南ことり&ピカチュウ ~キミといた夏の奇跡~   作:あいライス

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今日で出会って、3日目♡

だけど、ことりちゃんは、メイドカフェのアルバイトで、ミナリンスキーのお仕事が。
そこでことりは、海未にピカチュウの面倒をお願いするが……。


第4話「初めてのお留守番」

(BGM:29ばんどうろ(1999-2001))

 

 

翌朝 日曜日

 

◇南家 ことり自室

 

ベッドの上で、薄手のタオルケットに包まれたことりと、その胸元にすっぽりと収まったピカチュウが、穏やかな寝息を立てていた。

 

 

ことり、ピカチュウ「Zzz……」

 

 

ピピピピッ!  ピピピピッ!  ピピピピ~! ピピピピ~! ピピピピピピピピピピピッ!!

 

 

ピカチュウ「ピカッ!?」ビクッ

 

ことり「…ん………? あ、目覚まし……」

 

 

ことりは目覚ましを止めたが、ピカチュウは、警戒していたが、姿勢を低くして、目覚ましを見るだけだった。

 

 

ピカチュウ「ピカ…」

 

ことり「(よかった、今日は電気されないで済んだ…)」

 

ことり「ピカチュウ、おはよう」

 

ピカチュウ「ピカ~…」

 

ことり「ちゃんと電気我慢できたね、ピカチュウ…♪ 偉い偉い」ナデナデ

 

ピカチュウ「ピカッ!」

 

 

ことりはベッドから起き上がる。

 

 

ことり「ん~~……!  今日は日曜日だし、何しようか?」

 

 

ことりはスマホをつけて、ホーム画面に今日の予定の通知が出ていた。

 

『10時~アルバイト』

 

 

ことり「……あっ…」

 

ピカチュウ「…?」

 

ことり「今日、アルバイトの日だった…!」

 

 

そう。ことりは毎週日曜日の午前中から夕方にかけて、ある場所で大切なアルバイトをしている。

 

それは――秋葉原の、音ノ木坂学院からは少し離れた場所にあるメイドカフェ。

 

その店でことりは、ミナリンスキーという名のカリスマメイドになっていた。

 

 

ことり「すっかり忘れてた…。 しかもこんな時に、お父さんとお母さん、今日も用事でいないし…。 ううっ…、どうしよう…。アルバイトも休むわけにもいかないし…。 でもピカチュウを家に一人で置いて行くなんて…」チラッ

 

ピカチュウ「ピカ?」

 

ことり「ねぇ、ピカチュウ。今日、私ね、どうしてもお外でお仕事があるの。夕方まで、お家で1人でお留守番…できるかな…?」

 

ピカチュウ「ピ、ピカピカァ〜〜〜!!」

 

 

首を横に振り、ことりの膝の上に。

 

 

ことり「やっぱり、1人でお留守番するのは、寂しいし、怖いよね?」

 

ピカチュウ「ピカ…」

 

ことり「うぅ~…。そんな顔されたら、ことりだってお留守番なんてさせられないよぉ…! いっそのこと、連れて行く…?   でも…誰かに見つかったらダメだし…」

 

 

出勤時間までは、あと1時間半もない。

 

 

ことり「ピカチュウを1人にするのは嫌だし…。   あっ、そうだ!」

 

 

スマホで、海未に連絡。

 

 

海未『もしもし? おはようございます、ことり、どうかしました?』

 

ことり「海未ちゃん、おはよう。 あのね、今日ちょっとお願いがあるの」

 

海未『お願いですか? 私にできることであれば構いませんが、何でしょう?』

 

ことり「今日アルバイトの日だったのすっかり忘れてたの…。 それでその間、ピカチュウの面倒を見てくれないかな? 1人でお留守番させるのは、ちょっと難しそうで…」

 

海未『なるほど。 わかりました。 もちろんいいですよ。私でよければ、喜んで引き受けます』

 

ことり「本当!? ありがとう、海未ちゃん!」

 

海未『ことりの大切な子ですもんね。 今から向かいます』

 

ことり「うん、よろしくね」

 

 

電話を切る。

 

 

ピカチュウ「ピカ?」

 

ことり「ピカチュウ、海未ちゃんが来てくれるって。 きっと、すごく楽しいお留守番になるよ♪」

 

ピカチュウ「ピカチュウ?」

 

 

* * *

 

 

◇リビング

 

私服に着替え、朝ご飯を作って、リビングでピカチュウと一緒に食べたあと、食器を片付ける。

 

ことりは食器を洗い終えた手をタオルで拭きながら、ふぅと小さく息を吐いた。

 

ピカチュウはすでにご飯を終え、ふかふかの座布団の上に座り、尻尾を左右に揺らしていた。

 

 

ピンポーン

 

 

ことり「あっ、海未ちゃん来たかな?」

 

 

ことりは、すぐさまインターホンのモニターへ向かった。

 

液晶画面に映ったのは、やっぱり海未だった。

 

だが海未の背後から、ひょこっともう一人、穂乃果がいた。

 

 

ことり「穂乃果ちゃんも…?」

 

ことり「(きっと海未ちゃんが、ことりの家に来てる途中で、穂乃果ちゃんに会って、話したのかな?)」

 

 

インターホンのスイッチを押し、声を繋げる。

 

 

ことり「海未ちゃん、穂乃果ちゃん、おはよう〜。今開けるね」

 

 

玄関へ行き、ドアを開ける。

 

 

海未「おはようございます、ことり」

 

穂乃果「ことりちゃん、おはよっ!来ちゃった!」

 

ことり「いらっしゃい♪ 2人とも」

 

海未「すみません、途中で穂乃果から連絡が来たんです。 それで私が『ことりの家に向かっている』と言ったら、『じゃ私も行く〜!』と…」

 

穂乃果「えへへ! だってピカチュウに、また会いたかったんだもん!」

 

 

穂乃果の手には、穂むらの紙袋。

 

 

穂乃果「はい、これっ! 穂むまん、持ってきたよ! ピカチュウ、食べてくれるかな?って思って」

 

ことり「ありがとう、穂乃果ちゃん♪ 2人とも上がって」

 

穂乃果、海未「お邪魔します」

 

 

◇リビング

 

リビングに入ると、穂乃果は早速、座布団にちょこんと座っているピカチュウと目が合った。

 

 

ピカチュウ「ピカァ!」

 

 

(BGM:ニビシティ)

 

 

ピカチュウは、穂乃果と海未のほうへ小走りで近づいてくる。

 

 

穂乃果「うわぁ〜!やっぱり可愛い〜♡」

 

 

穂乃果はテンションMAXで両手を広げてしゃがみこむ。

 

ピカチュウは、ピョンと胸元に飛びつく。

 

 

穂乃果「わっ…! ちゃんと覚えてる…! ほらっ、ことりちゃん、覚えてるよ! この子、賢いよ!」

 

ことり「でしょ!」

 

海未「穂乃果、落ち着いてください、また昨日みたいに感電させられますよ!」

 

ピカチュウ「ピカ♪」

 

 

海未は指摘するも、ピカチュウのもふっとした体、ギザギザの尻尾、くりくりの目の表情――。

そのひとつひとつが、彼女たちの心にもじわじわと浸透していた。

 

