「死ねぇぇぇっ!」
一撃、主任の機体に左手に持った月光が決まった。主任の機体は崩れ去り、爆発していく。
「はぁ・・はぁ・・・」
今の攻撃で両腕が破損した。ジェネレーターも熱暴走を起こしている。当然、冷却装置なんて意味をなしていない。
コアも暴走している。
「くそ・・・ここまでか」
画面には大量の警告メッセージが映し出されているが、脱出しようにも、出入口が歪んで出るに出れない状況である。
「辛かったけど・・・楽しい、傭兵生活だったぜ・・・」
俺は目を瞑ってその時を待つ。そう言えば、お礼を言ってなかったな。随分長い間共に戦った相棒に。
優しく、画面に触る。
「今までありがとよ、紅蓮・・・・」
そう言って、俺は意識を手放した。
「ここ・・は・・・・・」
二度と覚めぬ夢から俺は抜け出した。
「やぁやぁ、やっと目を覚ましたね?」
見れば、視界一杯に兎の耳をつけた女性がいた。
「っ!」
すぐさま飛び起きて格闘戦の構えを取るが、相手からは戦意を感じない。
「っと、そんなに敵意剥き出しにしなくても、分解なんてしないしない。それに、傷だらけの君を助けたのはこの私なんだよ?」
・・・・・。
あまり状況が掴めない。俺は主任を倒したけど、確かに死んだ。それで、目が覚めたらここにいた。あの女がいた。
「お前は・・・何者だ?」
正直に言えば、主任と同じ匂いがする。こう、つかみどころがない感じ。
「私は皆のアイドル篠ノ之束だよ!」
「篠ノ之・・・束?」
知らん。当たり前か。
「なっ、この私を知らないって!どういうことよー!」
といって、ポカポカと俺の肩を叩いて来る。どうも、頭の中は児童なみの思考回路をしているのかもしれん。
しかし、周りには色々な機械がおかれている。研究所か何かと俺は思った。
「じゃっ、私からの質問。君は何処の誰?」
「レジスタンス専属ACパイロット、リオだ」
「レジスタンス?AC?」
「・・・ACを知らないのか?」
「束さん全然わかんない」
・・・嘘だろ。ACを知らない?
AC『アーマード・コア』とはコアと呼ばれる胴部を中心にして、頭部、脚部、腕部を組み合した人類最強の機動兵器である。
サイズは約五メートル程度になる。機動性もかなり高く、強さはパーツの組み合わせと、パイロットの腕が殆どを占めているだろう。
「と、いうことだ・・・」
「信じられなーい・・・」
「別に信じてもらおうなんて思っちゃいない・・・」
「けど、面白そうだね。それで、どうして君はそんなにも傷だらけなの?」
「・・・・と、言われてもな。俺にもよく分からん。死んだと思ったら、ここで眠っていたんだ」
「・・・ふぅん、神様のきまぐれか、私へのプレゼントってところかな?」
そんなプレゼント、俺は嫌だけど。
しかし、この女の言うことが真実なら、俺は違う世界に来ているのか?ACなんてない、世界が終わりへ向かっていない・・・世界に。
「まぁ、百聞は一見にしかずってことで、ちょっとこの世界を見に行こうか。リオ君」
彼女は楽しそうに闇に包まれた部屋から俺を連れ出した。もういい大人だと思うのだが、その笑顔は少しだけ無邪気そうに見えた。
それから、俺は篠ノ之束に色んなものを見せてもらった。この世界がどういう世界なのか。
ISや、男尊女卑、美味しい食べ物とか、綺麗な服とか、俺の知らない物凄く楽しい世界を俺に教えてくれた。
「この世界は、いいな・・」
「そう?男はそう思ってない人が多いけど?」
「それでも、俺のいた世界よりまともさ・・・」
「ふぅん・・・ねぇ、リオ君って、前は傭兵だったんだよね?」
「あ、ああ・・・そうだな」
今はどういう立場なのだろうか。
「じゃぁさ、ちょっと私からの依頼を受けてもらってもいいかな?」
「別にいいよ」
「いいの!?素性も殆ど分からないのに?」
「ある程度のことは教えてもらったさ。俺は傭兵だしな、ある程度の報酬があれば問題ない」
