二度目となる出撃に俺は疲労を感じつつも寮への道を歩いていた。財団へ対する攻撃は凄まじいもので、各企業が団結して日々戦闘を激化させていた。
だが、UNACの存在が俺たちにとってはかなり面倒な存在であった。耐久値、戦闘能力はISと比べると劣るも、数だけはかなりのものであった。IS一機に対してUNACが四機もあれば事足りるであろう。
そして、企業側にある全てのUNACのコアは財団が敵対する前に提供したものであり、いざ戦闘になり主力のUNACが暴走したとなれば瞬く間に戦線は瓦解し、勝つ戦いも勝てなくなってしまう時もあった。
その度に俺が出撃して立ち回っているのが流石に限界というものを感じてしまう。束も珍しく疲れたーと言っている。
「ったく、いつまでこの戦いを引きずらせるんだよ・・・」
辺りは暗く、街灯の光だけが俺の姿を照らしていた。もう直ぐ秋に季節が移り変わるということもあり、少しだけ肌寒さを感じる。
「おお、箒じゃないか」
「なんだ、里穂か。今帰りか?」
「ああ・・・お前は?学園にでも忘れ物でもしたのか?」
「いや、今日はお前が帰ってくると聞いてな」
「そう言えば、一夏たちには俺が束の依頼で出撃しているのを知らないんだっけ?」
「ただの風邪ということになっているが、訪問する一夏たちをどうやって止めようかと悩んでいたんだぞ」
そう微笑みながら箒は笑う。その笑みを見れただけで先ほどまでの激戦が夢であったかのように思えてしまう。
それほど箒の笑顔は魅力的だった。
「夜になれば寒くなる。さっさと帰ろうぜ」
「ああ、そうしよう」
箒が隣を歩く。
突拍子もなく始まった財団との戦争。いや、前哨戦は幾度となくあった筈だ。そして、とうとう財団を倒すために全ての企業や国が立ち上がった。
始まった直ぐに激戦に見舞われたが、俺たちの勝率は高いとは言えないだろう。こちらの総力を結集しても財団へ対して決定打を打てないでいる。
それは、それだけ財団の戦力が強いと言えていることだろう。
ISも幾つも撃墜されており、このたった数日の中で凄まじい消耗を受けただろう。俺もこの戦いで命を失うかもしれない。しかし、それは俺が選んだ選択であり、決して振り返ることのない道の先なのだ。
そういえば次の戦いは少々厳しいものになるんだっけ?財団、最後のアームズフォートであるスピリット・オブ・マザーウィル。今までのアームズフォートの中で最高火力を誇ると言われているらしく、次の作戦ではこちら陣営の総戦力が結集されることになるだろう。
死人もこれまでになく多くなるだろう。
きっと、次の戦いは俺も無傷ではいられない。
「ん?どうかしたのか?」
いつの間にか足を止めていたのか、箒が俺にそう聞いて来た。
「いや、なんでもないよ・・・・」
「お前はいつもそうだな」
「?」
「お前はいつも悩んでいる時はそうやって作り笑顔をして私を誤魔化そうとする。だから、遠慮なく話してくれていいんだぞ」
バッ
「へ?」
その瞬間、俺は箒を正面から抱き締めていた。ギュッと逃がさないように、何処にも消えないように。
当然彼女は抵抗する。
「な、何をするんだ!?そ、そん「すまない・・・」・・・・」
彼女の耳元にそう言うと箒は大人しくなり俺の言葉を聞いた。
「お前・・・」
「悪い・・・これは俺のケジメでもあるんだ」
数秒して俺は箒を放す。
「ケジメって・・お前何を・・・」
今回ばかりは俺も死を覚悟しなければならない。いや、今回だけじゃない。それは毎回思っていることだが、今回ばかりは勝てる保証が何処にもない。
いつもなら心の片隅で勝機を持っていた。勝てると思っていた。
だが・・・こいつだけには勝てる自信が俺にもないのだ。当然、全力は尽くす。しかし、そういう気持ちの問題ではなく物理的に、数字的に厳しいと言える。
「っと、悪い悪い。なんでもないよ」
「里穂・・・」
何事もなかったかのように俺は振舞うと俺は一歩速く寮へと赴くのであった。
そして、彼女はそんな寂しい背中を見つめながら一人呟く。
「馬鹿者・・・・」
「ふむ・・」
財団は里穂の操縦する紅蓮を見ながら唸った。それはここ一連の戦いをこの機体が尽くこちらの戦力を削いでいるからである。
それは数字を見れば明らかであり、紅蓮の撃破スコアはかなりのものであったからだ。実際、こちらの有する巨大兵器、アームズフォートのギガベース、ランドクラブは全てこの紅蓮にやられている訳である。
「ですが、まだ・・・最後のAFが残っています」
財団最後のAF、スピリット・オブ・マザーウィルは六本の巨大な脚に巨大な甲板や砲台がある超巨大陸上空母。搭載されているUNACは圧倒的に他を上回っている。
今現在は中東付近にて待機中であり、更にこのAFを守るように巨大兵器のソルディオスが展開している。
万が一に負ける訳がなかった。
かの有名なアスピナの傭兵、ホワイト・グリントも参戦してくるが彼らに勝機はない。ただえさ、ソルディオス一機が厄介なのにそいつを倒した後にスピリット・オブ・マザーウィルを相手にするだけの余裕が彼らにはないはずだ。
「だが・・・・っ!何故だ・・・何故こんなにも・・・」
財団は紅蓮を見る。彼が戦った戦場は全てが焼き払われ、動くものなどなにもない。
「全てを黒く焼き尽くす・・・死を告げる鳥。黒い鳥か・・・」
勝てる戦いであり、そしてお互いの総力を決した最後の戦い。死神部隊はその後の事後処理に使う為ここでは投入出来ないが、それでも他の容易したISたちがいる。
財団は一人不敵に笑い、その時を待った。
そして、財団と人間。双方どちらかが倒れる最後の戦いが幕を開けようとしていた。
はい、前回言っていた予定通りにはなりませんでした。
ごめんなさい。
今回は絶対勝てる訳ではない戦いに赴く主人公の気持ちと勝利を確信しながらも主人公に対する恐怖?を感じている財団の話でした。
マザーウィルをラスボスっぽくしたのはPVで出てきましたし、なんか強そうだからですww
次回もよろしくお願いします。