紅に吠える傭兵   作:青野

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ちょっと空いちゃいました。ごめんなさいっ


医務室にて

 

 

 

 

「っ・・・が・・・はぁ・・はぁ・・キツいな」

「そりゃ、神経接続は色々とね。この痛みが大事なんだよ。うんうん、いい感じに出来てる。これなら、もうちょっとで終わるよ」

「おお・・・」

 

 束のもうちょっとがどれくらいなのかはよく分からないが、取り敢えず終わりは見えて来た。そう思うと少しホッとする。

 痛みも先ほどと比べると少しは減って来た。

 

「ねぇ、里穂君はこの先どうしたい?」

 

 突然束がそんなことを言った。

 

「先って言われてもな。俺には元いた世界に帰る方法なんてないし、お前の依頼以外何かする目的なんてないよ」

「そっか。けど、元の世界に戻りたいと思っている?」

「出来るなら、俺は戻るべきなんだろう。俺はこの世界の住人じゃない」

「・・・違うよ、私が聞きたいのはそういうことじゃないの」

 

 少しトーンを下げて束は言った。

 

「里穂君は、里穂君自身は?」

「・・・・・俺は」

 

 俺は果たして帰りたいのだろうか?そりゃ、この世界の食べ物は旨いし、毎日戦いがある訳じゃない。いざこざはあるみたいだが、それこそ戦争というほどでもない。十分、平和に属する分類だと思う。

 いいじゃないか。このままここにいよーぜ。どうせ、帰れないんだから。

 

「・・・・・・」

「里穂君?」

「悪い・・それは今すぐには答えられそうもない」

「そっか」

「まぁ、実際帰る方法なんてないからな」

 

 確かにこの世界は俺がいた世界よりも随分とマシだ。だけど、それでもほんの少しだけフランのことが心配だった。

 しかし、最後の一言は自分でも分かる。あれは諦めた時に言うような声だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 騒動から一週間後。神経接続は上手くいき、これといって何かおかしい問題はなかった。束曰く、当分は激しい運動は控えろとのことであった。

 

「だけど、やっぱり違和感は少し感じるよな。束はそのうち慣れるって言ってるけど・・・」

 

 そんなことを俺はベットの上で呟いた。

 義手の左手をグーパーしてみせる。ちなみに質感やら色は限りなく似せてあるので他人から見てもこれが義手には見えないだろう。特に箒に至ってはそれを知れば責任を感じてしまうから。

 これは伏せておくか。

 

『一応、接続部分が破損しない限りは何度でも修復は可能だよ!それと、里穂君の意志でいつでも取り外すことも可能だから!』

 

 とかも言ってたな。つまり、いつでもパージは可能。

 

「あ・・・・・」

 

 俺は直ぐに携帯で束を呼び出す。

 

『んーー?どうしたのかな?』

「い、今何処にいる!」

『愛しの束さんなら今現在、ちーちゃんと一緒に飲んでるよ?』

「帰るのはいつだ?」

『そうだね・・・まぁ、明日か明後日には帰るつもりだよ?私がここにいるってバレたら迷惑かかっちゃうし』

「分かった。なら、今から作る設計図のものを作ってくれないか?」

『全然オッケー!だよ!』

 

 よしよし、俺にこんな武器を作れるのは無理だからな。これを作れるのは束ぐらいだろう。

 早速頭の中にある武器の絵を描き始める。

 構造自体は俺も知らない訳じゃないし、外見も・・・よし、これでも問題ない。

 少し下手だが紙にはある武器が描かれていた。それこそ、一度使えば左腕がもげるような。

 

「里穂・・・いるのか?」

 

 と、医務室のドアが開いて箒がヒョコッと顔を覗かせていた。ポニーテールではなく、ストレートのまんまだ。何か入っているバックを片手に持っている。

 

「あ、ああ・・・悪いな。ちょっとばかり休憩が必要なみたいだ」

 

 箒は一度俺の全身を見て、最後に俺の顔を見るとその姿に安堵したのか少し息を吐いてこちらに近づいてきた。

 どうやらこの義手は箒でも本物に見られるらしいな。

 

「どうだ、調子は?」

「おかげさまで。明日からなら授業にも出れるし、あまり対した問題はないさ」

「そうか・・・良かった。お前はいつも私を守ってくれるからな。だけど、里穂。私はお前が傷ついてまで助かりたいとは思わないんだ」

 

 そんな真剣な眼差しで俺にそう言う。箒としてはあんな無茶をするなと言いたいのだろうが、あのままあの攻撃を受ければ箒は死んでいたかもしれない。

 箒を守れるなら俺の腕の一本程度安いものだろう。

 

「まぁ・・・考えて戦うようにするよ」

「うむ、そうしてくれ。自分の身ぐらい自分で守れるさ」

「あ、ああ・・・」

 

 あいつ相手に左腕一本で勝利なんて、正直に言えば残りの奴らに勝てない。死神部隊の他にファントム・タスク。そして、黒幕の財団・・・財団って奴が何を考えているのか分からないが、兎に角今はやれることをやるしかない。

 

「さっ、腹が減っているだろ?今日は里穂の為に唐揚げを作ってきたんだ。ふふ、今回も上手く作れたんだ」

 

 そう言って嬉しそうにバックからタッパーを取り出した。パカッと開ける。

 

「おおっ!唐揚げじゃないか!箒の唐揚げはすげー旨いんだよね」

「そ、そんなに褒められることじゃないぞ」

「バカ言うな。束から教えてもらったんだけど、嫁は料理が上手な方がいいんだろ?俺がもらいたいぐらいだよ」

 

 と、勢いで言うと、何故だか箒は真っ赤にしながら言った。

 

「なっ、お、お前は何を言っているんだ!?そ、それがどういうことなのかわかってるのか!?」

「どういうって・・・あ」

 

 おいおい、今のって俺が箒にプロポーズまがいのことをしたってことじゃないか。うわー、なんか恥ずかしいわ。

 

「ま、まったくお前という奴は・・・」

 

 箒は怒ったのか顔をプイッとそっぽむけて頬を染める。

 

「うう、すまない。お前は一夏が好きだったんだな。変なことを言ってしまった」

「・・・あ・・・うん。私は一夏が好きなんだ・・・ほ、ほら、里穂は怪我をしているのだろ?なら、私が食べさせてやろう」

 

 そう言って持ってきた箸で唐揚げを一つ摘んで俺の口元へ近づけさせる。

 

「別に食べられないほど弱っちゃいないぞ?」

「そう・・か・・」

 

 何故だかしゅんとする箒。

 

「(はっ・・・何故今残念そうに思ったんだ!?)」

「おい、箒お前大丈夫か?」

 

 箒は激しく縦に首を振る。

 

 うーん・・なんか怪しいな?・・・・いや、そこは俺が詮索する必要もないだろう。何かあるなら箒から言ってくると思うし。

 

「んじゃ、いっただきまーす・・もぐもぐ・・・うん、旨い。旨いわぁ・・・」

「そ、そうか?なら良かった。そんなに嬉しそうに食べられるとこちらとしても作ったかいがあったというものだ。機会があればまた作ろう」

「マジで?感謝する!」

「ああ、里穂は唐揚げが好きだからな」

 

 そんな風に俺はガツガツと唐揚げを美味しそうに食べ、それを箒はなんだか嬉しそうな表情で見ていた。

 

 

 




次からは多分オリ展開になってくると思います
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