてきましたから、もういいですよ。 ですが本当に、凄まじい威力でした…!」
穂乃果「でも海未ちゃん、ピカチュウとちゃんと握手できたじゃん! 最初の一歩としては大成功だよ! よし! それなら次は、私ともっと仲良くなろう!」
穂乃果は立ち上がり、庭へ行き、振り返ってピカチュウに向かって両手を広げる。
穂乃果「ほらほら、ピカチュウ、おいで~!」
ピカチュウ「ピカ?」
ことり「行っておいで、ピカチュウ。穂乃果ちゃん、待ってるよ」
ピカチュウ「ピカ♪」
穂乃果のところへ飛び込む。
穂乃果「わっ…結構ずっしり来るね…。 よしよしよしよしよし」ナデナデ
海未「穂乃果、あまり不用意に刺激してはいけません! またあの凄まじい雷撃が放たれたら、今度こそ私たちの身体が持ちませんよ!」
穂乃果「大丈夫、大丈夫! ねぇ、ピカチュウ? 私たち、もうお友達だもんね!」
ピカチュウ「ピッカ~♪」
ことり「(よかった…。 穂乃果ちゃんも海未ちゃんも、ピカチュウのことをちゃんと受け入れてくれようとしてる…。 ふふっ、本当にピカチュウは、みんなのアイドルになっちゃうね♪)」
穂乃果「ぴぎゃあああああああっ!!」ビリビリビリ
ことり「っ!?」
海未「だから言ったじゃないですか…。自業自得です」
ことり「うぅ…///」
* * *
昼時
ことり「そろそろいい時間だし、お昼の準備にしよっか?」
穂乃果「いいね! お腹ペコペコだよ」
海未「そうですね、少し身体を動かしたら、お腹が空きましたね」
家の中に戻って、一行はキッチンへ。
穂乃果「なに作る?」
ことり「オムライスにしようかな」
穂乃果「やった! ことりちゃん、オムライス得意だもんね!」
ことり「ピカチュウも、卵料理が気に入ったみたいだから」
海未「そうなんですか?」
ことり「うん、昨日の私のお弁当の玉子焼き、すごく美味しそうに食べてくれたの」
穂乃果「へぇ~! 卵好きなんだ?」
ピカチュウ「ピカ!」
海未「では、私たちも手伝いますよ」
ことり「ありがとう。じゃ、私は卵割るから、穂乃果ちゃんと海未ちゃんはチキンライスの準備をお願いしてもいい?」
海未「わかりました」
穂乃果「任せて」
ピカチュウは、ことりが冷蔵庫から取り出した丸い卵のパックに目を留めた。
ピカチュウ「ピカ?」
ことり「ふふっ、ピカチュウ、卵割ってみる?」
ピカチュウ「ピカピカ!」
ことり「それじゃ、チャレンジ♪」
調理台の上に置かれたボウルの前にピカチュウを立たせ、パックから取り出した生の卵を一つ、そっと手渡してあげた。
ピカチュウ「…?」
ことり「いい? こうして角にぶつけて割るの」
ことりが割った卵は綺麗にボウルに入った。
ピカチュウ「ピカ」
自分も、見よう見真似で、ボウルの角にぶつけようとしたが、手からツルンと滑って、卵は床へと落ち、ベチャリと音を立てて無惨に潰れてしまった。
ことり「あっ……」
ピカチュウ「ピ……」
穂乃果「あぁ~、どんまいどんまい! 最初は誰だって失敗するよ!」
海未「そうですよ、惜しかったです。気にする必要はありません」
海未はすぐに手際よくキッチンペーパーを取り出し、床に落ちた黄身と白身をテキパキと拭き取る。
しかし、ピカチュウは尻尾を力なく垂れ下げて、ちょっとしょんぼりとしたままだ。
ピカチュウ「ピカ……」
ことり「ふふっ、大丈夫、大丈夫だよ、ピカチュウ♪ じゃあね、今度は私と一緒にやってみよっか?」
ピカチュウ「ピカ?」
ことりはもう一つ新しい卵を冷蔵庫から取り出し、ピカチュウのすぐ後ろから、ピカチュウの前足に、自分の手をそっと包み込むように重ね合わせる。
(BGM:過ぎ去りし日々)
ピカチュウ「ピ?」
ことり「いい? こうやって、トントンって優しく叩いて、殻に小さなひびを入れるんだよ」
一緒にボウルの角に卵を軽く打ち付ける。
コンコン、という小気味よい音とともに、綺麗な丸い殻の中心に小さなヒビが入った。
ことり「そうそう、上手上手〜! そしたらね、このヒビのところに指をかけて……このまま……ぱかっ!」
ことりの指の動きに合わせて、ピカチュウが力を込めると、ツルンと綺麗な球体を保ったままの鮮やかな黄身と白身が、ボウルの中へと滑り落ちていった。
ことり「やったぁ! すごいよピカチュウ! とっても上手にできたね! 偉い偉いっ!」ナデナデ
ピカチュウ「ピカピカ〜♪」