 

海未「……確かに……可愛いです……」

 

ことり「えへへ、海未ちゃんもピカチュウの可愛さがだんだんわかってきた?」

 

海未「そ、そういうわけでは…/// その…、確かにこれだけ無垢な瞳で見つめられると、叱る気も失せてしまうというか……」

 

穂乃果「あはは! 海未ちゃん、お顔がニヤけてるよ〜!」

 

海未「ニ、ニヤけてなどいません!///」

 

 

穂乃果はもう片方の手で、穂むまんを取り出した。

 

 

穂乃果「ピカチュウ、これ、穂むまんっていうんだよ。食べてみる?」

 

ピカチュウ「ピカッ?」

 

 

穂乃果は、ピカチュウを降ろして、穂むまんを包みから出して、一つ渡す。

 

 

穂乃果「美味しいよ! 食べてみて~」

 

 

ピカチュウは興味津々に穂むまんの匂いを嗅ぎ、ペロッとひと舐めした瞬間――

 

ピカチュウ「ピカァァ〜〜…♪」

 

 

ほっぺをとろけさせて、うっとりとした顔になる。

 

 

ことり「ふふっ、気に入ってくれたみたい♪」

 

穂乃果「ふふ~ん♪ でしょでしょ!ウチの穂むまんは、誰が食べても笑顔になっちゃうんだから!」

 

 

ピカチュウは、モグモグと饅頭を食べ、あんこの甘さに顔を緩ませていた。

 

 

海未「美味しいですか? ピカチュウ」

 

ピカチュウ「ピカァ!」

 

ことり「よかった」

 

 

ことりは微笑ましく見つめながら、リビングの壁にかかった時計へ目をやる。

 

 

ことり「あっ、もう行かなきゃ…!」

 

穂乃果「ミナリンスキー、ファイトだよっ!」

 

ことり「あはは…、ありがとう。 それじゃ、ピカチュウのことお願いね」

 

穂乃果「任せて!ピカチュウとはもうすっかり仲良しだから♪」

 

海未「お気をつけて。 帰りが遅くなりそうなら、連絡を忘れないでくださいね」

 

ことり「うん、ありがとう。  行ってきます、ピカチュウもいい子でお留守番しててね」

 

 

そう言ってことりがくるりと踵を返し、廊下を歩いて玄関へ向かおうとしたとき――

 

 

ピカチュウ「ピカ!?」

 

 

穂むまんの最後の一口を平らげたその子は、ことりの姿が見えなくなるのを見て、玄関まで追いかけてきた。

 

 

ことり「ピカチュウ?」

 

 

ことりが振り返ると、そこには、玄関マットの上でちょこんと立ち止まるピカチュウの姿。

 

 

ピカチュウ「ピカ……」

 

 

ことりは、ふわりと柔らかく微笑み、その場に膝をつき、優しく撫でる。

 

 

ことり「大丈夫だよ、ピカチュウ。穂乃果ちゃんと、海未ちゃんが一緒にいてくれるから。 それにちゃんと帰ってくるから。 それまで、ちょっとだけお留守番してて。 ねっ♪」

 

 

ピカチュウの中に、あの時の記憶がふっと浮かんだ。

 

一昨日、最初に出会った日のこと。

 

体が泥だらけで、不安で震えていた自分を、そっとハンカチで拭いてくれた女の子。

 

名前を聞いてくれて、笑いかけてくれて、それでも、学校裏に連れて行かれて、置いて行かれたから、どこかまだ信用しきれずにいた自分。

 

でも、ことりは、あの日、休み時間の度に本当に戻ってきた。

 

見知らぬ世界の見知らぬ校舎、その隅っこの物陰に隠れていた自分のところへ、毎回必ず「ただいま」と言って顔を覗き込んでくれた。

 

 

――ちゃんと帰ってきてくれるんだ。

 

 

 

ピカチュウ「……ピカ!」

 

ことり「うん。ありがとう。 行ってきます、ピカチュウ」

 

 

ことりは、そっと手を引き、立ち上がると、玄関の扉を開ける。

 

外へ出た背中を、ピカチュウは見つめ続けた。

 

リビングから、穂乃果と海未も玄関へ顔を出す。

 

 

穂乃果「ことりちゃん、いってらっしゃ〜い!」

 

海未「今日も頑張ってください」

 

ことり「うん、行ってきま~す!」

 

 

ことりは振り向き、手を振ってから、ドアを閉めた。

 

 

ピカチュウ「ピカ」

 

 

ピカチュウはしばらく動かなかった。

 

 

海未「今はそっとしておきましょう。 その内、こちらに戻ってくるでしょう」

 

穂乃果「そうだね。よし、ことりちゃんが帰ってくるまで、私たちがピカチュウを全力で楽しませなきゃね!」

 

 

数分後、リビングに戻ってきた。

 

 

◇リビング

 

穂乃果「あ、来た来た。さて!ピカチュウ〜!一緒に遊ぼう!」

 

 

穂乃果が膝をつき、両手をバッと広げる

 

 

ピカチュウ「ピカッ!」

 

 

穂乃果の胸元に飛び込んできた。

 

 

穂乃果「えへへ」

 

海未「ずいぶん穂乃果にも、懐いていますね。昨日会ったばかりだというのに」

 

穂乃果「だよね。 多分ピカチュウって人懐っこいんだよ! 遊ぶのが大好きなんだね」

 

 

穂乃果はピカチュウを抱っこしながら、自分のリュックのところへ。

 

 

穂乃果「何して遊ぼうか? また昨日みたいにお庭に行く? ボール遊びとかどうかな? 持って来たんだよね~」

 

 

リュックから一つ、ボールプールとかに入ってるプラスチックボールの黄色を1個出した。

 

 

 

ピカチュウ「ピカ?」

 

 

穂乃果から降りたピカチュウ。

 

 

穂乃果「ピカチュウ? どうしたの?」

 

 

ピカチュウは、穂乃果のリュックに近づき、リュックの中へ飛び込んだ。

 

 

(BGM:視線!げいじゅつか)

 

 

穂乃果「あっ! ちょ、ちょっとピカチュウ!?」

 

 

中で、がさがさ、もぞもぞ動き、リュックの中身がかき回され、中に詰まっていたルーズリーフや筆箱、飲みかけのペットボトルが次々と床の上にぶちまけられていく。

 

 

穂乃果「わああああっ!? 待って待って! やめてぇ~!! 私のノートが~!」

 

 

慌てて駆け寄ろうとした穂乃果だったが…。

 

 

ピカチュウ「ピ~カ~ヂュウウウウウッ!」

 

 

ビリビリビリビリッ!!!

 

 

穂乃果「きゃあああああああ!!」

 

海未「穂乃果!? 大丈夫ですか!?」

 

穂乃果「やっぱり…、ピカチュウの電気はすごいね……!」パタリ

 

 

ピカチュウは、リュックの中身をぶちまけながら、いたずらを終えた顔でほくほくとした表情を浮かべていた。

 

だが、海未のバッグもふと視界に入り、ターゲットをチェンジ。

 

 

海未「えっ? ま、待ってください、それは――!」

 

 

パクッ!

