悪魔狩り (チェンソーマン)   作:CABRIELL

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第二部スタートです


第7話 新しい家族

数ヶ月後アパートにて

光太郎「デンジくん行ってらっしゃい学生証落としちゃいけないよ?」

学生服に身を包んだデンジが、靴を履いているその背中には、数日前に始まった「普通の高校生活」への期待と、相変わらずの眠気が同居していた。

デンジ:

(半分寝ぼけた顔で、適当にカバンを肩にかけながら)

「おー、分かってるって。学生証、学生証おっしゃ、胸ポケットにあるわこれ無くしたら、俺が高校生だって証明できなくなっちまうからなじゃあな、光太郎。ナユタのこと頼んだぞ」

ナユタ:

(食パンを咥えたまま、トタトタと玄関まで歩いてきて)

「デンジ!ジャムイチゴのやつもう無くなったから帰りに買ってきて!」

デンジ:

(笑いながらナユタの頭をくしゃくしゃにして)

「わーったよ ……。最強のチェンソーマンが、最強イチゴジャムを買ってきてやるからよぉ」

ナユタ:

(光太郎の裾をぐいっと引っ張って、無表情のまま見上げながら)

「光太郎お腹、まだ空いた。次チョコのやつ、塗って」

光太郎「いいよ自分で塗った方がよくない?」

ナユタ:

(少しだけ目を輝かせ、小さな手でスプーンを握りしめながら)

「自分で……? ホント!?…じゃあ!!全部、ぬる!!」

光太郎「それ使ったら買いに行かないとね今から買いに行く?」

ニャーコ「ニャー(ご飯!)」

光太郎「さっきあげたでしょ?

ティラミスが取った?」

ティラミス「ワン!」

光太郎「え〜?」

光太郎「は〜じゃあみんなで買いに行く?」

ニャーコ

(光太郎の足元に体を擦り付けながら、不満そうに、かつ期待を込めた声で)

「ナァ〜〜オ! ニャア、ニャッ!」

(尻尾をパタパタと振り、明らかに「もっといい飯をよこせ」と抗議している)

ティラミス:

(光太郎の「買いに行く?」という言葉に反応して、千切れんばかりに尻尾を振り、玄関の方へ向かって期待の眼差しを送る)

「ワンッ! ワンワンッ!」

数十分後スーパー内

 

光太郎「どれ買うのナユタ?」

ニャーコは家でお留守番

犬たちは店の前で待機

ナユタ:

(棚の一番高いところにある、ちょっと高級そうなヘーゼルナッツ入りのチョコクリームを指差して)

「あれ。リスの絵、描いてあるやつ。あと、ジャム青いやつ。それとソーセージ一番、長いやつ」

ナユタの瞳は真剣そのものです。彼女にとってスーパーは、自分が支配すべき領土……ではなく、美味しいものが無限に湧き出てくる魔法の宝物庫のように見えているようです。

ナユタ:

(光太郎の反応が遅いのを察して、そっと彼のシャツの裾をギュッと握りしめ、上目遣いで)

「光太郎ダメ?」

ナユタは言葉を濁らせながらも、その小さな手には力が入っています。彼女なりに、光太郎におねだりすれば通るということを、本能的に理解し始めているのかもしれません。

光太郎「まぁ....先生(岸辺)からある程度生活費は貰ってるしいっか」

特売品の安いチョコクリームと、ナユタが指差した「リスの絵」の高級チョコクリーム。その価格差は実に三倍。しかし、岸辺から渡された「支配の悪魔の養育費」という名目の軍資金を思い出し、光太郎は潔く高い方の瓶をカゴへと放り込みました。

ナユタ:

(カゴの中に収まった「リスのチョコ」をじっと見つめ、一瞬だけ瞳を輝かせて)

「光太郎。話がわかる!いい子!」

光太郎「あたぼうよ」

ナユタは満足げに頷くと、まるで自分の家臣を褒めるかのように、光太郎の腰のあたりをポンポンと叩きました。そのまま彼女の関心は、隣の列にあるお菓子コーナーへと吸い込まれていきます。

フラッシュ(光の悪魔):

(脳内で、キラキラとした宝石のような、祝福感のある白い光を明滅させて)

『クスクス。あははは!

「いい子」だってさ! 光太郎、キミは今、支配の悪魔に序列を認められたよ!