「そう?それじゃっ、リオ君にお願いするのは、いっくんと箒ちゃんの護衛をお願いします!」
まず、織斑一夏という存在。次に溺愛している妹の存在。そんな彼らを狙っている亡国企業、ファントムタクス。
「つまり、その組織から織斑一夏と篠ノ之箒をある程度守ればいいんだな?」
「うん、そうだよー。それに、亡国企業以外にも素性の全然分からない組織があるんだよねー。そっちも気をつけて」
「そうか・・・だが、そんなことを信用も出来ない俺に頼んでいいのか?」
「まぁ、そうだけど・・・別にリオ君だけに任せてる訳じゃないし、それに、パッと見て君は強そうに見えた。傭兵ならクライアントのオーダーはちゃんとこなしてくれそうだし」
「今はフリーだ。全然構わないが、この世界の通貨や私物は俺は持っていない」
「大丈夫、そこは私が全部用意してあげるから」
「それは、ありがたい」
「君のISも準備してあげるから」
そう言って、篠ノ之束は何やら準備を始めた。その間、俺はキッチンを借りて何とかレシピ通りにご飯を作ったりした。
最初は全部黒焦げにしたり、鍋が爆発したりとかしたけど、一ヶ月も経てばそれなりに作れるようになった。それは、料理だけに限らず洗濯や掃除もそうだった。
人間慣れるもんだと、俺は思った。
そうして長い時が流れた。
ある日篠ノ之束は言った。
「じゃっじゃーーん!完成――!束さん特性、リオ君専用機です!」
その手の指の先に篠ノ之束が説明していたISが鎮座していた。赤黒い色をベースにして、黒いラインが入った機体だ。
「これは、リオ君が名前をつけていいよ」
「俺がっ!?」
「うん」
名前ねぇ・・・けど、この色・・・ちょっと、前の俺の機体に似てるな・・・なら、またあいつと戦いたい。
「こいつの名は・・・紅蓮。で、いいか?」
「うん!かっこいいと思うよ!紅蓮かぁ・・・・リオ君をよろしくね!そじゃっ、早速乗ってみようか!」
ISを装備してみる。
すると、身体中が淡く光った。その光が収束し、視界に色々映って来た。なんかよく分からないことが色々出て来た。
一つずつ丁寧に解説してもらい、なんとか理解をすることが出来た。ACだって大量に覚えないといけないことがあったからな。
それから、更に色々と時間をかけてISのことについて勉強した。勿論、ISだけじゃなくて、料理とか、掃除とかも、今の世界の常識とかここでの振る舞い方。
初めて作った料理を篠ノ之束にひっくり返された時はどうしようかと思ったが、最近では『いっくんに負けず劣らず美味しい』とも言われるようになった。
その時は、普通に嬉しかった。
俺には戦うしか能がない。それしか出来ないから。だから、戦うこと以外で褒めてもらえて嬉しかった。
「武装とか、何か使い武器はあるの?」
「武器ねぇ・・・・・こんな武器とか作れますか?」
「ふぅん、これがリオ君のいた世界の武器かぁ・・・・いいよ!」
いつかの武器を、俺は作ってもらった。
それからという日は目まぐるしい日々だった。毎日、篠ノ之束に引っ張られ遊んだり遊ばれたり、一日ISで訓練したりなど、その日が終わる頃には俺は疲労困憊でベットに倒れれば動くことも出来なかった。
それでも彼女との生活は楽しかった。
「さっ、それじゃぁ出かけようか」
「出かける?」
そう言って篠ノ之束は色々と準備しながら言う。その中に一機のISが見えた。
「このISは?」
「ああ、それは箒ちゃんのだよー!」
「箒?」
「私の妹!護衛の一人だよ!流石に自分の身ぐらい自分で守れるようにしないとね!」
「・・・・・それで、そのISを渡しに?」
「うん、リオ君も行くからね!」
「え?」
「今頃向こうは合宿かな?」
「合宿ですか・・・・・」
「うん!それじゃっ、しゅっぱーーーーつ!」
篠ノ之束にひかれるように、俺はIS学園一年生の合宿先まで飛んで行くのであった。
俺と篠ノ之束が出会って三年の月日が流れた後の話だった。
こんな感じにやっていけたらいいです。
次からは原作陣が出てきます。