 

 

海未「っ!? ピカチュウ! それはダメですっ!」

 

 

ピカチュウは口で、海未の財布を咥えて、逃走!

 

 

海未「コラッ、待ちなさいっ!」

 

 

海未はすぐさま追いかける。

 

リビングから廊下へ、玄関へ。

 

ピカチュウは、まるで追いかけっこをして遊んでいるかのように、軽やかに走り回る。

 

 

海未「穂乃果も手伝ってください!」

 

穂乃果「む、無理ぃ…! しびれて動けないよぉ~……」

 

 

ピカチュウは、ちょこまかと逃げて、今度はキッチンの椅子の下に潜り込む。

 

海未が椅子をどけて、上体を屈めて手を伸ばす。

 

 

海未「ピカチュウ! 捕まえ――」

 

ピカチュウ「ヂュウウウウウウウ!!」

 

 

今度は海未に向けて放たれた電撃。

 

 

ビリビリビリビリッ!!!

 

 

海未「ひゃああああああ!!」

 

 

電撃は止まるが、海未はフラフラし、穂乃果のそばで倒れる。

 

 

海未「うぅ~……し、しびれます……!」

 

 

2人揃って小刻みに震えてる。

 

そんな中、ピカチュウは財布を咥えたまま、ローテーブルの下へ潜り込む。

 

 

ピカチュウ「ピカピカチュウ…♪」

 

 

今度は、かくれんぼ”のつもりらしい。

 

 

海未「……はぁっ、まったく……」

 

 

ようやく感電の痺れが引いてきた海未が起き上がる。

 

穂乃果もやっと痺れが止まった体を起こす。

 

 

穂乃果「うへぇ…、まさかまた感電させられるなんて…。ピカチュウって、結構やんちゃだよね…」

 

海未「えぇ…、想像以上です…!  どこへ行ったんでしょう? 財布を持ったまま…」

 

 

キョロキョロと見回したそのときだった。

 

ローテーブルの下。

 

 

海未「……見つけましたよ」

 

 

しゃがみ込み、テーブルを覗き込む海未。

 

 

海未「ピカチュウ、もうかくれんぼは終わりです。出てきてください」

 

ピカチュウ「ピカピカ」

 

 

「見つかっちゃった!」と言わんばかりに照れて、すぐ出て来た。

 

 

ピカチュウ「ピカ!」

 

 

ぺたん、と海未の前に座り込んだ。

 

 

海未「はい、お財布、返してくださいね」

 

 

差し出した手に、ピカチュウは素直に財布をぽとんと落とした。

 

その顔はどこか、いたずらに成功した子どもが満足げに笑っているようにも見える。

 

 

海未「もう…、財布はおもちゃじゃありませんよ?」

 

ピカチュウ「ピカ~♪」

 

穂乃果「ふふっ、やっぱり可愛いなあ~」

 

海未「元気すぎて、まるで穂乃果が、2人いるようです」

 

穂乃果「えっ!? 私そんなに落ち着きないのっ!?」

 

 

そんなとき穂乃果は、ふと視線が棚のほうへ。

 

そこには、μ’sの集合写真が飾られている。

 

 

穂乃果「ピカチュウのこと、μ’sのみんなにも教えてあげたいね」

 

海未「しかしまだ、ことりは話していませんし……。それはことり次第ですね」

 

穂乃果「でも、みんななら、わかってくれるよ。協力もしてくれると思う」

 

海未「ですね。……ことりのタイミングを待ちましょう」

 

ピカチュウ「ピカ?」

 

 

ピカチュウはそっとその写真を見つめていた。

 

そこに写っているお姉さんたちは、どんな人たちなのか、まだ知らない。

 

けれど、その中にいることりの笑顔は、確かにピカチュウの知っているあの笑顔だった。

 

 

* * *

 

 

通い慣れた日曜日の秋葉原。

秋葉原駅の電気街口を出てすぐの大きな横断歩道を、ことりは軽やかな足取りで渡っていた。

 

夏の日差しがアスファルトをジリジリと照らし、休日を楽しむ買い物客や観光客の賑やかな喧騒が街全体を包み込んでいる。

 

シフト開始にはまだ少し余裕があるけれど、その表情は、どこか落ち着かない。

 

 

ことり「(ピカチュウ……大丈夫かな…? 海未ちゃんと穂乃果ちゃんが一緒にいてくれるし、きっと大丈夫、だよね?)」

 

 

大通りを抜け、裏手の小さな路地へ。

 

そこに、彼女の職場「CURE MAID CAFÉ」の入り口が現れる。

 

ドアに手をかける前に、一呼吸。

 

 

ことり「ミナリンスキー、がんばらなくっちゃ♪」

 

 

 

(BGM:メイド喫茶)

 

 

カランコロンカラーン

 

 

メイドA「ことりちゃ~ん、今日も来たねっ♡」

 

メイドB「ミナリンスキーの出勤日だ! 嬉しすぎっ!」

 

ことり「えへへ…お疲れさまですっ♪」

 

 

更衣室へ。

 

ロッカーからことりは、慣れた手つきでメイド服を取り出す。

 

ふわっと広がる、純白のレーススカート。

 

フリルがアクセントになったクラシカルなメイド服。

 

背中のリボンをきゅっと結ぶと、それだけで表情が一段と引き締まった。

 

 

ことり「(うん…♪)」

 

 

ロッカー横の鏡に向かい、ことりは自分の姿を確かめるようにポーズを取る。

 

 

ことり「いらっしゃいませ♪ ご主人様、お嬢様っ♡」

 

 

完璧な笑顔と、軽やかなお辞儀。

 

 

メイドA「キャ~~!出た!ミナリンスキーの決め台詞っ!」

 

メイドB「何でそんなに自然にできるの!?ことりちゃんほんと天才……」

 

ことり「そ、そんなことないよぉ…、みんなもすっごく可愛いもん…」

 

 

すると奥から、シンプルな黒のパンツスーツに身を包んだ「CURE MAID CAFÉ」の女性店長が来た。

 

 

店長「みんな、おはよう。あ、今日はミナリンスキーもシフトだね。今日もよろしくね!」

 

ことり「はい。今日もよろしくお願いします♪」

 

 

* * *

 

 

開店時間から数時間。

 

シックな木調のインテリアと、焼きたてのワッフルや甘いパフェの香りが心地よく交差する空間。

 

店内にはBGMとして軽やかなメイドポップが流れ、まさに夢のような世界が広がっている。

 

そこに、伝説のカリスマメイド・ミナリンスキーの姿が。

 

 

ことり「いらっしゃいませ。お客様、2名様でよろしいでしょうか?」

 

 

 

ことり「それではご案内いたします♡」

 

 

 

ことり「こちらのお席へどうぞ♪」

 

 

 

ことり「メニューでございます♪」

 

 

 

ことり「ただいまお冷をお持ちいたします。失礼いたしました」

 

 

 

動きに無駄がなく、声色も完璧。目線、仕草、言葉のトーン。

 

ことりの本来持つ優しさと柔らかさから滲み出てくる接客だった。

 

 

メイドC「やっぱり、ミナリンスキーは天才だわ」

 

メイドD「お客さん、最近すごく増えてない?」

 

 