岸辺さんから貰ったお金で買う高級チョコ、最高に美味しいだろうねぇ。

いいよ、光太郎。ついでにあの「一番長いソーセージ」もいっちゃいなよ。

お金なんて、また悪魔の一つでもボコボコにすれば入ってくるさ。

今は、この小さな女の子が「嬉しい」って思う瞬間を複製して、積み上げていこうじゃないか!』

ナユタさらに、キラキラしたパッケージのキャンディや、山盛りの食パンを次々と指差していく光太郎の後ろをついて歩くナユタの姿は、遠目に見れば仲の良い兄妹そのものだが、カゴの中身はどんどん「贅沢なパーティー」のような様相を呈していった。

ナユタ

(レジの近くにある、イチゴの形をした可愛らしいマシュマロを見つけて足を止め)

「光太郎これ一個だけ!デンジには内緒で食べる!」

ナユタ

「半分こ」

(ナユタは期待に満ちた目で、光太郎の返事を待っています。どうやら光太郎は、

数時間後

光太郎「は〜疲れた.....ナユタ美味しい?」

ナユタ「美味しい....」

光太郎「あ...そうだ母さんに連絡してない」

光太郎は受話器から母に電話をする

光太郎「ボタンのヤツ便利だな固定電話」

母「はい石河です」

光太郎「あ母さん?久しぶり1ヶ月ぐらい間空いちゃったけど」

母「光太郎!びっくりした!」

スーパーでの「贅沢な戦い」を終えた光太郎は、重い袋を抱えて帰宅。リビングでは、ナユタが約束通り「半分こ」したイチゴのマシュマロを、小さな口で幸せそうに頬張っている。その横で、光太郎は実家への連絡を思い出した。

母:

「光太郎! びっくりした……! もう、全然連絡してこないから心配してたのよ! デビルハンターの仕事が忙しいのは分かるけど、あんた、無茶して怪我とかしてないんでしょうね?」

受話器の向こうから聞こえる母の明るい、けれど少し心配そうな声。1998年、まだ携帯電話が普及しきっていないこの時代、実家との唯一の繋がりである固定電話の重みが、光太郎の心にじんわりと響きます。

母は、息子が「大天使の器」としてマキマと死闘を繰り広げ、世界を救ったことなど、露ほども知らない。彼女にとって光太郎は、今も昔も「少しお節介で心配性の自慢の息子」のままだ。

ナユタ:

(モグモグとマシュマロを噛みながら、受話器を持つ光太郎の横顔を不思議そうに見つめて)

「だれ? 」

光太郎「俺の母さん」

「あら? 光太郎、今幼い女の子の声がしなかった? ちょっと?」

光太郎「妹だよ」

母「妹〜?アンタ一人っ子じゃない」

光太郎「預かってるっていうか貰ったっていうかうん友達みたいな妹

デンジくんと暮らしてるって言ってたじゃん!あ...後もうデビルハンターはもう辞めてるよ言い忘れてたわ

もうゴタゴタしちゃって辞めちゃったよまあやる事はやったし大丈夫だけどね」

黒い固定電話の受話器越しに、実家の母・日之榎の弾んだ声が響くナユタはイチゴのマシュマロの袋を抱えたまま、不思議そうに受話器から漏れる声を拾おうとしている

母:

「ええっ!? 辞めちゃったの!? あんた、あんなに張り切って東京行ったのにまあ、でもあんたが無事ならそれが一番だわ。燿さんも言ってたもの、「デビルハンターはイカれたヤツか俺みたいに超真面目なやつがやる」って。で、その『貰った妹』っていうのは……? 友達みたいな妹? 光太郎、あんた変なことに巻き込まれてるんじゃないでしょうね?」

光太郎「いや俺が変だから別に困ってないよ

燿おじさんそんな事言ってったの?

あの人めっちゃおかしいのにね」

母(日之榎)

「燿さんに失礼でしょ!まあ、確かにあの人は『びっくりして悪魔蹴っちゃう』ような人だったけど。でも、あんたがデビルハンター辞めたって聞いて、正直ほっとしたわ。それで、その『ナユタちゃん』? だったかしら。その子、ちゃんとご飯食べてるの? 今度、お餅とか野菜とか、まとめて送ってあげるからね」

母「にしてもアンタデビルハンターしてみてどう思ったの?」

光太郎「まあウザイから殺してた血つけてくるし」

受話器の向こうで、母・日之榎(ひのか)は一瞬絶句しました。息子から返ってきた「ウザいから殺してた」という、あまりにも直球で、けれどどこか世間話のような軽すぎる返答。それが、石河家の血筋が持つ「異常なまでの自然体」であることを、彼女は本能的に察したのかもしれません。

