紅に吠える傭兵   作:青野

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ちょい短いかもです。


犠牲なしでは得られない

 

 

 

 

「・・・・左腕を犠牲にして」

 

 黒のISは左腕をランスに攻撃させることによって腕以外の全てを無傷のままにさせた。その判断能力は驚異的としかいいようがない。だが、それでもあれでかなりエネルギーは減ったであろうし、倒すなら今しかないだろう。

 

「箒、会長はどうやらまだ生きている。今すぐあいつを倒して救命チームに渡せば問題ない」

「わ、分かった」

「取り乱すな。今は確実にあいつを倒すんだ!」

 

 俺はパイルバンカーを出現させると奴に向かって飛ぶ。

 

『ふんっ!そんなものなど!』

 

 大振りなパイルバンカーの攻撃を奴は上に避けて回避するが、その瞬間紅の斬撃が襲ってくる。

 

『っ!?』

 

 一発、いや二発直撃した。

 

『今のうちに会長を!』

 

 箒がそう叫ぶ。俺は目の前にいる会長を抱えると直ぐにピットへ向かって飛ぶ。ゲートは開いていながここにいるよりかはまだマシだ。

 

『っぐ・・・ごめんね。私が・・・』

「いいから、黙って大人しくしていろ。もう直ぐしたら誰かがゲートを突破してきてくれる。お前はもう・・・頑張った。あとは俺に任せてくれ」

『・・・っ・・うん』

 

 会長は俺のその言葉を聞くとそれ以上何も言うことはなかった。ピットの前で会長を寝かせると直ぐに俺は箒の援護にまわる。

 やはり箒のほうがかなり優位に立ち回っており黒のISを押している。

 

「このままいけば・・・」

 

 そう勝利を確信した。

 俺は更なる命中力を上げるべくライフルを両手に持って接近する。何発か当てると黒のISは後ろ斜めに逃げる。

 後ろに逃げるも更に俺が奴の足を撃って体勢を整えさせない。

 

「今だっ!」

『はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!』

 

 箒は軽くジャンプして両手に一本しっかりと持つと思いっきり振りかぶって正面から一撃奴に浴びせる。一瞬、レーザーブレードがガードに入ったと思ったが黒のISはそのまま地面に叩きつけられる。

 箒が地面に着地したと同時に黒のISは土煙の中から瞬時加速を使って一気に箒に接近してレーザーブレードを振りかぶった。

 

『しまった!?』

 

 箒のガードが間に合わない。

 ただえさ消耗している箒にとってこの攻撃を受けてしまえば会長のように傷は浅くはすまないだろう。十中八九あれが決まれば箒は死ぬ。

 が、俺がそんなことをさせる訳がなく。

 

 ガッ!ズシャァァァッ!

 

「り、里穂・・・」

 

 後ろから震えた声がする。良かった・・間に合った。

 奴と一瞬遅れて俺も瞬時加速を使って箒の間に割り込んだ。思わずの展開だったのでこうして左腕を差し出すことになったんだけどな。

 箒自身は後ろから見ているので俺がかばったようにしか見えていない。

 これなら・・・。

 

『貴様ッ!?』

「残念だったな」

 

 左の肘から先はもうない。だが、まだ右手が残っている。

 右手に再び逆曲刀剣を展開する。この距離なら外すことは絶対にない。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 その光はまるで夜に映える蒼い光。さながら月夜でもあるかの如く。もう詳しい名前なんて忘れてしまった。が、サイズは違えど相変わらずこの手に馴染む感覚は忘れることはない。

 

 

 逆曲刀ブレード。またの名を『月光』。

 

 

 衝撃派と蒼い光が黒のISを切断した。黒のISは内部から火をだし、爆発しながらその全機能を停止した。

 先の衝撃でどうやら近くにいた箒は意識を失う。こんな姿、見せられなかった。

 ゲートが突破されてISに乗った先輩方がやって来た。その中に織斑先生の姿が見える。

 

「お前・・・その腕」

「ああ・・・ちょっと、しくじっちゃいましたな」

「は、速く処置を!?」

「わかってますよ」

 

 俺はそのまま救命チームに運ばれて医務室へと運ばれていく。左肘から先はもうないが、箒を守れたということだけは少しだけ俺は嬉しかった。

 

 

 

 その後、乱入者とパイロットの負傷によりタッグマッチトーナメントは中止。どうやら俺たち以外のところにもゴーレムⅢと呼ばれる無人機が暴れまわったらしく、被害は大きくなるかと思ったが、意外にも他の専用機持ちたちは苦戦の果て撃破したらしくダメージは多いが人的被害は出なかったらしい。 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ・・・変なことするな。あのウサ耳女は」

 

 俺は地下の特別医務室のベットに横たわった。事件があってからまだ半日程度しか経っていない。

 

「まったくだ。あの無人機相手ならお前たちも楽だったろうに」

 

 無人機のシールドバリア無効と比べるよりか黒のISのほうが脅威的だった。そう言っているのだろう。

 確かに四人がかりでも倒すのにあれだけ被害が出た。特にオルコットに至っては幾らエネルギーがあまりなかったとはいえ、瞬殺だったもんな・・・・。

 

「箒たちは無事ですか?」

「ふふ、お前はほんとに箒が好きだな」

「いや・・まぁ、なんというか・・・・・多分俺の好きはそういうのじゃないんで」

「・・・・・ほう、なるほど。お前はそう言うのか。だが、どうにも分かっていないな」

「?」

「いや、なんでもない。お前なら自分の気持ちに鈍感なのは当たり前か。それよりももう直ぐ束が来る。今は少しでも休んでいろ」

「了解・・・」

 

 織斑先生は俺の頭を撫でると歩き去った。俺はその背中を視線で送るも深い眠りの中に沈んでいった。

 

 

 

 

 

 

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