その言葉通り、男性ファンはもちろん、ここ最近は女性ファンの姿も目立っていた。

 

ファンはことりに気づいて、近づいてくる。

 

 

客「あのっ……ミナリンスキーさんのファンなんです!」

 

ことり「わぁ~、ありがとうっ♪ 嬉しいなぁ〜」

 

 

にっこり笑って、そっと手を振ると、彼たちは嬉しそうに頬を染めていた。

 

ことりは思わず口元を緩めながら、ふとピカチュウの姿が浮かんだ。

 

 

ことり「(ピカチュウにも本当は、ミナリンスキー見せてあげたいな…なんてね…♡)」

 

 

もしピカチュウがこの場所に来たら、きっと目を輝かせて、楽しそうにメイド服のスカートの裾付近でじゃれてくるだろう。

 

お昼時の厨房でオムライスのオーダーが入った際、ケチャップで描くお絵描きの最中に、ついピカチュウの耳の形を描きそうになってしまった。

 

 

ことり「(って、ダメだね…!)」

 

 

普通にちゃんと、このカフェの公式マスコットキャラクターの絵を可愛らしく描き上げた。

 

 

メイドA「ホント器用だね~」

 

ことり「オムライスできました~♪」

 

メイドA「は~い、運ぶね~」

 

ことり「(ピカチュウ、ちゃんと穂乃果ちゃん、海未ちゃんと仲良くしてるかな? また電気を出して、2人を痺れさせてないといいんだけど…)」

 

店長「ミナリンスキー、前半お疲れさま。休憩入っていいよ~!」

 

ことり「あ、はい!」

 

 

ことりは小さくうなずき、奥へと引き下がった。

 

バックヤードに入り、休憩スペースの椅子に腰を下ろした。

 

 

ことり「……ふぅ」

 

 

テーブルに置かれたペットボトルの紅茶を手に取ると、スマホがポケットの中で小さく震えた。

 

 

ブルルッ。

 

 

ことり「んっ?」

 

 

取り出し、画面を覗き込むと、通知には「海未ちゃん」からのLINEが表示されていた。

 

 

ことり「海未ちゃんから…!」

 

 

メッセージをタップ。

 

 

海未ちゃん:

『ことり、お疲れ様です。お仕事は順調ですか?

ピカチュウはとても元気ですのでご安心ください。お昼ご飯も私の作ったチャーハンを、きちんと食べて、完食してくれました。

今は、穂乃果がぬいぐるみを使って楽しそうに遊んであげています。

ピカチュウ、とてもいい子で、ことりの帰りを待っていますよ』

 

 

写真も送られてきた。

 

画面を拡大してみると、そこには、リビングの床の上で、穂乃果が差し出した大きな熊のぬいぐるみに抱きつきながら、無邪気でとびっきり眩しい満面の笑顔を浮かべているピカチュウの姿が写っていた。

 

 

ことり「ふふっ……」

 

ことり「(そっか…。よかった…♪)」

 

 

ことり:

『ありがとう、海未ちゃん、穂乃果ちゃん!

写真も送ってくれて嬉しいな。ピカチュウが元気そうで本当に安心したよ。

2人がいてくれて本当に助かった。午後からのアルバイトも、私頑張るね♪』

 

 

送信ボタンを押し、ことりはスマホをそっと胸元に抱きしめた。

 

トクン、と一度だけ、鼓動がやさしく跳ねる。

 

 

ことり「(お仕事頑張らなきゃ。ピカチュウも待っててくれてるもん)」

 

店長「ことりちゃん、まかない、何がいい?」

 

ことり「あ、店長! 今日はオムライスをお願いしてもいいですか? 卵がとっても美味しそうなやつ♪」

 

 

◇南家

 

ピカチュウは、クッションの上に丸まって、お昼寝してた。

 

 

穂乃果「ふふっ、寝顔、可愛いね」

 

海未「そうですね。愛らしい表情してます」

 

ピカチュウ「ピカ……Zzz…」

 

 

(BGM:トホホ…)

 

 

海未「ですが、ピカチュウは一体、何者なんでしょうね?」

 

 

海未はあごに手を当て、真剣な表情でふと思考を巡らせた。

 

 

穂乃果「えっ? うさぎかネズミの仲間だと思うけど?」

 

海未「ですが、私はこれまで様々な生物の図鑑や文献を見てきましたが、このような生き物は見たことがありませんよ! 昨日も調べてみましたが、検索にも引っ掛かりません!  そして何より、あの凄まじい放電能力です! 普通のうさぎやネズミの類が、こちらの体を真っ黄色に染め上げるほどの強烈な電流を放つと思いますか!?」

 

穂乃果「う~ん…、確かに電気を出すネズミなんて聞いたことないかも。 電気うなぎなら聞いたことあるけどね。  でも、可愛いから何でも良くない?」

 

海未「良くありません! ことりがなぜこの子と出会い、どうしてこの秋葉原の街にいたのか!  この子の正体や生態を知るということは、私たちがこの子を守り、安全に暮らしていくために極めて重要なことですよ!  もしかしたら、悪の秘密結社の極秘の品種改良実験で突然変異した生き物かもしれませんし、はたまた政府の研究機関から逃げ出してきたという存在だとしたら!」

 

穂乃果「えぇ~!? 悪の秘密結社!? 政府の研究機関!?」

 

海未「可能性の話です。 だからこそ、観察が必要なのです!!」

 

穂乃果「ちょっと声が大きいよ…。ピカチュウが起きたらどうするの…?」

 

 

海未は腕を組み、すやすやと心地よさそうに眠るピカチュウの至近距離まで顔を近づけ、まじまじと観察を始めた。

 

 

海未「しかし改めて見ると、不思議ですね。  耳が長くて先端が黒い…。尻尾はまるで稲妻のようなギザギザとした形…。ほっぺに赤い丸い模様…。さらにこちらの言葉を理解し、喜怒哀楽もハッキリしている…」

 

穂乃果「ねえ海未ちゃん、そんなに近づくと、目を覚ました時に驚かれて、ピカチュウにまた、ビリビリってされちゃうよ?」

 

海未「今は熟睡してますし、大丈夫でしょう。 刺激しないように慎重に調べれば――」

 

ピカチュウ「ピカ?」

 

海未「っ!?」ビクッ

 

穂乃果「あ……、起きた…!」

 

ピカチュウ「ピカッ!?   ピーーカーー」

 

海未「ま、待ってください! 何もしてま――!」

 

 

◇CURE MAID CAFÉ

 

ことり「よしっ。 ミナリンスキー、後半戦スタートですっ♪」

 

 

店内へ戻る。

 

カランコロンカラーン

 

 

ことり「いらっしゃいませ」

 

 

入ってきたのは、大学生らしきカップルの二人。

 

 

彼女「わぁっ、すごい! 本物のメイドカフェ…!」

 

彼氏「マジで入るの? 俺、こういう店入るの初めてなんだけど…?」

 

彼女「いいじゃない、一度来てみたかったんだもん!」

 

ことり「ふふっ、初めましてのご来店ありがとうございます♡ それではご案内いたします。 お足元にお気をつけください」

 

彼女「はい」

 

彼氏「可愛いな…、天使のような子だ…」

 

