ジリリリリリリリリリ!!!!
「ん゛!?っと、と……」
朝。仕事の時間だと言わんばかりに鳴り出した目覚まし時計を慌てて止める。新学年になるし遅刻したんじゃクラスメイトに格好つかないでしょ、とつい数日前に実家から送られてきたこの目覚まし時計。タイマーなんていまどきスマホで事足りるだろという言葉は呑み込んで、まあ初日から遅刻ってのもなとセットしたのが昨日の夜。持ち主を起こすという大役は見事に果たしてみせたが、それにしてもうるさすぎる。音響兵器かと思ったわ。
「苦情とか来ませんよーに……。」
文句を言ってきそうなメンツを思い浮かべ、ため息をつく。これでなんか言われたら恨むぞマイマザー。寮生活は仲いい奴らと住めるのは良いけど、その分文句とかも言いたい放題だからな。
もそもそとベッドから出て、冷蔵庫から昨日買っておいたサンドイッチを取り出して食べる。自炊もできなくはないが、いかんせん早起きするのが面倒くさい。……うん、やっぱりこの店のは美味い。
歯を磨いて顔を洗う。気持ち整える程度に髪をとかし、制服に着替えて準備完了。扉を開けていざ学び舎へ。
「いってきまーす。」
俺の部屋、一人部屋だけどね。
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目覚まし時計の件もあって誰にも会わないようにしながら寮を出る。学園への道をのんびり歩いていると、前方斜め上に見覚えのある金髪と黒髪コンビの後ろ姿を見つけた。なんで屋根の上走ってるんだ。普通に道を歩け。仕方ないのでフワリと浮かび上がり、2人に近づいて声をかける。
「よーっす佐野、豆。おはよ。豆、久しぶりでなんだけどモフっていい?」
「ああ、おはよ鳥山。」
「あっ、ヤマちゃん!久しぶり!いいよ!」
「やりー。」
ぽふんと音をたてて本来のタヌキの姿に戻った豆をキャッチし、存分に撫で回す。う〜んこれだこれ、この感じ。これは佐野がメロメロになるのも仕方がない。
「あ〜〜幸せ〜〜……豆、お前可愛さで天下取れるよお前。」
「んもぅ、褒めても何も出ないよ〜?」
「いやいやほんとだって。なー佐野?」
「ああ。豆の可愛さは世界一だ。」
「も〜。」
そうやってしばらく豆のもふもふに癒されつつ進んでいると、下の道が何やら騒がしい。見ると、黒髪の見るからに柄悪そうな奴と猫耳しっぽの__ありゃ猫又か?コンビがアホ毛が特徴的な気の弱そうな男に絡んでいた。
「うるせえお前のせいで粉砕骨折したんだよ!!!」
「そうだぞ治療費50万よこせよ。…あと掴んでるそっちの腕粉砕骨折した方な…」
「うええん僕の心も粉砕骨折しそう……」
うーんお手本のようなカツアゲ。マジで骨折れたんなら相手に絡んでないでとっとと医者にかかりゃいいのに。ま、この島の医者はちょーっと頭ん中がアレだけどね。
「何アレ同じ学年の奴らだね。絡まれてんの誰だろ。」
「ありゃりゃ、同じ学年とな。新学期早々カツアゲたぁ元気だねぇ。…仕方ない、あのアホ毛さんが可哀想だし、ちょーっと助太刀しに行きますか。」
「やめとけ鳥山、メンドクサー…ん?」
佐野の言葉が不自然に途切れた。体を本来の姿に戻すのを一旦止め、下を見やる。
「うううううう、もうやだあああ〜!!!」
ゴウッ!!
アホ毛が叫ぶと、黒髪の方がいきなり火に包まれた。うお、あちい。後少しでも範囲を広げてたら遅れたら巻き込まれてたな、セーフ。
「わあっ、突然発火した!!!」
「…あの気ィ弱そうな奴から火が出なかったか?」
「あーやっぱ佐野もそう見えたのね。てかあの黒髪大丈夫か?…んん゛っ、見事なまでのアフロになってら。こりゃこのまま行くしかないだろうな。」
「えーかわいそう、俺だったら絶対やだなー…あ!それより二人とも、そろそろ行かないとヤバいよ遅刻しちゃうよ!!早く行こう!」
ほんとだ、結構時間ギリだわ。新学年になったから新しいクラス確認しないといけねぇし、とっとと行くとしますか。
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キーンコーンカーンコーン……
「ギリギリセーフ…ってとこか?」
「あ、まだ先生来てないみたいだよ!やったね!」
「マジじゃんラッキー。」
弍年參組の札が下げられた教室に滑り込む。あの後超特急で学園までの道を駆け上がったから凄い疲れた。やっぱ長期休みだからってダラダラするもんじゃねーわ、ほんとに。
空いている席に座り、机につっぷする。ひんやりとしていて火照った顔に気持ちいい。あーこのまま先生来ないでくんねーかなーなんて考えていると、肩を後ろからツンツンとつつかれた。はいはいなんでござんしょ。
振り返ると、後ろの佐野の席まで来ていた豆が天使のような微笑みを浮かべていた。ウッまぶしい。
「みんな一緒のクラスになれてラッキーだったね、ヤマちゃん!」
「おーそうだな、今日来てないけど泥田と紅子も同クラだったし、運いいな。改めて、これからもよろし__
ドスン!!
ん?」
「今だ!連々覚悟!」
「だーっ止めろ!危ねえだろ!」
鈍い音がした方を見ると、男子二人が喧嘩…いやプロレスか?これ。まあとにかく仲良くじゃれついていた。さっきのカツアゲといい、朝から元気だねえ。万が一角に頭をぶつけたりしたらマズイから、ガタガタと机を移動してやる。止めないのかって?俺だってこういうのが面白く感じるお年頃なんだよ。
……ん?というかあの茶髪の一つ目小僧くんに技かましてる奴……
「なー二人とも、あの金髪の猫又。あれ通学路でカツアゲしてた内の二人じゃねぇ?」
「あ、思い出した。あの猫壱年の時に俺によく絡んできた奴だ!歩きスマホでぶつかってきて逆ギレしてきたのが懐かしいよ。」
「いや一年の頃から元気すぎな。」
「じゃあそこにいるアフロは粉砕骨折したやつだな。顔見えないけど、アイツのっぺらぼうだったのか。」
のっぺらぼうかぁ、顔覚えられないんだったら確かに悪さし放題だわな。けどアフロになっちまったから特徴ありまくりだ、髪型で特定される犯人て。
そんな風評被害ありまくりなことを考えていると、二人のプロレスは佳境に入っていた。あーっと猫又が一つ目小僧の後ろに回り込んだ!胴に素早く腕を回し、決めるか猫又!
「俺の考えた必殺ネコネコアタック!!」
「いやそれただのジャーマンスープレックスじゃねーか!!」
決まったぁー!!勝者!猫又!
「間違えました!!!」
いやいや間違えてない間違えてない。これはどう考えても猫又の勝ち……あれ?
「今誰か入ってきたか?」
「さあ…」
おっかしいな確かに声が聞こえた気ィすんだけどな…しかもどっかで聞いたことあるような…としばらく首を捻っていると、いきなり扉が開いて誰かが飛び込んできた。
「え…えー…っと…ハロー…」
あ、あのアホ毛さっきの。嘘だろ教師だったのかよ。
…というか俺らの担任って国語が担当って書いてなかったっけ。ハローて。
オリ主はモチのロンで妖怪です。これだけで何の妖怪かわかったらその人を褒め称えます…