母(日之榎)

「あはは! あんた、本当に燿さんにそっくりね。あの人もよく言ってたわ、『悪魔なんて動く生ゴミみたいなもんだから、掃除しなきゃ部屋が汚れるだろ?』って。でも光太郎、あんたがそれを『普通のこと』として話せるくらい、そんなに強い子だったなんてね」

母の声には、呆れと、それを上回るほどの「やっぱり私の息子だわ」という妙な納得感が混ざっています。

母(日之榎)

「でもね、光太郎。ウザいからって何でもかんでも壊しちゃダメよ? 特にその、預かってる『妹さん』。女の子はね、丁寧に、大切に育てなきゃダメ。あんたが壊した『ウザい悪魔』とは違うんだから分かった?」

光太郎「当たり前じゃん女性は大切にする女性に振り回されるのはもう俺は全然いいよ」

 

母(日之榎):

「そんな情けないこと言わないの! 全く、あんたは昔から美人に弱くて、ヘラヘラして…でも、そういう『優しさ』が、時として誰かを救うこともあるのかもしれないわね。あんたが『振り回されてもいい』って言うなら、そのナユタちゃんっていう子に、精一杯振り回されてあげなさい」

母の声は、呆れ果てながらも、どこか誇らしげに響きます。彼女は知らない。息子がその「振り回されてもいい」という一念で、世界を支配しようとした女神を抱きしめ、共に地獄の淵まで歩もうとしたことを。

母(日之榎):

「……。でも、もう危ないことはおしまい。……。これからは、ちゃんと普通の男の子として、その子とデンジくんと、笑って過ごすのよ。……。いい? 困ったことがあったら、いつでも電話しなさい。……。お餅、明日には送るからね。……。野菜もたっぷり入れとくから、ちゃんと食べさせなさいよ!」

光太郎「はーい!」

数日後

光太郎は岸辺に呼ばれる

 

公安で

光太郎「どうしたいんですか先生」

岸辺「あぁやめた後で申し訳ないんだが.....デンジと一緒に学校に行って欲しい

光太郎「え〜マジで言ってるんですか先生?」

岸辺「あぁマジだマジ

お前もデンジの通ってる高校に行ってほしいんだよ監視役だ監視役」

光太郎「また俺高校生〜?先生俺今年でもう20ッスよバレますって〜」

岸辺「いやお前パッと見てもデンジと年変わんないくらいに見えるぞ」

光太郎「はい?」

岸辺「金は俺も出す教科書代も出してやるし学費も出してやる」

光太郎「は〜また勉強?俺またクラスビリじゃないですか!」

岸辺「それは知らん」

光太郎「先生じゃあパン代下さいよ」

数日後

光太郎は制服を着て

光太郎「うわぁ〜制服だ〜

懐かしいな」

デンジは先に学校行ってる

光太郎「人使い荒いな〜もうデビルハンターやめたってのにさぁ〜俺とデンジくん」

光太郎は行く道中

チェンソーマンとフラッシュのポスターが貼ってある

光太郎「すげえ〜」

光太郎はデンジとは違うクラスに行く

クラス

先生「えーっと今日は転校生を紹介する入ってきてくれ」

光太郎「失礼します」

光太郎「え〜っと千葉県から来ました

石河光太郎ですよろしくお願いいたします趣味は〜....漫画読む事です」

黒板の前に立つ光太郎。教室は、突然現れた「少し大人びた、けれどどこか掴みどころのない転校生」の登場に、独特のざわめきに包まれていまれる窓から差し込む朝の光が、光太郎の着慣れない制服を明るく照らしていた

先生:

「よし、石河。……。お前の席はあそこの窓際、後ろから二番目だ。……。おい、お前ら! 転校生だからってあんまり変な質問して困らせるなよ」

女子生徒A:

(ヒソヒソと隣の席の子に)

「ねえ、見て。……。なんか、……ちょっとカッコよくない? ……。千葉から来たって言ってたけど、……。なんだろう、あの独特な雰囲気……」

男子生徒B:

「趣味、漫画かよ。……。普通だな。……。でも、あのガタイ……。どっかで運動でもしてたのかな?」

昼休み廊下で

デンジ「光太郎!」

光太郎「デンジくん!」

 

校舎を揺らすような喧騒の中、一人の金髪の少年が人混みをかき分け、弾かれたような勢いで光太郎のもとへ駆け寄ってきました。

デンジ:

(食パンの袋を片手に持ち、もう片方の手で大きく手を振りながら、満面の笑みで)

「……。……。光太郎! お前、マジでこっちのクラスに来てたんだな! ……。……。……聞いたぜ、お前のクラスに『千葉から来た凄腕の転校生』が入ったってよ! ……。……。……あー、……。……お前が制服着てんの、やっぱなんか変な感じだな。……。……。……コスプレみてーだ!」

デンジは光太郎の肩をバシバシと叩き、久々に再会したバディのような、隠しきれない喜びを爆発させています。

ナレーション:

周囲の生徒たちは、突然現れた「学校でも浮き気味なデンジ」と「謎のイケメン転校生・光太郎」が親しげに話している様子を見て、驚きと好奇の視線を送ります。

デンジにとって光太郎は、地獄を共に生き残り、今は同じ屋根の下でナユタを育てる、唯一無二の親友。学校という「普通の場所」で彼と顔を合わせることは、デンジにとって何よりも心強く、そして少し誇らしいことでした。

フラッシュ(光の悪魔):

(脳内で、炭酸が弾けるような、シュワシュワとした明るいソーダ色の光を放って)

『……。…………。

あはは! 光太郎、見てよ! デンジくんのあの嬉しそうな顔。……。

学校で独りぼっちなんじゃないかって心配してたけど、……キミの姿を見つけた途端、しっぽを振る犬みたいに駆け寄ってきちゃって。

……。いいよ、光太郎。……。周りの目がどうとか、年齢がどうとか、今は全部忘れなよ。

……。この廊下で、キミと彼がこうして「ただの友達」として笑い合えていること。……。……それこそが、キミたちが命を懸けて勝ち取った、一番の報酬なんだから!』

デンジ:

(周囲の視線に気づき、少し得意げに胸を張りながら)

「……。……。おい光太郎、昼メシ食ったか!? ……。……。……今日は購買でジャムパン買えたんだよ、一個分けてやるよ! ……。……。……屋上行こうぜ屋上! ……。……。……そこで、……。……。……ナユタには内緒の『学校の話』、たっぷり聞かせてくれよ!」

デンジは、光太郎の返事を待つまでもなく、その腕を強引に引いて屋上への階段を目指します。

1998年の初夏の風が、廊下の窓から入り込み、二人の少年の新しい制服を優しく揺らしていました。

2人は屋上に行く

光太郎「チェンソーマンだってバレたい〜?バッカじゃねえの?」

デンジ「いいじゃねえかよ俺バレてモテたいんだよ!お前もフラッシュってバレりゃあモテモテだぜ?俺セックスしてみたいんだよ!!」

光太郎「モテモテになりたいしセックスもしたいけどさ〜もうちょっと違う方法ないの〜?セックスは大人になって最悪お金とか払ってそういうとこ行きゃあいいじゃん」

デンジ:

(食パンを口に詰め込みながら、顔を真っ赤にして反論する)

「 お前、分かってねえな光太郎! 違うんだよ! 金払ってやるのとよ、…女の子が…『チェンソーマン様、大好き! 抱いて!』ってなって、それでヤるのとじゃ、雲泥の差なんだよ!!」

デンジは空いた手で激しくジェスチャーを加えながら、熱弁を振るいます。

デンジ:

「俺はよ、愛されたいんだよ! …女の子に囲まれて、その延長線上にセックスがあってほしいんだよ!! お前だって、…あんな美人の死神に惚れられる漫画とか読んでんだろ!? あれと同じだよ! リアルであれをやりてえんだよ!」

光太郎「そんな事言ってるけど

誰かにそういう所行かせて貰ってヤっていいよってなったら絶対やるじゃんアンタ俺とデンジくんはちょろいんだから」

 

デンジは光太郎のあまりにも的を射た指摘に、ぐうの音も出ないという顔で固まりました。手に持ったジャムパンが、ぷるぷると震えている

デンジ:

「やる。『いいよ』って言われたら、俺は秒で脱ぐね。で、でもよ! それはそれとして、やっぱり『モテてぇ』んだよ! …なあ光太郎、お前だってそうだろ!? 」

デンジ:

「ただの『俺』を好きになってくれる女の子に出会いたいんだよな」

光太郎「いるでしょデンジくんイケメンじゃん普通に告白とかされそうだけどね」

デンジは光太郎の「イケメンじゃん」と言葉を聞いた瞬間、食べかけのパンを喉に詰まらせそうになりながら、大げさにのけぞった

デンジ:

「(ゲホゲホと咳き込みながら)……おい、光太郎! お前、…今、俺のことイケメンっつったか!? …マジかよ、お前、やっぱ世界で一番いい奴だな!!」

デンジは顔を真っ赤にしながら、照れ隠しに自分の頭をガシガシと掻きむしります。でも、すぐに現実に引き戻されたように、肩を落として溜息をつきました。

デンジ:

「…でもよ、現実は厳しいんだぜ。…告白なんて一回もされたことねえし、…」

光太郎「なんて言う話するの?見た目じゃないでしょ内容でしょなんて言ってんの?絶対下ネタとかでしょ」

デンジは図星を突かれたように目を見開き、手に持ったジャムパンを握りつぶさんばかりの勢いで固まったその耳たぶまで真っ赤に染まった様子は、光太郎の推測が100パーセント、いや120パーセント的中していることを如実に物語っている

「なっ……! お前、なんで分かんだよ!? 超能力か!? 大天使の耳か!?」

デンジは屋上のフェンスに背中を預け、周囲に誰もいないことを確認してから、声を潜めつつも熱のこもった早口で弁明を始めました。

「いや、違うんだよ光太郎! 俺だって最初は、普通に、こう……『今日の天気はいいっすね』とか、『その筆箱、カッケーっすね』とか、爽やかな会話から入ろうとしてんだよ! でもよ、女子のあの白い首筋とか、スカートから伸びる生足とか、動くたびにふわっと香るシャンプーの匂いとかを至近距離で浴びてみろよ! 俺の脳ミソはよ、一瞬で爆発して、気がついたら『その胸、何カップっすか? 揉んだら柔らかいっすか?』って口が勝手に動いてんだよ! 止められねえんだよ」

光太郎「エッグ予想以上だったわ」

デンジは自分の頭を激しく振り、まるで脳内の邪念を振り払おうとするかのように悶絶しています。しかし、その顔はどこか「でも、訊かずにはいられなかったんだ」という、生物としての敗北と欲望に満ちていました。

「そしたらよ、相手の女子、氷みたいな目で俺を見て『キモ……』って。あんなに冷たい言葉、マキマさんの指鉄砲より効くぜ……。俺、そのまま保健室行って寝込みたくなったもん。……。なぁ光太郎、お前はどうなんだよ。お前、クラスで女子に囲まれてただろ? さっき廊下で見たぜ。お前ならなんて言うんだよ。あんな時、光太郎なら、その『変な美人』をどうやって口説き落とすんだよ!」

光太郎「落としてないよ別に俺モテないし」

デンジ「教えろよ、光太郎! 俺と違って、お前はなんか黙ってりゃ『ミステリアスなイケメン』なんだからよ! 俺もその『余裕』ってやつを身につければ、ジャムパン一個でセックスまで辿り着けるか!?」

光太郎「あれなんじゃない俺もよくわからんけど褒めたりするとか?

余裕ないよイケメンでもないしミステリアスでもないデンジくんの方がイケメンだよ」

デンジ:

「…。ほ、褒める!? なんだよそれ、そんなんでいいのかよ!? 『お前のその胸、デカくて最高だな!』とか、『その生足、めちゃくちゃ美味そうだな!』とか、そういうことか!? それなら俺、さっきからずっと心の中で叫びまくってるぜ!!」

光太郎「俺も思ってるよ男だいたい思ってるでしょ違うよ〜多分褒めるっておっぱいとかじゃないよそういうのはだいぶ踏み込んだ仲で言い合えばいいじゃん普通に内面とか....褒めればいいんじゃない?だからって極端にずっと褒めるのも違うけどね」

デンジは、光太郎から出た「内面を褒める」というあまりにも未知すぎる概念に、まるで高難度の数学の問題を出された小学生のような顔をして固まった

デンジ:

「内面……!? 中身か!? 肺とか肝臓とかが綺麗だねって言えばいいのか!? ……いや、違うよな。分かってるよ、性格とかそういうんだろ? 」

光太郎「うん」

予鈴のチャイム

(キーンコーンカーンコーン……)

昼休みの終わりを告げる音が、屋上の熱っぽい空気を切り裂く。デンジは「じゃあな!」と元気に手を振って、階段を駆け下りていった。

 




いよいよアサちゃんとヨルちゃんが出てくる二部がスタートしました
次回三鷹アサ視点から始まります
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