彼女「あら、私は?」

 

彼氏「も、もちろん、キミは大天使だよ…!」

 

ことり「仲がよろしいのですね♪ こちらのお席へどうぞ」

 

彼女「やっぱメイドカフェっていったら、オムライスが定番だね!」

 

彼氏「えっと、それで」

 

ことり「かしこまりました♪」

 

 

* * *

 

 

◇南家

 

海未「うぅ~…まだ、ビリビリしびれます~…」ビリッ、ビリッ、ビリッ

 

穂乃果「海未ちゃん…、ピカチュウをじーっと見つめすぎなんだよ~…!」ビリッ、ビリッ、ビリッ

 

海未「ですが…、観察は大切なことです…。この子の生態を把握することは…痛たたっ…」

 

ピカチュウ「ピカピカ?」

 

 

ピカチュウは、目をこすりながらトコトコと歩み寄ってきた。

 

短い首を傾げ、「まだ痺れてるの?」とでも言いたげな不思議そうな顔で、2人を見上げる。

 

 

穂乃果「海未ちゃん。あんまり警戒しないで、ピカチュウと仲良くしようよ~」

 

海未「仲良くしたいのは山々ですが、これでは私の体がもちませんよ…」

 

ピカチュウ「ピッカ♪」

 

 

ピカチュウ、海未の膝の上に飛び乗る。

 

 

海未「わっ!?」

 

穂乃果「ほらっ、ピカチュウも海未ちゃんと仲良くしたいんだよ」

 

ピカチュウ「ピカ!」

 

海未「っ!///」

 

 

ピカチュウは、海未の膝の上で丸くなる。

 

 

海未「ふふっ…まったく、現金ですね」

 

 

ピカチュウの背中を優しく撫でる海未。

 

 

(BGM:ミナリンスキー)

 

 

◇CURE MAID CAFÉ

 

午後3時過ぎ。ちょうどおやつ時になった。

 

今度は幼稚園くらいの男の子を連れた親子がやってきた。

 

 

ことり「いらっしゃいませ♪ わぁ、可愛いお客様♡」

 

母親「すみません、子ども連れでもいけますか?」

 

ことり「もちろん大歓迎です♡ ご案内いたしますね。どうぞこちらへ♪」

 

 

ゆっくりと店内の奥にあるゆったりとしたテーブル席へと案内した。

 

別のメイドが、子供用の椅子を用意してくれた。

 

男の子がお母さんに手伝ってもらいながら子供用の高い椅子にちょこんと腰掛けると、ことりは目線を合わせるように再びしゃがみ込み、メニュー表を開いて見せた。

 

 

ことり「メニューでございます。 今日のミナリンスキーのオススメは、甘くて美味しいクマさんのホットケーキです♪」

 

男の子「クマさん…! ぼく、クマさんのホットケーキたべたい!」

 

母親「ふふっ、じゃ、それにしようね。 えっと…、それじゃ私はメロンクリームソーダでお願いします」

 

ことり「かしこまりました。 クマさんのホットケーキと、メロンクリームソーダですね! 少々お待ちください」

 

 

ことりは可愛らしく微笑み、伝票を手に取って厨房へと向かった。

 

その途中、先ほど案内した大学生カップルのテーブルの前を通りかかったときのこと。

 

 

彼氏「ごめん、ちょっとトイレ行ってくる」

 

彼女「OK~」

 

 

彼氏が席を離れたタイミングで…。

 

 

彼女「すみません」

 

ことり「あ、はい。 いかがされましたか? お嬢様」

 

彼女「デザートに、このフルーツパフェ、お願いします」

 

ことり「かしこまりました。 少々お待ちください」

 

 

ことりが伝票に書き留めようとペンを走らせると、彼女は周囲をチラリと気にしながら、少し声をひそめて身を乗り出してきた。

 

 

彼女「あ…それと」

 

ことり「…?」

 

彼女「何かここって、お料理にメッセージカードを付けられるって、友達から聞いたんですけど…」

 

ことり「はい。メッセージカードのサービスですね。 お誕生日や記念日、日頃の感謝の気持ちなどを込めて、可愛いカードをお添えすることができますよ」

 

彼女「実は…今日が、彼と付き合って1年の記念日なんです。それで彼を驚かせちゃおうって思って…」

 

ことり「1周年の大切な記念日だったのですね…! おめでとうございます。 とっても素敵です♪ メッセージカード、ぜひご用意させてください! どんな言葉をお書きしましょうか?」

 

彼女「えっと…『1年目のお祝いと、いつも優しくしてくれてありがとう』って入れてもらえますか?」

 

ことり「承知いたしました。 彼氏様には内緒で、パフェと一緒にサプライズでお持ちいたします♡」

 

彼女「ありがとうございます! よろしくお願いします!」

 

ことり「失礼いたします♪」

 

 

厨房へ。

 

 

ことり「オーダーです。  2番テーブルさんに、クマさんホットケーキ、クリームメロンソーダ。 5番テーブルに、フルーツパフェお願いします♪」

 

 

(BGM:大切なもの)

 

 

ことりは棚から、メッセージカード用の小さなカードとカラーペンを取り出した。

 

 

ことり「(大切な人と過ごす、特別な記念日…)」

 

 

誰かを喜ばせたい、感謝を伝えたいというその真っ直ぐで優しい気持ちが、ことりの胸をキュンと温かくさせた。

 

 

ことり「(誰かを想う気持ちって、本当に素敵だな…♪)」

 

 

カードの余白に、色鮮やかなペンで可憐なフリルとお花のイラストを描き込んでいく。

 

『1年目のお祝い♪ いつも優しくしてくれてありがとう♡』

 

 

その時、ふとことりの頭の中に、ピカチュウの顔が浮かんだ。

 

 

ことり「(ピカチュウにも、私が帰ったら、いっぱい抱きしめて『待っててくれてありがとう』って伝えてあげなくっちゃ♡)」

 

 

誰かが誰かを想い、笑顔を咲かせる。

 

 

彼氏「ごめんごめん」

 

彼女「おかえり~」

 

ことり「ふふっ」

 

メイドC「ミナリンスキーちゃん、5番テーブルさんのパフェできたわよ~!」

 

ことり「は~い。運んできます」

 

 

出来上がったフルーツパフェと一緒に、メッセージカードを運んだ。

 

 

ことり「お待たせいたしました♡ ご主人様、お嬢様!」

 

 

パフェをテーブルの中央へそっと置く。

 

 

彼氏「えっ? パフェなんて頼んだっけ?」

 

彼女「私が頼んだのよ。 デザートは別腹よ」

 

 

ことりは、彼女と目線が合うと、ウインクして、カードを彼の目の前へ滑らせる。

 

 

ことり「彼女様からの、心からのサプライズプレゼントでございます♪ 1周年、おめでとうございます♡」

 

彼氏「えっ!? 何これ…!?   マジかよ…! やった…! ありがとう!」

 

彼女「うん。これからもよろしくね」

 

ことり「ふふっ、ごゆっくりおくつろぎください」

 

彼女「ありがとうございました」

 

ことり「(ピカチュウ…待っててね。 ミナリンスキー、もうちょっとでお仕事終わるから。今日の夜は、いっぱい遊んであげるからね♪)」

 