穂乃果「ふふっ、なんかこうして見てると、ことりちゃんとピカチュウって、本当の姉弟みたいだね」
ことり「それ、お母さんからも言われたよ~」
海未「ふふっ、確かに。 きっと、2人はこれからとてもいいコンビになれそうですね」
ことり「(っ!? さっきまであんなに反対してた海未ちゃんから、いいコンビって言ってもらえた♪)」
* * *
やがて、キッチンにはチキンライスが炒められる香ばしいケチャップの香りと、バターの豊かな香りが一杯に広がった。
ことりがフライパンを鮮やかに操り、黄金色のふわふわの卵でチキンライスを綺麗に包み込むと、特製のオムライスが完成した。
ことり「できた! ことり特製ふわとろオムライス♪」
穂乃果「わぁ~! 美味しそう!」
みんなでダイニングテーブルへと料理を運んだ。
ピカチュウの前には、特別に小さな平皿に盛られた、ミニサイズのオムライスが置かれる。
ことりがケチャップで丁寧に「ピカチュウの顔」を描いてあげた特製品だ。
ことり「それじゃ、いただきます!」
穂乃果、海未「いただきます!」
ピカチュウ「ピカチュウ!」
パクッ
穂乃果「ん~っ! 美味しい! やっぱりことりちゃんのオムライスは世界一だよ!」
海未「えぇ、非常に美味しいです。さすがことりです」
ことり「ありがとう。ピカチュウもお口に合ったかな?」
ピカチュウ「ピカピカ♪」
ことり「ふふっ、お口の周りがケチャップで真っ赤だよ?」
朝食の時と同様に、優しくティッシュで口元を拭いてあげた。
その後ピカチュウは、あっという間にミニオムライスを完食すると、お皿をピカピカに舐め回し、最後は満足そうにお腹をぽんぽんと叩いた。
ピカチュウ「ピカチュウ〜♪」
ことり、穂乃果、海未「ふふっ」
穂乃果「ホント可愛いね~」
ことり「うん!」
海未「そういえば、ことり、ついでなので確認したいんですが、今度呼ばれてる地域イベントのミニライブの衣装はどうするんですか? 昨日の服飾室で考えると言ってたのは、嘘だったんですよね?」
ことり「う…。 昨日はそうだったけど、ちゃんと考えてるよ」
穂乃果「この間は、講堂で制服のままだったし、またことりちゃんの作った衣装着てで歌いたいからね!」
ことり「もちろん。 任せて♪ 実は今、にこちゃんとも相談してるんだけど、夏の歌だし、水着をモチーフにした衣装とかどうかな?って」
海未「それは…あまり破廉恥な衣装にはしないでくださいね」
穂乃果「でも海未ちゃん、よく考えたよね~。 夏色えがおで1,2,Jump!なんて」
海未「あれは穂乃果が!」
ピカチュウ「ピカ?」
ことり「いつかピカチュウにも、見てもらいたいな~」ナデナデ
* * *
夕方
穂乃果「そろそろ、帰らないとね」
海未「そうですね、ことり、失礼しますね」
荷物をまとめて立ち上がり、玄関へ。
ことりとピカチュウも見送り。
ことり「2人とも今日はありがとう、楽しかったよ」
穂乃果「私も楽しかった! ピカチュウ、また遊ぼうね~」
海未「また会いましょう。その時は、電気は抑えてくれると助かります」
ことり「あはは…」
ピカチュウ「ピカピカ~♪」
ピカチュウは2人に尻尾を振って応える。
ことり「またね~」
穂乃果、海未「お邪魔しました」
見送ったあと、ことりとピカチュウは自室へ戻った。
ことり「ふぅ…」
ベッドの上に腰掛ける。
ことり「ピカチュウ、新しいお友達ができてよかったね」
ピカチュウ「ピッカ♪」
ことり「(本当はほかのμ’sのメンバーにも、ピカチュウのこと教えてあげたい。この可愛さを一緒に共有したい!)」
(BGM:M49(1997~1998))
ことり「(でも…もしバレたら、この子が…。今日はたまたま、穂乃果ちゃんと海未ちゃんだったから、私のことを信じて、この子のことを受け入れてくれたけど、もし本当に悪い人たちに万が一見つかったら……。私は、この子を本当にちゃんと守りきれるのかな…?)」
ピカチュウ「ピカ?」
ことり「あ…ううん、なんでもないよ」
ピカチュウを優しくぎゅっと抱きしめる。
ことり「今日は楽しかったね。 明日は、もっと楽しい日になると思うよ」
ピカチュウ「ピカチュウ」
ことり「さてと、あと少ししたら、お父さんとお母さんも帰って来るだろうし、晩ご飯も私が作って驚かせようかな。 また手伝ってくれる?」
ピカチュウ「ピカピカ」
ことり「うん、それじゃ行こう!」
1階へ降りてった。