 

* * *

 

 

カランコロンカラーン♪

 

 

ことり「お先に失礼します。また今度のシフトで〜♪」

 

 

(BGM:憂いの夕暮れ)

 

 

ことりは、スマホを取り出した。

 

LINEを開くと、穂乃果からの通知が来ていた。

 

 

穂乃果ちゃん:

『そろそろ帰る時間だね? ピカチュウと一緒に待ってるよ!』

 

 

写真は、ピカチュウが海未の膝の上に乗ってる。

 

 

ことり「ふふっ…、ピカチュウと海未ちゃんも、仲良くなって良かった♪」

 

 

ことりは、帰り道にある小さな洋菓子屋の前で立ち止まった。

 

店内のガラスケースの中には、色とりどりのケーキが並んでいる。

 

 

ことり「ピカチュウ、ケーキ食べるかな? えへへ♪」

 

 

ことりは扉を開け、カラン、と小さな音を鳴らした。

 

 

店員「いらっしゃいませ」

 

 

ことり「こんばんは。  わぁ~、どれも美味しそう~!」

 

店員「ありがとうございます」

 

ことり「(ピカチュウがケーキ食べれるか分からないけれど、きっとこの、フルーツたっぷりのタルトは喜んでくれるかな?)」

 

ことり「すみません、チーズケーキと、フルーツタルトをください」

 

店員「かしこまりました」

 

ことり「(あっ…。今日一日、ピカチュウを一生懸命見ててくれた海未ちゃんと穂乃果ちゃんにも、ちゃんとお礼しなきゃ!)」

 

ことり「ごめんなさい、追加で、モンブランと苺のショートケーキもください」

 

店員「はい、ありがとうございます」

 

 

店員さんは優しく微笑んで頷くと、4つのケーキを丁寧に箱へ詰め、仕上げに可愛らしいピンク色のリボンをふわりと結んでくれた。

 

 

店員「お土産ですか?」

 

ことり「はい! 大切な人たちへ、ありがとうの気持ちです♡」

 

 

箱を受け取り、お会計を済ませて店を出る。

 

 

ことり「(帰ったらピカチュウと、海未ちゃん、穂乃果ちゃんとみんなで食べよう♪)」

 

 

ケーキの箱を崩さないよう、大切に両手で抱えながら、ことりは家路を急いだ。

 

 

◇南家

 

リビングでは、ピカチュウがソファーの上で、どうにも落ち着かない様子を見せていた。

 

 

ピカチュウ「ピカ…」

 

 

一度クッションの上に座り込んだものの、すぐにまた立ち上がり、耳をぴんと立たせる。

そしてちょこちょこと短い足で廊下へ向かい、玄関のドアの前でピタリと立ち止まった。

 

長い耳をピクリピクリと動かし、ドアの向こうから聞こえる外の音を探る。

しかし、聞こえてくるのは遠くを走る車の音くらいで、目的の大好きな足音は、まだ聞こえない。

 

 

ピカチュウ「ピカ…」

 

 

ピカチュウは少しだけしゅんとした様子で、また振り返り、トコトコとリビングに戻ってきた。

 

しかしじっとしていられず、今度はテレビの前をあっちへウロウロ、そっちへウロウロと行き来し始めた。

 

 

ピカチュウ「ピカチュウ…」

 

穂乃果「ふふっ、落ち着かないね。 早くことりちゃん帰って来ないかな~?って言ってるのかな?」

 

 

穂乃果はローテーブルに肘を立て、頬杖をつきながら、ウロウロと歩き回るピカチュウを微笑ましそうに見つめている。

 

その隣で麦茶を注いでいる海未。

 

 

海未「えぇ、そうでしょうね。 ピカチュウ、そろそろことりは帰って来ます。あと少しの辛抱ですよ」

 

 

海未は壁掛け時計を見上げた。

 

時計の針は、もう16時10分を指している。

 

 

穂乃果「やっぱり、ピカチュウにとってことりちゃんは、すごく特別なんだね」

 

ピカチュウ「ピカッ!?」

 

 

ピカチュウの表情が一瞬でパッと明るくなり、弾むように玄関へ向かって猛ダッシュしていく。

 

 

穂乃果「ピカチュウ?」

 

海未「もしかしたら、足音が聞こえたのかもしれませんね」

 

 

ピカチュウが玄関へ到着すると同時に、玄関の鍵が、カチャリと回る音が響く。

 

 

ガチャ

 

 

ことり「ただいま~♪」

 

ピカチュウ「ピカ!  ピッカ~~~~ッ!!♪」

 

 

ピカチュウは勢いよく、ことりの胸に飛びついた!

 

 

ことり「きゃっ!?」

 

 

抱きつかれた瞬間、ことりは、両手で大切に抱えていたケーキ箱を思わず手放してしまう。

 

すとん、と箱が床へ落ちた、次の瞬間。

 

 

ビリビリビリビリビリビリビリビリビリ!!

 

 

ことり「きゃあああああああああっ!!」

 

 

両手でピカチュウをしっかりと抱きしめたまま、ことりはその場で痺れた。

 

ピカチュウの喜びの放電は容赦なかった。

 

 

ピカチュウ「ピカピカ♪ ピカチュウ~~♪」

 

 

ビリビリビリビリビリビリビリビリビリ!!

 

 

ことりの腕の中で、嬉しそうにぴょんぴょんと跳ねながら、電気をビリビリとまとわせて、電気は全身をくすぐるように駆け巡る。 

 

 

ことり「うぅ~~…!  し、し、しびれるぅ~~~!!」

 

 

リビングから、廊下を覗き込む穂乃果と海未。

 

 

穂乃果「うわぁ…、またやってるよ…、ピカチュウ」

 

海未「もはや恒例行事ですね…。本当に、ことりのことが大好きなんですね…」

 

 

やがて放電が収まると、ことりは残る痺れに抗えず、ピカチュウを胸に抱っこしたまま、玄関にへたり込んだ。

 

 

ことり「ふぇぇ~…しびれるおかえりだね~……」

 

 

穂乃果と海未も玄関へ。

 

 

穂乃果「ふふっ、ことりちゃん、おかえり」

 

海未「お疲れ様です、ことり」

 

 

海未が、玄関にへたり込むことりに手を差し伸べた。

 

 

ことり「あはは…。うん、ただいま」

 

 

手を握り、立たせた。

 

 

ことり「ピカチュウもただいま」ナデナデ

 

ピカチュウ「ピッカ♪」

 

ことり「もう~、いきなりでびっくりしたよ…ピカチュウ。 ふふっ、寂しくなかった?」

 

ピカチュウ「ピカピ!」

 

ことり「そう、よかった♪    あっ! ケーキ…!」

 

 

慌てて目線を落とすと、胸に飛びつかれた衝撃で床に転がっていた箱が目に入った。

 

しゃがみ込み、箱を見ると、角が少しだけ凹んでしまっている。

 

 

ことり「倒れちゃってないかな…?」

 

穂乃果「ケーキ買ってきたの!?」

 

ことり「うん」

 

 

ことりはピンクのリボンを解き、箱のフタをそっと開けて中を確かめてみた。

 

 

ことり、穂乃果、海未「……?」

 

 

息を呑んで箱の中を覗き込む3人。

 

 

(BGM:海の科学博物館)

 

 

そこには、美しいフルーツタルト、濃厚なチーズケーキ、栗が乗ったモンブラン、そして真っ赤な苺のショートケーキが、少しの崩れもなく綺麗に並んでいた。

 

仕切り紙と丁寧な梱包のおかげで、倒れることなく最高の形のまま持ちこたえていた。

 

 

ことり「良かった…、無事だった」

 

穂乃果「わぁ〜! 美味しそうなケーキがいっぱい!」

 

海未「ことり、これは…?」

 

ことり「今日一日、ピカチュウを大切に見ててくれた2人へ、ことりからの感謝の気持ち♡」

 

穂乃果「ことりちゃん…! ありがとう〜!」

 

 

穂乃果もことりに抱き着く。

 

 

ことり「きゃっ! ふふっ、こちらこそありがとう」

 

海未「ことり、ありがとうございます。ですが、あまり気を遣わなくていいですよ」

 

ことり「大丈夫だよ。 ミナリンスキー頑張ったから♪  さっ、ちょっとだけ遅いけど、おやつ食べよう!」

 

 

 

リビングへ。

 

 

ことり「はい♡ 海未ちゃんはモンブラン、穂乃果ちゃんはショートケーキどうぞ♪」

 

 

ことりはローテーブルの上に、可愛らしいお皿を並べ、それぞれの前にケーキを渡した。

 

 

穂乃果「ありがとう! さすがことりちゃん! 分かってる~! 苺たっぷりのやつ!」

 

海未「ありがとうございます、ことり。いただきます」

 

穂乃果「いただきま~す」

 

ことり「ピカチュウは、フルーツタルトがいいかなって思って買ってきたよ」

 

ピカチュウ「ピカ♪」

 

 

ことりは自分のチーズケーキを選ぶと、ピカチュウの前に、色とりどりの果物が美しく盛られたタルトをそっと置いた。

 

キラキラと輝くイチゴやキウイ、オレンジ、ブルーベリーが乗ったタルトは、見ているだけでもワクワクしてくるような一品だ。

 

 

ことり「ピカチュウ、食べられるかな……?」

 

ピカチュウ「ピカァ!」

 

 

短い手でお皿の縁に置いた。

 

そして、器用に鼻を近づけ、フルーツの甘い香りをクンクンと嗅いでから、嬉しそうにフルーツの端っこをパクッと口に含んだ。

 

 

ピカチュウ「ピカピカ♪」

 

ことり「食べてくれた! ふふっ、よかったぁ♪」

 

 

ピカチュウが美味しそうに食べてる様子を見て、ことりは胸を撫で下ろし、自分のチーズケーキへフォークを入れ、一口頬張る。

 

なめらかなチーズの風味と甘酸っぱい味わいが口いっぱいに広がり、今日一日のアルバイトの疲れがじんわりと溶け出していくようだった。

 

 

ことり「ん~♡」

 

穂乃果「美味しい~! やっぱりケーキは最高だね!」

 

海未「ええ、とても上品な甘さで美味しいです」

 

穂乃果「あ、そうそう、ことりちゃん。 ピカチュウだけど、今日は昨日に比べて、すごく元気だったよ。 最初はちょっと寂しそうにしてたけど、一緒に遊んだら、すぐニコニコになったよ」

 

ことり「どんな遊びをしたの?」

 

海未「どんな遊びですか…。最初は穂乃果のリュックサックの中身を、すべてぶちまけるという大イタズラから始まりました」

 

穂乃果「あはは…! それで私のノートが散らばっちゃって、止めようとしたら電撃されちゃって」

 

ことり「え…?」

 

海未「その後、私の財布を咥えて逃走し、追いついたと思えば、私も強烈な電撃を食らい…」

 

ことり「あ…。ピカチュウにたくさんビリビリされちゃったんだね…? ごめんね?」

 

穂乃果「いいのいいの! それに、海未ちゃんの膝の上でスヤスヤ寝てる姿、すっごく可愛かったんだから!」

 

海未「ひ、膝の上に乗ってきたのは、ピカチュウが勝手にやったことです……っ。決して私が甘やかしたわけでは……」

 

穂乃果「何の否定?」

 

海未「オホン!……ことり。 少し、真面目な話をしていいですか?」

 

ことり「えっ? うん」

 

 

(BGM:ツバサと穂乃果)

 

 

海未はタルトを夢中で食べているピカチュウを、温かく、けれど見守る親のような眼差しで見つめた。

 

 

海未「今日一日、この子と一緒に過ごしてみて、改めてよくわかりました。  ピカチュウは、本当にあなたのことが大好きなのですね。 朝、あなたが家を出て行った直後のいたずらは、今にして思えば、私たちと遊んで気を紛らわせようとしたのでしょう。 だけど、ふとした瞬間に、ドアのほうを気にしたり、窓の外を見つめたりと。ずっと、あなたの帰りを待っていたのですよ」

 

ことり「海未ちゃん…」

 

海未「そしてさっき、あなたが帰ってきた時のあの弾けるような笑顔と電撃…。ふふっ、あれは全身全霊の『おかえりなさい』の形なのだと理解しました」

 

穂乃果「うん、本当にそう思う! ピカチュウにとってことりちゃんは、本当に世界で一番大好きなお姉ちゃんなんだよ!」

 

ことり「……ふふっ…ありがとう。海未ちゃん、穂乃果ちゃん」

 

海未「大切に育てなさい」

 

ことり「もちろん。 絶対に守るよ!」

 

 

ことりはピカチュウに視線を向けた。

 

タルトをすっかり平らげたピカチュウは、口のまわりに少しだけクリームをつけたまま、満足そうにことりを見上げて尻尾を振っていた。

 

 

ピカチュウ「ピカピカ♪」

 

ことり「もうピカチュウ、クリームがついてるよ~」

 

 

指先でちょんと口元のクリームを拭き取ってあげる。

 

 

穂乃果、海未「ふふっ」

 

 

楽しいお茶の時間はあっという間に過ぎ、時計の針は17時を回った。

 

 

穂乃果「ふぅ~、ごちそうさまでした! 美味しかった~!」

 

海未「さて、そろそろ私たちは失礼しましょうか? あまり長居しては、ことりとピカチュウの水入らずの時間を邪魔してしまいますからね」

 

穂乃果「そうだね。片付けてから帰ろう」

 

 

穂乃果と海未は、空になったお皿とカップをまとめながら立ち上がり、キッチンへ運ぶ。

 

 

ことり「あっ、2人とも、お片付けは私がやるからそのままでいいよ?」

 

海未「これくらい当然です。ことりは今日、アルバイトで疲れているのですから」

 

穂乃果「そうそう!」

 

 

海未が洗い、穂乃果が布巾で丁寧に拭いていく。

 

 

ことり「ありがとう」

 

 

* * *

 

 

◇玄関

 

ことり「今日は本当に助かったよ。2人がいてくれなかったら、どうなってたか分からないもん」

 

 

ことりもピカチュウを抱っこしたまま立ち上がり、玄関へと2人を見送るために廊下へ出た。

 

 

海未「またいつでも頼ってください。 一人で抱え込まないように」

 

穂乃果「ピカチュウとたくさん遊べて、すっごく楽しかったし! ねっ、ピカチュウ?」

 

ピカチュウ「ピカチュウ…」

 

 

『もう帰っちゃうの?』と言わんばかりに、少し寂しそうな瞳で二人を見つめてくる。

 

 

海未「また来ますよ、ピカチュウ」

 

 

海未がしゃがんで、ピカチュウの頭をそっと撫でる。

 

 

穂乃果「明日は学校だから、また放課後にでも会いに来るよ」

 

 

穂乃果は、ピカチュウに向かって右手の小指を差し出した。

 

ピカチュウは一瞬きょとんとしたあと、小さな前足で穂乃果の指に自分の指を重ねる。

 

 

穂乃果「指切りげんまん、ウソついたらしびれちゃう〜♪」

 

ピカチュウ「ピカ!」

 

穂乃果「それじゃ、また明日ね! ことりちゃん、ピカチュウ!」

 

海未「お邪魔しました」

 

ことり「うん、2人とも気をつけてね! バイバイ!」

 

ピカチュウ「ピカピカ~!」

 

 

* * *

 

◇ことり自室

 

ことり「ふぅ……。ピカチュウ、今日一日、お留守番頑張ってくれてありがとうね」

 

ピカチュウ「ピカ~♪」

 

 

ことりはピカチュウを抱っこしたままベッドの端に腰を下ろし、ピカチュウを膝の上に降ろした。

 

 

ピカチュウ「ピカピカ♪」

 

ことり「うん♪」ナデナデ

 

 

階下から、飛鳥と鷹夫が帰って来た音がした。

 

 

飛鳥、鷹夫「ただいま~」

 

ことり「あっ、お母さんとお父さん、帰ってきた。 一緒だったんだね」

 

ピカチュウ「ピカチュウ」

 

 

部屋を出て、リピングへ。

 

 

ことり「おかえりなさい!」

 

ピカチュウ「ピカチュウ」

 

飛鳥「ただいま、ことり、ピカチュウ」

 

鷹夫「今日はどうだった? 仲良くお留守番してたか?」

 

ことり「うん! ピカチュウ、すっごく良い子にしててくれたよ! お昼ご飯もちゃんと食べて、お昼寝もいっぱいして…ね?」

 

ピカチュウ「ピカ」

 

飛鳥「ピカチュウも、すっかりこの家に慣れてきたみたいで安心したわ」

 

ことり「うん。 もうここはピカチュウのお家だよ」

 

ピカチュウ「ピッカ~♪」

 

 

 

 

 

 

◇秋葉原 電気街

 

夏の陽がすっかり落ち、夜の帳が下りた秋葉原の電気街。

 

巨大な街頭ビジョンの色鮮やかな光が路面を彩り、昼間の喧騒とはまた一味違う、夜の熱気を帯びた人々が歩行者天国を交錯している。

 

そんな場所に、テレビクルーがいた。

 

 

人気テレビ番組「ラブ♡ペット」の街頭インタビューだった。

 

 

(BGM:不審者,にこ)

 

 

ディレクター:千葉「ありがとうございました。  バイバ~イ」

 

プードル「ワンッ!」

 

女性「失礼します」

 

 

インタビューに答えてくれた若い女性とプードルを見送った。

 

 

AD:吉川「あ、すみません! 先ほどの使わせてもらうので、こちらにサインをお願いできますか?」

 

 

ADの吉川が駆け寄り、女性にペンと「放送出演同意書」の用紙を差し出してサインをもらう。

 

インタビューの内容は「愛犬との出会いのきっかけ」や「最近覚えた可愛い芸」といった、至って平和で、どこにでもある微笑ましいエピソードだった。

 

 

千葉「はぁぁ~…」

 

 

女性の姿が見えなくなった途端、千葉は重苦しい溜息を吐き出し、その場にがっくりと肩を落とした。

 

 

カメラマン:竹内「ディレクター、今のじゃダメっすか? さっきのプードル、めちゃくちゃ可愛かったですけど?」

 

千葉「可愛いよ! 可愛かったけどさ~! これじゃ先週の放送と全く一緒だよ! 今回の企画、何だか忘れたか? 『アキバで見つけた! 超個性的ペット大特集!』だぞ!?」

 

竹内「はぁ…」

 

千葉「どこが超個性的だよ? トイプードル! チワワ! マンチカン! 三毛猫! どこに行っても王道! どこにでもある日常! 視聴者が求めてるのは『なんじゃこりゃ~っ!?』っていう、画面に釘付けになるような衝撃映像なんだよっ!」

 

 

今日の夕方から秋葉原駅周辺で張り込み、何十組ものペット連れに街頭インタビューを試てきた。

 

しかし、返ってくるのはどれも代わり映えのしない、どこにでもある普通のエピソードばかり。

 

 

千葉「珍しい爬虫類とか、喋るインコ、せめてオウムくらいいてくれてもいいだろうが。 天才オウムのオーちゃんみたいな!」

 

竹内「いや、陣内智則さんのネタじゃないですか…」

 

照明:佐藤「まあまあまあ、秋葉原だからって全員が珍獣飼ってるわけじゃないですし…」

 

千葉「それを発掘するのが、俺たちの仕事だろ!?」

 

吉川「しかし、ディレクター。 インタビュー用の同意書、もう残り2枚しかありません。それに通りかかる人たちに『珍しいペット飼ってませんか?』って聞いて回ってますけど、みんな『普通に犬か猫です』って答えるだけで見つかりませんよ」

 

 

すでに時刻は夜の8時を回っている。撤収の時間が近づいてきた。

 

 

千葉「このままじゃまずいぞ…。上が『今週の目玉VTR』を待ってんだからな…。 あぁ~ぁ、どっかに珍しい動物はいないかね~。 火を噴いたり、電気出す動物とかな!」

 

音声:永田「ハハハッ! 電気や火を出すペットなんて、アニメの世界じゃあるまいし、いるわけないじゃないですか! 漫画の読みすぎですよ、ディレクター」

 

千葉「分かってる! 例えだよ例え!」

 

佐藤「電気うなぎでも探す企画にしますか? さかなクンでも呼びますか?w 珍しい魚飼ってますよ!」

 

千葉「バカ言ってんじゃないよ…。 さかなクンは何度も出てくれてるじゃないか!」

 

佐藤「新しい珍しい魚、飼い始めたかもしれないじゃないですか!w」

 

千葉「大体、今回は海じゃなくて、アキバの企画だって言ってるだろ!」

 

佐藤「冗談です冗談」

 

吉川「あ、時間です! 撤収しましょう!」

 

 

しかし、彼らはまだ知る由もなかった。

 

自分たちが今まさに、例え話として笑い飛ばした「電気を出す動物」が、この秋葉原の街のすぐ近く、ある少女の家でスヤスヤと眠りについているという事実を。

 

そして、その存在が、やがて彼らの番組制作を、ひいては秋葉原全体を巻き込む大騒動へと発展していくことを、この時の千葉ディレクターは知る由もなかったのである。




千葉:イメージCV.山寺宏一さんで!ww
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